電気自動車はガソリン車と比較すると燃料代を抑えられ、騒音が少なくパワフルな走行が魅力です。しかし、電気を充電して動力源とする電気自動車とガソリン車との燃料補給の違いに戸惑う場合もあるかもしれません。
電気自動車の燃料補給には「急速充電」と「普通充電」がありますが、どちらを利用するべきか分からない方もいるでしょう。
本記事では、電気自動車の「急速充電」について解説します。普通充電との違いや急速充電のメリットとデメリット、急速充電場所の探し方や使用法も紹介するので参考にしてください。
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1.電気自動車(EV)の急速充電は短時間での充電が可能
電気自動車の急速充電とは、3相の高出力の電源を使用し、比較的短時間での充電が可能な充電方法のことです。
充電器により出力の違いはありますが、大出力の急速充電器の場合は80%充電まで約15~30分で行えるとされており、普通充電に比べて短時間で多くの充電ができる点が特徴です。
急速充電器は大きな電力が必要となるため、高速道路のSAなどの公共充電スポットに主に設置されています。
2.電気自動車(EV)の急速充電と普通充電の違い
急速充電と普通充電の大きな違いは、充電に利用される充電方式の違いです。電気自動車の普通充電は、一般家庭でも使用されている単相100Vまたは200Vの出力で充電がなされます。
一方で、急速充電は3相200Vを使用しており、普通充電に比べ短時間で充電を行うことができます。急速充電と普通充電の違いをまとめると以下のようになります。
項目 | 急速充電 | 普通充電 |
---|---|---|
充電時間 | 約30分 | 約8時間以上 |
充電料金※ | 27.5~99円/分 | 3.3~3.85円/分 |
出力 | 直流電源 | 交流電源 |
電源の種類 | 10kW~150kW | 3kW~6kW(200Vの場合) |
充電場所の例(プライベート) | ほとんどない | 戸建、マンション、駐車場、ビルなど |
充電場所の例(パブリック) | 高速道路のSA・PA、ガソリンスタンド、道の駅、商業施設や宿泊施設、カーディーラー、コンビニなど | 病院、カーディーラー、商業施設や宿泊施設、時間貸しの駐車場など |
上表によると、両者は主に充電時間や充電料金、充電場所などに違いがあります。
急速充電は短時間で充電ができる一方、普通充電と比較すると時間当たりの充電料金が高く、充電場所も公共の場所などに限られがちです。また、急速充電の価格は現在非常に高騰しているため、各充電サービスが提供しているプランや会員割引を利用するなど、ご自身の用途に合ったものを選ぶことをおすすめします。
また、普通充電は急速充電と比べると時間当たりの充電料金を抑えられますが、充電に時間がかかります。電気自動車を充電するときは、目的に応じてそれぞれの特徴を把握しておくと良いでしょう。
急速充電の設置場所の探し方
お住いのエリアや旅行や出張などで移動途中に設置場所を探すときは、充電スポット専用の検索サイトが便利です。例えば、以下のサイトで急速充電の設置場所を探すことができます。
e-Mobility Power GoGoEV EVsmart
電気自動車の普及にともない、様々な充電スポットを検索できるサービスが展開されているため、ご自身の使いやすいサービスに登録すると便利でしょう。
SA・PO・POのカーライフマップが便利!
セゾン自動車火災保険では、日常シーンに寄り添う便利なサービスサイト「SA・PO・PO」を運営しており、電気自動車の充電スポットにも対応した「カーライフマップ」をご提供しています。
3.電気自動車(EV)の急速充電のメリット
急速充電の主なメリットは以下のとおりです。
- 普通充電に比べると短時間で充電できる
- 電欠などの緊急事態に対応しやすい
各メリットを詳しく紹介します。
普通充電に比べると短時間で充電できる
急速充電の大きなメリットは、充電スピードが速く、普通充電に比べると比較的短時間で充電できる点です。
普通充電の場合は数時間以上の充電時間が必要となりますが、急速充電なら30分前後の充電時間でも約80%までの充電が可能です。仕事の合間やお買物中など、車を一時的に使用していない時間を利用して充電できる利点があります。
また、電気自動車はガソリン車と比較すると航続距離が短く、長距離の移動では充電する機会が増える傾向にあります。急速充電は充電スピードが速いため、滞在時間が短いコンビニや高速道路のSA・PA、道の駅などでの継ぎ足し充電にも便利です。
電欠などの緊急事態に対応しやすい
急速充電は、万一の緊急事態に対応しやすい点もメリットです。
思わぬ渋滞に巻き込まれたり、充電をし忘れたりすることで、電気自動車のバッテリー残量が少なくなるケースも想定されます。バッテリー残量がなくなると「電欠」状態となり、走行できません。
先述のように、急速充電は短時間で走行に必要なバッテリーの充電が可能です。緊急事態や不測の事態にも対応しやすい側面があります。
4.電気自動車(EV)の急速充電利用時のデメリット
急速充電にはメリットがある一方、急速充電の利用には以下のようなデメリットがあります。
- 普通充電と比べると設置場所が少ない
- バッテリーに負荷がかかる場合がある
- 普通充電と比べると使用コストが高い
各デメリットの詳細を解説します。
