最終更新日:2023/4/12

火災保険と火災共済の違いとは?メリットや特徴、それぞれの注意点を解説

火災などで住まいに生じた損害をカバーする手段には、火災保険のほかにも火災共済があります。どちらも被災時に建物や家財を補償するという点で共通していますが、いくつか違いがあります。

ご自身に適した商品を選ぶには、あらかじめ、それぞれにどのような違いがあるかを理解しておくことが大切です。

本記事では、火災保険と火災共済の概要や違い、それぞれのメリット、特徴、選ぶときの注意点などを解説します。

火災保険と火災共済の違いは?

火災保険と火災共済は、火災を中心とした災害に対する住まいの補償を提供していますが、両者にはさまざまな違いがあります。

火災保険は広く一般のお客さまに販売されるのに対し、火災共済は特定の組合員に限定的な補償を確保する目的で販売されるという違いがあります。

いざというときに後悔しないためにも、火災保険と火災共済について、それぞれの違いを理解しておくのがおすすめです。

火災保険と火災共済の違い①:運営母体

火災保険の運営母体は保険会社、つまり民間企業です。一方、火災共済を運営するのは、生協や農協、漁協など、一定の条件をもとに認定された非営利団体となります。

民間企業は、時代の変化を予測したり他社と競争したりしながら日々商品開発やサービス向上を続けており、その結果が火災保険商品に反映されやすいため、充実した補償が用意されています。

非営利団体である共済は、団体を構成する組合員同士の相互扶助によって運営されています。共済は組合員の出資金を元に運用しており、多くの火災共済はパッケージ化された補償を加入者が共有する仕組みになっています。

火災保険と火災共済の違い②:契約方法

火災保険・火災共済とも、書面やインターネット、代理店などを介して契約を申込むという方法には大差はありません。

ただし、火災保険は1つの契約ごとに保険会社と加入者が契約を交わす仕組みであるのに対し、火災共済は非営利団体の組合員である加入者がお金を出し合い、1つの契約を共有する形で運営されています。

1つ1つの契約が独立している火災保険の場合、契約者は補償内容や契約期間といった選択の自由度が高くなります。

一方、加入者全員で契約を共有する火災共済では、補償内容はパッケージ化されているのが一般的で、選択肢は限られる傾向にあります。

火災保険と火災共済の違い③:補償内容

火災保険と火災共済に共通するのが、火災をはじめとする自然災害への備えになるという点です。ただし火災共済は、火災保険に比べると補償範囲が狭いのが一般的です。

例えば「じぶんでえらべる火災保険」では、火災、落雷、破裂・爆発の基本補償のほか、風災や雹(ひょう)災、雪災、水災といった自然災害への補償にも対応します。さらに、水濡れ、物体の落下・飛来や騒擾(そうじょう)などによる破壊行為による損害、盗難と、住まいにまつわる幅広い補償の中からご自身に必要なものを選択することが可能です。

火災共済でも、火災保険と同じように火災を始めとする基本補償はありますが、風災や水災などの自然災害への補償を充実させるには、別途、自然災害共済に加入する必要があります。

火災保険と火災共済の違い④:地震保険の扱い

地震による損害は一部の費用保険金を除き、火災保険でも火災共済でも補償されません。地震に対する補償として、国と民間の保険会社によって地震保険が提供されていますが、この地震保険の扱いについてもそれぞれ違いがあります。

地震保険は、火災保険とセットで加入するという条件があります。そのため、火災共済の加入者は、地震保険への申込みができず、火災共済の多くが自然災害共済や地震特約として、地震災害に対する備えを準備しています。

どの保険会社で加入しても一律の補償内容である地震保険に対し、共済の地震補償は提供する団体ごとに加入要件や補償される内容が異なります。また、共済は掛金が抑えられているものの、補償範囲が狭い傾向にあります。

