クルマ
車両重量に応じて変動する自動車重量税。その詳細や計算方法についてご存知でしょうか。
エコカー減税の導入により、車種やグレード、車の年式によって税額が増減するため、正確な税額を算出するには複雑な手順を踏まなければなりません。
ここでは、エコカーにおける重量税の計算方法を詳細に解説します。
目次
自動車重量税とは車両重量の増加に応じて課される税金です。自家用乗用車、軽自動車を問わず、新車購入時の初回登録時および継続車検時に、次回の車検までの3年ないし2年間の税額をまとめて納めます。自動車重量税は国税として徴収され、おもに道路整備予算として使われます。
自家用乗用車の自動車重量税の税額は、車両重量に応じて定められています。ただし軽自動車は、車両重量にかかわらず一定です。これらの車両重量に応じた税額を基本として、車が環境へ与える影響によって税額が変動します。環境性能に優れるエコカーとして認定を受けた車は、重量税が減額されます。反対に、環境負荷が大きいとされる低年式車は重課措置を受け、基本納税額よりも増額されます。
自家用乗用車の重量税は、車両重量が0.5トン増えるにしたがって税額が増加します。
基本税額は車両重量0.5トンあたり年間4,100円であるため、1.5トン以下の車が継続車検時を受ける場合に支払う重量税は、翌2年分で24,600円になります。
エコカーの場合は車両重量0.5トンあたり年間2,500円です。一方、新規登録から13年が経過した車は、0.5トンあたり年間5,700円。18年が経過した車は、0.5トンあたり年間6,300円の重課となります。
軽自動車の重量税額は、車両重量を問わず一律年間3,300円です。継続車検を受ける場合に納める重量税は、翌2年分で6,600円になります。
また、エコカーの条件を満たす軽自動車は年間2,500円に減額されます。軽自動車も新規登録から一定年数を経過した場合は重課となり、13年が経過した車は年間4,100円、18年が経過した車は年間4,400円まで引き上げられます。
エコカー減税とは、環境に優しい車への乗り換えを促進するために、新規登録車検時に納める税金を軽減する措置です。本来は期間限定の措置であったものの、2009年から延長され続け現在に至っています。ただし、期間延長されるにしたがって軽減率は引き下がってきています。
エコカー減税が適用される車は、国土交通省が定める自動車燃費基準を達成している車のみで、適用されると、新車購入時の新規登録車検時に納める自動車重量税が、エコカー基本税額からさらに減額されます。
減税率は自動車燃費基準の達成割合に応じて決められ、25%および50%の減税措置が受けられます。ただし、燃費基準の達成割合は搭載エンジンやグレードによって細分化されているため、同じ車種でも減税率が異なる場合があります。電気自動車やプラグインハイブリッド車などのクリーンエネルギー自動車は、燃費基準の達成割合に応じて免税および、25〜75%の減税措置が受けられます。
ここでは、エコカー減税対象車の自動車重量税をシミュレーションします。エコカー減税による軽減率は燃費基準の達成度合いに応じて変動し、令和2年度(2020年度)燃費基準を達成もしくは+10%達成している車は、エコカー基本税額から25%減税されます。また、燃費基準を+20〜30%で達成している車の減税率は50%と定められており、+40〜90%以上で達成している車は免税となります。
今回は、令和2年度(2020年度)燃費基準+30%で達成した車両重量1.5トンのガソリン車を例にして、新規登録車検時に納める3年間の自動車重量税を計算します。重量1.5トンのエコカーであるため、1年あたりの基本税額は7,500円です。燃費基準+30%であるため軽減税率は50%となります。
【1.5トンのエコカーにおける新規登録車検時の自動車重量税 = 基本税額7,500 × 3年 × 50% ≒ 11,300円】
自動車重量税は100円未満切り捨てとならないため、例に挙げた車の新規登録車検時に納める3年間の自動車重量税は11,300円となります。
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、一部のクリーンディーゼル乗用車などは燃費基準達成度合いを問わず免税対象であるため、新規登録車検時には重量税を納める必要がないうえに、初回継続車検時も免税になります。
エコカー減税対象となる条件には、細かな燃費基準の達成水準のほかに、新規登録する期間も定められており、減税額は車種やグレード、車の年式によって異なります。正確な自動車重量税を確認するには「次回自動車重量税額照会サービス」を利用しましょう。
車検証に記載された車台番号と車検日を入力するだけで、車ごとの正確な重量税を調べることができます。
次回自動車重量税額照会サービス
https://www.nextmvtt.mlit.go.jp/nextmvtt-web/
軽自動車の「次回重量税額照会サービス」はこちら
https://www.kei-nextmvtt.jp/kei_nextmvtt-web/
自動車重量税には還付制度があるため、廃車にする際は必ず還付申請をおこないましょう。自動車重量税は次回車検までの税金を前払いするため、途中で車を使用しなくなり廃車にした場合、申請をすることで一度支払った自動車重量税が残り期間に応じて返還されます。ただし、車検の残存期間が1ヶ月以上あることが条件です。
還付金を受け取るには「解体を事由とする永久抹消登録申請」または「解体届出」の書類と一体になった還付申請書類に必要事項を記入し、運輸支局や軽自動車検査協会窓口へ提出する必要があります。税務署による審査後およそ2ヶ月半程度で、書類に記載した口座へ入金、もしくは郵便局で受け取ることができます。
注意しておきたい点として、廃車手続き後に還付申請のみをおこなうことはできないため、必ず廃車手続きと同時におこなうようにしましょう。
自動車重量税を知るうえで押さえておきたいことは「税額は車両重量に応じて決まる」「自動車税のような納付書ではなく車検時に支払う」「車種やグレード、車の年式によって税額が増減する」の3点です。つまり、軽量で燃費がよく環境に優しい車ほど、自動車重量税が安くなるということになります。
また、2005年から始まった還付制度も自動車重量税の大きなポイントです。廃車処分をする際や、廃車を前提として車を売却する際に、重量税の還付について業者からの言及がない場合は、還付金が戻ってくるかどうかをしっかりと確認しましょう。
監修:株式会社日本交通事故鑑識研究所
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https://www.ins-saison.co.jp/otona/