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信号機とは?プログラム多段式・感応式・押ボタン式など種類や仕組みを解説!

更新

2022/10/26

公開

2022/10/26

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信号機は、交通安全には欠かせない存在です。しかし、その仕組みについてはあまり知らない方が多いでしょう。

本記事では、信号機の歴史や種類、仕組みについて解説します。

目次

    1. 信号機の歴史

    世界初の信号機は、1868年にイギリスのロンドンに設置されました。この信号は緑と赤の2色で、光源にはガスが使用されていました。

    世界初の電気式信号機は、1918年にアメリカのニューヨーク5番街に設置されました。この信号機では緑、黄、赤の3色が使われており、黄色が進め、赤が止まれ、緑が右左折可であったといわれています。

    一方、日本初の電気式信号機は1930年に東京の日比谷交差点に設置されました。この信号機はアメリカから輸入されたもので、緑、黄、赤の3色が使われていましたが、現在と仕様が異なり、緑または赤の後に黄色を同時に点灯していました。

    また、同年12月には国産初の自動交通信号機が京都駅などに設置されています。

    2.緑なのになぜ「青信号」なのか

    ところで、信号機の「青信号」はなぜ青信号と呼ばれるようになったのでしょうか。緑色にもかかわらず、青信号と呼ばれるようになった理由を紐解いてみましょう。

    日本初の信号機は当初「緑信号」だった

    現在では「青信号」として浸透している緑色の表示ですが、信号機が登場した当初は「緑信号」と呼ばれていたそうです。ところが、当時の新聞が青信号と記載したことにより、世間の人々の間で青信号が浸透したといわれています。

    さらに、1947年には法律でも青信号の表記となり、それが現在の道路交通法にも引き継がれています。こうして、緑色の信号は青信号として浸透したのです。

    3.信号機の3つの役割

    信号機には、主に3つの役割があります。ここからは、信号機が持つ役割について解説します。

    交通事故の防止

    信号機の大きな役割に交通事故の防止があります。信号を遵守することで車両や歩行者はより安全な通行が可能となり、結果、交通事故の発生を大幅に抑制できます。

    具体的には信号機は進行や停止の信号によって自動車や歩行者の動きをコントロールする役割を担っています。信号機により交通の秩序が保たれることで、車同士、車と歩行者の衝突事故を防止しています。

    車両の流れの円滑化

    信号機は自動車や歩行者の動きをコントロールすることを通じて交通の流れを円滑化する役割も担っています。交通量に応じて信号を送るタイミングを調整することで、スムーズな車の流れを実現しています。

    交通環境の改善

    このように信号機は事故を抑制しつつ交通の円滑を維持することで、交通の安全・安定を維持しています。その結果、自動車による排出ガス、振動、騒音などを軽減する側面もあるかもしれません。このような交通公害の抑制は、環境や人への影響を考えれば重要でしょう。

    4.信号機の点灯サイクルは3パターン

    道路上にある信号機をよく見てみると、「時差式」や「感応式」と書かれた信号機があることに気づきます。信号機の点灯サイクルは3パターンあり、それぞれ仕組みが異なります。具体的にどのような仕組みがあるのか見ていきましょう。

    プログラム多段式(定周期式)信号機

    プログラム多段式(定周期式)信号機は、時刻や曜日によってかわる交通需要に対応するために、複数のプログラムを記憶し制御する信号機です。

    プログラム多段式(定周期式)信号機では、電子式のタイムスイッチが自動で時刻や曜日を判別します。これにより、あらかじめプログラムに記憶させてある制御パターンのなかから現在必要なプログラムを選択し、点灯を制御します。

    感応式信号機

    感応式信号機は、主に交通量の少ない道路に設置されています。通常は赤信号の状態で、検知器が車両の通過を検知または歩行者用の押ボタンを使用することで青信号に変わります。

    押ボタン式信号機

    押ボタン式信号機は、歩行者等が押ボタンを押すと、車両用信号機を赤信号にして車を停止させる信号機です。このとき、歩行者用信号機は青信号になり、歩行者は安全に横断歩道を渡れます。

