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自然災害への備え...約7割 が"準備不足"を実感。 見落としがちな防災対策と、被災時に自動車を活用するための準備とは?〜調査編〜

更新

2020/10/26

公開

2020/10/26

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全国的に様々な自然災害が頻発する昨今。自分自身や身近な人が被災を経験したり、悲惨な災害報道を目の当たりにしたりして、自然災害に対する防災意識が高まっているという人も多いのではないでしょうか。

今回、自動車保険を扱う当社は、「自動車と災害」をテーマにインターネットアンケートを実施。自家用車所有率が高いとされる40〜50代の男性800人(全国)を対象に、防災に関する意識調査と、災害時における自動車の利用について調査を実施しました。
自動車は災害時、避難手段として活用されたり(車による避難を原則禁止している自治体もあります)、「車中泊」を行うことで被災生活の場所の一つとして活用されたりしています。特に新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、クローズドな空間とプライバシーの確保ができる避難生活の方法として、車中泊が注目を集めつつあります。

しかし、実際に被災生活の方法として、どの程度の人が車中泊を選択肢の一つとしているのでしょうか?
また、どのくらいの人が、車中泊に必要な備えを十分にしているのでしょうか?
調査結果から見えてきた、今後必要となる災害への準備や行動、そして災害時の車の活用方法について解説していきます。

目次

    1.被災経験理由の約7割が、豪雨・台風

    実際のところ、自然災害の被災経験がある人は、どのくらいいるのでしょうか?
    「自然災害の被災経験がありますか」といった質問に対し、「被災経験あり」と答えた人は全体の14.5%で、約7人に1人という結果となりました。地域別に見てみると、三大都市(一都三県、大阪、名古屋)とそれ以外の地域とで、ほとんど差がないことが分かります。

    自然災害の被災経験有無

    「被災経験あり」と回答した116名に対し、被災した災害の種類を質問したところ、突風・竜巻が1割、地震が3割強なのに対し、豪雨・台風(含む浸水・土砂崩れ)は約7割と最も多い結果に。豪雨・台風が地域を問わず頻発していることがうかがえました。

    自然災害の被災有無【被災経験あり エリア別】

    そうした背景があってか、人々の災害に対する危機感も、居住地にかかわらず、以前より強まっているようです。
    「居住地において自然災害の危険性が高まっていると感じるか」といった質問では、全体の半数以上の人が「高まっている」「やや高まっている」と回答。特に、被災経験者については、約8割の人が「高まっている」「やや高まっている」と回答しています。

    居住地域自然災害危険性

    2.十分な防災準備ができていると思う人は、たった3割程度

    それでは、このような自然災害への危機感の高まりは、防災対策にどの程度生かされているのでしょうか?

    「防災に対してどんな備えをしていますか」といった質問では、懐中電灯をはじめ、乾電池や充電器、非常用の食料や飲料水などを中心に、全体の約8割の人が何かしらの準備をしていると答えています。

    防災への備え

    しかしながら、「現状の備えが十分だと思いますか」といった質問に対し、「十分」または「まあまあ十分」と答えた人は3割ほど。被災経験者では約4割と、1割ほど高くなったものの、全体では7割の人が災害への備えが足りていないと自覚している状況です。

    なかでも、「災害時の一次避難所の確認」や「職場や学校からの徒歩による帰宅ルートの確認」、「非常時の安否確認や連絡手段」などについての準備は、2割程度、またはそれ以下の実践にとどまっています。災害時に必要となる「モノ」を備える準備よりも、災害時に必要となる「行動」に対する備えが、不足しているともいえそうです。

    防災への備え意識

    例えば、皆さんは「ハザードマップ(防災マップ)」をご存知でしょうか? ハザードマップは、各市区町村において各種の災害が起きた際に、危険が想定されるエリアや避難できる場所、そのための経路などを示した地図のことです。

