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アイスバーン(路面凍結)とは?種類や発生しやすい場所、運転のコツについて

冬道の運転でもっとも注意したいのは、路面が凍結するアイスバーンです。しかし、ひとくちにアイスバーンといっても気象条件や道路環境によって種類がいくつかあります。

ここでは、より安全な冬道運転のために、アイスバーンの発生しやすい条件や場所、アイスバーンを安全に走行するコツなどを解説します。

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1. アイスバーン(路面凍結)とは

路面上の水分が凍結して起こるアイスバーンは非常にタイヤが滑りやすく、雪道の中でも特にドライバーを悩ませる路面状態です。アイスバーンではスタッドレスタイヤや滑り止めチェーンを装着していたとしてもスリップが起こりやすいため、特に慎重な運転が求められます。

水が凍結する温度は0℃ですが、アイスバーンは気温が0℃以上でも発生します。気温がおよそ5℃以下になると路面温度はそれ以下にまで下がるため、アイスバーンが発生しやすい状況となります。


2. アイスバーンの種類

アイスバーンには発生する気象環境や道路環境によって3種類に分けられ、それぞれのアイスバーンで滑りやすさや注意点が異なります。まずはアイスバーンの種類を把握しましょう。


2.1. 圧雪アイスバーン(圧雪路)


雪がタイヤによって踏み固められて、硬く圧縮された状態の路面を圧雪アイスバーン(圧雪路)といいます。アイスバーンの中では比較的滑りにくいものの、日差しや雨で濡れることで滑りやすくなるため油断は禁物です。

道路が一面白色の圧雪アイスバーンは色による判断がしづらいため、太陽光やヘッドライトの反射光で滑りやすさを確認しましょう。濡れた圧雪アイスバーンは光を鋭く反射します。それに対して、凍った圧雪アイスバーンはやや鈍く反射しますが、通行する車のタイヤによって磨かれることによって鏡のように光を反射するミラーバーンに変化します。


2.2. ブラックアイスバーン



ブラックアイスバーンとは、道路が薄い氷で覆われた状態を指します。非常に滑りやすい上、特に夜間は濡れているだけの路面と見分けがしづらいため、凍結していることに気づかず十分に速度を落とさずに進入してしまうと大きな事故につながりかねません。

ブラックアイスバーンは特に降雨後に気温が急激に下がるなどした場合に発生しやすく、雪が降らない地域でも注意が必要です。気温に加えて直前の天気にも気を配り、発生を予測しましょう。


2.3. ミラーバーン(鏡面圧雪)


ミラーバーンとは、往来する車のタイヤによって鏡のように磨き上げられたアイスバーンです。非常に滑りやすいですが、太陽光やヘッドライトを反射しやすいため事前に気づきやすい特徴があります。交通量の多い場所や、交差点手前などブレーキを多用する場所に発生しやすい傾向があります。


3. アイスバーンが起こりやすい場所

アイスバーンが起こりやすい場所はある程度特定ができます。以下の場所を走行する際は特に慎重な運転を心がけましょう。


3.1. 橋の上



橋や高架の上は地熱が届かず冷たい風も吹きつけやすいため、最もアイスバーンになりやすい場所です。また、構造上結露が起きやすく、天候にかかわらずブラックアイスバーンにもなりやすい特徴があります。

周辺の道路は凍結していないのに橋だけがアイスバーンになっているという状態も珍しくありません。気温にかかわらず、橋への進入時には十分に速度を落とすことが大切です。


3.2. トンネルの出入り口


トンネルの出入り口付近は強い風が吹きやすく、路面が冷やされアイスバーンになりやすい環境です。また、出入り口の方角によっては山影となり、晴れた日でも路面の氷が溶けづらい特徴があります。

一方、トンネル内部は凍結しづらく速度が出がちですが、トンネルを抜けた先がアイスバーンになっていることも珍しくありません。トンネルの出入り口付近ではしっかりと減速をしましょう。


3.3. 交差点付近


交差点付近は往来する車のタイヤによって路面が磨かれるため、圧雪アイスバーンやミラーバーンになりやすい箇所です。滑ってオーバーランしてしまうと交差点へ飛び出してしまったり、停車中の車に追突してしまったりする恐れがあるため、早めの減速を心がけましょう。

