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駐車禁止場所と道路標識、駐車禁止除外標章を徹底解説

更新

2023/09/27

公開

2023/09/27

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車両などの道路交通法違反の取締り件数は、2022年は505万3,271件で、そのうち15万9,258件が駐車違反・駐停車違反でした。「ちょっとだけ」という安易な気持ちで駐車禁止場所に車を停めて検挙されるケースは少なくありません。

そうしたことにならないように、本記事では駐車禁止の場所や道路標識のマーク、時間指定などのルールから、違反した場合の罰則まで徹底解説!取締りの対象外になる「駐車禁止除外標章」についてもわかりやすく解説します。

目次

    1. 駐車禁止とは?

    駐車禁止とは「道路標識などによって駐車が禁止されている道路では駐車してはならない」ということで、道路交通法で定められています。駐車禁止の場所は道路標識や道路標示(路面表示)で示されます。

    道路標識とは、交通規制などを示す標示板のことで、本標識と補助標識があります。主に、道路の脇などに設置されています。道路標示とは、ペイントや鋲などによって路面に記号や文字、線で交通規制などを示したものです。

    駐車禁止には「駐車禁止場所」と「駐停車禁止場所」があります。それぞれのマークの違いについて見てみましょう。

    「駐車禁止場所」と「駐停車禁止場所」のマーク

    駐車禁止場所

    駐車禁止の道路標識

    駐車禁止場所を示す道路標識は、青地に赤色の縁と赤い斜線が引かれている丸い標示板です。上図のように、「8-20」など数字が書かれている場合は、「午前8時から午後8時まで」など、駐車禁止の時間指定がされていることを意味します。数字が書かれていない場合は、終日駐車禁止です。

    また、路面に黄色の破線で示されているのは、駐車禁止の道路標示です。

    駐車禁止の道路標示

    駐停車禁止場所

    駐停車禁止の道路標識

    駐停車禁止場所を示す道路標識は、青地に赤色の縁と2本の赤い線で×が引かれています。時間指定については駐車禁止マークと同じで、数字が書かれていなければ終日駐停車禁止です。

    また、駐停車禁止の道路標示は路面に黄色の実線で示されています。

    駐停車禁止の道路標示

    駐車と停車はどう違う?

    そもそも駐車と停車はどのように違うのでしょうか?実は、道路交通法で次のように定義されています。

    駐車

    • 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること。
      ただし、貨物の積卸しのための停止で5分以内の場合や、人の乗降のための停止は除く。
    • 車の運転者が離れていて、すぐに運転できない状態で停止していること

    停車

    車両等が停止することで駐車以外のもの

    たとえば、人が乗り降りするために車を停めた場合、運転者がその場にいれば停車ですが、わずかな時間でも運転者もその場から離れてしまえば駐車になります。

    2. 駐車禁止の場所はどこ?

    それでは、駐車禁止の場所とはどこなのでしょうか?道路標識や道路標示で示されていなくても駐車禁止や駐停車禁止の場所があります。誤って停めてしまうことがないように、おさらいしておきましょう。

    主な駐車禁止場所

    道路交通法第45条で駐車禁止の場所が定められています。これを法定の駐車禁止場所といい、主な場所は下記の通りです。

    • 駐車禁止の標示や標識がある場所
    • 火災報知機から1m以内
    • 駐車場や車庫などの自動車用の出入口から3m以内
    • 消防用機械器具の置場や消防用防火水槽から5m以内
    • 消火栓、指定消防水利の標識や消防用防火水槽の吸水口などから5m以内
    • 道路工事が行われている工事区域の端から5m以内

    主な駐停車禁止場所

    駐停車禁止の場所については、道路交通法第44条で定められています。主な場所は以下の通りです。

    • 駐停車禁止の標示や標識がある場所
    • 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷(路面電車の線路上など)内
    • 交差点の端または道路のまがり角から5m以内
    • 横断歩道または自転車横断帯から5m以内
    • バス停や路面電車の停留場から半径10m以内
    • 踏切の端から10m以内
    • 坂道の頂上付近、勾配の急な坂道
    • トンネルの中
    • 安全地帯の左側およびその前後から10m以内

    他にもある駐車禁止

    無余地駐車禁止

    車の右側の道路に3.5m以上の余地を設けられない場所には駐車してはいけないと道路交通法で定められています。道路によっては駐車禁止のマークとあわせて「駐車余地6m」など、上図のような補助標識で余地が指定されていることがあります。その場合は、指定通りの余地を確保できない場合は駐車禁止となります。

    ただし、下記の場合は駐車が可能です。

    • 貨物の積み下ろしのための駐車で、運転者が車を離れない場合。または、運転者が離れたがすぐに運転できる場合
    • 傷病者のためやむを得ない場合

    長時間の駐車の禁止

    駐車禁止のマークがない場所でも、道路上での長時間の駐車は法律で禁止されています。道路の同じ場所に12時間以上、夜間(日没から日出まで)は8時間以上駐車してはいけないと定められています。

    3. 駐車禁止違反をした場合の罰則は?

