火災保険ガイド
新築物件における火災保険の必要性とは?加入するときのポイントや選び方を解説!
最終更新日:2024/7/17
新築物件の購入が決まったら、検討を始めておきたいのが火災保険への加入です。せっかく手に入れたマイホームや新しくそろえた家財が、万が一火事や災害によって大きな損害を被った場合、生活を立て直すために高額な費用を要する可能性があります。
一方で、最近は防火性能の高い住宅も多いため、火災保険の必要性を疑問視する方もいるかもしれません。
そこで本記事では、新築物件を購入するにあたって、火災保険に加入する必要性、必要な補償の選び方などをわかりやすく解説します。
新築物件における火災保険の必要性
総務省消防庁が発表している「火災統計」によれば、住宅の火災は近年減少しています。これには、平成23年6月1日から既存住宅で住宅用火災警報器が義務化されたことや、住宅性能の向上で防火・耐火性能の高い住宅が増えたことも要因と考えられます。
しかし、いくら自宅の安全性が高くても、隣家からのもらい火や、台風や洪水といった自然災害などで被害を受ける可能性はゼロではありません。
特にもらい火については、失火責任法により、失火者の重大な過失が認められない場合には失火者に法律上の損害賠償責任が発生しません。
重大な過失には、てんぷら油の入った鍋をガスコンロで加熱中にその場を離れる、点火したまま灯油ストーブに給油した、タバコを吸いながら寝てしまったことにより火災を起こしてしまった、などが考えられます。
もしもらい火の失火原因がこうした重大な過失ではなく、程度の軽い過失だと判断されれば、住まいがどれだけ損害を受けてもご自身で経済的な負担を負うことになります。
こうした万が一の事態に備えるためにも、火災保険への加入は必要なのです。
また、火災保険に加入しておけば、火災のみならず、落雷や破裂・爆発、水災、風災など、住まいにまつわる幅広いリスクに備えることができます。
火災保険の補償対象は建物と家財に分かれており、それぞれに保険金額を設定します。補償内容は保険会社によって異なり、どのような補償内容の火災保険を選ぶかは、住まいの環境や家族構成にあわせて決めると良いでしょう。
建物だけを対象とした火災保険にすると、建物と一緒に家財が全焼したとしても家財については補償を受けられません。また、家財の保険金額を低く設定すると、いざというときに十分な保険金を得られないケースも考えられます。ご自身の住環境にあわせて補償内容を検討することが大切です。
火災保険の加入が住宅ローンの前提条件となることも
新築物件の購入にあたって、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。この住宅ローンの契約で、金融機関から火災保険への加入を求められることがあります。
金融機関は、高額な融資を行う代わりに、建物や土地を担保にすることが一般的です。火災などによって担保価値が損なわれると、貸し付けた融資に対する保証を失うことになるため、火災保険による備えが重要視されます。
また、火災保険に入らないまま全焼などでマイホームを失えば、契約者は住宅ローンの支払いを残したまま、新たな家を確保するお金を用意しなくてはなりません。
火災保険の加入には、こうした経済的負担からローン返済が滞るリスクを回避する目的もあります。
新築物件向けの火災保険に加入するときのポイント
火災保険は、いざというときに役立つ必要な補償を見極め、ご自身で選択することが大切です。そのためにも、新築物件で火災保険に加入するときにチェックしておきたいポイントがあります。
ここでは、新築物件向けの火災保険を検討するときに、覚えておきたいポイントを4つ紹介します。
ハザードマップから必要な補償を見極める
近年、火災保険の補償を見極める重要な判断材料として注目されているのが、自治体が公表する「ハザードマップ」です。ハザードマップとは、自然災害によるリスクの高低度合を地図上にわかりやすく示したものです。
河川が近いなら洪水の浸水への備えや土砂災害の危険性など、ハザードマップは火災保険で必要な補償を検討するうえでとても参考になります。
ご自身で補償内容を選べるカスタマイズ型の火災保険であれば、ハザードマップで保険の対象の水災等のリスクを把握することで、必要に応じた補償をご自身で自由に選べます。例えば、マンションの高層階であれば水災リスクが低いので水災の補償を外すなど、物件環境による違いを補償内容に反映しやすいでしょう。
