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スピード違反(速度違反)の罰金、違反点数は?免許停止のライン、取り締まり方法についても知ろう

更新

2023/12/25

公開

2020/11/04

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気をつけているつもりでも、つい出しすぎてしまうスピード。その違反の罰則は、超過速度によって異なります。また、一般道か高速道路かによっても違いがあります。

違反することがないように、スピード違反の点数や反則金、どれくらいのスピード違反で免許停止になるかなど、スピード違反に関わる情報を知っておきましょう。

目次

    1.道路交通法におけるスピード違反(速度違反)とは

    道路交通法では、速度に関する規則が最高速度のほか最低速度に関しても定められています。スピードを出しすぎるのはもちろんのこと、スピードを出さないというのも違反になることがあります。本記事ではニュースなどで取り上げられることが多い最高速度に関するスピード違反について解説します。

    最高速度を超えて走行するスピード違反のことを正式には「速度超過違反」といいます。交通違反のなかでも1,2を争うほど検挙件数が多い違反であり、超過速度によっては刑事罰を受ける場合もあります。

    最高速度には「指定速度」と「法定速度」がある

    道路交通法22条によると、最高速度は2種類あります。1つは、時速40km制限など道路標識や道路標示で指定されている最高速度です。これは一般的に指定速度または制限速度と呼ばれています。もう1つは、標識や表示がない道路において法令で定められた最高速度です。これは法定速度(最高法定速度)と呼ばれており、一般道を走行する自動車の法定速度は60km/h(原動機付自転車は30km/h)、高速道路では100km/h(大型貨物やトレーラーは80km/h)と定められています。指定速度であれ法定速度であれ、1km/hでもオーバーするとスピード違反になります。

    また、長い間、高速道路の最高速度は100km/hでしたが、2017年11月に新東名高速の一部区間で最高速度が試験的に110km/hに引き上げられました。現在では、新東名高速や東北自動車道などの一部区間で最高速度が120km/hになっています。高速道路によっては最高速度が100km/hではない場合もありますので注意しましょう。

    2.スピード違反(速度違反)で捕まっている人は多い

    スピード違反は、交通違反の中でも1,2を争うほど検挙件数が多い違反です。警察庁のデータに基づく政府の統計では、2022年のスピード違反による検挙数は93万2.260件にも上ります。検挙総計に対する割合は15.2%で、一時不停止の23.9%に次いで多くなっています。警察による交通取締が強化されはじめた2000年以降は減少に転じたものの、ほんの数年前まではスピード違反が最も多い検挙項目でした。

    警視庁の速度管理指針を示した資料によると、取締実施件数が増加すると交通事故死者数が減少する関係性が明らかになっており、速度取締は交通事故の軽減に大きく作用することがわかっています。

    出典
    e-Stat 道路の交通に関する統計 交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について

    3.スピード違反(速度違反)の処分、違反点数、反則金は?

    スピード違反を犯した時の罰則は、超過速度や一般道路か高速道路かによって異なります。それぞれの反則金・罰金、違反点数は下記の通りです。

    普通車の場合

    反則金/罰金 違反点数
    超過速度(km/h) 一般道路 高速道路 一般道路 高速道路
    1〜14 9,000円 1
    15〜19 12,000円 1
    20〜24 15,000円 2
    25〜29 18,000円 3
    30〜34 6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 25,000円 6 3
    35〜39 35,000円 3
    40〜49 6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 6
    50〜 12
    出典
    警視庁ホームページ「反則行為の種別及び反則金一覧表」「交通違反の点数一覧表」

    スピード違反は原則として道路交通違反になります。道路交通違反を起こすと行政処分または行政処分と刑事処分を受けることになります。

    違反点数が6点未満の比較的軽微な違反は、「交通反則告知書」いわゆる「青キップ」が交付されます。青キップの場合、違反点数は加算されますが、反則金を納めれば刑事責任は追及されません。ただし、期日までに反則金を支払わなければ刑事責任の対象になります。

    一方、違反点数が6点以上の重大な違反には「告知票・免許証保管証」いわゆる「赤キップ」が交付されます。この場合は、行政処分と共に刑事処分としての罰金または懲役が科せられるうえ、前科として記録が残ります。

    4.一発で免許停止や免許取り消しになることも

    運転免許の点数制度は累積方式で、過去3年以内の違反点数の合計によって免許の停止や取り消しの処分が下されます。

    累積された点数は、違反後1年間を無事故・無違反で過ごせば0点に戻ります。もし2点の違反を犯し、それから1年以内に再び2点の違反を犯した場合は、累積点数は4点になりますが、最初の違反から1年以上が経過していれば、累積点数は0点にリセットされているため累積点数は2点となります。

    また、過去2年以上にわたって無事故・無違反だった場合に限り、3点以下の違反はその後3ヵ月間を無事故・無違反で過ごせば、違反点数が累積されない特例措置もあります。30日間の免許停止処分を受けた人は、違反者講習を受けることでも累積点数がリセットされます。

    一発免停は一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の速度超過

    過去3年以内に免許停止・取り消し処分がない人の場合、累積点数が6点に達した時点で、免許停止処分となります。超過速度によっては1回の違反で6点以上に達するため、いわゆる「一発免停」になる可能性があります。

    たとえば、超加速度が一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の場合、1回で違反点数6点となり、30日間の免許停止処分が下されます。50km/h以上なら一般道路・高速道路ともに違反点数12点であり、90日間の免許停止処分となります。

