最終更新日:2023/5/10

電気火災とは?発生する原因と対策を知って身近にひそむ危険を防ごう

電気火災は毎日の生活に欠かせない電気が原因となるため、火災のなかでも特に身近にひそむリスクといえます。

火災ときいて、電気からの火災はあまり想像がつきにくいかもしれませんが、電気による火災も起こりうることを理解し、電気製品を適切に使うなどの意識をして、火災を未然に防ぐことが大切です。

本記事では、電気火災の発生状況や種類、原因、発生時の対処法、事前の対策を解説します。

電気火災とは?

電気火災とは、電気製品や電気関係の配線などが原因となり、建物内で発生する火災を指します。電気製品は日常生活に欠かせないため、身近なものが火災の原因となることがほとんどです。

電気火災は普段から電気製品を正しく使う、故障や不具合を早めに発見するなどの心がけで未然に防げることもあります。では、電気火災は現状どれくらい起きているのでしょうか。

電気火災の発生件数

電気火災の発生件数は増加傾向にあります。

東京消防庁によると、2021年に都内で発生した3,935件の火災のうち、電気設備機器などを原因とする電気火災の件数は1,399件でした。火災全体の35.6%を電気火災が占めるという結果です(※1)。

1986年には年間612件だった電気火災は、10年ごとに約100件のペースで増えており、2015年には902件となりました。2021年の発生件数は前年比236件増と、ここ数年でもっとも多いです(※2)。

2021年に都内で起きた電気火災のうち、もっとも多い出火原因は充電式電池でした。2019年は51件、2020年は63件、そして2021年は87件とここ3年で1.5倍近く増えています(※1)。

特に近年、軽量・高電力化が進んだモバイルバッテリーは、取扱いを間違えると発火につながりやすいため注意が必要です。

※1

出典:東京消防庁「身近な家庭電気製品の火災発生状況」

※2

出典:東京消防庁「電気火災の抑制方策に関する検討部会 報告書」

電気火災の種類

電気火災の種類

全国での電気火災については都内と同様、増加傾向であると推測されます。

増え続ける電気火災を防ぐために、電気や電気製品が火災につながる現象を種類ごとに紹介します。

トラッキング

電気製品のプラグをコンセントに差し込んだままにすると、やがてホコリがたまります。そこに湿気が加わると接続部の金属から火花放電が起こって出火することがあり、これを「トラッキング現象」と呼びます。

たとえ電気製品の電源が入っていない状態でも、プラグを差しっぱなしにするだけで発生する場合があるので注意が必要です。

漏電(漏洩電流)

漏電(漏洩電流)は、電気コードやケーブルを流れる電気が、絶縁部分の劣化や傷などにより、本来の回路をずれて漏れ出る現象です。防水性のない電気配線や電気製品に水がかかることでも起こります。

漏電(漏洩電流)すると火災だけではなく感電事故につながることもあり、人命に危険を及ぼします。

過電流

過電流は、電気の使いすぎにより、電気配線やコンセントの許容容量を超えて電気が流れる状態です。許容電流は、製品ごとにアンペア(A)やワット(W)で表示されています。

たこ足配線で多くの電気製品を同時に使って許容電流を超えると、過電流により発火する危険性があります。

また、コンセントや延長コード(テーブルタップ)は定格容量(許容電流)が決まっています(一般的には15A・1500W)。そのため、コンセントへの差込み数が少なくても、例えば電子レンジ(1300W)とドライヤー(1000W)など、高電力の電気製品を同時に使用するのは危険です。

短絡(ショート)や半断線

短絡(ショート)や半断線も、折り曲げられたり家具の下敷きになったりすることで、電気コード類に起こる異常です。

短絡は、電気コードの絶縁部分がダメージを受けて抵抗のない状態になることで、電流が正しい回路を通らず近道をするため「ショート」とも呼びます。電気コードの絶縁部分の抵抗がないために大量の電流が流れてしまい、電気コードの過熱や発火が発生しやすくなります。

半断線は、コード内に束ねられた複数の銅線のうち一部が断線し、部分的に抵抗が大きくなる状態です。残った銅線に負荷がかかることで発熱し、電気コードの被膜が溶けて発火につながります。

接触部過熱

接触部加熱は、電気配線または電気製品の接触部が緩み、接触抵抗が増して発熱する現象です。原因は差込みが不十分なプラグのぐらつきやコンセントの差込み口の緩みなどが挙げられます。

