最終更新日:2023/9/13

火災保険に家財の補償は必要?対象や保険金額の目安は?気になる疑問を解説

火災や自然災害などは、建物だけでなく、建物内の家財に損害を与えることもあります。

火災保険は建物と家財の損害を補償する保険です。補償対象は「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」のいずれかから、契約時に選択できます。

しかし、家財が具体的に何を指しているのかわからない、家財の補償が必要なのかわからないといった理由で、家財に補償をつけるか迷う方もいるでしょう。

本記事では、火災保険が補償対象とする家財とはどのようなものか、保険金額を設定するときの目安などを解説します。家財の補償の必要性についても解説しますので、家財の補償が必要なのか迷っている方は参考にしてください。

火災保険の家財の補償とは?

火災保険は、火災だけではなく、落雷や破裂・爆発、風災や水災といった自然災害、水濡れ、盗難など、建物や家財に起こりうるさまざまな損害を幅広く補償する損害保険です。

詳しくは後述しますが、建物の補償には、建物に加え、建物に取り付けてある浴槽や流し台、エアコンなども含まれます。さらに、物置、車庫や付属建物なども建物の補償対象です。

一方、火災保険における家財の補償とは、建物内にある家具や家電、衣類など、日常生活で使っている生活用の「動産」です。引っ越しで運び出せるものと考えると、わかりやすいかもしれません。

持ち家と賃貸住宅、どちらも家財の補償は必要?

家の中を見渡すと、テレビや洗濯機、パソコン、ベッド、タンス、衣類など、たくさんの家財に囲まれているとわかるでしょう。

もしこれらの家財が火災や自然災害などで失われたら、もう一度買い揃えるために多額の費用がかかる可能性があります。このようなリスクに備えるため、持ち家か賃貸住宅かに関係なく家財の補償は必要です。

ただし、火災保険の契約には持ち家と賃貸住宅で異なる点があります。火災保険は所有者が加入するものなので、賃貸住宅の場合は、建物の保険は大家さんが加入し、入居者はご自身の家財の保険(火災保険)にのみ加入するのが一般的です。

多くの賃貸住宅では、火災保険への加入が入居条件になっていることがあります。その理由は、一般的に火災保険の契約に含まれる「借家人賠償責任保険(特約)」を必須としているためです。

火災を起こしても、通常は失火責任法という法律によって、失火者は重大な過失がなければ損害賠償責任を負いません。しかし、賃貸住宅の入居者が失火により建物になんらかの損害を与えると賃貸借契約に基づいて大家さんに対して損害賠償責任を負います。

このリスクを回避するため、入居者に火災保険とセットで「借家人賠償責任保険(特約)」に加入してもらい、もしものときは保険金で賠償金を支払えるようにしておくのです。

セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」は、賃貸住宅にお住まいの方はお申込みいただけません。

火災保険の家財の補償で対象となるもの

火災保険の家財の補償で対象となるもの

火災保険の家財とは、一般的に建物の中に収容している家財で、「ご自身で動かせる生活用品」が該当します。保険会社により違いがある場合もありますが、主に次のような生活用品は家財の補償対象とされています。

  • 家電製品(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、パソコンなど)

  • 家具(ダイニングテーブル、ソファ、ベッドなど)

  • 衣類や靴

  • 台所用品(調理器具、食器など)

  • 本や雑誌、楽器など

  • 自転車や原動機付自転車

  • そのほかの生活用品

  • 高額な貴金属、宝石、美術品、骨とう品など(補償額には上限があり、保険会社によって特約のセットや契約時の申告が必要)

  • 現金、預貯金証書(一部の商品で「盗難」のみ補償される、補償額には上限あり)

高額な貴金属や宝石、美術品、骨とう品などは、契約時に明記物件として保険会社に申告すると補償対象になるケースが一般的です。補償額には、通常、家財保険の保険金額とは別に上限が設けられています。

セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」は、「高額な貴金属、美術品などの補償」を家財保険でセットすると、明記物件として申告しなくても1個1組あたり30万円、1事故あたり100万円を限度に補償します(保険開始日が2013年6月1日以降の契約の場合)。

また、現金や預貯金証書などは、「盗難」の補償をつけている場合に、一定額を上限に補償する商品もあります。

「じぶんでえらべる火災保険」では、1事故1敷地内につき現金は20万円を上限、預貯金証書は200万円または家財の保険金額のいずれか低い額を上限に、盗難により生じた損害を補償します。

