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クリアランスソナーはどんな機能?メリット・デメリット、後付けできるのかを解説

更新

2023/11/22

公開

2023/11/22

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クリアランスソナーとは車と障害物との距離を測定し注意喚起をしてくれる機能のことで、駐車などの低速走行時に役立ちます。

すでに車を所有している方や今後車を購入予定の方のなかには、「駐車をするときに、車をこすりそうで不安」「縦列駐車でほかの車にぶつけないか心配」などの理由から、クリアランスソナーの設置を検討している方もいるのではないでしょうか。

本記事では、クリアランスソナーの概要や機能、メリット・デメリットを解説します。後付けができるかどうかも紹介しているので、参考にしてください。

目次

    1.クリアランスソナーとは?

    クリアランスソナーとは、車体に取り付けられた超音波センサーによって、低速走行時の車両と障害物の距離を検知し、障害物が接近するとブザー音や音声案内、距離表示ディスプレイなどで通知する機能のことです。

    クリアランスソナーは障害物の存在や障害物の接近を教えてくれるため、例えば死角が発生しやすい車庫からの発進や、車庫入れのときなどに役立ちます。

    一般的に、障害物を検知するセンサーは車体のコーナーやフロント、リヤバンパー部分などに設置され、設置場所によって「コーナーセンサー」や「フロントセンサー」、「リヤセンサー」などと呼ばれています。なお、取り付けられるセンサーの場所や個数は、車種・型式により異なります。

    クリアランスソナーとコーナーセンサーの違い

    クリアランスソナーとコーナーセンサーの違いは、主に呼称です。メーカーにより障害物の注意喚起機能の呼び方は異なり、「クリアランスソナー」と呼ぶメーカーもあれば、「コーナーセンサー」と呼ぶメーカーもあります。

    そのほか、センサーの種類により、「フロントコーナーセンサー」「パーキングセンサー」と呼称するケースや、全体を「PDC(パーキングディスタンスコントロール)」と呼ぶメーカーもあります。

    2.クリアランスソナーの機能

    クリアランスソナーの主な機能は以下のとおりです。

    • 低速走行時の障害物の検知・通知機能
    • 自動的にブレーキサポートをする機能

    各機能の詳しい内容を解説します。

    低速走行時の障害物の検知・通知機能

    先述のとおり、クリアランスソナーは車両と障害物の距離を検知し、運転者に通知するのが主な機能です。

    車種・型式によって通知の仕方は異なりますが、通常、車に障害物が近づくと「ピッピッピッ」とブザー音で通知します。

    障害物と車との距離がさらに近づくとブザーの断続時間が短くなり、「ピピピ」そして最後には「ピー」と連続音で障害物との距離を知らせるため、目視しなくとも障害物とのおおよその距離がわかる仕組みです。

    また、ディスプレイで障害物が近づくにつれソナー表示の色が緑色、黄色、赤色と変化する車種・型式もあり、聴覚と視覚の2つの感覚で障害物の接近を通知します。また、音声で案内してくれる装置もあります。

    自動的にブレーキサポートをする機能

    クリアランスソナーのなかでも「インテリジェントクリアランスソナー」が備わっている車は、障害物と衝突する恐れがある場合に自動的にブレーキサポートがかかります。

    障害物の接近を通知するだけでなく、一定時間のブレーキ制御を行うため、誤ってアクセルペダルを踏み過ぎた場合などに有効です。

    3.クリアランスソナーを設置するメリット

    クリアランスソナーを設置すると、主に以下のようなメリットが受けられます。

    • 安全性を向上できる
    • 駐車や発進がしやすい

    それぞれのメリットを、詳しく紹介します。

    安全性が向上する

    クリアランスソナーはブザー音やディスプレイ表示で車と障害物との距離を教えてくれるため、壁や他車などの障害物と接触する危険性を軽減できる点がメリットです。

    また、インテリジェントクリアランスソナーの場合はブレーキサポートも行うので、駐車場などで発進する場合のアクセルペダルの踏み間違いやシフトレバーの誤りなども防ぎやすくなります。

    駐車や発進がしやすい

    クリアランスソナーがあると、駐車時や発進時の操作がサポートされます。車には死角が多いため、車両感覚(車の前後左右の距離感)が身についていないと車庫入れや縦列駐車を難しく感じるかもしれません。

    車の運転に慣れている方でも、軽自動車やコンパクトカーから大型SUVやセダンタイプに乗り換えた場合、車両の大きさが違うので駐車や発進に戸惑うこともあるでしょう。

    しかし、車にクリアランスソナーが設置されていれば、死角にある障害物との距離を教えてくれ、駐車時や発進時の操作をサポートします。特に運転初心者や運転が苦手な方におすすめの機能です。

