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電気自動車(EV)とは?メリットやデメリット、気になる税金について解説!

更新

2022/09/07

公開

2022/09/07

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ガソリンを使わず電気で走行する電気自動車(Electric Vehicle=EV)は、エコカーのひとつとして、今、非常に注目されています。

しかし、ガソリン車がまだまだ主流の今、電気自動車(EV)について詳しく知らないという方も多いかもしれません。

本記事では、電気自動車の特徴や具体的な仕組み、メリット・デメリット、さらには実用性や税制面まで、電気自動車(EV)にまつわる基礎知識を解説します。

目次

    1.電気自動車(EV)は電気で走る自動車

    電気自動車(EV)は、搭載したバッテリーから電動モーターに電流を流し、モーターが回転する力で走行する自動車です。

    国内での一般消費者向けの電気自動車販売は2010年に始まったばかりですが、高性能なバッテリーの開発などにより普及が進んでいます。自動車検査登録情報協会の調査によると、2021年3月時点で保有台数は12万台を突破しました(※)。

    今後もますます利用者増が期待される電気自動車について、動力などの詳しい仕組みやほかの車種との違いを解説します。

    (※)出典
    自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向 ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表(令和3年)」

    電気自動車の仕組み

    従来からのガソリン車はエンジンを搭載し、燃料であるガソリンを燃やして生じたエネルギーで走行する仕組みです。

    一方の電気自動車は、エンジンの代わりにモーターと駆動用の大容量バッテリーを搭載しており、外部電源から電気を充電することができます。そのバッテリーからの電流が電動モーターを動かし、モーターが回転する力で車を走らせるのです。

    このように、電気自動車はエンジンの代わりに電力と電動モーターを使う点が、一般的なガソリン車と大きく異なります。

    電気自動車とハイブリッドカーの違い

    環境にやさしいとされるエコカーには、電気自動車(EV)のほか、ハイブリッドカー(HV)、プラグインハイブリッドカー(PHV)、クリーンディーゼルカー(CDV)、燃料電池自動車(FCV)があります。

    日本自動車販売協会連合会の調査によると、2022年時点、日本でもっとも普及しているエコカーがハイブリッドカーで、国内の乗用車販売台数の46.2%を占めています。2.0%の電気自動車をはじめ、ほかのエコカーを大きく引き離し、一般的なガソリン車の44.1%を上回っています(※)。

    電気自動車とハイブリッドカーの大きな違いは、車を動かす動力の数です。

    ハイブリッドカーは、エンジンと電動モーターと2つの動力を組み合わせています。

    電気自動車もハイブリッドカーも電気で走行できる点は同じですが、ハイブリッドカーはエンジンを搭載しているため、電気自動車のように外部から充電する必要がありません。

    また、発進時には電動モーター、通常の走行時にはエンジン、そして加速時にはエンジンと電動モーターの両方でといったように、搭載する動力を走行シーンごとに効率よく使い分けられます。さらに、エンジンを使って発電した電力で、電動モーターを動かす仕組みのハイブリッドカーも存在します。

    (※)出典
    日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車) 2022年6月」

    2.電気自動車のメリット

    電気自動車(EV)は、次世代のエコカーとして注目されるさまざまなメリットがあります。それでは、電気自動車を使用する代表的なメリットを紹介します。

    排気ガスを排出しない

    近年、例年以上の高温が続いているとおり、急激に地球温暖化が進んでいます。排気ガスに含まれるCO2がその原因の1つとも言われていますが、電気を動力源とする電気自動車は、ガソリン車とは違い排気ガスを一切排出しません。

    また、電気自動車のバッテリーに充電された電気は、非常用電源としても利用できます。安全かつクリーンな給電方法として、台風や地震といった災害時にも役立つでしょう。

    補助金制度を利用できる

    電気自動車を購入すると、国によるクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)を受けられます。

    CEV補助金は、車両・外部給電器などの購入後、所定の書類を提出すれば受給できます。令和4年度の補助金上限は、給電機能のない車種で65万円、給電機能のある車種で85万円です。実際の受給額は、車種やグレードにより変わります。

    ただし、年度ごとに決められた予算の総額を超えると、申請前に補助金が終了することもありうるので注意してください。

    国による補助金のほか、東京都の「ZEV補助金」など、自治体で独自の補助金を設けている場合もあるので、購入前にリサーチしておくと良いでしょう。

    燃料代を節約できる

    電気自動車は、燃料代の節約につながりやすいといえます。仮に同じ距離(450㎞)を走ると仮定します。エンジン車は15㎞/L燃費の場合、30Lのガソリンが必要です。電気自動車は60kWhの電力が必要とします。その時のガソリン代を150円/L、電気代を27円/kWhとしてシミュレーションしてみましょう。エンジン車を満タンにするのに30L給油すると、ガソリン代は「150円/L×30L=4,500円」かかります。一方、電気自動車をフル充電するのに60kWh充電すると、電気代は「27円/kWh×60kWh=1,620円」です。