火災保険の家財の補償で補償対象外となるもの

建物に付属せず、また動かせる生活用品であっても、家財として補償されないものもあります。例えば、以下のものが対象外となります。

  • 自動車、船舶または航空機およびこれらの付属品

  • 稿本、設計書、図案、雛型、鋳型、木型、紙型、模型、証書、帳簿その他これらに類するもの

  • 動物および植物などの生物・データ、ソフトウェアまたはプログラムなどの無体物・法令により被保険者の所有または所持が禁止されているもの

例えば「自動車」は、自動車保険の対象であり、火災保険の対象である車庫の中に入れていても火災保険(家財保険)では補償されません。

住宅を対象とした火災保険では、業務用の什器や商品も、「生活用」の動産ではないため補償対象外です。

また、家の中にあれば家財の補償で対象となるものでも、ひったくりや置き引きなど、家から持ち出している間に受けた損害は補償対象外になるため注意しましょう。

火災保険の家財の補償に設定する保険金額の目安

火災保険の保険金額には、「再調達価額」と「時価額」の2つの基準があります。

再調達価額は損害を受けた家財と同等のものを再購入するのに必要な金額で、時価額は再調達価額から使用による価値の消耗分を差し引いた金額です。

時価額基準では、価値の消耗分の減額があるため、生活に必要な家財を保険金だけで元どおりに揃えるのが難しい可能性があります。そのため、最近の火災保険は再調達価額を基準に保険金額を設定する商品が主流になっています。

再調達価額を基準に家財保険の保険金額を考えてみましょう。

家中の家財の値段を割り出して計算するのは苦労します。そこで目安になるのが、各保険会社が提供しているシミュレーションです。

「じぶんでえらべる火災保険」の公式サイトでも「家財の簡易評価額・保険料シミュレーション」を提供しており、誰でも簡単に家財の補償に対する保険金額の目安を知ることができます。

例えば、親子4人暮らし(世帯主30歳)の場合の簡易評価額は900万円で、その内訳は以下のとおりです。

家財の種類 簡易評価額 内訳
家具 180万円 ソファ・テーブル、じゅうたん、カーテンなど:80万円
ベッド・寝具類、タンスなど:70万円
照明・暖房器具:30万円
家電用品 200万円 テレビ、PC、カメラなど:70万円
冷蔵庫、オーブンなど:40万円
キッチン棚、食器類、調理器具:40万円
洗濯機・掃除用具・洗面用具:50万円
衣類 260万円 普段着、下着・小物類:90万円
コート、スーツ、制服など:100万円
婦人和服、ドレス、礼服など:70万円
身の回り品 130万円 靴・バッグなど:70万円
アクセサリー・腕時計:60万円
趣味・娯楽 90万円 書籍、ゲーム機、DVDなど:30万円
アウトドア・スポーツ用品など:30万円
楽器、ステレオなど:30万円
学用品・玩具 40万円 文房具・教材、学習机、本棚、玩具など:40万円
左右にスワイプすることで、表が見られます

同じ親子4人暮らし世帯でも、世帯主の年齢が上がるほど家財の量は増えるのが一般的で、評価額も上がる傾向があります。先ほどと同じシミュレーションで世帯主を50歳とすると、簡易評価額は1,760万円になります。

ただし、建物とは異なり、家財の評価額は人それぞれのライフスタイルに大きく左右されます。そのため、世帯主の年齢が同じでも同じ金額になるとは限りません。シミュレーションの結果はあくまでも参考として、ご自身のライフスタイルにあわせて保険金額を調整すると良いでしょう。

火災保険の家財の補償の支払い事例

火災保険で家財の補償をつけると、さまざまな損害に対して、保険金額を限度に実際の損害額の補償を受けられます。ここでは「じぶんでえらべる火災保険」の支払い事例を紹介します。

事例 補償項目・特約 損害額 支払われた保険金
タバコの不始末によるぼや 火災、落雷、破裂・爆発 家財:1,505,000円(パソコンやステレオ、衣類、布団など)
建物:482,504円

合計:2,658,755円

  • 損害保険金:1,987,504円

  • 残存物取片づけ費用(※1):75,000円

  • 臨時費用(※2):596,251円(※3)