    過去3年以内に前歴がなければスピード違反だけで免許取り消しにはならない

    過去3年以内に免許停止・取り消し処分がない人の場合、免許取り消しになるのは累積点数が15点以上になった場合です。超加速度が50km以上でも違反点数は12点のため一発で免許取り消しになることはありません。ただし、過去3年以内に免許停止処分などの前歴がある場合は、それによって処罰基準が引き下がるため、一発で免許取り消しになる可能性があります。

    5.スピード違反(速度違反)の取り締まり方法

    定置式

    定置式とは俗にいう「ネズミ取り」を指し、定位置に電光式もしくはレーダー式の速度検出装置と警察官を配置してスピード違反を取り締まる方法です。装置によって速度超過が確認されると、違反車両は直後に停止命令が下され、道路脇に車を移動させた後にその場で検挙となります。

    その他、レーザーやレーダーによる速度検出装置が装備されたパトカーも停車している状態で速度取締をおこなっており、速度超過が確認された場合にはパトカーによって追尾後検挙されます。

    追尾式

    追尾式とは、スピード違反の車両をパトカーが追尾して速度計測および検挙する方法です。一般道で約30m、高速道路上では約50mの距離をパトカーが赤灯を回しながら等間隔で追尾し、「ストップメーター」と呼ばれる機器を用いて違反車両との速度差から超過速度を割り出します。

    追尾式の取り締まりは速度計測が完了するまでに速度を落とせば検挙されずに済む場合がありますが、過度な期待はせず、安全運転を心掛けましょう。

    オービス

    オービスとは、路上に設置された速度計測機とカメラで速度超過の車を撮影する装置です。速度違反自動取締装置とも呼ばれる通り警察官は配置されていないため、違反通知は車の所有者の自宅に後日郵送されます。オービスは24時間365日稼動しスピード違反を取り締まりますが、遠方からでも目立つうえ、事前に自動取締実施の警告看板が設置されています。わずかな超過速度でも取締対象になりますので、改めてスピード違反をしていないか確認しましょう。

    なお、近年は小型軽量で持ち運び可能な可搬式オービスが登場し、ネズミ取りが実施できなかった道幅の狭い生活道路や通学路での速度取締もおこなわれるようになっています。オービスについては下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

    関連記事
    オービスとは?光り方、違反した場合の罰金・罰則、手続きの流れについて解説

    6.そもそもスピード違反は事故を招く可能性がある

    最高速度は、道幅や視界状況、車両や歩行者の交通状況やそれまでの交通事故率など、さまざまな観点から決定されます。また、車が持つ運動エネルギーは速度の2乗に比例して大きくなるため、事故被害を抑えるためにも道路に応じた適切な最高速度が設けられています。逆にいえば、最高速度の超過は事故の可能性と被害をより大きくする行為であるといえますし、定められた速度内で走行すれば事故発生確率と事故被害の両方を抑えられるということでもあります。

    車の往来がある以上、事故リスクをゼロにすることはできませんが、最高速度を守った安全運転に努めたうえで自動車保険の拡充を図れば、事故被害とその影響を最小限に留めることができます。

    ドライバーには安全運転の義務がある

    注意しなければいけないのは、道路標識や道路標示で指定されている最高速度や、標識や表示がない道路において法令で定められた法定速度以下で車を運転していても違反に問われるケースがある、ということです。道路交通法第70条には、「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められています。見通しの悪い住宅街などの道路を、危険と判断される速度で走行するなどした場合は、最高速度内であっても「安全運転義務違反(普通自動車の場合、違反点数2点・反則金9,000円)」で何らかの処分が下される可能性があります。

    7.<ミニコラム>近年話題の電動キックボードの法定速度について

    ちょっとした移動に便利な電動キックボードは近年、人気が高まっています。これまで電動キックボードは原動機付自転車(原付)とされていましたが、2023年7月1日に改正道路交通法が適用され、免許が不要な特定小型原動機付自転車(特定小型原付)という車両区分が新設されました。このため、電動キックボードは特定小型原付扱いになるものとならないものに分かれました。特定小型原付の主な基準は次の通りです。

    • 車体の大きさが長さ190㎝以下、幅 60㎝以下
    • 電動機の定格出力が0.6kW以下
    • 最高速度20km/h以下
    • 走行中に最高速度の設定を変更できない
    • AT車である
    • 特定原付に必要な保安基準に適合している

    特定小型原付扱いの電動キックボードが車道を走る際の法定速度は20km/hです。特定小型原付の基準にあてはまらない電動キックボードは一般原動機自転車(一般原付)となり、法定速度は30km/hです。

    また、特定小型原付扱いの電動キックボードは歩道も走ることができるようになりました。しかし正確には、歩道を走れるのは「特例特定小型原付」です。これは最高速度が6km/h以下で、最高速度表示灯が点滅する仕様になっているものです。電動キックボードの中には特定小型原付と特例特定小型原付を切り替えられる仕様になっているものがあり、こうした電動キックボードなら歩道を走ることが可能です。

    8.監修者コメント

    さまざまな要因が重なることで、スピード違反の取り締まりにあいやすくなります。例えば、高速道路を走行中に車内での会話に夢中になっているとき。話が盛り上がっているときは、後方確認が疎かになりがちです。速度規制の標識を見落としたり、追い越し車線から走行車線に戻るタイミングが遅れたりすることもあるでしょう。そのようなときに運悪く......というのがスピード違反の取り締まりだと思います。

    ドライバーはもちろんですが、同乗者も周囲に注意を払うことで安全運転が実現します。楽しいドライブを台無しにしないためにも、同乗者も安全運転に協力することを心掛けましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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