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自動運転レベル4とは?できることや解禁予定時期、実用化に向けた取り組みについて解説

更新

2023/04/12

公開

2023/04/12

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自動運転は、運転の在り方を変えたり事故や渋滞を減少させるきっかけになることが期待されていたりと、さまざまな方面から注目されている最新技術です。

自動運転では運転時の操作や判断などを車に搭載されているシステムに任せることができますが、どの程度まで操作や判断を任せられるかによって、レベル分けが行われています。

レベルは0~5まで分かれていますが、現時点ではレベル3までの車が商用化されており、レベル4以降については導入に向けてさまざまな実証実験などが進められている最中です。

本記事では、自動運転レベル4でできることや解禁予定、自動運転レベル4の実用化に向けた取り組みなどについて説明します。

目次

    1.自動運転レベルとは?

    自動運転では、車のハンドル操作やアクセル・ブレーキの操作をシステムに任せることができますが、それらをどの程度までシステムに任せる・預けることができるかを示したレベルのことを、「自動運転レベル」といいます。

    自動運転レベルによって、運転に対してドライバーが介在する必要がある領域は異なります。米国自動車技術者協会(SAE)や国土交通省がレベルを6段階に区分しており、それらは最も主流な自動運転レベルの定義として扱われています。

    自動運転は0〜5のレベルがある

    自動運転には、0~5のレベルがあります。それぞれのレベルの概要や運転主体などを、以下に表でまとめました。

    対応主体 レベル 技術レベル
    ドライバー レベル0 自動運転化なし
    運転者が運転操作を全て行う
    レベル1 運転支援
    システムが前後または左右の車両制御を行う
    レベル2 部分運転自動化
    システムが前後・左右の両方の車両制御を行う
    システム レベル3 条件付運転自動化
    限定された条件下において、システムが全ての運転操作を実施する(ただし運転自動化システム作動中であっても、システムからの要請があればドライバーはいつでも運転に戻れる状態である必要がある)
    レベル4 高度運転自動化
    限定された条件下において、システムが全ての運転操作を実施する・ドライバーが運転席を離れることができる
    レベル5 完全運転自動化
    システムがすべての運転操作を実施する

    2.自動運転レベル4でできること

    自動運転レベル4の自動運転車は限定された条件下における完全自動運転ができ、自動車専用道路や特定の敷地内・送迎ルートなどの限定された領域において、システムによる自動運転が行われます。

    限定領域内ではあるものの、ドライバーの介在が必要なくシステムによる自律的な自動運転が可能であることが、あくまでもドライバーの存在を前提としているレベル3との大きな違いといえます。

    自動運転レベル4が実現されれば、限定された条件下において運転中にスマートフォンやテレビの視聴はもちろん、パソコン操作やゲーム、読書、食事などを車内で行うことが、おおむね認められるものと考えられています。

    また、自動運転レベル4の自家用車では、自由にハンズオフやアイズオフができるであろうという特性を生かし、車内空間をカスタマイズする新たなサービスが登場する可能性が見込まれています。

    大型ディスプレイや音響機器を搭載し、映画鑑賞やゲームを楽しめる車内空間や、高い防音・防振性で仕事に集中できる車内空間など、さまざまなアレンジが考えられるでしょう。

    3.自動運転レベル4の実用化に向けた取り組み

    遠隔による監視を行うなどの条件のもとで、自動運転レベル4で公道での走行を認める新たな制度が、2023年4月1日から導入されました(過疎地での無人輸送サービスなどが対象)。

    そういった動きもあり、物流分野では、2025年をメドに自動運転レベル4のサービスカーを導入促進できるよう、現在実証実験などが進められています。
    例えば、路線バスへの自動運転の適用や、イベントで自動運転レベル4の走行デモが行われました。また、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は、2025年に開催される関西万博での来場者輸送を目的とした自動運転バスの実証実験を、2022年に行っています。

    このほか、トヨタ自動車の「e-Palette」、DeNAと日産自動車共同開発の「Easy Ride」、ロボットベンチャーのZMPが取り組む自動運転サービスの実用化など、企業主体での動きも数多くみられます。

