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車が動かなくなったらどうする?修理前に確認しておくべきポイントとは?

更新

2022/06/29

公開

2022/06/29

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突如襲われるエンジンの始動トラブル。任意保険やJAFのロードサービスがあるからといって安心はできません。確かにロードサービスは便利ですが、症状によっては出張修理サービスや現場近くの整備工場を頼った方が効率的にトラブルを解消できる場合があります。

この記事では、車が動かなくなった際のチェック方法や連絡場所、トラブル別の原因と修理費用を解説します。

目次

    1.車が動かなくなったら確認すべきこと

    車は多くの部品で構成されており、たった1ヵ所の故障でエンジンが動かなくなることもあります。また、些細な始動手順のミスで始動しない場合もあります。エンジンがかからなくなったら、まずは以下の点を確認しましょう。

    燃料残量警告灯(エンプティランプ)が光っているかチェック

    多くの車には、ダッシュボードに燃料計と給油を促す燃料残量警告灯が付いています。燃料残量警告灯が点灯している場合や燃料が残りわずかしかない状態では十分な燃料を供給できず、エンジンが始動できない場合があります。

    エンジンがかかるかどうか再チェック

    何らかのトラブルでエンジンが停止しても、しばらく時間をおくと再始動できる場合があります。その際はセルモーターの動作状態を確認しましょう。セルモーターが正常でもエンジンが掛からないのであれば燃料系の異常、セルモーターの回転が弱いようであればバッテリー上がりや劣化が疑われます。

    セルモーターがまったく動かない場合は、バッテリーやセルモーターの故障、ヒューズ切れのほか、始動操作ミスも考えられます。よくある見落としは「始動時にシフトポジションがP(パーキング)レンジに入っていない」「ブレーキやクラッチペダルがしっかりと踏まれていない」「ハンドルロックがかかっている」などです。スマートキーが電池切れしている場合もセルモーターは回りません。

    バッテリーの状態をチェック

    エンジンを始動させるセルモーターが稼働するためには、バッテリーに十分な電力が蓄えられている必要があります。車内の電子機器が正常に動作していても、バッテリーに十分な電圧がなければエンジンは始動できません。この状態を「バッテリー上がり(過放電バッテリー)」といいます。

    また、バッテリーが故障すると、セルモーターはおろか車内の電子機器もまったく使えなくなります。バッテリー端子が振動などで外れてしまった場合も故障と同じ症状が出ますが、端子を再接続すればエンジンは正常に始動できます。

    バッテリーが上がってしまった時の対処法は、以下の記事でも詳しくご説明しています。併せてご覧ください。

    関連記事
    車のバッテリーが上がってしまった!原因や直し方、やってはいけないことを解説

    2.車が動かないときの修理の依頼先

    路上や自宅で車が動かせなくなっても、ロードサービスを利用することで、復旧作業や修理工場までのレッカー移動をしてもらえます。車が動かなくなった場合に連絡する場所を解説します。

    JAF(日本自動車連盟)

    車に何らかのトラブルがあった場合、JAFへ連絡をするとサービス車両が現場まで来て復旧をサポートしてくれます。燃料切れの際には燃料の補給、バッテリー上がりならジャンプスタートによってトラブルを解消してくれる他、パンク時の応急修理、脱輪やスタック時の引き出し作業、重篤な故障の場合はレッカー移動などでトラブルに対応します。費用は作業に応じて有料となりますが、会員になれば所有車以外の車も回数無制限で基本サービスを受けられるのが特徴です。

    自動車保険で契約しているロードアシスタンス特約(ロードサービス)

    自動車保険にロードアシスタンス特約(ロードサービス)を付けている場合は、車の簡易修理や補助、レッカー移動などのサービスが利用できます。それに加え、重篤な故障で車が使えなくなった場合に一定額の宿泊費や移動費を補償してくれる保険会社もあります。細かな補償内容は保険会社によって大きく異なりますが、保険契約のロードサービスは利用しても等級には原則影響しないため安心して利用できます。

    車を購入したお店やディーラー

    車を購入した店や普段整備を依頼しているディーラーに連絡すれば、トラブルに応じた助言やサポートをしてもらえます。車の保証期間内であれば無償対応を受けられる場合もあります。店舗近くでのトラブルであれば車の移動から修理までを担ってもらえますが、店舗から遠い場所でトラブルが起こったとしても、復旧のための適切なアドバイスがもらえるでしょう。

    近くの自動車修理工場

    トラブルが起きた場所の近くにある自動車工場やガソリンスタンドを探して助けを求める方法もあります。バッテリー上がりやパンク程度であればガソリンスタンドで応急処置が可能です。ただし、けん引が必要な故障までの体制を整えていない場合もありますので、別途レッカー移動を依頼しなければならないこともあります。

    出張修理業者

    自宅やオフィスに出張して修理・整備に対応してくれる業者もあります。出張修理を行っている工場ならロードサービスと同じように現場に来て修理をしてもらえますし、その場で直せない故障であれば積載車で工場まで運搬し修理を受けられる場合もあります。中にはスマホで簡単に修理を依頼できる業者や、整備士に直接不明点を相談できる業者もあります。依頼前に金額を確定できる業者なら、想定外の出費も発生しないため安心です。

    セゾン自動車火災保険では、誰でも利用できる出張修理の優待情報を紹介するカーライフサービスを提供しています。
    修理の依頼先にお悩みの際は、ぜひご検討ください。