接触部抵抗が増加することで発熱すると出火する恐れがあるため、プラグはしっかりと差し込む必要があります。

電気火災を防ぐためのポイント

電気火災はコンロやタバコなどが原因の火災とは異なり、実際に火を扱わなくても日常生活のなかで起こりうる可能性があります。そのため、火災を防ぐ方法を知り、日頃から意識して実践することが大切です。

ここでは、日常に取り入れておきたい電気火災の対策を2つ紹介します。

  • 電気コード・差込みプラグ・コンセントは扱いに注意する

  • 電気製品の安全な使い方を守る

それぞれ、詳しくみていきましょう。

電気コード・差込みプラグ・コンセントは扱いに注意する

配線類を原因とした電気火災は、電気コードや差込みプラグ、コンセントの扱いに注意することで防げます。

配線類への負担は短絡(ショート)や半断線の原因になるため、電気コードを家具の下敷きにしたり、強く引っ張ったりするのは避けましょう。電気コードをねじったり束ねたりした状態での使用も、電気コードに負荷をかけます。

電気コードやコンセントの電気の許容容量も確認し、たこ足配線をやめることも大切です。

また、コンセントから差込みプラグを抜くときは、コードをむやみに引っ張らず、プラグ本体を持って丁寧に行います。プラグとコンセントのあいだに緩みがないかも点検してください。差しっぱなしのプラグがあれば、乾いた布でこまめに掃除しましょう。

電気製品の安全な使い方を守る

電気製品は、取扱説明書に書かれたとおりに正しく使うことが重要です。それに加え、普段使わない電気製品の差込みプラグは、コンセントからこまめに抜くことも大切です。

扇風機や電気ストーブなどの通年使用しない電気製品は、差込みプラグのホコリや金属部の腐食など、安全面を確認してから使いましょう。製品に劣化やダメージがみられる、使用時に異音や異臭がするなど、故障が疑われるときは使用を避けてください。

また、万が一発火につながったときに被害を広げないように、電気製品の周囲に燃えやすいものを置かないことも大切です。

トラッキング防止加工された電気コードや、プラグにほこりが溜まらないカバーなどを使用することも発火抑止につながります。

電気火災の消火方法

万が一、電気火災が発生したときの消火方法を4つお伝えします。

1.

電気を遮断する

2.

コンセントから差し込みプラグを抜き、ブレーカーを切る

3.

電気火災対応の消火器または消火スプレーなどで消火する

4.

消火した場合でも、安全のために消防(119番)に通報する

まずは、原因となる電気を遮断します。そしてコンセントから差込みプラグを抜き、ブレーカーを切りましょう。

電気火災用の消火器がある場合は、消火器を使って消火します。手元の消火器に青い丸マークの表記があり、中に雷のような黄色い絵がついていたら電気火災にも対応していますので確認してください。

万が一電気火災用の消火器がない場合は水を使って消火しますが、通電中に水をかけると感電事故につながる恐れがあるので、電気の遮断を必ず確認してから行います。

これらの手順で火を消し止められても、安全確認のため忘れずに119番に通報しましょう。

電気火災の被害は火災保険で補償される?

偶然かつ突発的な事故から電気火災が起こった場合、火災保険の補償対象となる可能性があります。

保険会社のなかには、火災に至る前の電気製品の故障を補償する特約があります。しかし、補償対象は建物に付属する電気製品(エアコンや床暖房、給湯器など)と限定されていることが一般的です。

また、経年劣化による故障は補償対象外であるほか、火災に至らない損害は補償の対象外です。

電気火災はコンセントの差しっぱなしなどの無意識の行動から起こる場合が多く、生活に身近な火災であるため、万が一に備えて火災保険に加入しておくと安心です。

電気火災を防ぐには電気製品や配線などを適切に使うことが大切

電気火災は、日常生活に身近な電気製品や配線類などが、気づかないうちに劣化や摩耗することで起こる火災です。使い慣れたものが原因になりうるため、火災の危険を認識しにくいという盲点があります。

電気製品は正しく使う、電気コードや差込みプラグは丁寧に扱うなど、日頃のちょっとした行動が電気火災を防ぐのに役立ちます。対策は今すぐできるものもあるため、今日からでもすぐに実践しましょう。

火災件数のなかでも電気火災の占める割合は年々増加しています。他人事ではない電気火災に備えて、火災保険に加入しましょう。

監修者プロフィール


おりえ

おりえ

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応など幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士、世界硬式空手道連盟顧問。

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