車を所有していると、自動車税や自動車重量税など、さまざまな税金がかかります。当記事では、車にどのような税金がかかるのか、各税金の支払時期、節税方法などについても解説します。
- 目次
-
1. 車の税金にはどのようなものがある?
車の税金は、大きく分けると「自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)」「自動車重量税」「環境性能割」「消費税」の4種類があります。もともと「自動車取得税」が課税されていましたが、2019年の税制改定により「自動車取得税」が廃止になり、代わりに「環境性能割」が導入されました。各税金の課税時期や納付先、税額が決められる要素は以下の通りです。
課税時期 | 納付先 | 税額を決める要素 | |
---|---|---|---|
自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割) | 毎年4月1日 |
普通車...都道府県 |
排気量等 |
自動車重量税 | 新規登録(新規検査)時 車検時 |
国 | 車の重さ等 |
環境性能割 | 購入時 | 普通車...都道府県 軽自動車...市区町村 ※当面の賦課徴収は都道府県による |
環境性能 |
消費税 | 購入時 | 国、地方 | 本体価格 |
以下より、それぞれの税について詳しく解説していきます。
2. 自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)
概要
自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)とは、毎年4月1日時点で車を所有している人に課される税金です。自動車税(種別割)は都道府県に、軽自動車税(種別割)は市区町村に納めます。
税額
自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の税額は、総排気量や最大積載量、用途(乗用車・トラック等)などによって決定されます。なお、2019年に税制が改正されたことにより、新車の新規登録時期が2019年9月30日以前か、2019年10月1日以降かによっても税額が異なります。自家用乗用軽自動車に関しては一律の金額です。
種別 |
排気量 | 2019年9月30日までに新規登録した場合の税額 | 2019年10月1日以降に新規登録した場合の税額 |
---|---|---|---|
自家用乗用軽自動車 | ― | 10,800円 | 10,800円 |
自家用乗用車 | 排気量1000cc以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1,000cc超~1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円 | |
1,500cc超~2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円 | |
2,000cc超~2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円 | |
2,500cc超~3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円 | |
3,000cc超~3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円 | |
3,500cc超~4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円 | |
4,000cc超~4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円 | |
4,500cc超~6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円 | |
6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円 |
上記が自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の基本の税額ですが、現在、環境に配慮した税制「グリーン化特例」が導入されており、適用期間中に新規登録(新規検査)した、環境性能に優れた車に対しては、翌年度の税額が軽減されます。一方で、新規登録(新規検査)から年数が経つと環境負荷が大きいとされ、税金が上乗せされます。自家用乗用車の場合、新規登録から11年以上経過したディーゼル車、新規登録から13年以上経過したガソリン車・LPガス車は、およそ15%増税に。自家用軽自動車に関しては、新規検査から13年経過すると、税額がおよそ20%アップします。ただしハイブリッド車や電気自動車等は、重課の対象になりません。
支払時期
5月上旬頃、車検証に記載された住所に納税通知書が届きます。納付期限は、5月末日に設定されていることが多いですが、自治体によって期限が異なる場合があります。納付期限を過ぎると延滞金が加算されますので、納税通知書が届いたら期限を必ず確認し、期限内に納付しましょう。
支払い方法は、銀行などでの現金支払い、口座振替(事前申込が必要)、クレジットカード、スマホ決済アプリ、ペイジーなどの方法があります。ただし自治体によって全ての支払い方法に対応していないこともあります。
自動車税・軽自動車税の詳細は、以下の記事でも紹介しています。
3. 自動車重量税
概要
自動車重量税とは、車両重量に応じて課される税金です。車の新規登録(新規検査)時と車検時に、車検の有効期間分(初回は3年分、それ以降は2年分)の税金をまとめて支払います。
税額
自家用乗用車の自動車重量税は、車両重量0.5トンごとに4,100円(年)の税金がかかります。自家用軽自動車の自動車重量税は、車両重量にかかわらず一律3,300円(年)です。
