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交差点とは?その定義から事故の過失割合、交通ルールまで一挙に解説!

更新

2023/01/11

公開

2023/01/11

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車や歩行者などが行き交い、交通量の多い交差点。右折しようとしたときに、飛び出してきた自転車とぶつかりそうになりヒヤッとしたことのある方もいるかもしれません。交差点は出会い頭の事故など交通事故も起きやすく、運転者が気をつけなければならないエリアです。

そこで、「交差点とはどこを指すのか」といった疑問から、交差点で起きた事故の例、事故の過失割合、交通ルールなどを解説します。交差点ならではの決まりをしっかり把握しておきましょう。

目次

    1.交差点の定義とは?

    交差点というと、信号機のある十字路を思い浮かべる方も多いでしょう。実は「道路交通法第1章第2条5項」で次のように定義されています。

    「十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう」

    つまり、交差点とは2本以上の道路が交わっている場所のことを指します。丁字路や何本もの道路が交わっている場所、信号機のない場所も交差点となります。

    交差点には平面交差と立体交差がある

    交差点には大きく分けると平面交差と立体交差があります。平面交差とは、同じ平面上に複数の道路が交わっていることで、街中でよく目にする交差点です。左右折時に対向車の進行を妨げるため交通渋滞が起きやすく、事故も多発しています。

    平面交差には「環状交差点(ラウンドアバウト)」というものもあります。これは、合流する場所が円形になっている交差点で、右回りの一方通行になっています。信号機が不要で一時停止せずに進入できるメリットがあります。

    一方、立体交差とは高架橋や地下道などを使用した、複数の道路が同じ平面上で交わらない構造の交差点です。一方の通行を妨げないため、交通渋滞や事故の減少に役立ちます。

    2.交差点の範囲はどこまで?

    交差点の定義はわかりましたが、「交差点はどこからどこまで?」と聞かれると、はっきりと答えるのは難しいかもしれません。というのも、交差点の範囲は1つに限定されているわけではないからです。

    交差点には道路が垂直に交わっていない変形交差点などもあり、一般的にはその形状に応じて交差点の範囲が判断されます。決め方には、「始端結合方式」「側線延長方式」「始端垂直方式」「車両衝突推定地点方式」などがあります。交通事故が発生して過失割合を決めるとき、交差点の範囲の決め方が影響することもあります。

    始端結合方式

    交差している道路のそれぞれの側線の始端を結ぶ線で囲まれた範囲を交差点とする方式です。2本の道路が垂直に交わっている交差点の場合は四角になります。この方式の場合、丁字路では線を結べず、交差点の範囲を決めることができません。

    側線延長方式

    道路のそれぞれの側線を延長させて、他の道路の側線と接点をつくり、始端や接点を結んだ線で囲まれた範囲を交差点とします。この方式なら丁字路でも交差点の範囲を決めることができます。

    始端垂直方式

    道路のそれぞれの側線の始端に対向する側線に対して、垂直に線を引いて接点をつくります。その接点と始端を結んだ線で囲まれた範囲を交差点とする方式です。

    車両衝突推定地点方式

    交差する道路からそれぞれ進行してくる車両が衝突する恐れのある部分を交差点の範囲とする方式です。

    なお、歩行者の安全や見通しを良くするために設けられた「すみ切り」(2辺が道路に接している角地の角を切り取って空き地にした場所)などは交差点に含まれます。

    3.知っておきたい、交差点での様々な交通事故

    交差点では非常に多くの交通事故が発生しています。市街地の場合、直線道路(一般単路)での死亡事故が429件なのに対して、交差点内での死亡事故は705件となっています。また、車両同士の事故による死亡事故は直線道路では250件ですが、交差点内では462件と2倍近く発生しています。

    出典
    道路の交通に関する統計 / 令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について

    「交通事故総合分析センター」のホームページでは、交差点で起きた交通事故など様々な事例とアドバイスを見ることができます。その一例を紹介しましょう。

    [ケース1]普通乗用車と登校中の中学生が乗る自転車との出会い頭事故

    時速40kmで走行中の普通乗用車が信号機のない見通しの悪い交差点を通過する際、交差点進入前に右方に自転車を発見。自転車が停止すると思い速度を落とさずに走行したが、自転車がそのまま進入。急ブレーキとともにハンドルを左に切ったが間に合わず衝突した。

