電気自動車に興味があるものの、「購入した場合にどのようなメリットがあるか」「デメリットはないのか」「あまり普及しているイメージがない」など不安を感じる方がいるかもしれません。
本記事では、電気自動車のメリットとデメリットを解説します。デメリットの解決策や電気自動車購入時のポイントも紹介しているので、参考にしてください。
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1.電気自動車(EV)とは?
電気自動車(EV=Electric Vehicle)とは、電気を使って動く車の総称です。
電気自動車はバッテリーに蓄えられた電気をモーターに供給し、その力で走行します。ガソリンをエンジンで圧縮・燃焼させて駆動力を得るガソリン車に比べ、電気自動車は走行中にCO2(二酸化炭素)が発生しない車として注目されています。
また、「電気自動車(EV)」は上記のような車両の総称であり、BEV(バッテリー駆動の電気自動車)、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)の4種類があります。
なかでも、本記事ではBEVに分類される、車載バッテリーを使用しモーターで走行する電気自動車について主に解説します。
また電気自動車・ハイブリッド車については以下の記事でも紹介しているため、あわせてご覧ください。
2.電気自動車(EV)の保有台数
日本における電気自動車(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車を除く) の過去5年の保有台数は、以下のように推移しています。
年 | 保有台数 |
---|---|
2019年 | 107,709台 |
2020年 | 119,159台 |
2021年 | 125,855台 |
2022年 | 140,490台 |
2023年 | 165,083台 |
上表を見ると、我が国の電気自動車の保有台数は少しずつではありますが、右肩上がりに増加していることがわかります。
しかし、車全体の視点から見ると電気自動車のシェアは高い水準とは言えません。2022年の乗用車全体の販売台数における電気自動車のシェアは1.4%にとどまっており、普及の伸び悩みが見られます。
3.電気自動車が大々的に普及しない理由
電気自動車の保有台数が増えつつあっても、大きく普及している印象を受けない方もいるかもしれません。電気自動車が大々的に普及しない理由には、充電スポットの整備の遅れや車種の選択が限られる点が挙げられます。また、賃貸の集合住宅や月極駐車場に充電設備が、ほとんどないことも課題です。
そのほか、車両価格がガソリン車と比較して高い傾向にあることも、電気自動車の普及を妨げている理由の1つといえます。電気自動車のデメリットについては解決策とともに後述しているので、あわせてご確認ください。
4.電気自動車(EV)のメリット6選
電気自動車を導入すると、さまざまなメリットが受けられます。以下では、代表的な6つのメリットを解説します。
- 走行中にCO2が発生しない
- 燃料費を抑えやすい
- 騒音や振動が小さいのにパワフル
- 災害時の電源に活用できる
- 補助金が適用される
- 税金の優遇を受けられる
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
走行中にCO2が発生しない
国土交通省の調査によると、2021年度の自家用乗用車(ガソリン車)のCO2排出量は8,191万トンを記録しました。
CO2の温暖化効果によりカーボンニュートラルの考え方が広まるなか、走行中にCO2が発生しない点は電気自動車のメリットです。なお、電気自動車製造時や電気の発電時のCO2排出量は今後の課題とされています。
燃料費を抑えやすい
電気自動車は、ガソリン車と比較するとエネルギーを無駄なく使えるメリットがあります。ガソリン車は発生するエネルギーのうち走行に使用できる部分は約4割である一方、電気自動車は9割超を動力に変換でき、効率的にエネルギーを使えます。
電気自動車の充電方法には「普通充電」と「急速充電」の2種類がありますが、普通充電(家充電)を主に利用すると、ガソリン代よりも電気代のほうが費用を抑えることができます。昨今の電気代高騰においても、電気自動車の方がガソリン車よりも燃料費が抑えられる点はメリットといえます。
騒音や振動が小さいのにパワフル
電気自動車は走行中の騒音や振動が小さい点も魅力です。早朝や深夜でも、比較的騒音を心配することなく走行できます。車の振動が小さいので、運転中に疲れにくい点もメリットです。
また、エンジンは最大の回転力(トルク)に達するまで、ある程度エンジンの回転数を高める必要があります。一方、モーターは低い回転数で最大の回転力(トルク)を発生します。そのためアクセルを踏むと速やかに加速するパワフルさも利点です。
災害時の電源に活用できる
多くの電気自動車は別途機材を使うことで、外部給電機能を可能とします。そのため災害で停電となった場合の非常用電源として活用できます。
2019年の台風15号により広範囲で停電が発生したときには、各自動車メーカーが電気自動車(燃料電池車やプラグインハイブリッド車 を含む)を被災地へ派遣し、停電地帯の家庭用電源として活躍しました。
補助金が適用される
電気自動車は、経済産業省のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)などの補助金を受けられます。国以外でも、補助金制度を設置している自治体があり、併用することも可能です。HEV(ハイブリッド車)は補助金の対象とならない点に注意しましょう。
2023年11月、国は2024年度から電気自動車の補助金の算出基準を見直す方針を固めました。条件を満たすことで補助金が増額する内容が盛り込まれる予定で、電気自動車の購入には引き続き国の支援が期待できます。
税金の優遇を受けられる
電気自動車は、その性能により以下のような税金の優遇を受けられます。
制度の名称 | 内容 |
---|---|
エコカー減税 | 排出ガス性能や燃費性能に応じて、自動車重量税が免税、軽減される制度 |
グリーン化特例 | 排出ガス性能や燃費性能に応じて、自動車税や軽自動車税が軽減される制度 |
環境性能割 | 環境性能に応じて車両の取得価額に課される税率がかわる制度 |
5.電気自動車(EV)のデメリット4選
電気自動車は、補助金だけでなく税制の面でもメリットがあります。
電気自動車はさまざまなメリットがある一方、現時点では以下のようなデメリットも見られます。
- 車両価格が高い
- 航続可能距離が短い
- 充電に時間がかかる
- 充電設備が必要である
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
車両価格が高い
電気自動車の車両価格は、スタンダードクラスで約200~500万円、ハイクラスとなると600万円を超えてきます。100~200万円台から購入可能なガソリン車と比較すると、車両価格は高い傾向にあります。
航続可能距離が短い
電気自動車をフル充電したときの航続可能距離は、一般的に約200~600kmです。満タン時には500~1,500kmの航続可能距離のあるガソリン車と比較すると、航続可能距離が短いデメリットがあります。
充電に時間がかかる
車種よって違いはありますが、航続可能距離160kmの場合、電気自動車の充電時間は普通充電で約7~14時間、急速充電で約30分が目安といわれています。ガソリン車は通常数分程度で給油できるので、燃料の補充に時間がかかるデメリットがあります。
充電設備が必要である
電気自動車を自宅で充電する場合、充電設備の設置が必要です。
戸建て住宅であれば充電設備のスペースを確保しやすく、所有者の判断で設置できます。なお、ブレーカーを備えた専用の100Vまたは200Vコンセントによる普通充電となります。
一方、マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、充電設備を設置するにあたって、スペースの確保や同じ集合住宅に住む方の意向などを考慮しなければなりません。そのため、管理組合で決議して設置する、あらかじめ充電設備のある物件を選択するなどの工夫が必要となります。
6.電気自動車(EV)におけるデメリットの解決策は?
