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自転車事故は、一日平均200件発生している!実は知らない、正しい自転車の交通ルール

更新

2020/09/23

公開

2020/09/23

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2020年4月、東京都で自転車保険への加入が義務化されました。
自転車保険とは、自転車事故によるもしもの際の死亡保険金、ご自身の治療費に関する給付金、損害賠償責任への補償、などが受けられる保険のことです。

これは東京都だけの話ではなく、2020年4月の時点で、15都府県で自転車保険の加入が義務づけられています。また、11の道県が加入を努力義務としています。
合わせると、過半数の都道府県で加入が義務付けられたり強く勧められたりしていることになります(2020年4月現在)。

その背景には、自転車が関わる交通事故が多く発生しているという現状があります。
警視庁が発表している「道路の交通に関する統計」によると、全国で発生している自転車関連事故数は、年間で8万件以上(2019年)。一日平均で200件以上となります。
また、同じく警視庁が発表している「都内自転車の交通事故発生状況」によると、2019年に東京都内で発生した交通事故全体のうち、自転車が関わっている事故は実に約4割を占めています。
特に、近年普及している電動アシスト自転車による交通事故は、増加傾向にあります。

加えて、自転車事故によって被害者・加害者となれば、心身ともに、そして金銭的にも大きな負担がのしかかってしまうという現実があります。

もちろん保険に入ることで、万が一の場合に備えることはできますが、まずは事故に遭わないに越したことはありません。

前回の「調査編」では、自動車の交通ルールは正しく認識していても、自転車の交通ルールとなると認識に不安を持つ自動車ドライバーも少なくない現状が 見えてきました。そこで後編では、自転車道路交通法研究会・代表理事の瀬川宏氏監修のもと、正しい自転車の交通ルールを解説していきます。
安全に自転車を利用するために、改めて自転車の交通ルールを確認してみましょう。

目次

    1.自転車が走るのは「車道? 歩道?」

    皆さん、自転車はルール上、車道と歩道、どちらを通らなくてはならないか知っていますか?
    正解は、車道です。自転車は原則車道を通るよう定められており、歩道をを通ることができるのは一部の例外のみとなります。

    (詳しくは後述します)

    誰でも気軽に乗れるために忘れられがちですが、自転車は「軽車両」にあたります。これは自転車がクルマの一種であるということです。そのため、道路交通法を遵守しなければなりません。

    道路交通法では、自転車のうち、大きさ等の一定の基準を満たすものを「普通自転車」と定義しています。一般的に利用されている自転車は、ほとんどがこの普通自転車にあたります(この記事で「自転車」というときは、普通自転車のことを指します)。

    また、自転車を押して歩いている場合は歩行者と見なされることも覚えておきましょう。

    2.意外と知らない?自転車の交通ルールをしっかり知っておこう!

    それでは、「自転車安全利用五則」(平成19年7月10日交通対策本部決定より)に沿って、自転車の交通ルールを確認していきましょう。

    自転車は、車道が原則、歩道は例外

    車道と歩道が区別されている場合、原則として自転車は車道を通行します。自転車道がある場合は、自転車道を通行しましょう。また、歩行者を妨げることがなければ、道路の左側部分に設けられた路側帯を通行することもできます。

    車道は左側を通行

    自転車は車道では左側を通行します。右側を通行(逆走)している自転車を見かけることもありますが、危険なのでやめましょう。

    歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行

    自転車の運転者が高齢者や児童・幼児などであれば、歩道を通行することが認められています。その場合、車道寄りを徐行します。歩行者が優先のため、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止します。

    上記を含めた例外として、歩道を通行できるのは次のような場合です。

    • 道路標識等で自転車が歩道を通行することができると示されている

    • 自転車を運転しているのが高齢者や児童・幼児等の場合
    • 車道または交通の状況から、安全を確保するためには歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合

    歩道を通行するときには、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行します。普通自転車通行指定部分がある場合は、指定部分を通行します。歩行者の通行を妨げる場合は、一時停止しなければなりません。

    安全ルールを守る

    飲酒運転や二人乗り、横に並んで走ることは禁止となっています。夜間はライトをつけましょう。交差点では信号を守り、必要に応じ一時停止し安全確認を行います。

    これらを守らなかった場合は、罰金が科されることもあります。
    例)

    子どもはヘルメットを着用

    幼児(6歳未満)や児童(6歳以上13歳未満)が自転車を運転するときや、幼児用座席に幼児を乗せるとき、保護者は幼児・児童にヘルメットをかぶらせるようにします。

    3.知っている人は2割だけ?交差点における自転車の交通ルールを解説!

