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高速道路(高速自動車国道)と自動車専用道路は違う?知っておきたい道路の知識を徹底解説!

更新

2023/02/22

公開

2023/02/22

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「高速道路」と聞くと、東名高速や名神高速、首都高速、阪神高速などを思い浮かべる方も多いかもしれません。実は、いわゆる高速道路には「高速自動車国道」と「自動車専用道路」の2種類があります。

東名高速や名神高速は高速自動車国道、首都高速や阪神高速は自動車専用道路です。どんな違いがあるのかわかりづらいですよね。そこで、2つの違いや名前の由来、制限速度、料金、通行できない車両など、知っておきたい知識をわかりやすく解説します。

目次

    1.高速道路とは?

    高速道路とは、車が高速かつ安全に走行できるように整備された自動車専用の道路ことで、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」に分かれます。まずは、高速自動車国道について見てみましょう。

    高速自動車国道は、高速自動車国道法で「全国的な自動車交通網の枢要部分を構成」すると定義されています。つまり、都道府県をまたがって日本全国に張り巡らされている高速道路ネットワークで、現在、実延長が9,050.3kmあります(2020年3月31日現在。国土交通省)。また、以下の特徴を持っています。

    • 国道である
    • 一般道路からはインターチェンジで出入りする
    • 立体交差
    • 中央分離帯がある
    • サービスエリア、パーキングエリアが設置されている

    高速道路(高速自動車国道)は4路線しかない?

    高速自動車国道は「○○高速道路」「○○自動車道」といった名称になっていますが、高速道路と名のつく高速自動車国道は、「東名高速道路」「新東名高速道路」「名神高速道路」「新名神高速道路」の4路線だけです。

    ところが、これら4路線も正式な名称ではなく、法定路線名は下記の通りです。

    • 東名高速道路=第一東海自動車道
    • 新東名高速道路=第二東海自動車道 横浜名古屋線
    • 名神高速道路=中央自動車道 西宮線
    • 新名神高速道路=近畿自動車道 名古屋神戸線

    このようにいずれも正式名称は「○○自動車道」です。それでは、なぜ東名・名神は高速道路と呼ばれているのでしょうか?

    理由は歴史的な背景にあります。名神高速道路が全線開通したのが1965年、東名高速道路は1969年です。いずれも日本初の高速道路として大きな注目を浴びました。その中で、「東名高速」「名神高速」という通称が広く定着。ドライバーにも受け入れられやすいと考えられ、例外的に通称が道路標識などにも使用されるようになったのです。

    2.自動車専用道路とは?

    次に、自動車専用道路について見てみましょう。自動車専用道路にはいくつか種類があり、大きく分けると国土交通大臣が管理者となる「一般国道自動車専用道路」と、都道府県及び指定市が管理者の「都市高速道路」があります。前者は国道で、後者は都道府県道及び市町村道です。

    一般国道自動車専用道路は、本州四国連絡道路など全国各地にあります。都市高速道路は、首都高速道路や阪神高速道路などのことで、東京・名古屋・大阪・広島・北九州・福岡の6つの都市にあります。

    これら自動車専用道路はその名の通り、自動車のみが走行できるように指定された道路です。「運行に支障のある市街地やその周辺の交通を円滑にする」「道路交通騒音による障害の防止」などが、主な目的として道路法に定められています。

    3.高速道路(高速自動車国道)と自動車専用道路の違いは?

    それでは、高速道路(高速自動車国道)と自動車専用道路はどのように違うのでしょうか?制限速度や料金、通行できない車両について解説します。

    制限速度の違い

    高速道路(高速自動車国道)は普通乗用車が最高速度100km/h、最低速度50km/hと規定されています。これは、速度規制がかかっていない本線車道の場合です。80km/hなど最高速度が指定されていれば、そちらが優先されます。

    一方、自動車専用道路は一般道と同じで、基本的には最高速度60km/h、最低速度の規定はありません。高速道路(高速自動車国道)のつもりで自動車専用道路を走行するとスピード違反になることがありますので注意が必要です。ただし、場所によっては最高速度が70km/hや80km/hに引き上げられていることがあります。必ず標識を確認しましょう。