普通充電と比べると設置場所が少ない
急速充電が可能な充電スポットは、普通充電の充電スポットと比較すると設置場所が少ない現状です。2023年3月時点で普通充電器が約21,000基設置されているのに比べ、急速充電器は約9,000基となっています。
急速充電器の設置台数を設置場所別にまとめた表は、以下のとおりです。
設置場所 | 急速充電器の設置台数 |
---|---|
カーディーラー | 3,442台 |
コンビニ | 1,067台 |
商業施設 | 801台 |
高速道路のSAやPA | 546台 |
宿泊施設 | 65台 |
道の駅 | 755台 |
そのほか | 1,214台 |
※2023年3月現在
急速充電器はカーディーラーやコンビニを中心に設置されており、次いで商業施設や高速道路のSAやPAの順となっています。
なお、国は電気自動車利用者の利便性向上に向け、2030年までの急速充電器30,000基の設置を目標にしています。電気自動車を使用する方が増えるにつれ、今後は急速充電の設置場所も増えていくでしょう。
バッテリーに負荷がかかる場合がある
急速充電は電気自動車のバッテリーに負荷がかかりやすい点もデメリットです。短時間で大量の電力を供給するためバッテリーが高温となりやすく、結果としてバッテリーが劣化する可能性があります。
過去には、繰り返し急速充電のみを行った電気自動車のバッテリー交換料金が高額だった事例もあるため、通常時は普通充電器で充電し、長距離など必要に応じて急速充電器を使用するのもおすすめです。
近年は電気自動車の技術開発が進み、バッテリー自体の性能は飛躍的に進化しています。バッテリーへの影響も小さくなってきていますが、急速充電の短期間での繰り返しの使用には注意したい点です。
普通充電と比べると充電料金が高い
急速充電は、普通充電と比べると充電料金が高いところもデメリットです。例えば充電スポットを利用する場合、普通充電は3.3~3.85円/分の料金で済むところ、急速充電は27.5~99円/分かかってしまい、10倍以上もの金額差があります。(※2023年12月時点)
充電料金を抑えたい場合は、基本的には普通充電、出先での継ぎ足し充電や緊急充電には急速充電を利用するなどの使い分けの工夫が必要となります。
5.電気自動車(EV)の急速充電設置時のデメリット
急速充電器は設置費用が約350万円から数千万円、維持費用が年100万円以上とコストがかかります。
一方、普通充電器の設置費用は数万円から数十万円、維持費用が年数万円です。設置費用やコストの面、自宅であれば長時間の充電も可能な点を考えると、急速充電は自宅への設置に向いていないといえます。
6.電気自動車(EV)の急速充電のやり方
電気自動車の急速充電の手順は、以下のとおりです。
- 充電スペースに車を停める
- 電気自動車に急速充電器の充電コネクタを接続する
- 料金の支払方法を選択して充電を開始する
- 充電終了後、充電コネクタを外して充電口を閉める
手順の具体的な内容を紹介します。
1.充電スペースに車を停める
はじめに、充電スポットの指定されたスペースに電気自動車を停めます。
駐車が終わったらシフトポジションはパーキングにし、電気自動車のメインスイッチをオフにしましょう。メインスイッチがオンのままでは充電が開始されないので、注意してください。
2.電気自動車に急速充電器の充電コネクタを接続する
次に、電気自動車の充電口を開け、急速充電器から伸びているケーブルの充電コネクタを充電口と接続します。
電気自動車の充電コネクタは一般的に「普通充電用」と「急速充電用」の2か所あり、それぞれ規格が異なるので間違えないように注意しましょう。
充電コネクタを電気自動車の充電口に接続するときは、充電口にしっかりと挿し込まれたことを確認してください。確認するときは充電コネクタを軽く手前に引き、抜けないかチェックすると良いでしょう。
3.料金の支払方法を選択して充電を開始する
充電コネクタを接続したあと、料金の支払方法を選択します。
急速充電の料金は、充電サービス会社や自動車メーカーなどが発行する会員カードに事前に紐づけたクレジットカードで支払う方法が一般的です。各充電器の表示にしたがって会員カードの認証を行い、充電開始を選択しましょう。
なお、充電器の種類によってはQRコード決済で支払える場合もあります。
4.充電終了後、充電コネクタを外して充電口を閉める
急速充電の充電時間は基本的に30分です。充電が終了した後、充電器に表示された方法に従って操作を行いましょう。
その後、充電コネクタを外して元のあった場所に戻し、電気自動車の充電口を閉めれば急速充電は完了です。
7.電気自動車(EV)は急速充電と普通充電を上手に使い分けましょう
高い出力での充電が可能な電気自動車の急速充電は、移動中など短時間での充電に役立つ充電方法です。
自宅や目的地では普通充電、移動中の継ぎ足し充電には急速充電のように使い分けると、電気自動車をより便利に使用しやすくなります。
なお、万が一の電池切れに備えたい場合は、ロードサービスが充実した自動車保険への加入がおすすめです。例えば「おとなの自動車保険」のロードアシスタンス特約では、電気自動車の電池切れのときに最寄りの充電スポットまでレッカーで搬送します。
保険期間中であれば、レッカー搬送の利用回数に制限はありません。電気自動車の安全な走行に、「おとなの自動車保険」の活用をご検討ください。