家財補償をセットする
火災保険は、先述のとおり建物と家財で保険の対象が分かれます。火災保険の対象となる家財は日常生活に関わる家具や家電、衣類などで、建物に固定された浴槽や調理台、エアコンなどは家財ではなく建物として補償されます。
火事などで家財が失われると、以前の生活を取り戻すのに高額な費用がかかります。
新築のマイホームを前に、家財一式を失うほどの被害を想像する方は少ないかもしれません。しかし、新築物件では、家具や家電を新たに買いそろえることが少なくありません。さらに、住み始めは少なかった家財も、生活するうちに少しずつ増えていきます。1つ1つは高額ではなかったとしても、トータルでは数百万円になるでしょう。
このように万が一のときに家財は損害額が大きくなりやすく、家財への補償が特に重要です。火災保険は建物だけではなく、家財も対象にしておくのがおすすめです。
必要に応じて盗難の補償をセットする
火災保険は「火災、落雷、破裂・爆発」を基本補償とするほか、「盗難補償」の契約もあります。例えば、セゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」は、「火災、落雷、破裂・爆発」の基本補償以外に、ご自身でさまざまな補償をセットできます。その1つが盗難への補償です。
盗難補償では、強盗や窃盗などによる損害に対して保険金が支払われます。盗難補償を建物につけると、空き巣などにカギや窓ガラスなど壊された場合に補償され、家財に補償をつけると、被害にあった家財の保険金額を上限に補償されます。
新築物件が戸建ての場合、立地や人通りによっては盗難にあうリスクも考えられるため、盗難補償をつけておくと安心です。
地震保険にも加入する
耐震性能にすぐれた新築物件であっても、ひとたび地震にあえばどれほどの被害となるか誰にもわかりません。
火災保険には、地震や地震による津波などに対する損害への補償がないため、別途地震保険への加入が必要です。また、地震保険は単体で加入できず、火災保険への加入が前提となっているため、セットで契約しましょう。
地震保険は、物件の免震・耐震性能、築年数により保険料が割引されます。割引制度は併用できませんが、免震・耐震性能によっては最大50%の割引が適用されます。地震保険割引を適用する際は確認資料の提出が必要となるので、詳しくは保険会社に確認しましょう。
さらに、地震保険料は支払った金額に応じて所得税と住民税の控除を受けられます。節税しながら地震に備えられるのは、地震保険の魅力といえるでしょう。
新築物件向けの火災保険の保険料相場
火災保険の保険料は、保険会社がそれぞれ独自に設定しています。算出基準が異なるため、たとえ同じ物件であったとしても、保険会社ごとに保険料は変わります。
そのため、新築物件かどうかに関わらず、火災保険の保険料相場は一概に言うことはできません。
しかし、算定基準の条件となる部分はどの火災保険にも共通しており、構造区分・所在地・築年数などによって算定されます。その他の部分では補償内容、保険期間・支払方法などで保険料が変化します。
新築物件の場合は、建築資材の性能向上により中古物件と比べ耐火性能が優れ火災へのリスクが抑えられたものがあります。
ただし同じ新築でも、戸建てとマンションでは構造の違いから保険料に差が出る場合が多く、以下のとおり耐火性能が高いM構造は保険料が安くなる傾向です。
物件種別 | 構造級別 | 建物の種類(材質) | 保険料 |
---|---|---|---|
住宅物件 | M構造 | コンクリート造建物・コンクリートブロック造建物・れんが造建物・石造建物・鉄骨造建物(耐火建築物)・耐火建築物の共同住宅建物 | 安い ↑ ↓ 高い |
T構造 | コンクリート造建物・コンクリートブロック造建物・れんが造建物・石造建物・鉄骨造建物・耐火建築物の共同住宅建物以外、準耐火建築物、省令準耐火建物 | ||
H構造 | M構造、T構造に該当しない建物 |
新築マンションの多くはM構造、耐火構造の物件はT構造、一般的な木造戸建てはH構造に分類されます。ただし、木造戸建てでも、耐火建築物、準耐火建築物や省令準耐火建物に該当すればT構造となり、H構造より保険料を抑えられます。
新築物件向けの火災保険で保険料を抑える方法
