比較的軽微な交通違反をした時に交付される「青切符」。交通反則通告制度に基づき、該当する交通違反に関しては、反則金を納付することで刑事処分が免除される仕組みのことをいいます。ただし、交通違反の種類によっては、青切符ではなく赤切符が切られ、刑事処分が科されることも。当記事では、青切符の概要や交付の流れ、赤切符についても解説します。
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1.青切符とは
青切符とは、比較的軽微な交通違反をした時に渡される「交通反則告知書」のこと。この交通反則告知書の紙が青い色をしているため、青切符と呼ばれます。
道路交通法では、一定の交通違反を「反則行為」と定めており、この反則行為が青切符の対象です。違反点数でいうと、6点未満の交通違反が該当し、例としては、以下のような交通違反が該当します。
例:信号無視、スピード違反(30km/h未満)、駐停車違反、携帯電話使用など
青切符を切られた時の流れは後ほど詳しく解説しますが、反則行為をすると、警察官より青切符(交通反則告知書)と、反則金の仮納付書が交付されます。違反者は反則金を納めることで、刑事処分を免れることができます。
2.交通反則通告制度とは
概要
上述の通り、青切符は交通反則通告制度に基づいた制度です。交通反則通告制度とは、比較的軽微な交通違反においては、反則金を納めることで処理する仕組みのこと。
道路交通法違反をすると、本来であれば検察庁により起訴がされ、裁判所にて審判が行われます。しかし、すべての交通違反を取り締まっていると、裁判所や警察官、違反者にもかなりの負担がかかり、処理も滞ってしまいます。そこで設けられたのが、交通反則通告制度。反則行為においては、反則金の納付がされれば手続きが終結するというもの。起訴や裁判も行われません。簡易かつ迅速に処理されるので、裁判所や警察官、運転者などへの負担を軽減する目的があります。
対象
現在、交通反則通告制度の対象になるのは、自動車と原動機付自転車の違反行為です。自転車などの軽車両は対象外ですが、近年、全交通事故に占める自転車事故の割合が増加傾向に。また、警察庁の統計結果(令和4年)では、自転車運転中の交通事故による死者の8割、負傷者の6割は、自転車の運転者にも何らかの違反が認められていました。こうした状況を受けて、自転車の交通違反に対しても青切符を交付し、反則金を科す制度の導入が検討されています。
対象年齢は、16歳以上。また、対象となる違反は「信号無視」や「携帯電話使用」、「徐行せずに歩道通行」などの約100の交通違反。反則金は、5,000円から12,000円程度が想定されています。
3.青切符を切られた時の流れ
反則行為をすると、現場で警察官から「交通反則告知書(青切符)」と「仮納付書」が交付されます。これを「告知」といいます。告知内容に異議がなければ、違反者は、告知を受けた日を含む8日以内に、仮納付書で銀行、信用金庫または郵便局で反則金を納めると手続きが完了します。本人が納付に行けない場合は、代理人を立てて納付することも可能です。また、現金書留などによる郵送での納付、コンビニやATMでの納付、分割払いはできないので注意しましょう。
4.反則金を支払わないとどうなる?
交通反則通告制度の適用を選択し、反則金を納付することは、法律上は任意です。もし、青切符による告知を受けても反則金を納付しない場合、「通告」を受けることになります。通告を受けた人は、通告日を含めて11日以内に反則金を納付すれば、手続きが完了します。
通告を受けても反則金を納付しないと、道路交通法違反事件として行政手続きから刑事手続きへと移行。成人の場合は検察庁に送致され、もし起訴されれば裁判所で審判が行われます。そこで、違反行為があったという判決が下れば、罰金などの刑事罰が科されます。
告知や通告を受けているにもかかわらず、反則金の支払いを滞納していると、逮捕状を取られることもあるので注意が必要です。過去には実際に、通告や出頭要請も無視し続けた未納者が逮捕されたケースもあります。
もし、反則行為の取り締まりに納得できず、裁判で真偽を明らかにしたい等の理由がある場合は、青切符への署名・押(指)印や反則金の納付を拒否してもよいでしょう。しかし、「忙しい」「反則金を支払いたくない」など、特段の理由がない場合は、反則金は期限内に納めるようにしましょう。
5.青切符はゴールド免許に影響する?
ゴールド免許の条件のひとつに、「過去5年間、無事故・無違反」があります。違反点数が3点以下の交通違反は「軽微な違反」とされていますが、この軽微な違反であっても、次回の更新時にゴールド免許は剥奪され、ブルー免許に切り替わります。しかし、実はすべての違反と事故がゴールド免許に影響するわけではありません。
免許不携帯や泥はね運転などの違反点数がつかない違反は、ゴールド免許に影響しません(反則金は科されます)。
また、人身損害のない物損事故もゴールド免許に影響しません。物損事故とは、人の死傷がなく、器物の損壊のみの事故のこと。例えば、ガードレールや電柱にぶつかって破損した、他の自動車に接触してしまった(人への被害はない)などです。
6.赤切符とは
比較的軽微な交通違反をすると青切符が切られますが、酒気帯び運転や無免許運転など、悪質かつ危険な交通違反をすると、赤切符が切られます。正式名称を「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」といい、これが赤い紙のため「赤切符」と呼ばれるのです。
赤切符を切られたら、紙に記載されている指定日・場所に出頭をします。通常はその後、警察官と検察官による取り調べ、裁判所への略式命令請求、裁判所による略式命令の手続きを経て、罰金の納付になります。
上述の通り、青切符は反則金を納めることで刑事処分を免れます。一方で赤切符は、刑事罰にあたり、罰金刑が下されれば前科も付きます。また赤切符は、違反点数が6点以上の違反が対象なので、赤切符を切られると「免許停止」、もしくは「免許取消し」という処分を受けることになります。
7.監修コメント
交通反則通告制度の適用を選択し、反則金を納付することはあくまでも任意のため、ネット上には同制度の適用を拒否することを推奨する記事が散見されます。その中には、適用を拒否してもほぼ起訴されることはないという内容のものも多くあります。
もしそれが本当だとしても、出頭要請を無視したり、違反を繰り返したりするなど、悪質であるとみなされた場合は起訴される確率が高くなるといえます。交通違反の取り締まりにあった場合は自分に非があるのかを冷静に振り返り、どのような行動を取るのが得策なのかを判断するようにしましょう。