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石川県羽咋市の海沿いを走る「千里浜なぎさドライブウェイ」は、日本で唯一の砂浜を走行できる道路です。一般的には砂浜は自動車で走行することができませんが、千里浜なぎさドライブウェイはその恵まれた砂の性質などから、国内でも貴重な砂浜の国道として愛されています。
海辺の風や波音を感じながら愛車で波打ち際を走行する体験は、ドライブ好きの方なら一度は憧れるシーンではないでしょうか。本記事では、そんなドライバーの憧れの地である千里浜なぎさドライブウェイについてご紹介したいと思います。
千里浜なぎさドライブウェイは能登半島の西側、石川県羽咋市千里浜町から羽咋郡宝達志水町今浜までの海岸沿いを走る、全長8㎞に渡る観光道路です。
砂浜を走行できる道路は日本で唯一この千里浜なぎさドライブウェイのみであり、その理由は千里浜の砂粒が一般的な海岸の砂よりも小さく揃っていて、水を含むことで路面が車の走行に耐えるほど固くなるためと言われています。この性質から、千里浜なぎさドライブウェイでは一般車両だけではなく、観光バスやバイクも走行することができます。
さらには日本海に沈む夕日を臨める絶景スポットでもあるため、夕日を背景にまるで海外のCMかのような幻想的な風景と愛車を写真に納めようと訪れる車ファンも多いです。
また、夏には海水浴場も併設され、多くの人で賑わう人気の観光地でもあります。年間を通じてイベントやお祭りなども開催されるなど、地元の人たちの憩いの場としても親しまれています。
先に説明した通り、千里浜のきめ細やかな砂の性質上、4WDに限らず、ノーマルタイヤの2WDでも走行が可能です。しかし、海水で路面が固く安定している色の濃い砂浜部分以外、例えば波打ち際や白く乾燥している砂浜奥側(路肩側)などはタイヤを取られてしまい、スタックしてしまう場合があるので注意しましょう。
また、一般道のようにセンターラインがあるわけではないので、すれ違いなどの際はお互いに譲り合って走行する必要があります。他のバイクや自転車などの車両にも配慮を忘れずに、安全な速度を守りましょう。
荒天や高波などの際には、石川県の判断で通行止めとなる場合があります。通行止め情報については「石川みち情報ネット」を事前に確認しておくと安心です。
千里浜なぎさドライブウェイは、金沢市内から40分程。「のと里山海道」の今浜IC、もしくは千里浜ICからすぐアクセスすることができます。
千里浜ICすぐの海岸沿いに、能登千里浜レストハウスがあります。羽咋市ならではの食材が味わえるレストランや売店のほか、砂浜を走行できる専用レンタルサイクルのサービスも行っています。
海水浴シーズンの7月上旬から8月下旬ごろまで、砂浜には浜茶屋と呼ばれるお店が並びます。近海で獲れる貝を浜焼きスタイルで楽しむことができます。
海水浴期間中は、千里浜なぎさドライブウェイに道路標識が立ち、「公道」の扱いとして速度規制や追い越し制限などが適用されるので、道路交通法を遵守し安全に走行するようにしましょう。
実は近年、千里浜なぎさドライブウェイは深刻な海岸浸食により砂浜が減少していくという危機に直面しています。観光道路としての存続が危ぶまれ、一時は数十メートルもの砂浜が消失することもありました。
そこで石川県や自治体などでは「千里浜再生プロジェクト」を発足し、日本で唯一の砂浜環境を守り再生するために、近郊の海岸の砂を移植するなどの対策を行っています。
また海岸浸食は千里浜のみならず、全国の海岸でも砂浜の減少が観測されており、気候変動による海水面の上昇や、防波堤・港湾の整備などが主な原因と考えられています。
砂浜の減少は景観への影響だけではなく、防波堤が壊れやすくなることで低地にある住宅への浸水など、防災面からの懸念も考えられます。海岸の保護という課題は、国土面積の減少や住まいの安全の観点からも、今後ますます重要になりつつあります。
日本には多くの砂浜が存在しますが、車で走行できる海岸は千里浜なぎさドライブウェイのみです。ぜひドライブ先の参考に、また美しい日本の自然を感じる機会として足を運んでみてはいかがでしょうか。
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