最終更新日:2023/2/14

住宅火災の原因は?主な原因や知っておくべき防火対策について解説!

日本各地では多くの火災が発生しています。大切な家や財産を一瞬にして失うリスクのある火災は、とても恐ろしい災害です。それにもかかわらず、ご自身の家は大丈夫だと思い込んでいないでしょうか。

住宅で起こる火災の原因は、日常生活に身近なモノが関係する、ほんの小さな不注意であることがほとんどです。ご自身が気をつけていても、隣家からのもらい火で被害にあう可能性もあるでしょう。火災は誰にとっても他人事ではないのです。

本記事では、近年の火災の状況や傾向、住宅火災の主な原因を紹介するとともに、今すぐ始めたい防火対策についても解説します。

火災発生の現状と最近の傾向は?

総務省消防庁が発表したデータ(※1)によると、令和3年以前の過去10年間、日本における火災発生件数は減少傾向にあることがわかります。住宅を含む建物火災も、この10年で減少しています。

とはいえ、数字はほぼ横ばいであり、火災が大きく減っているとは言いがたい状況です。

それでは、実際のところ、日本ではどれくらいの火災が日々発生し、どのような損害が生じているのでしょうか。まずは具体的なデータから、火災の動向を確認しましょう。

※1

出典:総務省消防庁「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について」

火災の発生件数

総務省消防庁の「令和3年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」によると、令和3年の日本における総出火件数は35,222 件でした。この数字は1日あたり約96件、つまり日本のどこかで毎日15分に1回の頻度で火災が発生している計算になります。

この総出火件数には林野火災、車両火災、船舶火災などの火災も含まれており、建物火災に限定すると19,549件で、このうち住宅火災は10,936件となっています。総出火件数の実に55.9%を住宅火災が占めているのです。

データで見る限り、住宅火災は今なお脅威であるといえますが、近年は減少傾向が続いています。

平成22年の総出火件数は46,620件で、うち住宅火災14,044件(※2)で、先ほどの令和3年のデータと比べると、日本における火災は全体で約1万件、さらに住宅火災は約4,000件減少したことになります。

※2

出典:総務省消防庁「火災の現況と最近の動向」

火災の焼損程度

「江戸の大火」のように、日本では古くから火災の規模を焼損程度によって表現してきました。現在は、総務省消防庁の定義する全焼・半焼・部分焼・ぼやの4段階で、焼損程度を表します。

焼損程度は、全焼が火災前の建物の評価額に比べて70%以上、半焼が20%以上、部分焼が20%未満の損害を受けたものを指します。ぼやは10%未満の損害かつ焼損床面積が1㎡未満の場合です。ただし、数値だけではなく、損害の実態にあわせて判断されます。

近年の日本における火災の状況として注目すべきが、発生件数の減少に加え、焼損程度の割合の変化です。ぼやの件数はほぼ横ばいであるものの、全焼・半焼・部分焼はおおむね減少しており、損害規模の小さな火災が大半となっているのです。

東京消防庁によると、平成24年の都内で発生した建物火災(住宅火災を含む)のうち、全焼110件、半焼119件、部分焼578件、ぼや2,539件で、令和3年は全焼件数71件、半焼76件、部分焼349件、ぼや2,316件とのデータ(※3)が示されています。

※3

出典:東京消防庁「令和3年中の火災の状況」

出火件数の多い気候

出火件数が気候の影響を受けることをご存じでしょうか。

消防白書(※4)によると、令和2年度の建物火災における四季別出火状況は、冬季(12月~2月)が9,509件、春季(3月~5月)は10,472件であるのに対し、夏季(6月~8月)は7,224件、秋季(9月~11月)は7,486件です。

件数の増減はあっても、日本では冬季と春季に火災が増える傾向は変わりません。乾燥しやすく暖房器具が活躍する冬は、火災が多いことを理解しやすいかもしれません。しかし、春も火災への注意が必要な季節です。

春は大陸から乾いた空気により湿度が低く、1年のなかでも強風が強く火が燃え広がりやすいとされています。

冬と春は火災の焼損程度も大きくなりやすいとされ、令和3年に都内で起きた火災のうち、100㎡以上を焼損した火災の6割以上が12月から3月に集中しているというデータがあります。冬と春は、より一層の火災への備えや注意が必要といえます。

※4

出典:総務庁消防庁「令和3年版 消防白書」

住宅火災の主な原因

火災は、資産を失うだけではなく命のリスクも伴う、とても大きな災害です。日頃から火災を起こさないための工夫や意識を持ち続けることが大切です。そのために必要となるのが、火災の原因を知ることでしょう。

ここでは、総務省消防庁の公表している最新のデータから、住宅火災の主な原因について紹介します。

コンロを原因とする火災がもっとも多い

総務省消防庁の「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について」によると、住宅火災の原因は以下のとおりです。