    SA•PO•PO

    3.車が動かないときのよくある原因と修理費用の目安

    修理してもらえる状況が整ったら、次に気になるのは修理費用です。よくある症状別の原因と修理費用の目安を解説します。

    セルモーターの故障

    エンジン始動時に「キュルキュル」という音がまったくしない場合や異音が発生する場合は、セルモーターの故障が疑われます。エンジン始動時に動作するセルモーターは10万kmほどで寿命を迎えるとされていますが、使用頻度によってそれより短い期間で故障する場合もあります。動作不良や異音などの故障があった場合は原則交換となり、部品代は新品3万円〜5万円、中古品なら5,000円前後、中古品を整備したリビルド品なら1万円〜2万円程度。交換の費用に加え5,000円~1万円程度の工賃がかかります。

    バッテリーの劣化

    バッテリーはエンジンの始動や各電装品を使用するための電力を蓄える部品で、自然劣化するため2〜3年おきに定期交換が必要です。劣化すると電圧が低下してセルモーターの動作が鈍くなり、ゆくゆくはバッテリー上がりを起こします。新品価格はサイズにより4,000円〜2万円程度ですが、大型のものやアイドリングストップ車に対応するものは4万円ほどする場合もあります。交換を依頼した場合の工賃は1,000円〜3,000円ほどです。バッテリー自体はカー用品店やホームセンター、ガソリンスタンドでも購入可能ですので、手順さえわかればご自身でも交換できます。

    ヒューズ切れ

    特定の電装品だけが動かない場合は、機器の故障の他にヒューズ切れも疑われます。ヒューズは電気配線に過剰な電流が流れた際に回路をシャットダウンする役割があり、切れても交換すれば直ります。部品代は1個あたり数十円で、交換工賃を含めても1,000円〜2,000円程度です。バッテリーのマイナス端子を外してヒューズボックス内の切れたヒューズを交換するだけですので、ご自身でも交換できます。ただし、交換してもすぐに切れる場合は電装系の故障である場合が多く、ディーラーや整備工場に持ち込んで原因を特定し修理してもらう必要があります。

    燃料ポンプの故障

    セルモーターが正常に動作してもエンジンがかからない場合は、燃料ポンプの故障が疑われます。燃料ポンプはタンクから燃料を吸い出す役割があり、キーがオンの状態で車体後方から「ウィーン」という動作音がしない場合は故障の可能性があります。国産小型車だと部品代は3万円〜4万円ですが、大型車や輸入車は10万円近くに上る場合があります。交換工賃は1万円〜2万円程度です。交換には燃料を取り扱うため、必ずディーラーや整備工場へ依頼しましょう。

    ベルト交換

    タイミングベルトはエンジンを稼働させるために必須の部品で、走行中に切れてしまうとエンジン内部を損傷する恐れがあります。ベルトの代わりにチェーンを用いるエンジンの場合は原則交換不要です。

    また、ファンベルト・Vベルトとも呼ばれる数本の補機ベルトも定期交換が必要です。発電機であるオルタネーターベルトが切れるとバッテリーへの充電ができなくなるためバッテリー上がりを起こします。また、パワステやエアコンも動作不能になります。

    タイミングベルトは走行距離10万kmが交換の目安です。部品代は数千円ですが、交換には3万円〜6万円程度の費用がかかり、車によっては工賃だけで10万円を超える場合もあります。補機ベルトは比較的交換しやすいため5,000円前後で交換できます。

    オイル漏れや冷却水漏れ

    オイルや冷却水が漏れ出している場合はエンジンを始動させてはいけません。オイルがまったくない状態や冷却水が少なくなった状態の車を稼働させるとエンジンが焼き付いてしまいます。焼き付いたエンジンの修理や交換には数十万円の費用がかかるため、注意が必要です。

    修理費用は漏れを起こしている場所によって大きく異なります。オイルを封入するゴムシールの交換であれば1万5,000円〜2万円程度、オイルパンのパッキン交換なら2万円〜3万円です。冷却器であるラジエターの水漏れ箇所だけを修理するのであれば、溶接代として1万円〜2万円程度の費用がかかります。また、ラジエター自体を交換する場合は部品代だけで5万円〜10万円、交換工賃として2万円前後が必要です。ラジエターとエンジンをつなぐホースからの漏れを修理する場合は、部品代と工賃を合わせて1万円〜3万円程度の費用がかかります。

    4.修理がすぐ終わらない場合は代車利用を検討しよう

    修理に時間がかかる場合は、その間の移動手段を確保しなくてはなりません。多くのディーラーや整備工場では代車が用意されているため、修理中に代車を貸し出してもらえるか相談しましょう。代車が準備できない場合は、臨時措置としてレンタカーで対応してもらえる場合もあります。

    5.まとめ(監修者コメント)

    車が動かなくなったら、まずは落ち着いて状態を確認することが大切です。エンジンがかからない原因は、単なるシフトポジションの間違いやペダルの踏み忘れなどの些細な操作ミスである可能性もあるからです。

    スマートキーが普及してからは、電池切れによる始動不良もよくあります。そういった場合はスマートキーをスイッチに接触させるなどしてエンジンが始動できる場合があります。スマートキーの電池の寿命は1〜2年とされていますが、車内に予備の電池を常備しておくと、いざというときも安心です。また、トラブルに際して使えるブースターケーブルや牽引ロープ、工具なども車載しておくことをおすすめします。

    なじみの修理工場から離れた場所でトラブルが生じたり、短時間で修理できる故障であったりする場合は、ロードサービスではなく現地の出張修理や工場での修理のほうが早くトラブルを解消できる場合があります。

    自動車保険のロードアシスタンス特約(ロードサービス)、JAF、出張修理、それぞれのメリットを知り、万が一のトラブルに備え状況に応じた使い分けができるようにしておきましょう。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所
    プロフィール:
    自動車交通事故の調査、及び解析(鑑定)や自動車交通事故に関する研究を行っている。また、ドライブレコーダーを用いた鑑定・解析・安全教育なども手掛けている。
    HP:http://www.nikkouken.com/

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