    これを年間に換算すると、ガソリン代は54,000円、電気代は19,440円となり、ガソリン代に比べ電気代の方が年間約35,000円安いことがわかります。

    さらに、夜間の電気使用料金を安くする電力会社やプランを利用することで、割安な時間を狙った充電でコストダウンが可能です。また、自宅に充電設備が整っている場合は自宅で充電できるため、寝ている間に充電できる点もメリットのひとつです。

    昨今では電気代の値上がりもありますが、原油価格の影響で価格が大きく変動しやすいガソリンに比べると変動幅は少なめです。そのため、燃料にかかるコストが安定しているのも電気自動車のメリットといえます。

    自動車税の優遇を受けられる

    自動車の所有時には、自動車税環境性能割(旧:自動車取得税)や自動車重量税、自動車税の3種類の税金がかかります。しかし、電気自動車の場合、これらの税金が免税あるいは減税の対象となります。

    ① 自動車税環境性能割:非課税
    2019年10月1日より、自動車取得税に代わって導入されたのが「自動車税環境性能割」です。自動車の購入時や譲り受けたときにかかる税金で、環境性能の達成度に応じて税率が決まります。

    電気自動車、プラグインハイブリッドカー(PHV)、燃料電池自動車(FCV)、天然ガス自動車(LPG)は非課税ですが、そのほかの車は、新車・中古車を問わず1~3%の税率が課されます。

    ② 自動車重量税:免税(エコカー減税が適用)
    自動車重量税は、その名のとおり、自動車の重量に応じて課される税金です。新車購入時と車検時に支払います。

    自動車重量税については、一定の排出ガスや燃費基準を満たすと、エコカー減税の対象になります。当初、エコカー減税は2021年4月まででしたが、2023年4月までの延長が決定しました。エコカー減税では、電気自動車、PHV、FCV、LPGが免税対象となります。

    ③ 自動車税:減税(グリーン化特例により概ね75%軽減)
    自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課されるもので、使用目的や排気量などで税額が異なります。電気自動車は排気量がないため、自動車税では最も低い区分となります。

    さらに2022年7月現在、環境性能に優れた車両に適用されるグリーン化特例が実施されています。この特例では、2021年4月1日から2023年3月31日までに新規登録された電気自動車、PHV、FCV、LPGは、登録翌年の税金が「概ね75%」軽減となります。

    また、補助金制度と同じく自治体独自の減税や免税制度もあります。

    3.電気自動車のデメリット

    電気自動車は補助金を利用できる、燃料代を抑えられるなど良いことばかりのようですが、いくつか注意点もあります。

    充電設備が必要になる

    電気自動車を使用するためには、充電設備が欠かせません。

    自宅で充電するには設備工事が必要です。たとえば充電用コンセントを使用する場合、製品自体は数千円から1万円前後で販売されています。しかし、EV用の充電設備にはブレーカーが必須であり、施工のすべてにかかる費用は約10万円が相場とされます。

    自宅への充電設備の設置費用は、補助金の対象になる場合やメーカーが費用をサポートしてくれる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

    集合住宅にお住まいの方など、自宅に充電設備を設けられない方は充電スポットを利用しましょう。充電スポットには、「急速充電」と「普通充電」の2種類があります。ただし、急速充電スポットの数は2022年5月時点で全国約7,800ヶ所と、まだ十分な数とはいえないため、事前に場所を確認しておくことが必要です。また、利用するには事前登録した充電カードが必要になるので、利用する際は忘れないように注意しましょう。

    充電に時間がかかる

    充電に時間がかかるのも、電気自動車のデメリットの1つです。

    バッテリー容量や車種などの条件によっても異なりますが、40kWhのバッテリーを搭載する日産「リーフ」の場合、家庭でフル充電するには、200Vで約8時間、100Vだと約16時間かかります。

    先述のとおり、公共の充電スポットには家庭と同じ普通充電と急速充電の2タイプがあります。急速充電であれば、約40分で80%の充電ができます。それでも、数分で満タンになるガソリン車に比べると、やはり時間がかかります。