また、アイスバーンでは発進時のタイヤの空転にも注意が必要です。交差点付近では、特に慎重なブレーキ操作とアクセル操作が求められます。


3.4. 陽の当たらない場所


陽の当たらない場所は太陽光が遮られ、路面の氷が溶けづらい環境です。気温や方角によっては、晴れた天気にもかかわらず一日中氷が溶けないこともあります。乾いた路面が続く道路でも、山やビルなどによって太陽光が遮られている場所だけが凍っている場合もありますので、日陰に差し掛かった場合には注意が必要です。


4. アイスバーン(路面凍結)時の運転のコツ・注意点

アイスバーンでは、走行するのにふさわしい車の状態と適切な操作が求められます。アイスバーンを走行するうえでのコツや注意点を解説します。


4.1. スタッドレスタイヤ(チェーン)の装着


アイスバーンを走行する際には冬用タイヤの装着は必須です。スタッドレスタイヤは、サマータイヤよりも柔らかいゴムと路面の水分を除去するための細かな切込みが入っていることで、氷に食いつくよう設計されています。

タイヤチェーンは脱着可能な滑り止めであり、金属チェーンと、ゴム製、布製(特殊繊維製)など非金属のタイプがあります。

雪道においてサマータイヤでブレーキを踏んだ場合、スタッドレスタイヤよりもおよそ1.3倍以上も制動距離が伸びます。とはいえ、スタッドレスタイヤやチェーンはサマータイヤよりも滑りづらいだけであり、決して滑らないタイヤではありませんので、十分に注意を払った運転が必要であることに変わりはりません。


4.2. 急ハンドル・急ブレーキをしない


急ハンドルや急ブレーキなど「急」が付く操作をすると、路面とタイヤの食いつきが一時的に失われるため、車が滑りやすくなります。場合によってはその場で横回転をする場合もあります。

アイスバーンでの急ハンドルや急ブレーキは非常に危険な行為であると認識し、ハンドルは一気に切らず、滑り出さないことを確認しながらゆっくりと切り込みましょう。ブレーキ時は、弱いエンジンブレーキを併用した丁寧なブレーキ操作が肝心です。


4.3. 通常よりも車間距離をあける


滑りやすい路面では乾燥路面のように思い通りの減速ができないため、滑ってしまった時のために長めの車間距離をとることが大切です。また、前や周囲を走る車が突然滑り出し、立ち往生する危険性もあるため、何があっても停止できるだけの車間距離を確保したいところです。車は速度が高まるほど止まりづらくなるため、車間距離が確保できない場合には速度を落としましょう。


4.4. ポンピングブレーキを心掛ける


アイスバーンでは断続的にブレーキを効かせるポンピングブレーキが有効です。滑りやすい路面で強くブレーキを踏んでしまうと、タイヤが回転を停止してしまうブレーキロックが起きることがあります。ブレーキロックを起こすと制動距離が伸びるうえ、ハンドル操作が効かなくなってしまいます。

多くの車には自動的にブレーキロックを防ぐアンチ・ロック・ブレーキシステム(ABS)が搭載されています。しかし、アイスバーンでABSが作動するとかえって制動距離が伸びてしまう場合もあります。ABSは最終手段と考え、ABSが作動しない程度に軽くブレーキを踏んだらすぐ戻し、再びブレーキを踏んでは戻すポンピングブレーキを使って、確実な減速を心がけましょう。


5. 監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

アイスバーンでの走行は、いわばスケートリンクを車で運転しているような状態です。タイヤの性能を過信せず、急ハンドルや急ブレーキをしなくても済むような余裕を持った運転をしなければいけません。

アイスバーンを走行するコツは先読み運転です。気温や気象情報、アイスバーンが発生しやすい場所を事前に把握するだけでも、不意なスリップを防ぐことができます。また、路面の状態を見極めることでアイスバーンに対して適切な操作が行えるようになります。

そして、どんなアイスバーンに対しても確実に効果を発揮するのは、速度を落とすことです。通勤時間などにも余裕をもって、安全な冬道運転を心がけましょう。

監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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