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オービスとは?光り方、違反した場合の罰金・罰則、手続きの流れについて解説

更新

2023/10/25

公開

2023/10/25

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自動的にスピード違反を取り締まるオービスは、スピード違反による重大事故の防止や安全運転を促すための大切な装置です。近年は固定式だけでなく、移動式オービスも普及しています。これまでは高速道路などでの設置がメインでしたが、通勤や通学に使う生活道路などにも設置されるようになってきました。

しかし、オービスに様々な種類があることや、どんな時に光るのかなどは意外と知られていません。そこで、本記事ではオービスの種類や仕組み、光った時の対応や罰則についてわかりやすく解説します。

目次

    1.オービスとは?

    オービスとは、自動車の走行速度を計測・撮影してスピード違反を自動で取り締まる装置です。高速道路や一般道路に設置されていて、一定以上の速度違反を検知すると、カメラでナンバープレートと運転者を撮影する仕組みです。違反者には後日、出頭通知書が届きます。

    もともとは、オービスはボーイング社の商標ですが、現在では「自動速度違反取締装置」全般の通称になっています。

    速度取締が交通事故の軽減に関係する

    以前は、オービスが設置される場所は高速道路や幹線道路がメインでしたが、近年は通勤・通学などで日常的に利用される生活道路への設置も進んでいます。背景として、狭い生活道路での速度超過が問題視されていることや、生活道路での歩行者や自転車の死傷者数の割合が高いこと、それらを踏まえて安全運転のための速度遵守を推奨していることなどが考えられます。

    警察庁の資料をもとにした政府の統計によると、2022年の速度違反の検挙件数は93万2260件です。交通違反全体の検挙総数に対する割合は15.2%で、もっとも多い一時不停止の23.9%に次ぐ多さとなっています。また、超過速度別に見ると、超過速度25km未満の検挙がもっとも多く31万7498件、次いで超過速度20km未満が28万2555件、超過速度30km未満が19万2311件となっています。

    警視庁の調べによると、取締実施件数が増えると交通事故死者数が減ることがわかっており、速度取締も交通事故の軽減につながると考えられています。

    2.オービスにはどんな種類がある?

    現在、オービスにはいろいろな種類があり、大きく分けると「固定式」「移動式」があります。それぞれの特徴を見てみましょう。

    固定式オービス

    固定式オービスとは、路上に設置された支柱などに常設されているオービスのことです。固定式オービスとひと口に言っても、機能や形状などによって様々な種類があります。

    レーダー式オービス

    レーダー波(マイクロ波)を利用して違反車両を検知するタイプです。道路上の大型支柱の上部にレーダーの照射機器、路肩の支柱にカメラが設置されています。カメラがフィルム式の古いタイプのオービスで、現在は撤去が進んでいます。

    Hシステム

    レーダー式オービスの進化形で、カメラはデジタルカメラになっています。白くて四角いレーダーセンサーとカメラが門型などの大型支柱の上部に設置されています。

    ループコイル式オービス

    路面の下に埋設されたループコイルによって速度を計測する仕組みです。路肩に設置されたフィルムカメラで撮影します。センサーは地上からは見えず、カメラも小さいため運転者が気づきにくいオービスです。

    LHシステム

    ループコイル式オービスの進化形で、現在主流のオービスです。埋設されたループコイルによって速度を計測し、デジタルカメラによって撮影します。カメラはストロボ、回転灯と共に路上のF型や門型の大型支柱に設置されています。

    レーザー式オービス

    新しいタイプの固定式オービスで、レーザースキャンによって車両の走行速度を計測します。路肩に設置された自立タイプや、道路上の大型支柱に設置されているタイプなどがあります。

    移動式オービス

    移動式オービスにも、1人で持ち運べる小型のものや半固定式のものなど、様々な種類があります。

    可搬式(小型)

    1人でも運べる移動式のもので、三脚に載せて設置します。1畳ほどのスペースがあれば設置することができます。走行速度の計測方法はレーダー式やレーザー式があり、カメラはモノクロとカラーのものがあります。

    半可搬式(中型)

    土台にバッテリーが搭載されたオービスです。移動が可能ですが重いため、トラックなどに乗せて移動させます。見た目はロボットのような形をしています。

    半固定式

    オービスを設置する土台が複数の場所に固定されており、オービス本体だけを移動させるタイプです。

    光電管式移動オービス

    2組の装置を道路に設置し、車が通過して光線がさえぎられるタイミングから速度を計測する仕組みです。従来のネズミ捕りで使用されている方式で、レーダー式でもレーザー式でもないため探知機などで見つけるのは難しいとされています。

    3.オービスとネズミ捕りは違う?