ただし、自家用乗用車・自家用軽自動車ともに新規登録(新規検査)から「13年」「18年」経つと、環境に与える負荷が大きいとされ、基本税額が上がります。自家用乗用車の場合、13年経過すると車両重量0.5トンあたり年間5,700円、18年経過すると車両重量0.5トンあたり年間6,300円に。自家用軽自動車の場合は、13年経過すると年間4,100円、18年経過すると年間4,400円に増額します(電気自動車などの減税対象車は重課の対象になりません)。
自家用乗用車の税額
軽自動車の税額
環境性能に優れるエコカーとして認定を受けた車はエコカー減税の対象となります。エコカー減税とは、環境に優しい車への乗り換えを促進するために2009年に設けられた税制優遇措置です。適用されると、新規登録(新規検査)時および2回目の車検時に納める自動車重量税が免税または減額されます。
例:2024年1月1日〜2025年4月30日までに新規登録した場合のエコカー減税率
対象 | 新規登録時 | 2回目車検時 | ||
---|---|---|---|---|
電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動車(2018年排出ガス規制適合)、プラグインハイブリッド車 | 免税 | 免税 | ||
ガソリン車・LPG車、クリーンディーゼル車 ※1 | 2030年度燃費基準 ※2 | 120%達成 | 免税 | 免税 |
90%達成 | 免税 | 減税なし | ||
80%達成 | 50%減 | 減税なし | ||
70%達成 | 25%減 | 減税なし |
※1ハイブリッド車を含む
※2減免対象は2020年度燃費基準達成車両に限る
支払時期
自動車重量税の支払い時期は、新車購入時の新規登録(新規検査)時および継続車検時です。車検を業者に依頼する場合は、業者が車両重量税の支払いも代行してくれます。自分で車検を行う場合には、運輸支局もしくは軽自動車検査協会事務所・支所にて、自動車重量税納付書に税額分の印紙を貼り付けて納付します。なお、自家用乗用車の自動車重量税に関しては、2023年1月から、クレジットカードによるスマホ決済もできるようになりました(事前登録が必要)。
自動車重量税の詳細は、以下の記事でも紹介しています。
4. 環境性能割
概要
環境性能割とは、車の燃費性能等に応じて課される税金です。新車・中古車問わず、車を取得した時に課税されますが、車の取得価額が50万円以下の場合と、一定の燃費基準を満たす車は非課税です。自家用乗用車の場合は都道府県に納めます。自家用軽自動車は市区町村に納めるものですが、当分の間は都道府県が賦課徴収を行うこととされています。
税額
環境性能割の税額は、新車と中古車で異なりますので、それぞれの計算方法と税率を紹介します。
新車の場合の計算方法
新車の場合は以下の計算方法で、車の取得価額に税率をかけて算出されます。
「取得価額(課税標準基準額+オプション価格)×税率=税額」
課税標準基準額は、車種やグレードに応じて定められていますが、車両本体価格の90%が目安です。オプション価格とは、車を取得した時にオプションとしてつけたカーナビやエアコンなど付属物の価格で、自動車に付加して一体となっているものが対象です。スペアタイヤやシートカバーなど、自動車と一体化していないものは対象になりません。
中古車の計算方法
中古車の場合は以下の計算方法で、税額が算出されます。
「取得価額(課税標準基準額×残価率)×税率=税額」
残価率は、初回新規登録からの経過年数ごとに定められています。例えば、自家用乗用車の場合、登録年(経過1年)の残価率は0.681。2年(登録年翌年の後半)経つと0.464に下がり、6年で0.1になります。自家用軽自動車の場合は、登録年(経過1年)は0.562、経過2年で0.316、経過4年で0.1に下がります。
税率
環境性能割の税率は、以下の通りです。政府が掲げる「2035年電動車100% (乗用車新車販売)」という目標にあわせて、環境性能割も段階的に引き上げられることになっており、取得時期によって税率が異なります。また、環境性能の良い車ほど税率が軽減されます。
取得時期:〜2023年12月31日
電気自動車/燃料電池車/天然ガス自動車/プラグインハイブリッド自動車 | 2030年度燃費基準85%達成 | 2030年度燃費基準75%達成 | 2030年度燃費基準60%達成 | 左記以外/2020年度燃費基準未達成 | |
---|---|---|---|---|---|
登録自家用乗用車 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% | 3% |
登録自家用軽自動車 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% |
取得時期:2024年1月1日〜2025年3月31日
電気自動車/燃料電池車/天然ガス自動車/プラグインハイブリッド自動車 | 2030年度燃費基準85%達成 | 2030年度燃費基準80%達成 | 2030年度燃費基準70%達成 | 左記以外/2020年度燃費基準未達成 | |
---|---|---|---|---|---|
登録自家用乗用車 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% | 3% |
登録自家用軽自動車 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% |
取得時期:2025年4月1日〜2026年3月31日
電気自動車/燃料電池車/天然ガス自動車/プラグインハイブリッド自動車 | 2030年度燃費基準95%達成 | 2030年度燃費基準85%達成 | 2030年度燃費基準80%達成 | 2030年度燃費基準75%達成 | 左記以外/2020年度燃費基準未達成 | |
---|---|---|---|---|---|---|