火災保険・火災共済のメリット

火災保険・火災共済のメリット

運営組織や仕組みに違いのある火災保険と火災共済ですが、どちらも火災などの損害から住まいを守る手段には変わりありません。どちらを選ぶことがご自身の希望する備えとなるのか、それぞれのメリットに着目することが大切です。

そこで、どちらに加入すべきか検討中の方のために、火災保険と火災共済のそれぞれのメリットについて解説します。

火災保険のメリット

火災保険の大きなメリットの1つは、補償内容や契約期間、保険料などのカスタマイズ性が高いところといえます。

火災保険は、建物の状況や取り巻く環境、家族構成などから補償を取捨選択でき、加入者一人ひとりのニーズにマッチしたプランを契約できます。先述のとおり火災以外の補償も手厚いので、住まいを総合的に守るのに適しています。

民間企業である保険会社は他社との競争があるため、より良い商品やサービスの提供が期待できるのも魅力です。

火災共済のメリット

火災共済は、団体の組合員(加入者)全員でパッケージ化された内容を共有する仕組みのため、誰にでもわかりやすくシンプルな補償内容で設計されており、プラン選びに悩むことはないでしょう。

掛金に建物の構造や広さなどが影響するのは火災保険と同じですが、火災共済は補償内容が限定される分、掛金が一律かつ火災保険よりも抑えられていることもメリットです。家計への負担を抑えながら、最低限の補償を確保したい方に適しています。

また、火災共済では決算期に1年間の共済金の支払い状況に応じて、余剰金を組合員(加入者)へ還元する「割戻金制度」があり、利益が出た場合には組合員に平等に分配されます。

火災保険・火災共済のデメリット

火災保険・火災共済、それぞれの違いやメリットを知ることで、どちらの商品を選ぶかを決めることは可能です。しかし、いざというときに住まいを守るための大切な補償ですから、契約後に後悔することのないように理解を深めておきましょう。

次にメリットに続いて、選ぶときの判断材料となる、火災保険と火災共済で押さえておくべきデメリットや注意点について解説します。

火災保険のデメリット

火災保険は幅広い補償が用意されていますが、それだけではなく、1つ1つの補償が手厚いため、火災共済に比べると保険料が高くなる傾向があります。

補償が手厚いほど安心感は増しますが、ご自身のライフプランを考えたうえで不要な補償は省くなど、適切なプランへの加入を心がけることも大切です。

また、カスタマイズ性の高さから、ご自身に必要な補償選びが大変に感じることもあるかもしれません。特に各保険会社がそれぞれに魅力的な商品やサービスを提供しているために、1つの保険を選ぶのにも時間や手間を要する可能性があります。

火災共済のデメリット

火災共済は火災などの基本補償がパッケージ化されており、掛金に応じて補償額が増えるものの、補償のカスタマイズは通常できません。

火災保険のように風災や水災などの補償を充実させるためには、火災共済のほかに自然災害共済へ加入する必要があります。

選択肢が少ないため、災害時への備えとして火災保険に比べて補償内容や補償額が低く設定されていることが多いです。

また、各団体が提供する地震共済や地震特約は利用できても、国と民間保険会社が共同運営する地震保険には加入できない点には注意が必要です。

そして、火災共済は運営する非営利団体の組合員にならなければ加入できないという前提があります。さらに、脱退時には返還されますが、加入時には団体への出資金が求められます。

火災保険・火災共済はどんな人におすすめ?

