自動車保険

任意保険(自動車保険)とは?加入しない場合のリスクや基本的な補償内容、特約の種類を解説

更新

2023/07/26

公開

2023/07/26

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
車を使用するときには、事故に備えて任意保険(自動車保険)へ加入することが大切です。

本記事では自動車保険における任意保険を「任意保険」と記載します。

しかし、任意保険に加入したいと思っていても、「どの保険に加入したら良いのかわからない」「任意保険と自賠責保険の違いは何だろう?」など、さまざまな悩みや疑問を抱える方もいるのではないでしょうか。

本記事では、任意保険と自賠責保険の違いや任意保険に加入しないリスク、任意保険の基本的な補償内容や特約の種類などをまとめて紹介します。

目次

    1. 任意保険とは?

    任意保険とは、任意で契約する民間の自動車保険の総称です。自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2つの種類があります。まずは、各保険の違いを見ていきましょう。

    自賠責保険と任意保険の違い

    自賠責保険は自動車損害賠償保障法により、すべての車の加入が義務付けられている強制保険です。

    自賠責保険は人身事故の被害者救済を目的としているため、補償範囲は「対人賠償」のみです。また、事故にあったときの支払い限度額はあらかじめ決まっているため、万が一、相手方への賠償が高額となった場合は自賠責保険だけでは補償しきれないケースもあります。

    この自賠責保険で補償しきれない部分をカバーする保険が任意保険です。任意保険には「相手方への対物賠償」や「運転者自身や同乗者の補償」も補償範囲に含めることができるため、事故が起こったときに幅広い補償が受けられる点が特徴です。

    補償範囲の違い

    補償範囲 任意保険 自賠責保険
    相手方への補償 対人賠償

    自賠責保険に加入していなかった場合、補償金額が自賠責保険の限度額を超える際は、自賠責保険で支払われるべき金額を差し引いた金額の支払いとなります。


    (被害者1名につき死亡3,000万円まで、後遺障害4,000万円まで、ケガ120万円まで)
    対物賠償 ×
    ご自身への補償 ケガ・死亡の補償 ×
    車両損害の補償 ×
    示談代行サービス

    自賠責保険に加入していなかった場合、示談代行サービスの提供は受けられません。

    ×

    なお、ノンフリート契約(契約している方がご自身で所有・使用される車の台数が1~9台の契約)の場合ですが、任意保険は「等級制度」を採用している点も特徴の1つです。等級とは契約者の事故歴に応じて割り振られる制度であり、1等級から20等級(一部の共済では22等級)まであります。

    任意保険は、この等級により保険料の割増引率が変わります。等級が高くなるほど、割引率が高くなる仕組みです。1年契約の場合、等級は無事故で満期を迎えると翌年に1つ上がり、保険を使用すると原則として下がります。

    自賠責保険については以下の記事でも紹介していますのであわせてご覧ください。

    関連記事
    自賠責保険とは?任意保険と何が違う?知っておきたい疑問を解説!

    2. 任意保険に加入しない場合のリスクとは?

    任意保険に加入していない場合、万が一、自賠責保険の補償範囲外の損害が発生したときや、自賠責保険の補償範囲内であるものの、保険金額を超えた賠償請求があるときは自己負担となるリスクがあります。

    先述したとおり、自賠責保険には対人賠償しかありません。もしも自賠責保険にしか加入していない場合、自動車事故によって相手の車や第三者の建物、ガードレール、電柱などを壊してしまい、法律上の賠償責任が発生しても保険金が支払われません。しかし、任意保険の対物賠償保険に加入していれば、そのような場合でも保険金が支払われます。

    任意保険の人身傷害保険や搭乗者傷害特約、車両保険に加入していれば、ご自身のケガの治療費や車の修理費用なども補償されます。

    3. 任意保険の基本的な補償内容

    任意保険は自賠責保険とは異なり、誰もが同じ補償内容で加入するわけではありません。補償内容はある程度ご自身で選択できるため、必要に応じて補償を選択しましょう。以下では、任意保険の基本的な補償内容を解説します。

    相手方への補償

    相手方への補償には「対人賠償保険」と「対物賠償保険」があります。

    対人賠償保険は、運転中の事故などで他人を死傷させ、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険です。自賠責保険の上限額を超える部分について支払われます。