土砂崩れ (土砂の流入により自宅建物と1階に置いていた家財のほとんどが被災) 水災補償特約 家財:2,250,000円
(冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの家電、家具、衣類など)
建物:15,700,000円

合計:20,745,000円

  • 損害保険金(家財):2,250,000円

  • 損害保険金(建物):15,700,000円

  • 残存物取片づけ費用(※4):1,795,000円

  • 臨時費用(※2):1,000,000円(※3)

落雷によりゲーム機が故障 火災、落雷、破裂・爆発 家財:18,500円
(ゲーム機の修理代)

合計:24,050円

  • 損害保険金:18,500円

  • 臨時費用(※2):5,550円(※3)

空き巣に入られ宝石を盗まれる 盗難補償特約 家財:150,000円
(宝石付きのネクタイピン2個、ダイヤの指輪、ペンダントトップ)

合計:150,000円

  • 盗難保険金:150,000円

左右にスワイプすることで、表が見られます
※1

「残存物取片づけ費用」は、「基本補償(火災、落雷、破裂・爆発)」に含まれます。

※2

「臨時費用」は、「諸費用補償特約」をお選びいただいた場合にお支払いします。

※3

保険始期日が2020年6月30日以前のご契約の場合の算出金額です。保険始期日が2020年7月1日以降のご契約は損害保険金×10%(100万円限度)の金額になります。

※4

「残存物取片づけ費用」は、「水災補償」に含まれます。(保険始期日が2013年6月1日以降のご契約の場合)

補償の範囲は個別の契約ごとに異なりますが、建物の補償と同じように、火災や自然災害、盗難など、家財の補償でも幅広い損害がカバーされます。

火災保険の家財の補償に加入するときの注意点

火災や自然災害などで損害を負ったとき生活の再建に欠かせない家財への補償ですが、火災保険で家財の補償を検討するときに、気をつけておきたい注意点が2つあります。

  • 家財の評価額を超えた部分は補償されない

  • 地震などによる損害は火災保険では補償されない

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

家財の評価額を超えた部分は補償されない

再調達価額を基準とした場合、火災保険では建物も家財も損害を受けたものの評価額(再調達価額)を超える部分は補償されません。お持ちの家電や家具より高めに保険金額を設定したとしても、保険金額を限度に、再調達価額をもとに実際の損害額が支払われます。

例えば、評価額700万円の家財に対して保険金額1,000万円を設定しても、支払われる保険金は最大で700万円です。逆に、保険料を抑えるために保険金額を低く設定し過ぎると、損害額の一部しか補償されない可能性があるので注意しましょう。

地震などによる損害は火災保険で補償されない

地震や噴火、またこれらを原因とする津波で生じた損害は、地震保険(火災保険の一部の費用保険金を除く)に加入していないと火災保険で補償されません。地震の被害にあうと、家具や家電が倒れて壊れるなどの損害を受けるケースは多いですが、そうした損害に備えるためには、地震保険への加入が必要です。

地震保険は単体で加入できず、必ず火災保険とセットで加入します。火災保険と同様、建物と家財から契約者自身で補償対象を選べます。

火災保険のなかにも、地震による損害の一部を費用保険金として補償できるものがあります。費用保険金とは、保険対象の建物や家財の損害のほかに生じる諸費用をサポートするために支払われる保険金です。

例えば「じぶんでえらべる火災保険」で「諸費用補償特約」を付帯した場合では、地震などにより建物が半焼以上、家財が全焼となった場合に「地震火災費用保険金」(家財の保険金額の5%)として受け取れます。

火災保険の家財の補償はいざというときの生活再建に必要

火災保険の家財の補償は、火災や自然災害などの被害から、いち早く日常生活を取り戻すのに役立ちます。保険の対象となる建物内にあり、生活に必要な動産(ご自身で持ち運んだりできるもの)の多くが家財の補償対象です。

ただし、高額な貴金属など特約や契約時の申告で盗難のみ補償されるもの、自動車など補償対象外のものもあります。何が補償されるのか、加入する保険の補償の対象や範囲を確認しておきましょう。

家財の保険金額には、家族構成や世帯主の年齢に応じた目安があります。「じぶんでえらべる火災保険」のシミュレーションで算出した目安を参考に、ご自身の生活実態にあわせて保険金額を設定するのがおすすめです。

監修者プロフィール


竹国 弘城

竹国 弘城

証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®

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