通勤や通学、急を要する外出などで台風の中でも運転をする必要がある場合は、いつも以上に安全に配慮した運転をしなければなりません。一方、普段とは違う運転環境につい冷静さを失ってしまうこともあるでしょう。
では、荒天時にも運転しなくてはいけない時には、どのように対処し、またどのような対策を取るのがよいのでしょうか。今回は、自動車運転における台風対策をご紹介します。
- 目次
-
台風の日に運転することの危険性
そもそも、台風の日に運転をすることは非常に危険が伴います。
危険の要因はさまざま考えられますが、まず問題となるのは、猛烈な雨により視界が遮られることです。ワイパーをいくらフルに稼働させても、大量の雨により前方がほとんど見えなくなることもあります。
また、その雨によって道路も非常に滑りやすくなり、ちょっとした判断ミスが大きな事故につながります。
そして、危険な理由は雨だけではありません。強い風により、思わずハンドルを取られることも想定されます。特に高速道路を走行中に横風にさらされた場合、一般道路よりも速度を上げていることで大きく影響を受け、まっすぐに走ることが難しくなったり、車高の高い車の場合には横転の危険もあります。
また、強風の影響で看板や折れた街路樹が路上に飛んで来ることもあり、それらに激突したり避けようしたりとして事故を起こすこともあります。
台風の日によくあるトラブルとは?
台風の日に車を運転すると、様々なトラブルに遭遇します。その中でも特に多い3つのトラブルについて解説していきます。
車両の冠水
台風の日に車を運転していて最も多く起こるトラブルが、車両の冠水です。車両のフロア面を超えて浸水し、エンジンの吸気系に水が入って動かなくなってしまいます。
車はある程度までは冠水や浸水に対応できるように設計されていますが、本来は水に弱いものです。内部に水が入ると大きなダメージを受けます。ブレーキが効かなくなったり、電気系統のショートなどが原因で発火したり、最悪の場合は爆発を起こすこともあります。
さらに、水圧によってドアが開かなくなることで脱出できず、命の危険にさらされることもあります。いくら急いでいるからと言っても、無理に冠水した道路を通ることは避けましょう。
冠水の被害は走行時に限ったことではなく、地下駐車場への浸水などにより、駐車場に停めていた車が冠水する被害も少なくありません。天気予報をこまめにチェックするなど、事前の対策も怠らないようにしましょう。
車両の落ち込み
車両の落ち込みとは、水や泥地にはまって動けなくなる状態のことをいいます。
台風による大量の雨が降った状態で未舗装の場所などを通ると、タイヤがはまり込んで抜け出せなくなったり、山沿いの道であれば土砂が道路に流れ込んだりします。
こうした状況により車両の落ち込みが発生した場合は、保険会社やJAFに連絡して、ロードサービスによる車両のけん引をお願いしましょう。台風などの災害時はレッカー車の到着が遅れる可能性もありますし、強く振り続ける雨の中で路上に出続けているのは危険や困難を伴いますので、安全な場所で待機して到着を待つようにしてください。
落輪
落輪とは、自動車の車輪が道路から外れて走行不能になること。脱輪とも言われます。
台風時の落輪の原因の一つは、視界不良により側溝や縁石を視認できないことにあります。また、雨で道路が滑りやすくなっていることでタイヤがスリップし、溝に落下して落輪する場合もあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、悪天候時にやむを得ず運転をしなくてはいけないような場合に備え、日頃運転をしている道路に落輪してしまいそうな場所、マンホールなどスリップを誘発しやすい場所がないかを確認しておきましょう。また、山道のようなぬかるみができやすい場所に行くことは避けましょう。
もし落輪をしてしまった場合、段差のあまりない縁石に乗り上げている程度であれば適切なアクセルの踏み込みとハンドル操作で対処できるケースもありますが、車の破損や故障に繋がる場合も多いので、基本的にはプロに任せた方が賢明です。自力での対処は控え、JAFや自動車保険会社などに連絡し、救援を待ちましょう。