    例えば、自賠責保険の死亡に対する保険金額の上限は3,000万円ですが、事故によっては損害賠償額が1億円を超えるケースもあります。そのようなとき、対人賠償保険に加入していると契約している保険金額の範囲内で保険金が支払われます。

    対物賠償保険は、事故で相手の車や建物などを壊してしまった場合に保険金が支払われる保険です。ガードレールや電柱などへの賠償も補償の対象となります。

    ご自身や同乗者への補償

    ご自身や同乗者への補償には「人身傷害保険」と「搭乗者傷害特約」があります。人身傷害保険は、事故でご自身や同乗者の方が亡くなったりケガをしたりした場合の逸失利益(亡くなった場合や後遺障害を負ったことで失った将来の収入)や、治療費や休業損害(働けない期間の収入)などを補償する保険です。

    また、人身傷害保険では責任割合(過失割合)にかかわらず、事故で生じた実際のケガの治療費、休業損害などを補償します。

    保険金お支払い例(損害額:5,000万円の場合)

    搭乗者傷害特約については後述します。

    ご自身の車両損害への補償

    ご自身の車両損害への補償には、「車両保険」があります。車両保険は車が事故により損害を被ったり、盗難にあったりした場合に保険金が支払われます。

    車両保険は補償範囲の違いによって、補償範囲の広い「一般車両(一般タイプ、ワイドカバー)」と、補償範囲を限定して保険料を抑えた「車対車+A(エコノミータイプ、限定カバー)」の2種類に分類されます。セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」ではこの2種類に加え、車同士の事故のみ補償するプラン「車との衝突のみ」も用意しています。

    「おとなの自動車保険」の車両保険では、ベースとなる車同士の事故に加え、火災・落書き・台風、盗難、自宅・車庫での水災、単独事故・当て逃げなどからご自身が希望する補償が選択可能です。

    そのほかの補償

    任意保険の基本的な内容に含まれる補償は、保険会社によって異なります。

    例えば「おとなの自動車保険」の場合、相手方への補償(対人賠償保険・対物賠償保険)やご自身・同乗者への補償(人身傷害保険)のほか、他車運転特約、無保険車傷害特約なども基本補償に含まれます。

    対人賠償保険・対物賠償保険には示談代行サービスが付いています。

    4. 任意保険の特約の種類

    任意保険は、ご自身のニーズや希望にあわせて特約を加えられる点も特徴の1つです。特約とは基本的な補償内容を定めている普通保険約款の内容を変更・追加・削除するもので、自動的にセットされる特約のほか、ご自身の希望でセットできる特約があります。
    特約の種類は、保険会社により違いがあります。代表的な特約は以下のとおりです。

    搭乗者傷害特約

    搭乗者傷害特約は車に搭乗中の方が死亡したり、ケガをしたりした場合に症状に応じた定額の一時金が支払われる特約です。人身傷害保険とは別に定額で保険金が支払われます。

    対物全損時修理差額費用特約

    対物全損時修理差額費用特約は、事故で相手の車の修理費用が時価額を超えた場合の差額を補償する特約です。相手の車に修理が必要となった場合でも、法律上の損害賠償責任として負担すべき修理費用は相手の車の時価額までとなるため、相手の車の修理費用が時価額を超えた場合、その超過した部分の修理費用は対物賠償保険では補償できません。そのため、この特約では対物賠償保険で補償できない部分をカバーします。

    ロードアシスタンス特約

    ロードアシスタンス特約は、事故や故障、トラブルにより自力走行ができなくなった場合、現場での応急処置やご自身の指定する修理工場などまでのレッカー搬送費用を補償する特約です。また、車がレッカー搬送されたことにより、代わりの移動手段として利用したタクシー代や、臨時に宿泊した施設の宿泊費用も補償されます。

    「おとなの自動車保険」でロードアシスタンス特約(ロードサービス)をセットすると、全国約9,200ヶ所(※)の拠点でスタッフが24時間・365日対応します。

    2022年12月時点

    弁護士費用特約

    弁護士費用特約は、もらい事故等の被害にあった場合に相手方に損害賠償請求を行うための費用や弁護士への相談費用などが支払われる特約です。支払われる費用は、弁護士や司法書士の報酬、訴訟・仲介・和解・調停費用、法律相談・書類作成費用などです。