    4.クリアランスソナーを設置するデメリットや注意点

    クリアランスソナーは安全性や操作性を高めてくれる機能ですが、以下の点には注意しましょう。

    • 車両の購入価格が高くなることがある
    • クリアランスソナーのシステムが機能しないことがある

    デメリットや注意点を把握しておくと、クリアランスソナーの利用に役立ちます。

    車の購入価格が高くなることがある

    クリアランスソナーは、すべての車に標準装備されているわけではありません。車種・型式によってはオプションとなっているケースもあります。

    オプションでクリアランスソナーを設置する場合、車の購入価格はオプション料金分だけ高くなります。これは購入時のコストを抑えたい方にはデメリットとなる点です。

    しかし、場合によってはクリアランスソナーの設置費用が車体を擦る程度の修理代(1回分)より安い可能性もあり、一概にデメリットとは言い切れません。

    クリアランスソナーのシステムが機能しないことがある

    車の走行中、「クリアランスソナーが使用できない」という警告が点灯することがあります。その場合は、以下の点を確認しましょう。

    • センサーに泥や水滴、雪や氷などが付着していないか
    • センサーが凍結していないか
    • 衝突などでセンサーの方向がずれていないか
    • 炎天下や寒冷時の走行で誤作動が起きていないか

    通常、センサーが泥や水滴などで汚れている場合は、付着しているものを取り除けば再び正常に機能します。ご自身で確認してもクリアランスソナーが機能しないときは、メーカーやディーラーに問い合わせましょう。

    5.クリアランスソナーは後付けできる?

    クリアランスソナーは先述のように標準装備されていない車種・型式でも、後付けできる場合があります。

    また、高齢者をはじめとするペダルの踏み間違い事故の増加を受け、後付けでのセンサー取り付けサービスを提供するメーカー・ディーラーも存在します。

    ただし、クリアランスソナーに対応していない車種・型式もあるので注意が必要です。また、インテリジェントクリアランスソナーのように工場設定が必要な機能は、通常、後付けはできません。

    クリアランスソナーは自ら取り付けられる?

    ソナーのセンサー部分であるコーナーセンサーは、メーカーや車用品量販店、車用品を取り扱うショッピングサイトでも販売されています。したがって、自ら取り付けることも事実上可能です。

    ただし、センサーを取り付けるためには、バンパーの穴あけやセンサーユニットの取り付け、センサーハーネスの引き回しやアースの接続などが必要となります。基本的には、ディーラーやセンサーの取り付けを取り扱っている整備工場へ依頼すると考えておくと良いでしょう。

    6.クリアランスソナー使用時の注意点

    クリアランスソナー使用時の主な注意点は、以下のとおりです。

    • センサー付近に市販の電装部品を取り付けない
    • センサー部分に高圧洗浄機を使用しない
    • タイヤの空気圧が適正であるか確認する

    それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

    センサー付近に市販の電装部品を取り付けない

    クリアランスソナーのセンサー付近に電装部品を取り付けると、システムが正常に作動しない場合があります。具体的には、以下のような電飾部品です。

    • 字光式ナンバープレート
    • フェンダーポール
    • フォグランプ
    • 無線アンテナ

    クリアランスソナーは、超音波により障害物を検知します。上記の電装部品はセンサーの動作に影響を与える可能性があるので、センサー付近への設置は避けましょう。

    センサー部分に高圧洗浄機を使用しない

    洗車時に高圧洗浄機を使用する場合は、取扱いに十分注意しましょう。

    クリアランスソナーのセンサーは精密機器のため、強い衝撃が加わると誤作動や故障の原因となる恐れがあります。センサーのある部分には小さな穴が空いているので、高圧洗浄機の水が直接当たらないようにしましょう。

    なお、スチーム機能のある洗浄機を使う場合にも、クリアランスソナーのセンサーには近づけないように配慮してください。

    タイヤの空気圧が適正であるか確認する

    タイヤの空気圧が適正でない場合、ソナーの誤作動や誤警報の原因となり得ます。

    タイヤ圧は走行にも影響を与えるので、こまめに適正な範囲にあるか確認しておきましょう。車のタイヤには車種・型式ごとに設定されている「指定空気圧」があり、適正な空気圧にしておかなければタイヤのバーストなどのトラブルや燃費の悪化などの原因となります。

    7.クリアランスソナーを活用して安全な走行を!

    クリアランスソナーは、車が障害物に近づいていることを教えてくれる便利な機能です。免許を取得したばかりの方や運転が苦手な方に役立つだけでなく、死角のある場面での操作をサポートしてくれます。

    ただし、クリアランスソナーはあくまで「運転をサポートする」機能であり、衝突の危険をすべて回避できるわけではありません。周囲の安全確認を目視で行うことが安全運転の基本である点には注意しましょう。

    万一、車庫入れで車をこすったり、壁などの障害物にぶつけてしまうなどの不安に備えたいときは、単独事故を保障する車両保険に加入しておくとより安心です。

    例えば、セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」は車両保険の補償を細分化しており、細かく補償を選べます。クリアランスソナーやご自身の納得できる補償を活用し、安全なカーライフを過ごしましょう。

    おとなの自動車保険はこちら

    菰田 潔
    監修
    菰田 潔(こもだ きよし)

    1950年 神奈川県川崎市生まれ
    自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。クルマが好きというより運転することが好きでこの仕事をしている。
    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長(2016年〜)、ニュルブルクリンクを走るための練習会(袖ヶ浦FRW、女神湖)を主宰、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、JAF交通安全・環境委員会 委員、高速道路調査会 フェロー、一般社団法人 全国道路標識・標示業協会 理事、BMW Driving Experience チーフインストラクター、BOSCH認定CDRアナリスト。

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