    次に、駐車禁止違反をしてしまったときの罰則について解説します。駐車禁止違反には、駐停車違反と放置駐車違反があります。駐停車違反は運転者が車のそばにいて、警察官や駐車監視員から車の移動を命じられたときに、すぐに対応できる場合です。一方、運転者がその場にいない場合は放置駐車違反になり、罰則も重くなります。

    また、駐車禁止の場所で違反した場合よりも、駐停車禁止場所で違反した場合のほうが違反点数も反則金も多くなります。

    駐停車違反の反則金額と違反点数

    違反場所 違反点数 反則金
    大型車 普通車 2輪車または原付車
    駐車禁止場所 1点 12,000円 10,000円 6,000円
    駐停車禁止場所 2点 15,000円 12,000円 7,000円

    放置駐車違反の反則金と違反点数

    違反場所 違反点数 反則金
    大型車 普通車 2輪車または原付車
    駐車禁止場所 2点 21,000円 15,000円 9,000円
    駐停車禁止場所 3点 25,000円 18,000円 10,000円
    参照
    反則行為の種別及び反則金一覧」「交通違反の点数一覧表」警視庁

    駐車違反の張り紙を貼られたら必ず出頭

    放置駐車違反をすると警察官または駐車監視員によって、車に「放置車両確認標章」という黄色いステッカーが貼られます。運転者の警察への出頭が命じられ、反則金の納付や違反点数の加算などが行われます。

    運転者が出頭しないと車両の使用者(所有者)が責任を追及され、「放置違反金の仮納付書」などが送付されます。その場合、天災や不可効力によるものなど正当な理由があれば弁明する機会が与えられます。放置駐車違反となれば、使用者責任として放置違反金の納付が求められます。ただし、使用者責任の場合は、違反点数の加算はありません。

    違反金を支払わずにいると強制徴収の対象となり、延滞金も加算されます。車検を完了することもできなくなります。また、違反金を支払っても放置駐車違反を一定回数以上繰り返すと、車両の使用が制限されることもあります。駐車違反の張り紙を貼られたら、必ずすぐに出頭しましょう。

    4. 駐車禁止除外標章とは?

    駐車禁止除外標章とは、駐車したときに車に掲げておけば駐車禁止の取締りの対象外になる標章のことです。公安委員会が交付するもので、事業者向けと個人向けがあります。基本的に、身体に障害があって歩行が困難な方が使用する車両や公共性・緊急性のある車両などが対象になります。主な交付対象には次のようなものがあります。

    事業者

    以下の目的などで使用する車両

    • 電気、ガス、水道、電話、鉄道などの緊急修復工事
    • 郵便物の集配
    • 医師による緊急往診
    • 歩行困難者の輸送(患者の輸送車または車いすの移動に使用する自動車)
    • 報道機関の緊急取材など

    個人

    身体障害者手帳、戦傷病者手帳、愛の手帳、精神障害者保健福祉手帳、小児慢性特定疾病医療受給者証などを持ち、基準に該当していて歩行が困難と認められる方

    駐車禁止除外標章があっても駐車違反になるケース(一例)

    注意が必要なのは、駐車禁止除外標章を掲げていれば、つねに駐車禁止の取締りの対象外になるわけではないということです。自治体によって異なりますが、以下のようなケースは駐車違反になることがありますので気をつけましょう。

    • 駐車禁止除外標章の交付を受けた身体障害者など本人が車を使用中ではない場合
      <例>
      • 駐車場所から鉄道、バスなど他の交通機関を利用して移動している
      • 身体障害者等の目的地以外の場所に駐車している
      • 勤務先、宿泊先などの付近の道路に長時間または連日駐車している
    • 駐停車禁止場所や法定の駐車禁止場所での駐車
    • 時間制限駐車区間(パーキング・メーターなどの設置場所)で駐車枠外や駐車枠からはみ出して駐車している
    • 駐車禁止除外標章の掲出忘れ、外部から確認できない状態での掲出
    • 車庫代わりの駐車や長時間駐車

    また、駐車違反の取締り対象外の場合も、警察官から車両の移動などの指示があったときは従う必要があります。

    5. 駐車できる場所を事前に把握しておくのがおすすめ

    車での外出先で「駐車場が見つからない」ということも珍しくありません。そうならないように事前に駐車できる場所を把握しておくことをおすすめします。

    たとえば、セゾン自動車火災保険のサービス「SA・PO・PO」では駐車料金が安い駐車場がひと目でわかるカーライフサービスを提供しています。こうしたサービスを活用して駐車禁止で困ることがないように準備しておきましょう。

    sapopo画像

    6. 監修コメント

    車を停めてはいけない場所が法律で定められているのは、違法駐車が渋滞の発生原因になるだけでなく、周囲の安全を妨げるからです。交差点や横断歩道の近くに駐車している車があるために、ドライバーが歩行者や対向車の動きを確認しづらくなることもあります。

    その一方で、違法駐車をしている人は、駐車禁止場所であることを知らずに車を停めている場合もあります。注意をすると、思わぬトラブルに発展することも考えられます。

    違法駐車によって交通の安全が妨げられているようなときは、最寄りの交番や警察署に連絡をするか、警察相談ダイヤル「♯9110」へ電話をするとよいでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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