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車のエアコンが臭いのはカビのせい?ニオイを"もと"から断つ方法

更新

2022/07/27

公開

2018/10/17

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エアコンから吹き出してくる"イヤ〜なニオイ"。つい芳香剤の香りで誤魔化してしまいそうになりますが、実は、その原因はエアコン内部に発生したカビ(雑菌)!芳香剤では根本的な解決にはならないのです。今回は、車のエアコンの仕組みや、エアコンが臭くなる理由、エアコンの臭いを"もと"から断つ方法などをご紹介します!

お車の状態によっては、以下の通りにメンテナンスをしても、臭いがおさまらなかったり、逆に、ひどくなる場合がございます。また、車種によっては以下とは手順が異なったり、フィルターを取り出す際に何らかのトラブルが発生したりする可能性もあります。セルフメンテナンスを行う場合は、お車や洗浄ツールの説明書をよく読んだうえで、ご自身の責任において行ってください。

目次

    1.車のエアコンの仕組みについて知ろう

    エアコンは、冷媒となるエアコンガスをエンジンの力を使って一度液状まで圧縮し、それを急速に気化した際の気化熱によってエアコン内部にあるエバポレーターと呼ばれる部品を冷却します。エバポレーターで冷やした空気をファンによる風に乗せて送ることで、車内温度が下がる仕組みとなっています。

    外気導入に設定している場合は、フィルターでろ過された外気がエバポレーターを通過して冷やされてから車内に届くため、送風温度は外気温の影響で高くなりがちです。内部循環に設定すれば、外気導入口が閉じられる代わりに車内の空気導入口が開かれ、一度冷却された空気がフィルターおよびエバポレーターを再度通過するため、効率よく車内を冷却できます。

    エアコン作動中のエバポレーターは10℃ほどまで冷却されるため、周囲との温度差により結露し、車内の湿気は水滴に変わります。溜まった水滴は車外に排出されますが、完全に排出されるわけではなく、エアコン内部にも多少は湿気が残ってしまいます。そのため、エバポレーターやエアコンフィルターは常にカビが繁殖しやすい状態になっているのです。

    2.車のエアコンが臭い理由は?

    車内の悪臭を解決するには、まずは臭いの原因を知ることが大切です。エアコンから発せられる酸っぱい臭いの原因は主にカビであり、発生させないように取り組むことが重要です。

    ゴミやほこり、食べ残しのせい

    カビの温床となりやすいのはゴミやほこりです。エアコンに溜まるゴミやほこりは、車外から入るものと車内から入るものがあります。どちらもフィルターでろ過されるものの、フィルターで繁殖したカビもエアコンが臭う原因となります。

    車外から入るゴミは対処のしようがありませんが、車内から入るゴミやほこりは、車内を綺麗にしておくことで最小限に抑えられます。特に、こぼれた食べカスや髪の毛などのタンパク質はカビにとって格好の栄養源です。それらはエアコンだけでなく車内でもカビの繁殖も促すため、定期的な車内清掃が悪臭対策には必須といえるでしょう。

    結露した水が溜まり、カビが繁殖する

    カビの繁殖には湿度も影響します。エアコン使用時は配管内部で結露が発生します。ゴミやホコリなどの豊富な栄養源に加え、結露による湿気が溜まることで、さらにカビが繁殖しやすい環境になります。

    臭いが発生しやすい時期

    エアコンの悪臭が最も気になるのは、エアコンを使い始める春から初夏にかけてです。空気が乾燥している冬季はカビが休眠期に入るため、臭いはそれほどしません。しかし、エアコンの使用率が高まる初夏から秋口にかけて溜まったゴミや湿気がエアコン内部でそのまま放置されると、冬季にカビの繁殖が進行します。その結果、翌シーズンにエアコンを使い始めた時の悪臭の原因となります。

    3.車のエアコンの臭いを自分で解決する方法

    エアコンの臭い解消は自分でも対処できます。臭いを消すためのエアコン操作やエアコンフィルターの交換方法、市販の消臭剤や洗浄剤などの使い方を解説します。

    エアコン内部を暖房で乾かす(所要時間約5分)

    エアコンのカビは、冷風を出すために冷たくなったエアコンと暑い外気との温度差によって内部に水滴が発生し、それを放置することで繁殖します。そこでおすすめなのが、「エアコン内部を暖房によって乾かす」方法です。暖房の熱でエアコンの内部を乾燥させることで、カビが発生しにくくなり、嫌な臭いも抑えられます。乾かす手順はとても簡単です。

    1. エンジンをかけ、エアコンをオフにして窓を全開にする
    2. エアコンを最高温度・最大風量にして10分程暖房運転をする(時間がないときは1~2分程度でもOK)

    この方法は、すぐにできるので「応急的な臭い対策」として最適です。出掛けにエアコンの臭いが気になったときなどにもお試しください。

    エアコン用消臭スプレーを使う(所要時間約10分)

    エアコン内部ではなく、吹き出し口付近に臭いの原因がある場合は「カーエアコン用消臭スプレー」が便利です。国内で一般的に売られているスプレーは、本体に装着されたノズルを吹き出し口に差し込むタイプが主流のため、より手軽にメンテナンスできます。