    料金の違い

    高速道路(高速自動車国道)は、建設費用を利用者から徴収して返済する仕組みになっています。料金体系は一部の均一料金区間を除いて全国同じで、車種や走行距離などによって変わります。

    計算方法は「(1kmあたりの料金×走行距離+ターミナルチャージ150円)×1.1(消費税率)」で算出します(端数については4捨5入し10円単位)。1kmあたりの料金は車種などによって変わります。

    【高速自動車国道の基礎的な料金体系】

    1kmあたりの料金 ターミナルチャージ
    (利用1回あたり)
    普通車 24.6円/km 150円
    中型車 29.5円/km
    大型車 40.6円/km
    特大車 67.7円/km
    軽自動車 19.7円/km

    1kmあたりの料金は走行する区間によっても異なります。普通車の場合、下記の通りです。

    • 大都市近郊区間:29.52円/km
    • 長大トンネル区間(関越・恵那山・飛騨):39.36円/km(ETC車については2024年3月31日まで24.6円)
    • 海峡部等特別区間:108.1円/km

    また、100kmを超える長距離の場合は、100〜200kmまでは25%、200km以上は30%の割引になります。また、国と地方自治体が費用を出し合う「新直轄方式」と呼ばれる方法で建設され、無料になっている区間もあります。

    なお、高速道路(高速自動車国道)の有料期限は2065年までで、それ以降は無料化することになっていましたが、2023年に有料期限を最長2115年まで延長する方針を固めているようです。

    一方、自動車専用道路は、建設費の一部を地方自治体が負担しており、通行料金が無料のことが多いようです。有料区間の料金も地方自治体によって異なります。

    通行できない車両の違い

    通行車両にも違いがあります。高速道路(高速自動車国道)では、下記の車両は通行できませんので注意しましょう。

    • ミニカー
    • 総排気量125cc以下の普通自動二輪車
    • 原動機付き自転車
    • 小型特殊自動車(農耕作業車など)
    • けん引車両(けん引装置・被けん引装置のある車両を除く)
    • 50km/h以上の速度が出ない車両

    自動車専用道路でもミニカーや総排気量125cc以下の普通自動二輪車、原動機付き自転車は通行禁止ですが、小型特殊自動車、けん引車両は通行可能です。

    4.誤って自動車専用道路に入ってしまったときの対処法

    標識を見落とし、誤って原付で自動車専用道路に入ってしまったときはどうすれば良いのでしょうか?そんなときには慌てずに、次の流れで対処しましょう。

    1. 路肩に止めて安全を確保
      自動車専用道路では一般道よりも速いスピードで車が走っていますので、原付が走行するのは非常に危険です。他の車の妨げにもなります。間違えたと気づいた時点で、すみやかに路肩に止めましょう。
    2. 警察へ連絡
      警察に電話をして、自動車専用道路に入ってしまったことを伝えます。その後、警察がきますので、誘導に従って出口まで移動します。
    3. 反則金の支払い
      原付などで自動車専用道路を走行すると、通行禁止違反になり、減点2点、5,000円の反則金が課せられることがあります。

    自動車専用道路はインターチェンジなどがなく、一般道からそのまま入れるケースが少なくありません。高速自動車国道や自動車専用道路の入り口には、下記の道路標識が設置されていますので、間違えて入ってしまわないように標識をしっかり確認しましょう。

    【自動車専用の標識】

    5.監修コメント

    高速道路や自動車専用道路には、誤って歩行者が進入してしまうことがあります。
    私自身、最近特に注意が必要だと感じているのが、行楽地の近くを通る自動車専用道路です。2ヶ月ほど前、富士五湖周辺の自動車専用道路で、1日に2回もバックパックを背負って歩く外国人観光客に遭遇したからです。
    高速道路や自動車専用道路で歩行者を発見したときは、「110番」または「道路緊急ダイヤル♯9910」に通報しましょう。運転中に発見した場合は、同乗者に電話をかけてもらうか、SA・PAに車を停めてから通報してください。最寄りの料金所に連絡することも推奨されています。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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