住宅火災の原因 件数(構成比)
コンロ 1,757件(16.1%)
たばこ 1,209件(11.1%)
ストーブ 835件(7.6%)
放火 693件(6.3%)
配線器具 653件(6.0%)
電気機器 640件(5.9%)
電灯電話等の配線 542件(5.0%)
放火の疑い 298件(2.7%)
左右にスワイプすることで、表が見られます

住宅火災の原因のうち、上位3つはコンロ、たばこ、ストーブとなっています。火を使うコンロやたばこ、ストーブといった暖房器具は、火災の原因として想像しやすいといえるかもしれません。

例えば、コンロは火をつけたままその場から離れたとき、たばこは火がきちんと消えないまま放置したとき、ストーブは転倒や給油時にミスしたときなどに、火災につながることが考えられます。

しかし、ほかにも目を向けるべき住宅火災の原因はあります。別々に集計されている配線器具と電灯電話等の配線の「配線」を原因とする火災は、合わせると1,195件にも及びます。また、電気機器を原因とする火災も640件と上位に位置しています。

特に電気機器による火災は、近年、増加傾向にあり、東京都では毎年1,000件以上発生しています。スマートフォンやPC、モバイルバッテリーなど、生活に欠かせない電気機器に使われているリチウムイオン電池からの発火も増えています。

放火も火災原因の上位

住宅火災の原因として忘れてはいけないのが放火です。放火を原因とする住宅火災そのものは693件と、コンロやたばこに比べると低いです。しかし、放火の疑いを加えると、991件と一気に主要な火災原因に繰り上がります。

ご自身や近隣の住宅がどれだけ火災対策をしていても、放火という第三者の悪意による防ぎようのない火災に巻き込まれる可能性があるのです。

住宅火災で原因別にできる対策

住宅火災の主な原因は、生活に身近で日常でよく使うモノがほとんどです。扱い慣れているからこそ、うっかりミスや不注意、油断が起こりやすく、火災を招くことにもつながります。

そこで、火災の原因別に、おすすめの防火対策について解説します。

コンロ

調理に欠かせないコンロは、ガスや火を扱う機器ということもあり、特に取扱いに注意しなくてはなりません。使用中はその場から離れない、離れるときは火を必ず消す、元栓を閉めるなど、火災につながらない行動を心がけることが何より重要です。

さらに、火災が発生したときに、被害を最小限に食い止めるよう備えておくと安心です。

周辺に引火しやすい可燃物を置かない、消火器やガス警報器をつける、安全装置の点検や清掃などを定期的に行うなどの対策をしましょう。

たばこ

たばこは、命を奪うほどの大きな火事にもつながりやすい、非常に危険な火災原因です。

ただし、出火のパターンはほぼ決まっており、火源であるたばこが落下して布団や衣類といった可燃物に引火するケースがほとんどです。まずは、火がついたままの放置をやめることが、火災を防ぐ第一歩となります。

また、灰皿にたまった吸い殻も可燃物となりうるため、こまめに捨てましょう。吸い殻を捨てるときには、完全に火を消すことも重要です。

たばこによる着火先は布団類が多く、寝たばこも火災原因として見逃せません。寝たばこはしないという喫煙者の意識、さらに防災対応のシーツや布団カバーを使うなどの対策で、火災を防ぎましょう。

ストーブ

ストーブを原因とする火災は、可燃物との接触から発生することが大半です。ストーブを利用するときは、カーペットやクッション、寝具、新聞紙や雑誌などの可燃物を、周辺に置かないようにすることが重要です。

暖房以外の目的でストーブを使うときには、目を離しやすいのでさらに注意しましょう。特に洗濯物を乾かす目的で使っている場合、ストーブの真上に干すのは危険です。洗濯物とストーブに距離があっても、ストーブから伝わる熱で発火するリスクがあります。

使用前の点検も、ストーブの防火対策には欠かせません。安全装置が機能しているか、ホコリがたまっていないかなどを確認する習慣をつけましょう。

また、火を使わない電気ストーブも火災の原因となります。コンパクトで便利な暖房器具ですが、火災の危険性は石油ストーブと変わらないという認識が大切です。

配線器具や電気・電話配線

コンセントやスイッチなどの配線器具、そして電気配線や電話配線といったコード類も、住宅火災の原因の1つです。配線の関わる電源タップやブレーカーなどから出火することもあります。

配線が火元となる火災は、火の気がないところから出火するのが特徴です。火災の多くが電気コードの損傷や短絡(ショート)、経年劣化などから起こります。

特にたまったホコリが原因で起こるトラッキング現象による発火は、長年プラグを差したままの冷蔵庫や電子レンジ、テレビなどの家電で起こりやすく、注意が必要です。

使っていないプラグは抜く、配線まわりは定期的に掃除する、損傷しないようコードの扱いに気をつけましょう。

また、電子レンジやドライヤーなど、消費電力の大きな家電は使用法の誤りが発火を招くこともあります。使用時間、使用方法を守ることが大切です。

放火対策も大切

先述のとおり、「疑い」を加えると、放火は火災原因の上位になります。放火はいつ・誰が被害にあうか予測できるものではありませんが、日頃から防犯対策を行っておくと、放火の回避につながる可能性もあります。

