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徐行とは?徐行すべき場所や場面、違反時の罰則について

更新

2021/06/02

公開

2021/06/02

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「徐行」はただ単にスピードを落として走ることだと考えている人がいるかもしれませんが、ゆっくりと走行するだけが徐行ではありません。徐行とは、「安全に通行できる速度」での走行を指す言葉です。

では、どれくらいの速度で走れば安全なのでしょうか。また、安全な徐行のためにはどういったポイントを押さえるべきなのでしょうか。この記事では、徐行の速度や最徐行との違い、徐行義務がある場所や徐行の義務に違反した場合の罰則などについて解説します。

目次

    1.徐行とは

    徐行とは「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」と道路交通法で定められています。徐行の具体的な速度は明記されていませんが、おおよそ10km/h以下かつ1m以内で停止できる速度が徐行速度と周知されています。徐行指示された場所で事故を起こした場合は、速度にかかわらず徐行義務に違反したことになります。

    また、道路状況の見極めはドライバーにとって必須です。例えば、乾燥路面と雪道を比較すると、同じ速度でも停止距離に大きな差が出ます。徐行をする際は一定速度にこだわらず、確実に安全を確保できるように走行する必要があります。

    2.徐行が必要な場所

    徐行が必要な場所は標識および道路標示によって指示されているほか、標識等がなくとも道路交通法によって徐行が義務付けられている場所があります。

    徐行の標識がある場所

    赤く縁取りされた白い逆三角形の看板に青字で「徐行」と描かれた標識が徐行標識です。この標識がある場所では徐行をしなくていけません。訪日観光客向けに「SLOW」と英語表記を追加した徐行標識もあります。

    左右の見通しがきかない交差点

    信号機がないうえ左右確認が困難な場所も徐行が指示される場所です。安全な速度で走行し、人や自転車、自動車などが接近していないかどうか確認する必要があります。

    道路の曲がり角付近

    急角度で折れ曲がった道路の通行は、道路から逸脱する恐れがあります。道路交通法には、曲がり角による見通しの良し悪しについては触れられていないため、すべての曲がり角で徐行をしなくてはいけません。

    上り坂の頂上付近

    上り坂の頂上から前方は、坂の頂点部に視界が遮られ死角が生じます。その先にいる停車車両や対向車の発見が遅れる場合があるため、徐行しながら走行する必要があります。

    こう配の急な下り坂

    下りの急こう配は重力により車速が高まるため、車が止まりづらくなります。急こう配では、エンジンブレーキとフットブレーキを併用してしっかりと車速を落とし、安全な速度で通行しましょう。

    3.その他の徐行すべき場面

    道路交通法では、場所だけでなく状況によっても徐行義務が設けられています。次の場面では徐行をする必要があります。

    • 交差点の右左折時
    • 道路外に出る際の右左折時
    • 優先道路に進入する時
    • 歩行者との安全な距離が保てない時
    • こどもや高齢者、身体に障がいのある方が通行している時
    • 通学・通園バスのそばを通る時
    • ぬかるみや水たまりを通行時、周囲に迷惑を及ぼす恐れがある時
    • 環状交差点(ラウンドアバウト)で左折をする場合
    • 特別な許可を得て歩行者用道路を通行するとき

    最徐行の標示とは

    最徐行と標示された場所では、徐行よりもさらに速度を落として走行しつつ、より周囲に注意する必要があります。ただし、道路交通法には最徐行の義務は定められてはいません。最徐行は工事現場や施設の管理者などが安全な通行を促すために設置するもので、法的拘束力はありませんが、徐行標識がある場所以上の危険が潜んでいると認識しましょう。

    4.徐行違反時の反則点数・反則金額

    徐行の義務に違反した場合は、場所や状況に応じて罰則名が異なります。いずれも2点の反則点数と、普通車の場合は7,000円の反則金額が科せられます。悪質と判断される場合は「安全運転義務違反」に問われる場合もあります。

    また、歩行者に対する「泥はね運転」は、違反点数が科せられないものの歩行者との距離によっては「歩行者側方安全間隔不保持等」や「安全運転義務違反」に問われる場合があります。水はね・泥はねを受けた歩行者が被害届を出した場合、損害賠償責任が発生する恐れがあることも覚えておきましょう。

    5.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

    徐行は具体的な速度が指示されていないうえ、標識で指示されていなくとも徐行をしなくてはならない場所や場面が多々あります。飛び出しの危険がある住宅街や商店街などは、標識が設置されていなくとも徐行するのが望ましい場所です。

    また、徐行に対する認識や速度にはドライバーによってズレがあるため、徐行をする前には後続車と追突しないよう注意を配る必要があります。道路交通法施行令第21条では、徐行をする前にブレーキランプを点灯させて後続車に合図を出すように義務付けられています。ブレーキペダルとブレーキランプは連動しているため、ほとんど意識する必要はありませんが、大きく減速する前にブレーキランプを点灯させて後続車に徐行の合図を送るようにしましょう。

    徐行運転はある意味、状況次第ではどんな場所であっても必要とされる運転方法となります。「なんとなく大丈夫そう」でやり過ごす運転ではなく、注意深く状況を確認しながら徐行運転をするよう努めていくことが大切です。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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