    「e-Palette」は2021年開催の東京オリンピックの選手村での移動車両として実際に活用されたほか、「Easy Ride」はドライバーレスのタクシーで、誰でもどこでも好きな場所に自由に移動できるサービスになる見込みです。ZMPが取り組む自動運転サービスは、ロボットマネジメントプラットフォーム「ROBO-HI」により、高度な自動走行システムの運用を効率的に行うことができます。

    これらはいずれも、上述した「2025年をメドとした導入」に向けての動きといえるでしょう。

    自家用車に関しては、2023年4月現在、自動運転レベル4が搭載されている車種は販売されていません。しかし、実証実験が上手くいき、自動運転導入環境が拡大されれば普及される未来もそう遠くはないでしょう。

    仮に自動運転レベル4の自家用車が普及し、さらにシステムの向上や法規制の改正が進めば、無条件で自動運転が可能なレベル5まで解禁される可能性もあるかもしれません。

    4.自動運転に関するQ&A

    当然のことではありますが、多くの方がまだ自動運転というものを目の当たりにしたり経験したりしたことはないでしょう。そのため、自動運転に関してさまざまな疑問を抱えている方も多いと思います。

    そこで以下では、自動運転に関する疑問をQ&A形式で説明します。

    自動運転で起きた事故の責任は誰に?

    自動運転で起きた事故の責任は自動運転のレベルによって異なり、自動運転レベル1とレベル2ではドライバーに責任があるとされています。

    自動運転レベル3とレベル4でもドライバーに責任があることは変わりませんが、システムの不具合などを原因とする事故の場合は、保険会社が自動車メーカーなどに対して求償することが適当であると結論付けられました。

    自動運転レベル5における事故の責任主体に関しては、今後議論の必要があるとされています。

    自動運転中の居眠りや飲酒はしても大丈夫?

    レベル3の自動運転車では睡眠、飲酒ともに認められていません。レベル3の段階では、ドライバーはシステムからの要請に応じていつでも運転に戻れる状態である必要があります。もし運転に戻ったときに飲酒をしていれば飲酒運転になるほか、眠った状態だと運転に戻ること自体ができないからです。

    レベル4の自動運転車では、限定された条件下ではあるものの、すべての運転操作が自動化されるので睡眠が認められる可能性も考えられますが、現時点では不明です。飲酒に関しては、限定された条件下以外ではドライバーが運転する必要がある以上、認められる可能性は低いといえます。

    自動運転の車は自動車保険への加入は必要ない?

    自動運転車は、限定された条件下においてシステム作動のもとで運転を行っている場合は事故を起こす可能性が低いとされていますが、ゼロではありません。

    レベル4までの自動運転車は、事故が発生した場合には自動運転中の事故であっても、従来どおりドライバーや車両所有者などに損害賠償責任が課される可能性があることが確認されています。

    万が一の事故に備えるために自動車保険への加入は必要と考えられています。

    5.自動運転レベル4は近い将来の実用化が期待される

    自動運転は、運転をどの程度までシステムに任せる・預けるかに応じてレベル分けがされており、自動運転レベル4では限定された条件下においてすべての運転操作が自動化されます。

    自動運転レベル4の自家用車が実用化されれば、ドライバーが走行中の車内でも食事や読書、映画鑑賞ができるなど、本来運転に費やしていた時間を有効に活用することができるようになるでしょう。

    自動運転といえども、事故が起きた場合はドライバーに損害賠償責任が課される可能性があるため、この先、自動運転車を購入する場合は、レベル3の車、レベル4の車のどちらであっても自動車保険には加入しておくことを心がけましょう。

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    菰田 潔
    監修
    菰田 潔(こもだ きよし)

    1950年 神奈川県川崎市生まれ
    自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。クルマが好きというより運転することが好きでこの仕事をしている。
    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長(2016年〜)、ニュルブルクリンクを走るための練習会(袖ヶ浦FRW、女神湖)を主宰、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、JAF交通安全・環境委員会 委員、高速道路調査会 フェロー、一般社団法人 全国道路標識・標示業協会 理事、BMW Driving Experience チーフインストラクター、BOSCH認定CDRアナリスト。

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