登録自家用乗用車 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% | 2% | 3% |
登録自家用軽自動車 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 非課税 | 1% | 2% |
※軽減対象は、2020年度燃費基準達成車に限ります。
5. 消費税
概要
商品やサービスを購入した時にかかる税金です。もちろん車を購入した場合にも課税され、車両本体だけではなくカーナビなどのオプション品も課税対象です。
税額
現在の税率は、10%です。
※2024年3月時点。
6. 車にかかる税金をシミュレーション
実際に、自動車にはどれくらいの税金がかかるのでしょうか。「トヨタ ヤリス Z(ガソリン車1.5L・CVT・2WD)」を例に挙げ、取得時にかかる税金と、毎年かかる税金に分けてシミュレーションしてみましょう。
<条件>
- トヨタ ヤリス Z(2024年式)
- 新車で2024年3月に購入
- 本体価格1,958,182円(税抜)
- オプションなし
新車取得時にかかる税金
税額 | 備考 | |
---|---|---|
自動車税(種別割) | 30,500円 | 総排気量1,490cc |
自動車重量税 | 36,900円 | 車両重量1,020kg 3年分をまとめて支払い(2030年度燃費基準70%未満達成で減税なし) |
環境性能割 | 52,800円 | 課税標準基準額1,762,363円(車両本体価格の約90%)×(2030年度燃費基準70%未満達成で)3% |
消費税 | 195,818円 | 本体価格1,958,182円の10% |
合計 | 316,018円 |
1年間の税金(新車取得後)
税額 | 備考 | |
---|---|---|
自動車税(種別割) | 30,500円 | 総排気量1,490cc |
自動車重量税 | 12,300円 | 車両重量1,020kg 本来は車検時に24,600円(2年分)の支払い |
合計 | 42,800円 |
※2024年3月時点の情報です。/span>
※あくまで一例ですので、実際の税額は販売店等に確認するようにしてください。
7. 車の税金を安く抑える方法
環境性能の優れた車を選ぶ
燃費の良い車や、排出ガスの少ない車に対しては特例や減税制度があります。例えば、「グリーン化特例」は自動車税(種別割)・軽自動車(種別割)が減税に、「エコカー減税」は自動車重量税が減税・免税になります。また、環境性能の良い車を選べば、環境性能割も減税・免税されます。それぞれの概要については、以下にて説明します。
グリーン化特例
グリーン化特例は、「電気自動車」「燃料電池自動車」「天然ガス自動車(※1)」「 プラグインハイブリッド自動車(※2)」などの排出ガス・燃費性能の良い車に対して、排気量に応じて課税される「自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)」が軽減される制度です。適用期間中に、新車の新規登録を行った場合と、減税対象車(三輪以上の軽自動車)の新規検査を行った場合に、翌年度分の税額が25%〜75%減免されます。
※1平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減又は平成30年排出ガス規制適合。
※2普通自動車のみ。
エコカー減税
エコカー減税とは、排出ガス・燃費性能の良い車に対して、自動車の車両重量に応じて課税される「自動車重量税」が減税・免税される制度です。適用期間中に新車新規登録(新規検査)等を行った場合に適用され、1回のみ優遇措置を受けられます。排出ガス・燃費性能の度合いによって軽減率は異なり、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車は免税。それ以外のガソリン車やLGP車は、2030年度燃費基準の割合によって、25%〜100%減免されます。
その他
車の環境性能に応じて課せられる環境性能割においては、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車などは課税対象外です。ガソリン車やLPG車であっても、2030年度燃費基準の達成度が高い車ほど税率が下がるので、環境性能割がお得になります。
税額が抑えられるタイミングで車を登録する
車を登録するタイミングによっても、税金を節約することが可能です。
まず、自動車税(種別割)ですが、年度の途中で新車の新規登録をした場合、登録の翌月から、翌年3月31日までの月割りの額が課税されます。例えば、5月1日に新規登録をしても、5月30日に新規登録をしても、課税対象となるのは6月分からです。ですので、4月1日以降の毎月1日に新規登録されるスケジュールで購入すれば約1ヶ月分を節約できるということになります。
一方、軽自動車税(種別割)には、月割りの制度はありません。しかし、軽自動車税(種別割)は4月1日時点で車を所有している人に対して課税されるものなので、車の新規検査が4月2日以降であれば、その年度は課税されません。ですので、軽自動車の場合は4月2日に登録をすれば、約1年分の軽自動車税(種別割)を節約できるのです。
8. 監修コメント
「税」がつく言葉を聞くと、税務署を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、税務署がすべての税金を扱っているわけではありません。税務署が扱う税金は、所得税や相続税などの国税庁が所掌する国税です。
毎年春に車の所有者や使用者に課税される自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は、国税ではなく地方税です。分からないことがあった場合は、普通車は都道府県の税事務所、軽自動車は市区町村の役所に問い合わせるとよいでしょう。車に関する税金は問い合わせ先が分かりにくいこともあり、「自動車税コールセンター」を設置している自治体もあります。