クルマ

自動車ドライバーの6割が「自転車と事故になりそうになった経験がある」調査で見えた、自転車による危険運転の実情

更新

2020/09/23

公開

2020/09/23

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警視庁が発表している「都内自転車の交通事故発生状況」によると、2019年に東京都内で発生した交通事故全体のうち、自転車が関わっている事故は実に約4割を占めています。

老若男女、誰でも気軽に乗れる自転車ですが、交通事故のリスクをはらんだ乗り物でもあることがわかります。近年普及している電動アシスト自転車による事故も増加傾向にあり、ときには、自転車側が加害者となり人の命を奪ってしまうことも。実際、数千万円におよぶ損害賠償を命じられた事例もあります。

こうした事実を受けて、東京都では2020年4月から「自転車保険」への加入が義務化されました。現在、全国の半数を超える都道府県で自転車保険への加入が義務化・努力義務とされており、今後、全国的にも義務化が進んでいくと見られています(2020年4月現在)。

このような状況を踏まえ、今回、自動車保険を扱う当社は「自動車ドライバーからみた自転車マナーに関する調査」を実施。40〜50代の自動車ドライバーを対象にアンケートをとったところ、危険な実態が明らかになりました。

目次

    1.「自転車と事故になりそうなったことがある」自動車ドライバーは6割

    警察庁によると、自転車関連の死亡事故や重傷事故の場合、その相手の8割弱は自動車です。そして、自転車と自動車との事故の5割強は「出会い頭の衝突」。こうした事故の背景には自動車側だけでなく、自転車側にも違反が見受けられるといいます。例えば、一時停止をしなかったり、安全確認が不十分であったりといった違反です。

    編集部の実施したアンケートでも、自動車ドライバーの約3割が「事故になったことがある」と回答。「事故になりそうになったことがある」というドライバーは、6割にのぼりました。

    <危険行為遭遇・事故発生の有無>

    さらに危険行為の詳細を見てみると、自転車の危険行為に遭遇する時間は「日中」(夜間の無灯火運転は除く)、場所は「車道と歩道が別れている一般道路」が最も多くなりました。

    <自転車危険運転行為遭遇時間帯>

    <自転車危険行為の遭遇場所>

    「自動車運転中に自転車との事故を防ぐため、気を付けていることや行っていること」への回答からは、自動車ドライバーが自転車の危険運転に注意を払っている様子がうかがえます。

    「どのような動きをするか、最悪を考え、運転している(50代 千葉県)」

    「『自転車運転者は交通法規を守らない』と認識して対処している(50代 神奈川県)」

    自動車ドライバーにとって、自転車は事故の危険性をはらんだ乗り物であることから、自転車が危険運転をすることを前提に細心の注意を払って運転している人がいることがわかります。

    2.イヤホンで音楽等、スマホのながら運転...多様化する自転車の危険運転

    では実際、自動車ドライバーは、自転車のどのような危険行為に遭遇したことがあるのでしょうか?調査によると、運転中に遭遇したことのある自転車の危険行為の割合は、以下のようになりました。

    <自動車運転中に遭遇した自転車の危険行為>

    自転車の信号無視や無理な横断(83.8%)が最も多く、次いでスマートフォンを操作しながらの運転(72.8%)、イヤホンなどを用いて音楽等を聴いている(69.2%)、夜間の無灯火運転(63.6%)、自動車の前を横切る左折や右折(58.8%)でした。

    中でも、スマートフォンを操作しながらの運転は、スマートフォンの普及とともに増加している危険行為ではないでしょうか。自動車と自転車の事故はもちろん、自転車がスマートフォンを操作しながらの運転で歩行者の命を奪ってしまうという事故も起きています。

    3.自転車保険義務化。そもそも知っている?加入している?

    冒頭でご紹介したように、こうした自転車が関わる事故から被害者・加害者双方を守るため、全国の半数を越える都道府県で自転車保険への加入が義務付けられたり、努力義務とされたりしています(2020年4月現在)。
    自転車保険とは、自転車事故のもしもの際に死亡保険金、ご自身の治療費に関する給付金、損害賠償責任への補償、などが受けられる保険です。
    自転車事故により、自分が被害者または加害者になった場合、心理的・肉体的な負担に加えて金銭的な負担が重くのしかかります。特に、加害者となり他人に被害を与えたことでの損害賠償額が高額になるケースもあります。そのため、他人に対する賠償責任を補償する自転車保険への加入を義務化する自治体が増えているのです。

    アンケート調査によると、2020年4月に加入が義務化された東京都では7割が義務化を「知っている」と回答。一方、自転車保険への加入が「努力義務」とされている千葉県では、「知っている」と答えた人が4割にとどまっています。

    <居住地域自転車保険義務化の認知>

    義務化について7割が「知っている」と回答した東京都ですが、実際に自転車保険または自転車事故に対応したその他の保険(自動車保険など)に加入している人が6割強、加入している保険が自転車事故に対応しているかわからない人が約1割、加入していない人が2割という結果に。

    <自転車保険の加入有無>

    自転車保険への加入が義務化されるかは、自治体によって方針が分かれますが、自転車を運転する上で事故のリスクがあることには変わりありません。
    普段は自動車を運転するという人も、自転車に乗る機会があるのなら、自転車保険について情報を集めることはもちろん、まずは自分が加入しているほかの保険や共済などで自転車事故の補償がされるのかについても、きちんと確認しておきましょう。

    4.あなたは正しく認識している?
    意外と知らない自転車の交通ルール

    ここまで、主に「自動車を運転する側」の視点から、自転車の危険運転や自転車保険についてご紹介してきました。
    ですが、普段は自動車を運転している人でも、ときには自転車を運転することもあるでしょう。また、自動車ドライバーが自転車と事故を起こさないためにも、自転車の交通ルールを認知しておくことは重要です。

    そこで、自動車ドライバーは実際どのくらい、自転車の交通ルールを認識しているのかを調査しました。

    <自転車危険行為罰則罰金対象の認知>

    それぞれの行為が「罰則対象であることを以前から認知していたか」については、「信号無視」と「酒酔い運転」が7割以上で、高い認知度が確認されました。

    一方で、交差点関連の「環状交差点安全進行」「交差点安全進行」「交差点優先車」に関しては2割台、3割台と低い認知に留まっており、決して認知度が高いとは言えません。違反行為によって認知度にばらつきがあることがわかります。少数ではありますが、すべて「罰則対象だと知らなかった」という回答もありました。

    そもそも自転車は「軽車両」であり、クルマの一種であるという認識が低いといえるかもしれません。自転車は道路交通法を守らなければならない乗り物なのだということを、自転車の運転者も自動車ドライバーも、理解しておく必要があるのではないでしょうか。

    5.調査編まとめ

    アンケートの結果からは、自転車事故のリスクは身近にあり、多くの自動車ドライバーが自転車を注意すべきものとみなしていることがわかります。加えて、一歩間違えれば重大事故を招きかねない自転車の危険行為が多く見られるということも明らかになりました。

    それでいて、自転車の交通ルールを認知できていない自動車ドライバーがいることも明らかになりました。自動車側も自転車側も、互いに安全に道路を利用するためには、交通ルールを認知しておくことが必要です。

    後編では、自転車の交通ルールについて解説していきます。

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