火災保険と火災共済の違い、それぞれのメリットや特徴がわかっても、実際に契約するとなると悩むケースも多いでしょう。しかし、火災保険と火災共済は違いが比較的はっきりとしているため、ご自身が火災保険や火災共済を契約したいと考えたときに、何を優先したいかによって判断すると良いでしょう。簡単にポイントを解説します。

火災保険は補償を充実させたい人におすすめ

火災保険は火災のみならず、幅広い自然災害から盗難など、住まいを総合的に守るのに適しています。さらに、火災保険とセットで地震保険にも加入すれば、地震の被害にも備えることもがきます。

特に近年は、日本各地で土砂災害や水災による被害が多発しているため、大きな川の近くや台風の多い地域にお住まいの方は、火災保険が適しています。

また、ご自身の希望する補償と保険金額を自由にカスタマイズできるので、納得できる補償内容で契約したい方にもおすすめです。

火災共済はコストを抑えたい人におすすめ

火災共済は、火災を中心としたシンプルな補償から、掛金を抑えられるのが大きな魅力です。

そのため、家計の負担を減らしたい方や自然災害の少ない地域にお住まいの方に向いています。

火災保険に比べて補償範囲が狭いことが不安な場合、自然災害共済や地震共済、特約の追加などで、補償を手厚くすることも可能です。ただし、加入する非営利団体ごとに補償範囲が異なるので、事前に複数の共済を比較・検討しましょう。

火災保険・火災共済に関するQ&A

火災に対する備えができるという共通点があるにもかかわらず、多くの点で違いがみられることから、火災保険と火災共済の契約について様々な疑問を感じている方もいるでしょう。

いざというときに保険金(共済金)を受け取るためには、正しい手続きと対応をとることが大切です。最後に、火災保険と火災共済について、よくある疑問にお答えします。

火災保険と火災共済は重複して加入しても大丈夫?

火災保険と火災共済は、いずれに加入する際も、ほかの火災保険・共済で契約があるかどうかを告知する義務があり、保険(共済)や契約内容よっては新たに契約ができないこともあります。

告知義務の理由は、複数の火災保険や火災共済によって、補償対象となる建物・家財の保険金額(補償額)が実際の価値を超えて支払われないようにするためで、これは非常に重要なので注意しておきたい点です。

火災保険や共済に複数加入してしまうと、契約が重複してしまい、補償を無駄にしてしまうことが考えられます。必ずしも契約を多くすれば補償が多くなる訳ではないため、適正な契約をすることが大切でしょう。

例えば、加入する火災共済で不足する補償を別の補償で補うという考え方もあるかもしれませんが、運営団体が変われば管理や手続きの手間が増えるため、契約は1つにしぼるのがおすすめです。

火災保険と火災共済は途中解約できる?

結論から言うと、火災保険も火災共済も途中解約が可能です。いずれも、各保険会社・各非営利団体が定める方法で手続きを進めることになります。契約途中であっても違約金などは発生しません。

すでに払込済みの保険料や掛金がある場合の対応は、それぞれ異なります。

火災保険の場合、例えば長期一括払いで契約した場合、解約日から満期までの期間(未経過期間)に応じて、保険会社ごとに定められた未経過料率(%)で計算された解約返戻金が支払われます。月払いや未経過期間が1ヶ月未満の契約は、解約返戻金が発生しないのが一般的です。

火災共済では、年度末までの支払済み掛金から共済ごとの返還額計算に応じて返金される場合もありますが、一部の県民共済などでは解約返戻金がないこともあります。詳しくは各共済へ問い合わせることをお勧めします。

火災保険と火災共済のメリットを知ってご自身に合った選択を

手厚い補償を自由にカスタマイズできる火災保険と、シンプルな補償と手頃な掛金の火災共済は、どちらも火災から住まいを守る役割を持ちながらさまざまな違いがあります。

火災共済でも、自然災害共済などのオプションを選択することで補償の追加は可能ですが、近年増えている風災や水害に備えたい方は火災保険を選択するのがおすすめです。火災共済に比べて、建物の状況や取り巻く環境、家族構成などから補償を増減させるなど、加入者のニーズに適したプランで契約できます。

火災保険・火災共済とも、ご自身にあった補償を選ぶためにそれぞれの特徴を理解し、納得のいく選択をしましょう。

監修者プロフィール


竹下 昌成

竹下 昌成

竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

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