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応急救護とは?教習所の講習の流れや内容、持ち物を解説!

更新

2024/03/25

公開

2024/03/25

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教習所の学科教習には、交通事故による負傷者を救護する方法を学ぶ応急救護教習があります。この教習は座学だけではなく、実技を通して心臓マッサージや人工呼吸等の知識を身につけていきます。本記事では、応急救護の教習の流れや内容、必要な持ち物などについて解説します。

目次

    1. 教習所の応急救護教習とは

    交通事故が発生した時には、すぐに車を停止させ、負傷者を救護しなければなりません。負傷者の意識や怪我の程度などを確認し、状況によっては人工呼吸や心臓マッサージなどを行う必要があります。こうした応急救護の処置を学ぶのが、教習所の応急救護教習です。道路交通法第七十二条で定められている通り、交通事故による負傷者を救護することはドライバーに定められた義務です。

    "交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。"(道路交通法第七十二条より一部抜粋)

    重要な教習ですが、以下の一部資格保持者は応急救護教習の受講が免除されます。

    • 医師
    • 歯科医師
    • 保健師
    • 助産師
    • 看護師
    • 准看護師又は救急救命士
    • 消防法施行令(昭和 36年政令第 37号)第 44条第1項又は第 44条の2第1項の救急隊員
    • 日本赤十字社救急法指導員を有する方
    • 都道府県公安委員会が応急救護処置に必要な知識の指導に関し、「日本赤十字社救急法指導員を有する方」と同等以上の能力を有すると認める方

    2. 応急救護を学ぶ重要性

    交通事故が発生した時、その場に居合わせた人が応急救護をすることで、負傷者の命を救える可能性が高まります。日本では119番通報をしてから救急車が到着するまでの時間は平均約9分。心臓と呼吸が止まると、時間の経過とともに救命の可能性は急低下していくため、この数分の処置が負傷者の生死を分けることがあります。実際に、この間に応急手当てを行えば、救命の可能性が約2倍になるというデータも出ています。

    いつ交通事故にあうかはわかりません。万一の時に備えて、応急救護の方法を学ぶことは非常に重要なのです。

    3. 応急救護の教習に適した服装や持ち物

    服装

    教習所の応急救護教習では、心臓マッサージや人工呼吸などの実技も行うため、膝をついたり、立ち上がったりする場面があります。スカートは避け、ズボンなどの動きやすい服装で受講しましょう。また、人工呼吸をする際に邪魔になってしまうため、髪が長い場合は結んでおいた方が良いです。

    持ち物

    教習原簿と、メモのための筆記用具を持参しましょう。教材はその場で配布されることが多いので、あらかじめ用意しておく必要はありません。ただし事前配布・当日持参の場合もありますので、通っている教習所に確認するようにしてください。

    4. 教習の流れや具体的な内容

    教習所で応急救護教習を受けるタイミングは、仮免許取得後の第二段階の学科教習です。全3時限で、1時限目が座学、2〜3時限目が実技。連続して3時限受講します。応急救護教習は予約制をとっている教習所がほとんどなので、あらかじめ予約をしてから受講しましょう。それぞれの教習では、以下のような内容を学びます。

    1時限目:応急救護の基礎知識(座学)

    1時限目では、教材映像や資料で、交通事故にあった負傷者を救済するための応急救護の基礎知識を学びます。具体的には、心肺蘇生の方法、AED(動体外式除細動器)の使用方法、止血の仕方などです。2時限目、3時限目での実技のために、まずは座学を通して応急救護の知識を身につけていきます。

    2時限目:応急救護の実践学習(実技)

    2時限目からは、実技です。最初は、教官が応急救護の一連の流れを示してくれます。具体的には、負傷者の意識があるかを確認したり、大声を出して周囲に応援を求め、周りの通行人などに119番通報やAEDを持ってきてもらうよう依頼したりといった内容です。また、心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用方法など、教官の動作を見ながらやり方を学びます。

    3時限目:応急救護の実践練習(実技)

    ここからは、いよいよ受講者による実践練習に入ります。1時限目と2時限目で得た知識をもとに、模擬人体装置を使用して、心臓マッサージや人工呼吸を行っていきます。また傷病者を発見した時に行う周囲への声かけ、 AEDの使用なども実践します。

    5. 一般向けの講習でも応急救護を学べる

    受講から時間が経ってしまった等で、応急救護のやり方を忘れてしまった方もいるでしょう。応急救護の知識と技術を持っていれば、交通事故以外の場面でも、大事な人を救える可能性が高まります。「応急救護の方法をもう一度学びたい」といった場合には、一般の方向けの講習を受講するのも一つの手です。

    消防署によっては、心肺蘇生やAEDの使い方、心臓マッサージの方法など、教習所の応急救護教習に相当する講習や、乳児・小児に対して行う心肺蘇生・傷病者の搬送方法などを学べる上級救命講習を実施していることがあります。勉強したい方は、お近くの消防署のホームページなどを確認のうえ問い合わせてみましょう。

    6. 交通事故で救護を怠ると罰則が科せられる可能性も

    道路交通法にある通り、自身が交通事故を起こした時は、車を停止させ、負傷者を救護し、警察に報告しなければなりません。これはドライバーに課せられた義務です。もし負傷者を救護しなかった場合、救護義務違反として「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という罰則が科せられます。行政処分としては違反点数35点がつき、一発で免許の取り消し処分を受けることになります。

    注意しなければならないのは、以下のようなケースでも「救護義務違反」とみなされてしまう可能性があることです。

    • 相手の車に接近してしまったことで、相手が急ブレーキをかけ、転倒した。直接接触はしていないので、停止せずに立ち去った。
    • 相手が突然路上に飛び出してきて、自分の車とぶつかった。自分は悪くないので、停止せずに立ち去った。
    • 交通事故を起こした相手に外見上の怪我がなく、相手も「大丈夫」と言っていたので、そのまま現場を離れた。

    交通事故を起こした場合には、どのようなケースであっても車を停止し、相手に怪我がないかを確認し、警察に報告する義務があります。また、その場では相手が「大丈夫」と言っていても、後日に痛みが発生する場合もありますし、そもそも負傷をしているか・していないかは医師でなければ判断できません。相手に外傷がなかったとしても、警察に報告するとともに、医療機関への受診をしてもらう話をしましょう。

    7. 監修コメント

    不思議なもので、事故現場に居合わせやすい人がいるようです。どうやら私がそのタイプのようで、これまで4度救急車を呼んだことがあります。

    交通事故発生時は、人命救護が最優先です。110番よりも先に、119番通報をしましょう。

    119番通報をすると、救急と消防のどちらなのかと、場所や状況を聞かれます。電話をしながらでも構いませんので、電柱に書かれている住所や目印になりそうな周囲の建物、傷病者の状況を確認しましょう。その際にどのような処置をしておくべきなのかを聞いておけると、なおよいでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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