クルマ

エンジンがオーバーヒートする原因とは?知っておきたい症状や対処法

更新

2022/11/16

公開

2019/12/11

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車は手軽な移動手段である反面、繊細で複雑な機械でもあり、さまざまなトラブルはつきものです。その中の1つが「オーバーヒート」です。

一時的な走行不能に陥るケースから大掛かりな修理が必要になる場合まで、ひとくちにオーバーヒートといっても原因や症状、対処法はさまざまです。今回は、そのオーバーヒートについて詳しく解説します。

目次

    1.エンジンのオーバーヒートとは?

    「オーバーヒート (overheat)」とは、直訳すると「熱し過ぎること」や「過熱」を意味しますが、車においては一般的にエンジンが異常加熱し、動作に問題が生じている状態を指す言葉として使われます。

    自動車の排出ガス規制に伴い、現在の車は、ほぼすべてが「水冷エンジン」となりました。「空冷エンジン」が搭載された車に比べて、「水冷エンジン」は冷却効率が高いなどの理由から、オーバーヒートが起こりにくくなったと言われています。とはいえ、メンテナンスが不十分であったりエンジンを酷使し続けたりすれば、オーバーヒートに見舞われる可能性は十分にあります。

    オーバーヒートが発生すると、エンジンの動作に異常をきたすだけでなく、最悪の場合エンジンが壊れて載せ替えが必要になるなどのリスクもあります。

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    2.オーバーヒートとはどういう状態?症状を解説

    オーバーヒートが起こると、目でわかる症状がいくつか出てきます。以下のような症状が見られた場合はオーバーヒートの疑いがあります。

    水温計が異常を示す

    水冷エンジンの車には、エンジン内部を流れる冷却水の温度を示す「水温計」がメーターパネル内に設置されています。「C(cool)」と「H(hot)」の表記があり、CとHのちょうど真ん中付近に針があれば、冷却水が適正な温度であることを表しています。

    しかし、オーバーヒートが起こると針がHに近付き、症状が酷いとH側に振り切れることがあります。

    なお、車種によっては数値で示されるタイプの水温計もあります。メーカーや車種にもよりますが水温計を確認し、115℃以上を示している場合は、オーバーヒートの疑いがあります。

    また、水温計自体が付いていない車種の場合は、メーターパネル内の「水温警告灯」が点灯しているかどうかで判断します。

    出典
    一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) 冷却用電動ファンが回らないとどうなる?

    エンジンの動作がおかしくなる

    オーバーヒートが起こると、エンジンの動作に次のような異常が生じることがあります。

    • エンジン回転数が安定しない
    • 普段よりスピードが乗らない
    • アイドリングができなくなる
    • エンジンが止まる、掛からなくなる など

    エンジンから異音がする

    オーバーヒートは音でも判断できます。エンジンから「カンカン」「キンキン」「カタカタ」とった打音のような音(ノッキング音とも呼ばれる)が聞こえる時には要注意です。

    においや煙が出始める

    そのほかにも、オーバーヒート時には次のような症状が生じることがあります。

    • ボンネットから甘い匂いがする(冷却水が漏れ蒸発した臭い)
    • ボンネットからオイルが焦げた匂いがする
    • ボンネットから水蒸気や煙が出始める

    3.オーバーヒートが発生した直後の現場での対処方法

    実際にオーバーヒートが起きてしまったらどうすればよいのでしょう。ここでは、オーバーヒートが発生した際の対処法について解説します。

    1. 安全な場所に一次避難
    2. エンジンを停止してロードサービスに連絡

    オーバーヒート状態で走行を続けるのは極めて危険です。症状がより悪化するだけでなく、急にエンジンがストップして事故につながる危険性もあります。

    まずは、路肩・道路脇・付近の駐車場など、一時停車して問題ない安全な場所で車を停め、エンジンを切ってください。車を停止させたあとは、ロードサービス等に連絡をするようにしましょう。

    一度オーバーヒートを起こした車は再度同じ症状を起こす可能性が高いので、安易に走行するのはおすすめしません。

    出典
    一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF) オーバーヒートの対処法
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    4.オーバーヒートが発生した事後の対処方法