新築物件を購入すると物件の費用だけではなく、不動産手続きや住宅ローン契約にかかる諸費用、引っ越しなど、さまざまな出費に対応しなければなりません。
出費が続くなかで火災保険へ加入することになるため、保険料をできるだけ抑えたいと考える方は多いでしょう。
そこで、新築物件向けの火災保険で保険料を抑える方法を説明します。
保険料の支払方法を長期契約・一括払にする
火災保険は、一般的に、1年から最長5年までのあいだで保険期間を選べます。多くの保険会社が保険期間を長期契約にするほど保険料を割安に設定しており、保険料の支払方法についても、月払や年払よりも契約時の一括払のほうが保険料が安くなる傾向にあります。
少しでも保険料を割安にしたい方は、保険期間の長期契約・保険料の一括払を選択すると良いでしょう。
一括払の負担が大きいと感じる場合は、「じぶんでえらべる火災保険」が実施している「長期分割払」がおすすめです。2年以上の長期契約を対象に、月払・年払でも最大5%の保険料割引を受けられます。
複数の保険会社を比較検討してみる
新築物件の場合、不動産会社や金融機関から提携先の火災保険を勧められ、そのまま契約するケースも珍しくありません。
しかし、こうした火災保険は必ず加入しなければならないわけではなく、ご自身の希望に合致した内容の火災保険を別途契約することも可能です。建物・家財に対する保険金額が見合ったものかどうかや、不要な補償が含まれていないかなど、勧められた契約内容/プランはいったん持ち帰り、ご自身でも他社の火災保険をリサーチすることも、適切な保険選びをするための大事な考え方の一つです。
代理店型・ダイレクト型のメリットを把握する
火災保険の申込方法には、「ダイレクト型」と「代理店型」があります。
ダイレクト型は、インターネットを介したオンラインで申込みなどの手続きが完了します。もし保険の内容について不明点があり相談したい場合は、電話口でサポートしてもらうことができるため安心です。
代理店型は、店頭で担当スタッフと相談のうえ契約手続きを進めます。火災保険の内容について店舗で直接スタッフに加入手続きをサポートしてほしい場合は、代理店型がスムーズです。
料金面でいえば、ダイレクト型は代理店営業や事務手続きなどの中間コストがかからないため、代理店型よりも割安な保険料で手厚い補償を実現しやすいでしょう。
新築物件を購入したらいつ火災保険に加入するべき?
新築物件は、たとえ引っ越し前であっても、不動産会社からの引渡しと同時に、起きた損害に対する責任はすべて所有者へ移ります。
そのため、火災保険の始期日(補償の効力が発生する日)は、物件の引渡し日に間に合わせることが重要です。
申込みから始期日までにかかる時間は、ダイレクト型か代理店型かなど、状況によって異なります。ただ、火災保険は建物の構造や補償内容などの確認に一定の時間を要するため、即日すぐに契約できないことがあります。
加入にかかる日数について詳しくは保険会社に確認するとともに、遅くとも2週間前までには動き始めるようにしましょう。
また、同じ新築物件でも、建売戸建てや完成済みのマンションは引き渡しまでの期間が短い傾向があります。さまざまな手続きが短期間に集中するので、火災保険の手続きにもれが無いよう計画的に進めましょう。
火災保険に加入すれば新築物件のさまざまな損害を補償できる
耐火性能に優れ、セキュリティもしっかりした新築物件でも、もらい火などの損害とは無縁ではありません。大切な新築の住まいだからこそ、必要な補償を備えた火災保険へ加入しましょう。
火災保険は、火災だけではなく、水災や風災といった自然災害を補償します。近年は自然災害が増えているので、火災保険でしっかり備えることが大切です。また商品によっては、不測かつ突発的な事故や盗難などの損害をカバーするものもあります。
補償内容は、ご自身でハザードマップを確認するなど、保険対象の物件のリスクを把握したうえでご自身の住まいに合ったものを選ぶと良いでしょう。また、割安な保険料にしたい方は、長期契約やダイレクト型の保険がおすすめです。
監修者プロフィール
新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績は2,000本を超える。 資格情報:CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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