冠水しやすい道路の特徴
冠水しやすい道路には特徴があります。当然のことですが、水が高いところから低いところに流れるので、立体交差の下を通るようなバイパスやガード下、山を切り崩して造られた道路など、道路が局部的に低くなっている区間は冠水しやすくなります。
豪雨時にどうしても運転せざるを得ない場合は、そうしたルートを避け、近寄らないようにしましょう。また、冠水しやすい場所には標識や警告灯がある場合もありますので、そうした標識がないかどうかも注意しながら運転するようにしてください。
近年のゲリラ豪雨などではポンプや排水路の能力を超える雨量が短時間に降り注ぐことも多く、一瞬にして道路が冠水することもあるので、注意が必要です。普段少量の雨でも水たまりができやすい場所なども把握しておきましょう。
運転中に暴風域に入ってしまったら
台風が来ている際には、運転しないことが前提ですが、運転中に突然の豪雨の被害に遭った場合や急に風が強くなってきた場合にどのように対処すればいいのか、5つのポイントに分けて解説をしていきます。
スピードを落として運転する
非常に基本的なことですが、台風の中で運転するときにはスピードを落として運転をしましょう。
台風時には、大雨による視界不良や路面が濡れていることにより、平時の運転以上に事故を起こしやすくなっています。また、走行中の強風では車体コントロールが不安定になることに加え、予期せぬ落下物や落石の危険性もあります。咄嗟に対処できる速度で走行していることで、前方を走る車に衝突をしたり、後続車に追突をされたりトラブルを回避することができます。
予期せぬ事態に備えるためにも、いつも以上にスピードを落として運転をすることを心がけましょう。
自分の存在を周りに知らせる
台風による土砂降りの中の運転では、ワイパーをどれだけ動かしても、打ち付ける雨によって視界が遮られたり、前方の車との車間距離がわからなくなったりします。対向車が巻き上げた雨水がフロントガラスに降りかかって前方が一瞬見えなくなることもあり、危険と隣り合わせの走行となります。
そうした場合はライトをつけ、前方と後方の車に自社の存在を知らせることで、追突事故などを未然に回避しましょう。自車から、また対向車からセンターラインを見えやすくする効果も、ライトの点灯には期待できるはずです。
台風の日に車を運転する際には、時間帯に関わらず早めの点灯を心がけましょう。
強風に煽られないように運転する
台風時の運転では、突然の強風に煽られることも多くなります。
風が強くなってきたら、運転は控え、安全な近くの避難所を探し避難をしましょう。強風の中運転せざるを得ない状況のときはトンネルの出入り口や橋の上などは特に風が強くなるため注意が必要です。また、車高の高い車は風を受ける面積も大きくなるため、強風に煽られて横転することもあります。
強風に煽られないように運転するためには、ポイントが2つあります。
まずは、スピードを出し過ぎないことです。車高の高いトラックは風速30mで横転するともいわれており、遠心力の関係であっという間に横転したり、横滑りして事故を起こしてしまいます。急に風が強くなって焦る気持ちもありますが、スピードは充分に落として運転しましょう。
そして、海沿いや海上、川上の橋の上での走行は避けましょう。そうした場所は特に強風になりやすく、より横転や横滑りの危険性が高まります。
できるだけ広い道路を使用する
台風時は、なるべく広い道路を使用するようにしましょう。車線数が少ない道路では、咄嗟のトラブルに対処できずに事故に巻き込まれることも多くなるためです。
強風で車がふらつくなどして車線を逸脱してきた対向車があった場合、車線数が少ない狭い道では回避できる場所が限られます。正面衝突をされる危険性や、自らがそういった事故を起こす可能性も、広い道路を走行している時より高くなります。
不要不急の外出は避けて
ここまで、台風時に車を運転する際の注意点を紹介しました。
しかし、ここで紹介した内容はあくまで不慮の事態を予防する方法にすぎません。一番の安全は、屋内に避難をして台風が通り過ぎるのを待つことです。台風の際は不要不急に外出をなるべく控え、できる限り身の安全を確保することを心がけてください。