    個人賠償責任特約

    個人賠償責任特約は、自動車事故以外の日常生活の事故で、他人にケガをさせてしまったり、他人のモノに損害を与えたりした場合など、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する特約です。火災保険の特約など、ほかの保険で加入していないときは、自動車保険の特約で加入することができます。

    自転車傷害特約

    自転車傷害特約は、自転車事故によるご自身やご家族の死亡、後遺障害、入院時のケガを補償する特約です。個人賠償責任特約とセットで加入すれば、自転車事故での相手方のケガに対する賠償責任にも備えられます。

    任意保険は、ご自身の家族構成や車の利用スタイルなどに合わせ必要な補償が選べます。

    5. 任意保険の保険料の決まり方

    任意保険の保険料は、さまざまな要素を基に総合的に決定されます。保険会社による違いもありますが、保険料の主な算定要素は以下のとおりです。

    算定要素 内容
    使用目的
    • 「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務」など車の使用目的で保険料に違いがあります(「業務」>「通勤・通学」>「日常・レジャー」の順で事故にあうリスクは高いものとみなされ、保険料は高くなります)。
    用途車種・型式
    • 型式別料率クラスという、車の型式ごとの事故実績などから算出したクラスによって保険料が変わります。型式別料率クラスには、「対人賠償」「対物賠償」「傷害(人身傷害・搭乗者傷害)」「車両保険」の4つの項目があり、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車は1~17の17段階、自家用軽四輪乗用車は1~3の3段階に分けられます。クラスが高いほど保険料の負担は大きくなります。一般的に、事故、盗難等で高額な損害が想定される車は、保険料が高くなる傾向があります。
    年間走行距離
    • 年間走行距離が長いほど事故にあうリスクは高いものと想定され、保険料も高く設定される傾向があります。
    運転者の年齢
    • 年齢区分は保険商品により異なりますが、全年齢(18歳以上)、21歳以上、26歳以上、30歳以上、35歳以上などで設定される商品が多いです。
    • 「おとなの自動車保険」では、年代ごとではなく1歳刻みで保険料を決定しています。主に使用される方の年齢で事故率が高いとされる10代~20代前半と60代以上で保険料が高くなります。
    運転者の範囲

    ノンフリート契約のみ

    • 一般的に「限定なし」「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定」などと区分されます。
    • 補償の対象となる車を運転する人の範囲を広げるほど、保険料は高くなります。例えば運転者の範囲を主な運転者(記名被保険者本人)に限定すると保険料が抑えられます。
    免許証の色
    • 車を主に運転する方が優良運転者であるゴールド免許保持者の場合、保険料が割引されることがあります。
    等級制度(事故の有無)

    ノンフリート契約のみ

    • 等級制度とは過去の事故件数などに応じて1~20等級(一部の共済では22等級)に保険料率を区分するもので、等級が上がるほど割引率が高くなります。
    • 自動車保険の新規契約者は通常6等級から始まります。無事故で保険を使わずに満期を迎えた場合は更新時の等級が1つ上がりますが、事故1件につき原則として3等級(事故の種類によっては1等級)下がる仕組みです。
    • 事故のあった契約者は、無事故契約者との保険料負担を公平にする観点から、3年間(事故の種類によっては1年間)低い割引率(事故有係数)が適用されます。
    補償範囲、保険金額および自己負担額
    • 保険会社の商品ごとに設けられた補償範囲、契約者が決定する補償ごとの保険金額、保険金が支払われるときの自己負担額によっても保険料が変わります。

    6. 任意保険のおすすめの選び方とは?

    任意保険は、自賠責保険では補償されない損害に備え、ご自身やご家族、事故の相手方を守るための保険です。車を運転する人の責任として加入しておきましょう。

    以下では、任意保険を選ぶときのポイントを紹介します。

    ダイレクト型(通販型)の任意保険を選ぶ

    任意保険は、加入経路の違いによって「代理店型」と「ダイレクト型(通販型)」の2つのタイプに分けられます。

    代理店型は保険代理店を経由して加入する保険、ダイレクト型(通販型)はオンラインや電話などで保険会社と直接(ダイレクト)契約する保険です。

    代理店型は専任の担当者と対面で相談でき、代理店の方に申込み手続きを任せることができます。しかし、保険料のなかには代理店手数料が含まれるため、保険料が割高になる傾向があります。