    [アドバイス]
    まず自転車が一時停止して安全確認をしなければいけなかった、というのが前提にあります。しかし同時に、車側も自転車を発見した時点で注意を払う必要がありました。減速やクラクションによる警告など、事故を回避する措置が欠けていたといえるでしょう。

    [ケース2]信号が青になったと勘違いした普通乗用車同士の事故

    普通乗用車Aは、変形五差路交差点で正面の信号が赤のため停止。考えごとをしていたところ交差車両が途切れたため、信号が青になったと勘違いして発進。見通しの悪い左側交差道路から来た普通乗用車Bに気づかず衝突してしまった。

    [アドバイス]
    発進する前に正面の信号機や周囲の車などを必ず確認することが大切です。とくに信号は青から黄、赤へと常に変化するため、交差点に進入する前には再度確認する習慣づけが必要になります。普通乗用車Bの側も、信号が青でも見通しの悪い交差点では減速するなどして注意したほうが良いでしょう。

    [ケース3]右折する普通乗用車と大型貨物車の事故

    普通乗用車Aが丁字路交差点で右折するために一時停止。右から来る大型トラックを発見したが、左から来る車両がなかったため、前の車に続いて右折を開始。しかし、大型トラックの接近が思ったよりも早く、クラクションにも気づいて加速したが、避けられずに衝突した。

    [アドバイス]
    普通乗用車Aの無理な右折が事故の主な原因で、十分な確認をせずに前の車に追従するのは危険な行為です。大型トラックを発見した時点で、停止線で止まり、トラックの通過を待って右折する必要がありました。大型トラックのほうも、クラクションを鳴らしただけで減速していなかったため、落ち度があると考えられます。安全を最優先し、普通乗用車Aに進行をゆずるという選択肢も可能だったといえるでしょう。

    4.交差点での事故、過失割合はどうなる?

    交通事故が発生したときに、当事者双方の責任の割合を示したものを「過失割合」といいます。道路交通法などの法令や一般的な運転慣行、事故の状況、過去の判例などによって過失割合が決まります。

    それでは、交差点での車同士の事故の過失割合はどのようになるのでしょうか?それぞれの状況によって異なりますが、ここでは一般的な事例を解説します。

    一方に一時停止規制がある事故の場合

    事故時の状況

    • 信号機のない交差点
    • 一方には一時停止の規制がある
    • 双方ともに同程度の速度で進入

    過失割合

    一時停止の規制がない車 20%:一時停止の規制がある車 80%

    解説

    信号機のない交差点で一時停止の規制がある場合、道路交通法第43条で「一時停止しなければならない」「交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」と定められています。このため、一時停止を守らなかった車のほうが過失割合は大きくなります。

    一方、信号機のない交差点では運行する際には注意義務が定められているため、一時停止の規制がない車にも20%の過失が生じ、一時停止の規制がある車は80%の過失割合になります。

    右折車と直進車の事故の場合

    事故時の状況

    • 信号機がある交差点
    • 双方ともに青信号で進入
    • 右折車と直進車が衝突

    過失割合

    直進車20%:右折車80%

    解説

    交差点で右折する際には、「当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と定められています(道路交通法第37条)。このため、右折車よりも直進車の優先度のほうが高くなります。本来、右折車は待っていなければならないことから、この事故では右折車の過失割合のほうが大きくなります。

    同時に、交差点では反対方向から進行してきて右折しようとする車や、道路を横断する歩行者に特に注意し「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定められています(道路交通法第36条4項)。このため、直進車にも過失が生じ、直進車20%:右折車80%の過失割合になります。

    5.交差点での正しい交通ルールとは?