放火を防ぐ基本は、犯罪の隙を作らないことです。自宅周辺の整理整頓を心がける、段ボールやゴミなどの可燃物を置かない、車庫や物置に鍵をかける、車やバイク、自転車などのカバーは火の広がりにくい防災製品を選ぶ、消火器などの防災グッズを用意しましょう。

放火犯は留守宅や明かりのない場所を選ぶことが多いため、自動点灯センサー付きの外灯・監視カメラの設置も効果的です。

火災に備えるために今から実践できること

火災に備えるために今から実践できること

火災のなかでも住宅火災は、毎日の生活でおなじみの家電や暖房器具などが原因になることも多く、誰にとっても他人事ではありません。さらに、ご自身がどんなに注意をしていても、放火や隣家からのもらい火などの防ぎようのない火災に巻き込まれることもあるかもしれません。

防災意識を持つだけではなく、いざ火災が起こったときに、損害をできるだけ小さくするための備えも重要です。

そこで最後に、火災への備えとして実践したいことを紹介します。

防火・消火設備を備える

いち早く火を感知して、防火あるいは消化できる設備を備えておくと、燃え広がりを防ぐのに役立ちます。

防火設備としては、改正消防法により設置が義務づけられている住宅用火災警報器があります。煙や熱を感知して知らせるもので、火災の早期発見・早期対応により、損害を抑えることができます。

実際、消防庁が住宅火災における被害状況を分析した結果、住宅用火災警報器を設置した住宅を未設置の住宅を比較した場合、死者数と焼損床面積は半減した結果がでています(※5)。

設置して安心するのではなく、定期的に点検して正しく動作することを確認しておくことも大切です。

また、火災の初期消火には、消火器が便利です。消火器には住宅向けのコンパクトなサイズのものや、片手でも扱いやすいエアゾールを使った簡易タイプなどもあります。

※5

出典:消防庁ホームページ

火災保険に加入する

失火責任法では、火災で受けた損害について、自宅からの失火であっても隣家からのもらい火であっても、原則としてご自身で賄う必要があると定められています。重過失は除かれますが、火災では損害賠償が成立しません。

万が一のときに大切な住宅や家財を守るには、火災保険に加入しておくことが大切です。

火災保険の補償内容は、基本補償の火災、落雷、破裂・爆発と、オプションでセットできる地震保険、風災、雹(ひょう)災、雪災、水濡れ、物体の落下・飛来、騒擾(じょう)等、盗難、水災などがあります。

住宅の構造やお住まいの環境などに応じて、適切な補償内容を選びましょう。

すでに火災保険に加入している場合も、補償内容や保険金額がマイホームを守るのに十分であるか、定期的に確認すると安心です。

思わぬ原因の火災にも注意する

住宅火災は身近なモノを原因として発生することがほとんどです。しかし、思わぬ偶然が重なって、火災が起きることもあります。

その1つが、「収れん火災」です。収れん火災とは、ペットボトルや金魚鉢などを通ることで、太陽光がレンズ作用で収束されて発火に至る火災です。透明で丸みのある形のものほど発生しやすく、フロアライトや置き時計、吸盤などにも発生事例があります。

太陽の位置が低くなる冬は、部屋の奥まで光が差し込みやすく、乾燥しているため、収れん火災が起こりやすいとされます。

日差しの柔らかい冬であっても外出時はカーテンを閉める、光の届く場所にペットボトルなどを置かないといった対策をしましょう。

出火時の避難方法を確認する

総務省消防庁「令和3年(1~12月)における火災の状況(確定値)について」によると、住宅火災による死者は966人(放火自殺などを除く)で、そのうち逃げ遅れによる死者は472人と大半を占めています。

火災にあってしまったときご自身やご家族の命を守るために、あらかじめ避難経路や避難方法を把握しておくことが重要です。

例えば、2階以上にいるときに火災が起こった場合、階段を使えない時はカーテンでロープを作る、マンションなら避難ハシゴを使うなどの方法が考えられます。どんな避難経路があるのか、どの方法が最適か、シミュレーションすると良いでしょう。

すばやく行動する、煙を吸わない、火災現場に戻らないことも大切です。

火災の原因を理解して保険の見直しや身の回りの防火対策を

火災の原因のほとんどは、コンロやたばこ、配線器具など、日常生活に身近なモノです。ちょっとした不注意で、誰でも火災を起こす可能性があります。また、放火やもらい火など、ご自身に過失はなくても火災による損害を受けることもあるかもしれません。

失火責任法により、火災の損害は重過失を除き、どれだけ損害を受けてもご自身で経済的な負担を負うことになります。住宅や家財にうけた大きな経済的損失に備えるために、火災保険に加入しておく、補償内容が現状にマッチしているか確認しておくのがおすすめです。

また、損害を小さく抑えるためにも、住宅用火災警報器や消火器を設置する、家電の使い方に気をつけるなど、防火対策をしておくと安心です。

監修者プロフィール


竹下 昌成

竹下 昌成

竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

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