    オービスとネズミ捕りはどちらも速度取締ですが、大きな違いはその場で検挙されるかどうか、という点にあります。

    ネズミ捕りの場合、光電管式やレーダー式の機器を使用して速度を計測し、速度違反であればその場で警察官が停止を促し、違反切符を切ります。このため、複数の警察官が待機する必要があり、取り調べをしたり切符を切ったりするための場所も確保しなければなりません。

    一方、オービスは、後日、速度違反をした車の所有者に出頭通知書が郵送され、呼び出しを受けて取り調べや違反切符を切るなどの処分がなされます。違反したその場で取り調べるわけではないため、狭いスペースに設置可能で、人員も必要ありません。夜間など時間を問わず取り締まりをしやすいという特徴があります。

    オービスとNシステムの違い

    オービスと間違えやすいものに「Nシステム」というものがあります。Nシステムとは、自動車のナンバーを自動で読み取る装置です。車両の追跡や照会が可能で、犯罪捜査などで使用されています。見た目はオービスと似ているため混同しがちですが、オービスのように撮影時に発光することはなく、速度を計測する機能もついていません。

    4.オービスの手前には予告看板・電光表示がある

    固定式オービスが設置された場所の手前1~3kmほどのところには、「自動速度取締機設置路線」などと書かれた予告看板や電光掲示板が複数掲げてあります。これは、オービスは運転者を撮影するためプライバシーに配慮してのものとされています。

    また、移動式オービスの場合、交通事故多発箇所の速度取締強化などを目的に、事前に管轄の警察署がホームページやSNSなどで速度取締を告知していることもあります。

    5.オービスが反応する速度は?

    速度違反でオービスが反応した時は、赤色や白色に発光します。光は強く、昼夜問わず一般的に運転者が認識できるようになっています。

    オービスが反応する具体的な速度は公表されていませんが、一般道では制限速度30km/h以上の超過、高速道路では制限速度40km/h以上の超過でオービスが光ると広く考えられています。ただし、生活道路などに設置された移動式オービスの場合、15km/hほどの速度超過でも光るケースがあるようです。

    6.オービスが反応した後の流れは?

    それでは、速度違反をしてオービスが光った後はどうすれば良いのでしょうか?ここでは一般的な流れを解説します。

    1. 出頭通知書が届く
      およそ1週間〜1ヶ月後に車の所有者宛に出頭通知書が届きます。通知書には出頭日時や場所が記載されており、違反した運転者は出頭しなければなりません。指定された日時や場所へ出頭できない場合は、警察に連絡すれば変更することができます。
    2. 警察署へ出頭・事情聴取
      警察署に出頭すると、オービスで撮影された画像の確認や取り調べなどが行われます。速度違反を認めれば、超過速度に応じて「交通反則告知書(青切符)」または「告知票・免許証保管証(赤切符)」が交付されます。一般道を普通車で走行した場合、超過速度が30km以上だと赤切符になります。
    3. 出廷通知書が届く
      次に、「告知票・免許証保管証(赤切符)」を受け取った場合は、裁判所から出廷通知書が届きます。交付から数日〜1ヶ月ほどで届くことが多いようです。記載された日時に出廷できない場合は、変更することが可能です。
    4. 裁判(略式裁判)を受ける
      出廷通知書に従って裁判所へ出廷します。書面で審理して処罰を決める「略式裁判」に同意するかどうかの確認があります。同意したら審理が終わるまで裁判所内で待機します。管轄の警察署によっては警察への出頭時に略式裁判も行うケースもあります。
    5. 罰金を納付
      悪質な速度違反でなければ多くの場合は罰金刑になります。罰金は裁判所内で納める場合と後日振り込む場合があります。罰金を納めたら速度違反に対する刑事処分が終了します。
    6. 呼出通知書が届く
      裁判が終わると、行政処分のため警察署から呼出通知書が届きます。
    7. 免停など行政処分を受ける
      呼出通知書に従って警察署へ出頭し、免許停止などの手続きを行います。

    7.オービスが反応した時の罰則は?

    速度違反の罰則は超過速度によって異なります。一般道路、高速道路別に超過速度ごとの反則金・罰金、違反点数を確認してみましょう。

    超過速度別 反則金・罰金、違反点数

    普通車の場合

    反則金/罰金 違反点数
    超過速度(km/h) 一般道路 高速道路 一般道路 高速道路
    1〜14 9,000円 1
    15〜19 12,000円 1
    20〜24 15,000円 2
    25〜29 18,000円 3
    30〜34 6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 25,000円 6 3
    35〜39 35,000円 3
    40〜49 6ヵ月以下の懲役、または10万円以下の罰金 6
    50〜 12
    参照
    警視庁ホームページ、道路交通法「反則行為の種別及び反則金一覧表」
    参照
    警視庁ホームページ、道路交通法「交通違反の点数一覧表」

    一般的に、オービスが反応するのは一般道では制限速度30km/h以上超過、高速道路では制限速度40km/h以上超過した時と言われています。この場合、違反点数は6点以上となり、いわゆる赤切符(表の赤い部分)となります。行政処分として免許停止または免許取り消しになるのに加えて、刑事処分として6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられ前科もつくことになります。

    速度違反は重い罰則が科せられることもあり、重大な交通事故を引き起こす危険もあります。速度を守り安全運転を心がけましょう。

    8.監修コメント

    あくまでも私が見聞きした話ですが、首都高速などには保存用の端末に接続されていない「ダミーオービス」が設置されているようです。また、2023年8月末の新聞記事によると、奈良県警吉野署は紙製の白い箱に三脚を付けただけのダミーオービスを公道に設置。一定の抑止効果がみられたため、同署は今後も活用していくとのことです。

    そんなハリボテのダミーオービスでも、目に入るとやはり焦ってしまうものです。周囲を走る車が急に遅く感じられたときは、合わせて減速するようにしましょう。高速道路や広い幹線道路で前方を走る車がない場合は、いつも以上に速度超過に気をつけましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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