    車を運行する際には道路標識などの指示に従うのはもちろんですが、交差点には様々な交通ルールがあります。ここでは、基本的なルールをおさらいしてみましょう。

    交差点での禁止事項

    交差点では次の行為は禁止されていますので注意しましょう。

    • 交差点内とその端から5m以内の場所での駐停車
    • 交差点とその手前から30m以内の場所での追い越し

    追い越しについては、優先道路を走行している場合は交差点でも追い越すことが可能です。ただし、後続車や交差道路からの車など周囲の安全に気をつけなければなりません。

    他にも注意が必要なのが、信号機のある交差点で右左折する場合です。停止線を越えて交差点に進入したのが青信号のときであれば、途中で赤信号に変わってもそのまま右左折することができます。ただし、進行方向の道路が渋滞していて、交差点内で停止する恐れがあるとわかっていながら進入した場合は、交差点等進入禁止違反となります。その場合、違反点数1点、大型車7,000円、普通自動車6,000円の反則金を課せられることがあります。

    信号機がない交差点での交通ルール

    信号機がない交差点では、道路を走行する優先順位を把握することが大切です。優先順位が高いのは優先道路を走っている車です。非優先道路から優先道路に進入するときは一時停止や徐行をし、優先道路を走行している車の進行を妨げないようにしなければなりません。

    しかし、交差点に進入する際にどちらが優先道路なのか迷うことがあります。見分けるポイントを解説しますので参考にしてみてください。

    優先道路の標識がある

    次の優先道路標識が掲示されている道路は優先道路です。

    参考
    国土交通省

    「前方優先道路」の補助標識がある道路と交差している

    交差点に入る直前に設置された停止や徐行の標識に「前方優先道路」の補助標識がついている場合は、交差する道路が優先道路であることを意味します。道路に逆三角形のマークが描かれているときも同様です。

    中央線(センターライン)がつながっている

    優先道路には交差点内でも中央線がつながっています。非優先道路はセンターラインがあっても交差点のところで途切れています。

    道路の幅が広い

    交差する道路の幅が明らかに異なる場合は、広いほうの道路が優先になります。

    一時停止の標識がない道路

    交差点に入る直前に一時停止の道路標識や停止線があるときは、一時停止の規制がないほうが優先道路となります。

    見分けがつかないときは左方優先

    道路標識などがなく、道路の道幅も同じくらいなど見分けがつかない場合は、自分の左側から来た車が優先と考えましょう。

    右折時に注意するべきポイント

    大きな交差点では対向車や歩行者、自転車の急な飛び出しなど注意するべきことが多く、「右折するのは苦手」という方も少なくありません。安全に右折するために大切なことは、焦らずしっかり確認することです。次のポイントを押さえて、落ち着いて右折しましょう。

    早めにウィンカーを出す

    右折の意思があることを早めに後続車に伝えれば、追突されるリスクを下げることができます。交差点の30mほど手前からウィンカーを出し、センターラインに寄ります。交通量が多い道路ではもっと早めに出しても良いでしょう。

    周囲を確認しながら右折のタイミングを待つ

    交差点には徐行で進入し、ハンドルは切らずに車体をまっすぐにして右折のタイミングを待ちます。対向車、自転車、バイク、歩行者の動きを確認しましょう。車の陰から飛び出してくるバイクなども要注意。信号機のない交差点では、左から車が進入することもありますので注意が必要です。焦らず、安全を確認できるまで待つことが大切です。

    交差点の中心近くを通って右折

    直進や左折をしようとする対向車がなく、歩行者や自転車などもいないことが確認できたら右折します。このとき、交差点の中心近くの内側を大きくまわるようにします。早く右折しようとして斜めに最短距離を進むのは危険な上、「交差点右左折方法違反」になります。急な飛び出しにも対応できるように、ゆっくり右折することを心がけましょう。

    6.監修コメント

    大きな交差点を右折すると、見えてくる信号機が赤になっていることがあります。そのようなときに、停止するべきかどうか迷った経験はないでしょうか。そうした状況では、右折した先に停止線が引かれているのか否かで判断するとよいでしょう。停止線がない場合は、右折している交差点の信号機ということになります。安全を確認したうえで、通行することができます。逆に停止線が引かれていた場合は右折した先にある別の交差点ということになるので、信号機の表示に従いましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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