    調査編」でご紹介した自転車危険行為罰則罰金対象認知の調査の結果、認知度が2割程度と、特に低かった交差点関連の交通ルールについて解説します。
    認知度の低かった交通ルールは、以下の3つです。

    環状交差点安全進行

    環状交差点とは、車両の通行する部分が円形状になった交差点です。
    環状交差点内では、進行する他の車両の進行を妨害してはいけません。また、環状交差点に入るとき・通行するときは徐行しなければならず、車両または歩行者に注意し、安全に進行しなければいけません。

    交差点安全進行

    交差点を通行する場合において、交差点やその付近に自転車横断帯があるときは、自転車横断帯を通行しなければいけません。また、横断歩道に自転車横断帯が併設されている場合には、横断歩道を渡ってはなりません。
    さらに、信号機がない交差点等において、交差道路が優先道路であるときや狭い道路から広い道路等にでるときは、交差道路等を通行する他の車両の進行を妨害しないようにするとともに、徐行しなければいけません。
    加えて、交差点内を通行するときは、状況に応じて他の車や歩行者に注意してできる限り安全な速度と方法で進行しなければいけません。

    (自転車横断帯の一例)

    交差点優先車

    交差点で右折する時に他の車両の進行を妨害してはいけません。

    これらの交通ルールを踏まえつつ、警視庁の「自転車の正しい乗り方」を参考にしながら、自転車で交差点を通行するときのルールを解説します。

    直進

    車両通行帯のない車道(片側一車線道路等)を通行する場合は、車道の左側端に寄って進みましょう。車両通行帯が設けられている場合(片側二車線以上の道路等)は、第一通行帯(一番左の通行帯)を通行しましょう。なお、第一通行帯が「左折車通行帯」、第二通行帯が「直進車通行帯」である交差点を直進する場合でも、自転車はあくまで第一通行帯を通らなければなりませんので、この場合には「左折車通行帯」を直進することとなります。

    左折

    あらかじめ交差点の前からできる限り道路に左側端に寄り、できる限り道路の左側端に沿って徐行しながら左折しなければなりません。

    右折

    交差点での右折は「二段階右折」です。
    あらかじめ交差点の前からできる限り道路の左側端に寄り、交差点の側端に沿って徐行しながら二段階で右折しなければなりません。具体的には、道路の左側端に寄った状態で交差点に入り、交差点の向こう側までまっすぐに進み、交差点の角で右に方向を変え、右方向に進むこととなります。

    以上が、自転車で交差点を安全に通行するための交通ルールです。
    すべてのルールをご存知だったでしょうか?
    もし「初めて知った」というルールがあった人は、改めて、自転車の交通ルールを学び直してみてはいかがでしょうか。

    4.スマホの「ながら運転」は絶対にダメ!

    最後に、近年自動車や自転車の事故原因としてたびたび挙げられているのが、スマホを見ながらの「ながら運転」です。
    自動車の「ながら運転」に関しては、2019年12月に改正道路交通法が施行され、厳罰化。自転車に関しても、ほぼ全国の公安委員会規則で禁止されています。
    例えば東京都では、道路交通法の規定に基づき定められた東京都道路交通規則において、次のような遵守事項が定められています。

    「自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」「傘を差し、物を担ぎ、物を持つ等視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で...自転車を運転しないこと」「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」

    出典
    東京都道路交通規則

    他の自治体でも、東京都とほぼ同様に、「ながら運転」が禁止されております。

    5.加害者になれば、その責任は重大
    実刑や、高額賠償事例も...

    自転車の「ながら運転」によって死亡事故も発生しています。

    2017年、電動アシスト自転車に乗った女子学生が、歩いていた高齢女性にぶつかり死亡させてしまうという事故が起こりました。女子学生はイヤホンをしていて、片手にはスマートフォン、もう片方の手には飲料のカップを持っていたとされます。この事故は、スマートフォンを操作してからポケットに入れた直後に起こりました。

    時速約9キロと、低速での運転であったにもかかわらず、人の命を奪ってしまう結果となったこの事故からは、「ながら運転」が一瞬で取り返しのつかない結果を招く危険な行為であるということがわかります。

    この事故を起こした女子大生は大学を中退。裁判で言い渡された判決は、重過失致死罪で禁固2年、執行猶予4年(求刑禁固2年)というものでした。執行猶予がついたのは、本人が十分に反省している様子が見られた点、大学を中退するなどの社会的制裁を受けている点に加え、家族が加入している損害保険で賠償が見込まれたためです。もしも、家族が損害保険に入っていなくて、遺族に賠償ができなければ、実刑だった可能性もあります。

    6.まとめ

    ルールをきちんと守り、気をつけて運転すれば、自転車は便利な乗り物です。
    しかし、ルールを学ばず自分勝手に運転してしまえば、それは危険な乗り物へと変貌してしまいます。

    自動車側も自転車側も、正しく交通ルールを認知して、事故を防いでいきましょう。

    そして、自転車保険は万が一の場合にあなたを守ってくれます。自転車保険で 安心の備えを持ったうえで、交通ルールを守って安全運転を心がけていきましょう。

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    監修
    瀬川 宏(せがわ ひろし)

    公益社団法人 自転車道路交通法研究会・代表理事
    1972年生まれ。2001年、行政書士登録。2009年、自転車道路交通法研究会を設立し代表理事に就任、現在に至る。

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