原付一種は簡単に免許が取得できる便利なバイクです。しかし、二段階右折という独特の交通ルールが存在し、ほかのバイクとは違った運転知識が求められます。
本記事では、原付一種における二段階右折のルールと注意点を詳しく解説します。
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1.二段階右折とは?
二段階右折とは、交通量が多い片側3車線以上の交差点を右折する際に、二度の信号指示に従って安全に右折する方法です。
二段階右折には、危険が伴う多車線道路での対面右折(小回り右折)を避け、比較的安全な左側の直進走行だけで右折できるメリットがあります。ただし、二段階右折が義務付けられているのは低速走行を余儀なくされる一部の小型車両のみです。
該当する車両は、二段階右折禁止標識がない限り、右折車線を含む3車線以上の交差点を右折する際には必ず二段階右折をしなくてはいけません。
なお、二段階右折の必要条件を満たさない交差点、または必要条件を満たしていても二段階右折禁止標識のある交差点では、右の車線あるいは右折レーンから直接交差点に進入し、交差点の内側を徐行しながら右折します。
この右折方法が「小回り右折」です。二段階右折のように大回りで右折しないため、小回り右折と呼ばれています。
2.二段階右折が求められる車種とは
二段階右折が義務付けられているのは以下の車種です。
- 排気量50cc以下および定格出力0.6kW以下の「原動機付自転車(原付一種)」
- 自転車やリヤカーなどの「軽車両に分類される原動機を持たない車種」
原付一種は決められた条件の交差点でのみ、二段階右折が義務付けられています。一方、自転車やリヤカーなどの軽車両の場合、原則として交差点では二段階右折する必要があります。2つの車種には条件に違いがあるので注意が必要です。
また、原付一種や軽車両以外の車種で二段階右折を行うと他車の交通を妨げる恐れがあるため、交差点右左折方法違反に問われます。
3.二段階右折が必要な場所
二段階右折が必要な場所は、信号機や警察官による交通整理が行われており、車両通行帯が片側3車線以上ある多通行帯道路の交差点です。ただし、多通行帯道路の交差点であっても、二段階右折禁止標識のある交差点では小回り右折を行います。
そのほか、「原動機付自転車の右折方法(二段階)」の標識のある交差点も二段階右折の対象です。「原動機付自転車の右折方法(二段階)」の標識は、一般的に複数の車両通行帯がある交差点の手前に設置されています。
原付一種等の二段階右折義務は、多車線道路での事故を防止するための措置です。法定速度が30km/hに定められている原付一種バイクが右折のために追越車線に侵入すると、60km/hで走行する自動車等との大きな速度差により接触事故を起こす危険性が高まります。そのため、原付一種バイクは指示がない限り道路の左端を走行するように義務付けられています。
二段階右折をすることで、原付一種バイクは常に左車線を走行したまま右折できるため、そのぶん自動車等と接触する機会を減らすことができます。ただし、交差点によっては二段階右折をするほうが事故のリスクが高まってしまう場合があるため、特定の交差点に限り標識によって二段階右折が禁止されています。
4.二段階右折の方法
次に、二段階右折の具体的な方法を解説します。
一般的な十字路の場合
十字路での二段階右折は、右ウィンカーを出したまま道路の左端を直進し、交差する道路の左端の安全な場所で方向転換をしたら、ウィンカーを消して待機します。対面した信号が青に変わり直進すれば二段階右折は完了です。交差している道路の左端が左折専用車線の場合は、左折車の交通を妨げないように直進車線上で待機します。
直進が突き当りの方向から進入するT字路の場合
直進が突き当りになっている方向からT字路に進入する際の二段階右折は、十字路と同様に右ウィンカーを出したまま直進します。突き当りで方向転換をしてウィンカーを消し、信号が青になるまで待機します。
直進と右折に分かれる方向から進入するT字路の場合