    また、時間をかけて充電しても、走行状況や環境要因によって想定していたよりも航続距離が短くなる可能性もあります。走行中のバッテリー残量には、常に注意しましょう。

    車本体の価格が高い

    電気自動車に搭載されるバッテリー用のリチウムイオン電池は製造コストが高いため、ガソリン車に比べて車本体の価格が高くなります。

    CEV補助金を利用すれば最大85万円を受給できますが、車種が少ないうえに車種ごとの価格差が大きい現状もあり、購入をためらう要因になっている可能性があります。

    4.電気自動車のおすすめの選び方

    燃費や税金を抑えられるといったメリットから、電気自動車の購入を検討中の方もいるでしょう。そこで、電気自動車の購入前に押さえておきたい選び方を解説します。

    航続距離で選ぶ

    電気自動車を選ぶポイントの1つが航続距離です。

    航続距離とは燃料が満タンの状態でどれだけ走行できるかを示すもので、電気自動車の場合はバッテリー容量によって異なります。

    ただし、バッテリー容量が大きくなるほど車の本体価格も上がるため、予算を考慮して決めることが大切です。

    ちなみに、2022年8月現在で販売されている電気自動車のバッテリー容量は、40kWh程度の車が多いのが現状です。40kWhあれば航続距離は約200~300㎞あり、日常使いであれば十分なバッテリー容量といえるでしょう。

    予算で選ぶ

    2022年時点、販売車種はガソリン車より少なく、選択肢はそれほど多いとはいえません。また、ガソリン車より本体価格が高めの傾向であるため、ご自身の予算が決まっていれば車種が自ずと決まることもあります。

    そこで、先述の補助金制度を活用して購入費用を抑えながら予算に応じた車種を決めるのもおすすめです。

    ただし、補助金制度は申請期限が決まっていたり、予算上限に達すると受付終了となったりすることがあるので注意しましょう。

    5.今後の日本で電気自動車は普及する?

    2021年6月、経済産業省はいわゆる「グリーン戦略」を発表しました。この中で、電気自動車などエコカーのさらなる普及を打ち出し、2035年までの新車販売の100%を電動車(※)に、2030年までに充電スポット15万ヶ所設置を目標としており、日本では今まさに電気自動車の普及の取り組みが進められています。

    実際、2009年には法人向けの2車種のみだった電気自動車ですが、2022年には32車種にも広がっています。幅広い用途に対応できるよう車両タイプも広がり、バッテリーの性能も向上しています。

    電気自動車を取り巻く環境は、これからより変わっていく可能性が高いといえるでしょう。

    電動車とはEVだけでなく、ハイブリッドも含まれます。

    6.電気自動車に関するQ&A

    最後に、電気自動車を運転するにあたって気になる質問にお答えします。

    電気自動車の走行性能は良いの?

    電気自動車はバッテリーに充電した電気を使って、電動モーターを動かす仕組みです。ガソリン燃料を燃やしてエンジンを動かすガソリン車に比べると、始動音・走行音ともに非常に静かで振動もありません。

    そのため、車内が静かなことはもちろん、住宅街を走るときも騒音の配慮は必要ありません。

    また、電気自動車のモーターは、ガソリン車のエンジンのように徐々に出力が高まるのではなく、発進時から高い瞬発力を発揮します。そのため、アクセルの踏み込みに連動した滑らかな加速を実現し、ストレスなく運転できます。

    電気自動車のバッテリーの持ちは良い?

    家電製品やスマートフォンに使われるバッテリーと同様、電気自動車のバッテリーも劣化は避けられません。

    しかし、充電回数や走行距離が少ないにもかかわらず、バッテリーの不具合などから、著しく劣化が進むこともあります。そのため、購入時には各メーカーが定めるバッテリーの保証期間を必ず確認しておきましょう。

    2022年8月現在、国内・海外問わず、ほとんどのメーカーが「5~9年以上または100,000~160,000㎞(どちらか早いほう)」あるいは「保証容量約70%」を適用しています。会社によって保証制度や細かな違いがあるので、購入時の参考にしてください。

    また、中古車の場合、新車とは異なる保証が適用される可能性もあるので、購入前に契約内容の確認を忘れないようにしましょう。

    7.電気自動車の購入はメリット・デメリット、利用目的から見極めましょう

    電気自動車は、次世代の自動車社会を担う注目のエコカーです。

    先述のとおりデメリットもいくつかありますが、補助金制度の活用や充電スポットが今以上に増加されれば実際に利用するうえで大きな問題にはならないかもしれません。

    また、自宅で充電できるため、寝ている間に充電が完了する点が大きなメリットではあるものの、集合住宅に住んでいる方や月極駐車場を利用している場合は自宅で充電ができないため、購入する前によく考える必要があります。

    電気自動車を検討している方は、遠出が多い場合は航続距離が長いものにするなど、ライフスタイルに合ったものを見極めましょう。

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    鈴木 健一
    監修
    鈴木 健一(すずき けんいち)

    1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するのを目標とする。

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