    1. エアコンの設定を「内部循環」にする
    2. エアコンのスイッチをオフにして、窓を開けてエンジンを切る
    3. 消臭スプレー(カーエアコン用)の容器を振る
    4. スプレーのノズルを立て、エアコンの吹き出し口にスプレーする
    5. エアコンをオンにして5〜10分以上換気する

    最近では消臭スプレーにもさまざまな種類があり、「タバコ用」「銀イオンタイプ」「香り付きタイプ」「安定化二酸化塩素タイプ」などが販売されています。用途に合わせて最適なものをお選びください。

    エアコンフィルターを洗浄・交換する

    自動車メーカーが推奨するカーフィルターの交換目安は1年です。そのため、しばらく掃除や交換をしていない場合には、エアコンフィルターを掃除・交換することで嫌な臭いを解消できる可能性があります。車種にもよりますが、多くの場合、車のエアコンはダッシュボードの裏側に取り付けられています。以下の手順でフィルターを掃除・交換しましょう。

    1. グローブボックス(ダッシュボードの受け部分)を取り外し、裏側にあるエアコンからフィルターを取り出す
    2. フィルターの掃除は水ですすぐか、または洗面器などに中性洗剤を溶かした水を用意して、30分から1時間ほどフィルターを浸す。交換する場合は、市販品(1,300円〜2,000円程度)と付け替える
    3. 洗剤を使用した場合にはフィルターを水でよくすすぎ、必ず完全に自然乾燥をさせてから再び取り付ける

    中には水洗いを禁止しているエアコンフィルターもあります。ご使用の際は、必ず購入したエアコンフィルターの説明書をよくご確認ください。

    エアコンのエバポレーターを洗浄する

    エアコンの仕組みの項で説明したように、エアコン配管内にあるエバポレーターはもっともカビが繁殖しやすい箇所です。エバポレーターを洗浄することでカビによる臭いの発生を抑えられます。
    専用のエバポレータークリーナーにもいろいろな種類がありますが、クイックタイプであれば比較的安価(1,800円〜3,000円程度)に洗浄できます。エバポレーターの洗浄頻度は、年2回がベストであり、冷房を使い始める夏の前と、使い終わった後の秋口に行うのがおすすめです。あわせてフィルターも洗浄しておくと、さらに衛生的な車内環境が保てます。

    4.自分で解決できない場合はプロに依頼する


    セルフクリーニングでは作業のハードルが高かったり、車の内部に触れることに抵抗があったりする方の場合には、プロに任せる方法もあります。料金の相場は、フィルター交換であれば、フィルターの種類や車種にもよりますが5,000円程度。エバポレーター洗浄であれば、セルフクリーニングと同様の方法で5,000円〜6,000円程度(約20分)。高圧洗浄機などを使う場合は、8,000円〜9,000円(約50分)程度です。
    また、業者によっては、車内エアコンを分解してエバポレーターを取り出し、徹底的に洗浄してくれることもあります。料金は業者や店舗によって異なるので、お近くのカー用品店や車の整備会社などに直接お問い合わせください。

    5.車のエアコンが臭くなる前にやるべき予防法

    エアコンの臭いは、事後対処よりも予防が大切です。普段から気をつけていれば、臭いの発生を抑えると共にエアコンメンテナンスの頻度も最小限に抑えられます。

    こまめに車内を清掃する

    内気循環に設定している場合、エアコンは車内の空気を取り込むため、車内を舞うゴミやほこりも吸い込んでしまい、それがエアコン内部に溜まり、臭いの原因となります。車内を綺麗にしておくことは、車内で発生する臭いを抑えるだけでなく、エアコン内のカビ繁殖の抑制にもつながります。

    エアコンを使わない季節でも稼働させる

    エアコンを使わない冬場でも、時折エアコンを稼働させましょう。エアコンを使えば内部で結露が発生するものの、完全に乾いてしまうと今度はエアコン内部のカビや胞子が風に乗って車内に排出されてしまう場合があります。また、冬でも適度にエアコンを使って除湿することで、車内のカビ繁殖も抑えられます。

    たばこは窓をあけて吸う

    車内の臭いもエアコン臭としてこびりつき、カビ臭と混じり合って悪臭を放つため、強い臭いを発する行為は車内では控えることが大切です。特にたばこの煙はエアコン内部にヤニを付着させ悪臭の原因になりがちです。車内でたばこを吸う際は、窓を開けてから吸うように心がけましょう。

    エンジンオフの前に、エアコンを送風で乾燥させる

    エアコン使用直後にエンジンを停止すると、エアコン内部に残った湿気によりカビが繁殖しやすくなります。これは、エンジンを停止する前にひと手間かけることで防止できます。エアコンを停止してから最大風量で15分、もしくは暖房の最大温度に切り替えて10分ほど送風をおこなっておくと、エアコン内部の湿気が効率的に除去できます。これは帰宅時など、しばらく車を動かさないシーンで使うほど効果があります。目的地に着く時間を見計らって実施しておくのもよいでしょう。

    まとめ

    フィルターの洗浄・交換やエバポレーターの洗浄は、エアコン稼働率が下がる秋口頃に清掃やメンテナンスをおこなっておけば、冬季のカビ繁殖を効率的に抑えることができ、来シーズンの悪臭発生を効果的に抑えられます。また、これらの洗浄は「エアコンの風が弱くなってきた」というときにも有効です。気持ちよくドライブをするためにも、定期的にエアコンをメンテナンスしましょう。

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