    一方、ダイレクト型は代理店手数料がかからない分、割安な保険料である点がメリットです。代理店のように専任の担当者はいません。ご自身でのオンラインでの手続きを基本とします。不明点がある場合はサポートセンターの担当者と電話越しでのやりとりとなりますが、担当者と補償内容などの相談ができ、見積り作成依頼も可能です。なるべく保険料を抑えたい方にはダイレクト型がおすすめです。

    補償内容で選ぶ

    任意保険に加入する主な目的は、自賠責保険では補償されない損害に備え、事故が起こったときの経済的な負担を軽減することです。

    人身事故や物損事故を起こしてしまったときには、事故の相手方への賠償額が高額となる場合があります。数億円の賠償を求められた事例もあり、任意保険の対人賠償や対物賠償の保険金額は「無制限」に設定するのが基本です。

    そのほか、ご自身や同乗者のケガの補償を手厚くしたい方は、人身傷害保険に加えて、搭乗者傷害特約に加入するのも良いでしょう。ご自身の車の補償を重視する方は、車両保険を「一般車両(一般タイプ、ワイドカバー)」にすることで、単独事故による損害なども補償されます。

    必要な補償を確保しながら、なるべく保険料を抑えたい方は、搭乗者傷害特約を外したり、車両保険を「車対車+A(エコノミータイプ、限定カバー)」にしたりするのも選択肢の1つです。

    自分にあった補償内容が選ぶことが大切です。「おとなの自動車保険」は補償内容を細かく設定できるため、ご自身のニーズにあった補償がカスタマイズできます。

    各保険会社独自のサービスで選ぶ

    各保険会社ではそれぞれ独自のサービスを提供しています。例えば「おとなの自動車保険」では契約者全員に「ALSOK事故現場安心サポート」を提供しています。もしもの事故のときもALSOK隊員が現場に急行し、救急車の手配や事故現場の記録など適切なサポートが受けられます。

    そのほか、カーライフや防災に役立つ情報を得られる「SA・PO・PO(サ・ポ・ポ)」、LINEで複数の保険証券を一括管理できる「ほけんnote」のサービスを提供しています。便利な独自サービスも保険会社を選ぶポイントになるでしょう。

    7. ご自身が納得する任意保険への加入で安心したカーライフを

    任意保険は、自賠責保険では補償されない損害をカバーするための保険です。自動車事故における相手方への賠償責任による損害や、ご自身のケガ、車の修理費用などが補償されます。「任意」とはいえ、ご自身を経済的なリスクから守るために加入しておきましょう。

    任意保険の補償内容は、ある程度ご自身で選べます。必要に応じて特約をセットするなど、ご自身のニーズにあった補償内容で加入しましょう。

    任意保険の補償内容や特約の種類、提供されるサービスには保険会社ごとに違いがあります。各商品の内容を確認し、ご自身が納得できる内容で加入することが大切です。

    保険を選ぶなら「おとなの自動車保険」

    納得の保険料
    保険料は平均21,943円節約※1
    豊富な割引プラン
    新規なら最大13,600円割引、継続でも最大10,600円割引※2
    安心の事故対応
    ALSOK隊員事故現場をサポート※3
    最短5分!まずはお見積り
    • 大手損害保険会社(4社)から変更し、変更前の保険会社との比較で安くなった保険料を具体的な金額でお答えいただいた1,126人の平均です。(当社 既契約者アンケート/2024年1月実施、有効回答者数28,973人)
    • 最大13,600円割引とは、ネット割+早割50日を適用した額です。ネット割は新規は13,000円、継続は10,000円となります。
      分割払の場合、ネット割は新規は年間12,960円、継続は年間9,960円となります。そのため、最大割引額(ネット割+早割50日適用)は、新規は年間13,560円、継続は年間10,560円となります。
    • 山間部や島しょ部、高速道路などかけつけサービスを提供できない場所や、一部サービス内容が限定的となる場合があります。また、交通事情、気象条件等によりサービスの提供ができない場合があります。
    竹国 弘城
    監修
    竹国 弘城(たけくに ひろき)

    証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自分のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうためのサポートを行う。
    【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る