電気自動車のデメリットは、日本における電気自動車普及の障害であると考えられます。ただし、先述のデメリットは制度の活用や工夫により軽減することも可能です。以下、デメリット別に解決策を紹介します。
車両価格が高い→補助金や優遇税制を活用する
電気自動車の車両価格の高さは、補助金の適用で軽減できます。
「電気自動車の購入負担額」=「車両価格」―「国の補助金」―「自治体の補助金」 |
上記のように、実際の購入負担額は車両価格から補助金の支給額を差し引いた金額です。補助金額は国や自治体が車種・型式ごとに設定しているので、事前に金額を確認してから予算を見積りましょう。
そのほか、電気自動車には税制の優遇措置があり燃料費を抑えやすいメリットもあるので、ランニングコストを軽減できます。
航続可能距離が短い→計画的に充電を行う
電気自動車はガソリン車と比較すると航続可能距離が短いとはいえ、一般的に200km程度の航続可能距離があります。
200kmと言えば、片道20kmの通勤に利用したとしても4~5日程度の走行は可能な距離です。「3日に1回充電する」など計画的に充電を行えば、航続可能距離を過度に心配する必要はないでしょう。
長距離ドライブや旅行をする場合にも、高速道路のサービスエリアなどの急速充電器で充電を行えば、走行に十分な電力を確保できます。
充電に時間がかかる→自宅充電を活用する
ガソリン車と違い、電気自動車は充電設備を自宅に設置することで自宅充電が可能です。わざわざガソリンスタンドに行く必要がなく、燃料を補給できます。在宅中の時間を利用して充電できるので、充電時間がかかるデメリットは補えるでしょう。
充電設備が必要である→近場の充電スポットを利用する
自宅に充電設備を設置できない場合は、最寄りの充電スポットを利用しましょう。
近年ではコンビニや病院、カーディーラー、商業施設、時間貸しの駐車場、高速道路のSA・PA、ガソリンスタンドなどで有料の充電スポット(定額プランあり)が増えてきており、充電の利便性も高まっています。
また、近々引っ越す予定の方は、充電設備のあるマンションを選ぶことも1つの方法です。
7.電気自動車(EV)のおすすめの選び方
車の購入で重視するポイントは、個人によりさまざまです。以下では、「購入予算」「航続可能距離」「利用シーン」の3つの視点からおすすめの選び方を紹介します。
購入予算で選ぶ
車を選ぶとき、予算を重視する方も多いかもしれません。電気自動車は200万円台の軽EVから、400~600万円前後のタイプまでいくつかの種類があるので、ご自身の予算と相談しながら選択してください。
なお、先述のように電気自動車は条件により補助金の適用が受けられます。ディーラーや販売業者と相談しつつ、車両価格だけでなく購入時の自己負担額を考慮しながら計算すると良いでしょう。
航続可能距離で選ぶ
電気自動車の航続可能距離は、搭載されるバッテリーによって200km前後から600km以上のものまでさまざまです。
航続可能距離200km程度の電気自動車は、都市部での乗車や日常使いがメインの方におすすめです。ドライブや車での旅行など長距離移動も考えている方は、航続可能距離300kmや400km、またはそれ以上の電気自動車も選択肢に入れましょう。
利用シーンにあわせて選ぶ
ガソリン車と比較すると車種は限定されるものの、近年では、スタンダードな普通車のほか、コンパクトな軽EVなど、複数の電気自動車が国内、国外のメーカーから販売されています。
家族や友人など複数人数で利用するならSUVタイプ、普段使いメインなら軽EVなど、利用シーンにあわせた選び方もおすすめです。
8.電気自動車(EV)はメリットとデメリットを押さえて利用しましょう
電気自動車は、騒音や振動が少なくて乗り心地が良いものが多く、燃料費を抑えやすいなどのメリットがあります。
一方で、電気自動車は普及の途上にあり、車両価格が高い、航続可能距離が短いなどのデメリットも挙げられます。補助金の活用や利用の仕方でカバーできる場合もあるので、メリットとデメリットの両方を押さえて検討しましょう。
電気自動車での安全な走行には、自動車保険への加入も大切です。「おとなの自動車保険」は、電気自動車に必要な補償を納得の保険料で契約できますので、ご検討ください。