    5.右左折・直進の流れをコントロールする信号機

    信号機には、矢印で進行方向を示し車両の流れをコントロールするものや、点灯時間の変化で右折車両の流れを円滑化するものがあります。

    矢印式信号機

    矢印式信号機は、赤信号でも進行できる方向を青の矢印で示す信号機です。

    右折矢印式

    右折が可能なときのみに右方向の矢印が点灯する信号機です。直進方向が赤信号でも、右方向の矢印が点灯しているときには右折が可能です。右折車両の停滞を防ぐため、右折車両の交通量が多い交差点などに設置されます。

    セパレート矢印式

    すべての車両の通行を矢印で制御する信号機で、左折、直進、右折とすべての方向の矢印が儲けられています。右左折車両と直進車両の流れを完全に分離するためのもので、車線の多い道路や駅前など交通量の多い場所に設置されています。

    時差式信号機

    時差式信号機は、交通量が多く右折進行がしづらい道路に設置される信号機です。時差式信号機では、青信号の表示時間の長さが進行方法により異なります。どちらか一方の青信号表示が延長されることで、対向車側が赤信号表示になったあと、スムーズに右折できるようになります。

    6.その他の信号機

    その他には、一灯式信号機、歩車分離式信号機があります。

    一灯点滅式信号機

    一灯点滅式信号機は、赤と黄色の点滅で車の進行方向を示す信号機です。赤の点滅が表示されている側は、所定の位置で一時停止を行い、安全を確認して進行できます。黄色の点滅の場合は、他の車に注意しながら進むことができます。

    歩行者は、赤色・黄色どちらとも車に注意して進行できます。

    歩車分離式信号機

    歩車分離式信号機は、歩行者と車の通行を時間的に分離する信号機です。これにより、歩行者と車の進行が交わることがなくなり、歩行者は安全に横断歩道を渡れます。

    7.信号機Q&A

    最後に、信号機に関するQ&Aをご紹介します。

    信号機は何分ごとに動いている?

    信号機や通行する時間帯によって青信号や矢印表示の長さが異なるように感じたことはありませんか?実際、信号機の点灯サイクルは一定ではありません。交差点の大きさや車および歩行者の数などによって表示する秒数が決められています。

    具体的にはどのようにして信号機の点灯サイクルを制御しているのでしょうか。

    国内の道路の交差点にある信号機のほとんどは、交通管制センターで集中的に制御されています。交差点にある交通信号機は交通管制センターと通信回線で接続されており、高度な交通制御が可能です。

    また、信号機の制御システムについては、近年新たな技術による試みが進められています。

    2022年3月14日、NEDO(国立研究開法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と一般社団法人UTMS協会は自立・分散型AI信号制御の実証実験をスタートさせました。

    AIを用いた新たな交通制御システムは、集中制御方式の交通管制システムと同等以上に高度な「軽やかな交通管理システム」を低コストで実現できると注目されています。

    前述した実証実験は、警察庁と静岡県警本部の協力のもと、静岡県内12ヶ所の交差点で実施されました。AI技術を用いた信号機は、現状の信号機と比較して15~20%の平均旅行時間短縮が期待されています。これにより、CO2の削減や時間便益の向上が図れる見込みです。

    8.監修コメント

    交通安全にとって信号機の役割が重要であることは常識的事柄ですが、事故が起きた時に信号を守っていたかどうかは事故当事者の過失割合を決定するうえで重要な要素となり得ます。この過失割合は、事故の一方当事者が他方当事者にどの程度補償を求めることができるのかを左右する非常に重要な要素です(自分の過失割合が大きくなれば、相手に対して請求できる補償額はその分減じられることになります)。交通事故にあわないことがベストではありますが、万が一事故にあってしまった際に不利な立場とならないためにも信号機を遵守して生活していくことが強く推奨されます。

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    梅澤 康二
    監修
    梅澤 康二(うめざわ こうじ)

    弁護士法人プラム綜合法律事務所代表。
    東京大学法学部卒業。アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。以来、15年以上弁護士として活躍。
    一般民事・交通事件・債務整理・相続問題に係る法律相談、刑事事件に係る法律相談に対応している。

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