直進と右折に分かれる方向から進入する場合、二段階右折が必要なT字路には、原則として左側に二段階右折用の待機所が用意されています。右ウィンカーを出しながら待機所に進入し、ウィンカーを消して二段階右折車両専用の信号が青になるまで待機します。
待機所がない場合は、3車線以上であっても原則として二段階右折禁止になっています。もし待機所がなく、二段階右折禁止標識もないT字路に遭遇した場合は、直進する車を妨げる恐れや接触する危険を避けるため、右折を諦めるのが賢明です。
左折専用レーンがある場合
左端の車線が左折専用車線になっている場合でも、直進車線ではなく左折専用車線を、右ウィンカーを出したまま直進するのが正しい二段階右折です。
四輪車では左折専用車線での直進は交通違反となるため、左折専用車線の直進に疑問を持たれる方もいるでしょう。原付一種も基本的には指定された通行区分に従って走行しますが、二段階右折の場合はその例外となっています。
原付一種は危険回避などのやむを得ない場合を除き、原則として一番左の車線を走行します。左折専用車線がある交差点での二段階右折の場合も、同様に一番左の車線を走行すると覚えておきましょう。
ただし、後続する四輪車がいる場合、四輪車の運転者が直進での二段階右折を認識できていない可能性もあります。直進する際は、確実に右ウィンカーを出して二段階右折をすることを後続車に伝え、左折車に巻き込まれないように注意してください。
なお、交差点の信号が左折矢印信号であった場合は直進してはいけません。その場合は二段階右折であっても信号無視として取締り対象になるため、青信号もしくは直進矢印信号になるまで路肩の安全な場所に待機してから二段階右折を行います。
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5.二段階右折をしなくて良い例外
片側3車線以上の交差点であっても、以下の要件に該当する場合は二段階右折をする必要はありません。
二段階右折禁止標識がある場合
二段階右折禁止標識がある場合は、右折車線に進入し車と同じように小回り右折をしなくてはなりません。
信号がない場合
片側3車線以上の交差点であっても信号機がなく、手信号での交通整理も行われていない交差点では二段階右折の必要はありません。
原付二種バイクの場合
同じ原動機付自転車でも排気量51cc以上125cc以下および定格出力0.61kW以上1.0kW以下に該当する原付二種バイクは、普通自動二輪と同じ交通ルールが適用されるため、二段階右折の義務はありません。
6.違反時に受ける罰則
二段階右折義務を怠った場合もしくは二段階右折禁止標識に従わなかった場合には、どちらも交差点右左折方法違反として処罰され、反則点数1点と3,000円の反則金が科せられます。
ただし、二段階右折義務を怠って小回り右折をした場合、交差点右左折方法違反とともに信号無視が加わります。
具体的には、二段階右折では正面の信号と右折した先の信号の両方に従う必要がありますが、小回り右折をすると正面の信号にのみ従ったこととなり、右折した先の信号は無視した状況となるためです。
2つの違反が重なった場合は、より重い方の罰則が適用されます。この場合、信号無視の罰則が適用され、反則点数2点と6,000円の反則金が科されます。
2021年には、右左折方法違反で49,422件(※)が検挙されており、死亡事故も発生しています。二段階右折には違反時の罰則とともに危険も伴うため、十分に注意しましょう。
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7.二段階右折は事故防止のための重要なルール
二段階右折は交通量の多い片側3車線以上の右折を安全に行うために、2つの信号に従って右折する方法です。
二段階右折は排気量50cc以下および定格出力0.6kW以下の「原動機付自転車(原付一種)」や自転車やリヤカーなどの軽車両が対象となります。特に原付一種では二段階右折が必要な交差点に条件があるため、必要な場所・条件を事前に確認しておきましょう。
二段階右折は交差点の状況により、適切な方法があります。また、二段階右折を守らなかった場合には罰則が適用されます。二段階右折の正しい知識を知り、安全な走行に役立ててください。