    しかし、「防災マップ・ハザードマップを知っていますか?また、見たことはありますか?」といった質問では、ハザードマップの存在を知っていて、なおかつ実際に見たことがあると回答した人は、被災経験者でさえ約6割。存在は知っているが見たことのない人、まったく知らない人が全体の4割以上を占めており、多くの人が居住地の危険エリアや避難場所を認識できていないことになります。

    防災マップ・ハザードマップ認知

    この結果から見えてくるのは、防災意識の高まりが、まだまだ実際のアクションにつながっていないということです。実際に災害が起きた時には、備蓄ももちろん重要ですが、ハザードマップなど、避難行動の指針になる情報の確認も欠かせません。
    「避難」という行動にリアリティを感じられない人も多いかもしれませんが、もしもの時の自分や家族の安全のために、必ずチェックしておきましょう。

    3.車中泊経験者の6割が「屋内避難を選びたい」。その理由は...?

    いつ、どのような状況で起こるか分からない自然災害。特に自動車を保有している人は、被災時における自動車の活用方法についても想定しておくべきでしょう。

    自動車は、避難のための移動手段としてはもちろんのこと、避難生活を行う場所の一つとしても活用されています。昨今では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、「三密」が問題視されていることもあり、多くの人が集まる避難所ではなく、車中泊による避難生活が必要となる可能性も考えられます。

    そこでアンケートでは、自動車を利用した防災対策、そのなかでも車中泊について調査を実施しました。

    「災害時に車中泊避難を選びたいですか?」といった質問では、「車中泊避難を選びたい」と回答した人が全体の3割強、被災経験者では4割強という結果が出ました。避難所よりも車中泊を選択する理由としては、プライバシーの確保や感染症リスクの軽減、子どもやペットがいることに対する懸念などが多く挙げられました。

    避難所等での車中泊選択意向

    車中泊選択理由

    今回のアンケート回答者の内、実際に車中泊避難を経験したことのある42名にフォーカスすると、車中泊選択意向は4割程度と被災経験者の割合と大きな差はありませんが、「屋内避難を選びたい」と回答した人が6割弱と高くなっています。

    その理由の一つとして、事前の準備不足から来る、車中泊の過ごしにくさが考えられます。

    「災害に備え、緊急用具や防災用具を車に積んでいますか?」といった質問では、約4割の人が何らかの用具を積んでいると答えています。その割合は地方よりも三大都市の方が高く、特に被災経験者だと半数以上となっています。

    緊急用具、防災用具の車載有無

    具体的に車に積んでいる防災用具を聞いてみると、調査の全体では「とくに何も載せていない」と回答する人が最も多く、非常食や飲料水、携帯用トイレについては1割にも満たない結果となりました。車を利用しての避難生活・車中泊を行うにあたっては、十分な備えであるとは言いにくい結果となりました。

    車中泊経験者のうち「屋内避難を選びたい」と回答した人が多かったのは、こうした準備不足による車中泊経験があるためと推測できます。実際、車中泊避難を経験した人に限って見てみると、ブランケットや非常食・飲料水の搭載率が未経験者に比べて高くなっています。

    自然災害のような予期せぬ事態においては、必ずしも屋内へ避難できるとは限らないことから、車中泊経験者ほど過去の経験を生かし、いざという時には車中泊を行えるよう、こうした用具の準備をしていることがうかがえます。

    4.まとめ

    今回の調査結果では、人々の防災意識が高まりを見せる一方で、約7割の人が対策不足を感じていることが分かりました。いつ自然災害が起こり、自分の身に危険が降りかかるかは誰にも予測ができません。「いつかその内」と先延ばしにするのではなく、今このタイミングで準備状況を見直してみてはいかがでしょうか。

    後編では、自然災害時の避難、その際の選択肢の一つとしての「車中泊」に関して、SOMPOリスクマネジメント株式会社・梅山吾郎さんの意見を伺います。

    災害時の避難についての考え方や事前の備え、車中泊を選択する際の注意点についても解説します。

    おとなの自動車保険はこちら

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