    オーバーヒートの応急対応をしたあとは、車を修理に出し、安全な状態で走行できるようにしましょう。具体的な対処法を紹介します。

    後遺症があるか確認し車を修理に出す

    一度オーバーヒートしてしまうと、さまざまな箇所の修理が必要となることがあります。オーバーヒートの際に想定される修理内容の例は次のとおりです。専門機関でオーバーヒートの原因、壊れている部品を調べてもらいましょう。

    • 冷却水の交換や補充
    • エンジンオイルの交換
    • サーモスタット(温度調節器)の交換
    • ラジエーター(冷却機器)の修理・交換
    • ウォーターポンプ(冷却水の循環装置)の修理・交換
    • 冷却ファンの修理・交換
    • エンジンの修理・載せ替え

    軽度のオーバーヒートであれば、冷却水の交換・補充やエンジンオイルの交換程度で済む場合もあります。
    もしエンジン全体にダメージがあれば、最悪の場合エンジンの載せ替えが必要になります。

    5.オーバーヒートの原因

    オーバーヒートは自然発生的に起きるわけではありません。何らかの原因があって初めてその症状が現れます。以下では、オーバーヒートの原因となりうる要素をピックアップします。

    冷却水の不足、冷却システムの異常

    車を走らせるとエンジン内部の部品が高速で動作し、エンジンが熱せられます。しかし「冷却水(LLC)」が常に冷却を行っているため、通常であればエンジンは適温に保たれています。この冷却水の不足や漏れなどがあると、エンジンの冷却力が落ちてオーバーヒートの原因に繋がることがあります。

    また、「ラジエーター」「ウォーターポンプ」「サーモスタット」「冷却用ファン」といった冷却システムの各部に劣化や故障がある場合も、正しく冷却が行われずオーバーヒートの原因に繋がることがあります。

    エンジンオイルの不足、オイル潤滑システムの異常

    エンジンオイルにもエンジンを冷却する力があるので、オイルが不足している、劣化や漏れなどがあると冷却力の低下につながります。ですので、オイルに問題があると各部の金属部品が滑らかに動作しなくなり、その摩擦熱によりオーバーヒートが引き起こされる場合もあります。

    また、「オイルポンプ」「オイルホース」など、オイル潤滑システムの各部に劣化や故障がある場合も正しくオイルが潤滑せず、オーバーヒートの原因につながることがあります。

    車の走らせ方もオーバーヒートに関与する

    次のような走らせ方をするとオーバーヒートが起こる可能性があります。

    • 下り坂などで低速ギアのまま走り続ける
    • ラジエーターの前をふさいで走る
    • サーキットのようなところでエンジン高回転を維持して走る など

    6.オーバーヒートを防ぐには

    オーバーヒートを予防するには、普段の点検やメンテナンスを怠らないようにすることが大切です。定期的に車検を受けるほか、日常的に車に異常がないか確認しておきましょう。

    まず確認すべきなのは、水温計です。水温が少し高くなった時点で対処できれば、エンジンへのダメージを軽く抑えられます。

    また、冷却水の水量チェックをして漏れがないか、エンジンオイルの量が減っていたり異物が入って汚れていたりしないかも確認しましょう。

    なお、オーバーヒートが起こりやすいのは、気温の高い夏場と言われています。冷却水の温度が上がりやすいので、渋滞でアイドリングを続けるとエンジンに負担がかかるためです。夏場は普段以上に水温計のチェックを行い、長時間の渋滞に巻き込まれたらサービスエリアでエンジンを一時停止して、休ませるようにしましょう。

    7.オーバーヒートについて理解して安全に運転をしよう

    オーバーヒートはどんな車にでも起こりうるトラブルです。実際に起こってしまった場合は、二次的被害を防ぐためにも、ここに挙げた対処方法などを参考に落ち着いて対処しましょう。

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    鈴木 健一
    監修
    鈴木 健一(すずき けんいち)

    1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するのを目標とする。

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