季節の特集
ドライブ
寒い冬に恋しくなるものといえば“温泉”。近場のスーパー銭湯などもいいですが、今年の冬はちょっとだけ足を伸ばして、その土地へ行かなければ体験できない個性的な温泉を満喫してみませんか?
今回は、ドライブ好きの大人に驚きと感動を与える「関東の日帰り温泉」をご紹介します!
目次
朝日を見ながら、しかも富士山を眺めながら入ることができる……まさに日本一の絶景温泉と言っても過言ではないのが、山梨県にある「ほったらかし温泉」です。
ほうとう・フルーツ・富士山で知られる山梨県は、実は、知る人ぞ知る名湯スポット。なかでも、日の出前から入浴が可能な「ほったらかし温泉」は、朝日を見ながら湯に浸かることができる温泉として人気を集めています。日の出前は電車の始発前ということもあり、車だからこそ真髄を知ることのできる、ドライブ好きにピッタリの温泉と言えます。
場所は中央自動車道「勝沼IC」「一宮御坂IC」からそれぞれ車で25分。山梨市を代表する笛吹川フルーツ公園の駐車場を抜けた先にあり、広告などを一切出していないにもかかわらず、口コミだけで年間約40万人が訪れます。
ほったらかし温泉には2つの湯「あっちの湯」と「こっちの湯」があり、どちらからも海抜700mの露天風呂に浸かりながら、そびえ立つ富士山と、眼下に広がる甲府盆地を眺められます。富士山から昇る日の出、そして甲府盆地の夜景まで、あますところなく堪能できるのです。
ただし、日の出の1時間前から夜の22時まで営業しているのは「あっちの湯」のみ。朝日や夜景を楽しみたい方は「あっちの湯」に入りましょう。
那須町北西部にそびえる茶臼岳の山腹にある「那須温泉郷」は、630年に発見された歴史ある温泉エリアです。東京から電車で行くと、東北新幹線からローカル線を乗り継ぎ、さらにバスに30分以上揺られてやっとたどり着く場所にありますが、車であれば那須I.C.から15分程。
そんな那須温泉のなかで、もっとも歴史ある温泉といえば「鹿の湯」です。鹿の湯はその昔、鹿が温泉で傷を癒していたことから“湯治の湯”として知られるようになったそう。
その入浴法はとってもユニーク。41〜46度の5つの湯船がある女湯、41〜48度の6つの湯船がある男湯のそれぞれで、入浴前にひしゃくで200回のかぶり湯をすることが推奨されているのです。その後は5人も入ればいっぱいになる浴槽で、1分の入浴を3回繰り返します。しかも湯温が高温なため一日の入浴回数は最高4回まで。「洗い場」もなく、石鹸やシャンプーの使用も禁止されているという“湯治”の効能を追求した温泉なのです。
それでも多くのリピーターが訪れるのは、建物の趣ある風情と、強酸性で乳白色のまろやかな硫黄泉が疲れた体に沁み渡るから。まさにいくつもの温泉の醍醐味を知り尽くした大人が訪れるにふさわしい、ザ・日本の温泉と言えそうです。
都心から車で2時間。中央自動車道・上野原ICと圏央道・あきる野ICから45分の南秋川の山奥にある檜原村は、島を除く東京唯一の「村」です。標高650m地点には500年前から茅葺き屋根の旧家が並び、そのうちの一軒が、宿を併設した「蛇の湯温泉 たから荘」です。
たから荘は、男女とも内風呂のみですが、ややぬるめなので長時間浸かることができ、なにより浴場の大きな窓から見える大自然の景色に心が癒されます。日頃から仕事に追われた大人が、「何もしない一日」を過ごすにはうってつけです。
また、たから荘では、山でとれた季節の山菜やキノコ類をたっぷりつかった食事も提供されていて、徒歩圏内には落差10mの「九頭龍の滝」というマイナスイオンスポットも。時が経つのを忘れてゆっくりと過ごせる、都会の喧騒やわずらわしさとは無縁の憩いの温泉スポットです。
東京から2時間30分、東関東自動車道の佐原香取ICから国道365号線・銚子犬吠埼方面へ車を走らせると見えてくる、日本一日の出の早い「犬吠埼」。その近辺に広がる33,000平米という広大な敷地に建つのが「ホテル&スパ月美(太陽の里)」です。
最大の特長は、露天風呂や内湯から眺められる太平洋の絶景。湯種も豊富で、男性は露天3種と、バブル湯などを含めた6種類の内風呂。女性は露天4種に、シルク湯などを含めた10種類の内風呂を備えていて、浴場以外にも、岩盤浴やエステ(予約制)なども併設されています。
また、波の音を聴きながらの入浴を一日中楽しみたい人には宿泊もおすすめ。大人のお一人様はもちろん、ファミリーやカップル、シニアまで幅広い層がそれぞれの一日を満喫できる、満足度の高い複合型温泉施設となっています。
群馬県の最北端に位置する群馬県みなかみ町「法師温泉」。関越自動車道・練馬I.C.より90分というアクセスに恵まれながら、利根川の源流を包括する貴重な自然が数多く残されていて、2017年には周辺地域とともに、“自然と人間社会の共生”をめざす地域づくりのモデルである「ユネスコエコパーク」に登録されました。
そんな法師温泉で、多くの文豪に愛され、客室や大浴場が国の有形文化財にも登録されているのが「長寿館」です。訪れた人の目に最初に飛び込んでくるのは、玄関脇の真っ赤なポストや大きな提灯のレトロな風景。吹き抜けの玄関と、橡(とち)の木をくりぬいてできている火鉢などの貴重な逸品たちです。
日帰り入浴では、純度100%の源泉が魅力の「法師乃湯(混浴風呂)」と「長寿乃湯(女性専用)」の2種類を堪能でき、浴槽の下に敷き詰められた玉石の間からポコポコと自然湧出するきれいなお湯にゆったりと浸かれます。
法師温泉までは、上毛高原駅からバスで行ける「猿ヶ京」から、さらに町営バスを利用してたどり着きますが、町営バスの本数は一日4本のみ。それ以外の時間に訪れるにはタクシーを利用するしかなく、まさに車で行くのにふさわしい秘湯といえるのです。
日頃の疲れを癒してくれる温泉ですが、体がぽかぽかと温かくなるため、湯上りにはついうとうとと眠くなることも。高速道路であればこまめにPAなどで休憩を取るようにして、少しでも眠気を感じたら、冷たい水で顔を洗うなどして気分をリフレッシュしながら安全運転を心がけましょう。