クルマ

運転免許の限定解除に必要な費用、流れ、受験資格を徹底解説!

更新

2023/11/22

公開

2023/11/22

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

「普通車はAT車に限る」など、運転免許に付されている条件を解除する審査のことを「限定解除」と言います。運転できる車両の範囲が広くなるため、限定解除を検討している方もいるのではないでしょうか。

本記事では、限定免許の種類や限定解除の流れ、費用などを解説します。

目次

    1.限定解除とは?

    運転免許には、運転できる自動車やバイクに条件が付されている場合があります。限定解除とは、この条件を解除することをさします。免許証の中央あたりの「免許の条件等」の欄に「○○車に限る」との記載があれば、条件が付されているということ。一般的によく知られる条件は、「普通車はAT車に限る」で、この場合運転できるのは「AT車のみ」です。

    2.限定免許外の車両を運転するとどうなる?

    条件外の車両を運転すると、免許条件違反となり、罰則が科せられます。例えば、「普通車はAT車に限る」という限定免許を持っている人がMT車を運転した場合、「違反点数2点」「反則金7,000円」が科せられます。反則金は車種によって異なり、原付車と小型特殊車の場合は5,000円、二輪車の場合は6,000円、普通車の場合は7,000円、大型車の場合は9,000円です。

    3.限定免許の例は?

    AT限定免許

    限定免許で一番多く見られるのは、AT限定免許ではないでしょうか。AT限定免許を持っている人が限定解除をすると、MT車の運転が可能になります。

    眼鏡等

    車を運転するには、運転免許の種類に応じて一定以上の視力がなければいけません。例えば、普通免許の場合は「両眼の視力が0.7以上、かつ左右それぞれの視力が0.3以上」「片方の視力が0.3に満たない場合は、もう片方の視力が0.7以上、かつ視野が150度以上」が基準です。もし裸眼で基準を満たしていない場合でも、メガネやコンタクトレンズをつけて基準を満たすことができれば車の運転ができます。この場合に付されるのが、「眼鏡等」という条件です。

    レーシック等を受けたことにより、視力が回復したという方は、「眼鏡等」の条件の解除審査を受けられ、限定解除をすると、メガネやコンタクトレンズをつけずに車の運転をすることができます。ただし、角膜矯正用コンタクトレンズを使用するなど、一時的に視力が回復したという方は限定解除ができません。

    5t限定準中型免許

    2017年3月12日、道路交通法が一部改正され、「準中型自動車」という免許の区分が新たに設けられました。これにより、2007年6月2日から2017年3月11日までの間に普通免許を取得し、その後も免許更新をした人は、免許証に「準中型車は準中型車(5t)に限る」という条件が付されています。

    この「5t限定準中型免許」を持っている人が運転できるのは、「車両総重量5t未満」「最大積載量3t未満」「乗車定員10名以下」の車両。限定解除をすると、「車両総重量7.5t未満」「最大積載量4.5t未満」「乗車定員10名以下(※変更なし)」の自動車が運転できるようになります。

    8t限定中型免許

    8t限定中型免許も、2007年6月2日の法改正で「中型免許」が新設されたことにより設けられた限定免許です。「8t限定中型免許」の対象となるのは、2007年6月1日までに普通免許を取得していた人。

    「8t限定中型免許」で運転できるのは、「車両総重量8t未満」「最大積載量5t未満」「乗車定員10人以下」の車両。限定解除をすると、「車両総重量11t未満」「最大積載量6.5t未満」「乗車定員11人以上29人以下」の自動車を運転できます。

    自衛隊車両限定大型免許、カタピラ車限定/農耕車限定大型特殊免許

    あまり目にすることがないかもしれませんが、大型免許や大型特殊免許にも、いくつかの限定免許があります。例えば、「自衛隊車両限定大型免許」や「カタピラ車限定大型特殊免許」「農耕車限定大型特殊免許」など。

    「自衛隊車両限定大型免許」の限定を解除すると、「車両総重量11t以上」「最大積載量6.5t以上」「乗車定員30人以上」の大型車が運転可能に。「カタピラ車限定大型特殊免許」「農耕車限定大型特殊免許」の限定を解除すると、「全長12.0m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下」の特殊車両、小型特殊自動車、原付が運転できるようになります。

    4.限定解除時の受験資格や身体条件は?

    通常通りの運転免許取得時と同じく、限定解除をする時も、免許の種類に応じて受験資格・身体条件があります。

    まず受験資格について、普通免許と準中型免許は年齢が「18歳以上」です。中型免許は、年齢が「20歳以上」かつ、免許経歴が「準中型、普通、大型特殊免許を取得しており、免許を受けていた期間が通算2年以上」。

    大型免許は、年齢が「21歳以上」かつ「中型、準中型、普通、大型特殊免許を取得しており、免許を受けていた期間が通算3年以上」の免許経歴が必要です。なお運転経歴は、効力が停止されていた期間を除きます。

    次に、適性検査の合格基準は以下の表の通りです。

    免許の種類 視力 聴力
    普通免許 両眼の視力が0.7以上、かつ左右それぞれの視力が0.3以上。
    片方の視力が0.3に満たない場合は、もう片方の視力が0.7以上、かつ視野が150度以上
    10mの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえること(補聴器使用可)
    準中型免許 両眼の視力が0.8以上、かつ左右それぞれの視力が0.5以上。
    深視力は三桿法の検査器により2.5mの距離で3回検査し、その平均誤差が2cm以下
    中型免許
    大型免許

    聴力の基準を満たさない場合、後写鏡の使用および、運転できる自動車の種類を限定した上で、安全な運転に支障がないと認められたケースに限り、運転免許の取得ができます。

    注意したいのは、5t限定準中型免許と8t限定中型免許の限定解除を行う場合です。この2つは、もとは普通免許としてみなされていたため、必要な視力が変わります。なお、視力検査は当日行われるか、もしくは当日は適性検査を行わず、その後の更新時に実施される場合もあります。

    限定解除時に適性検査が行われるか否かは都道府県によって異なりますので、事前に問い合わせておくことをおすすめします。

    「眼鏡等」の限定解除は、必ず視力検査が行われます。

    なお、免許更新時に適性検査に合格できなかった場合、下位免許(普通免許や原付免許等)になってしまう可能性もあるので注意しましょう。

    5.限定解除するまでの流れ

    限定解除をする方法は、指定教習所に通うか一発試験を受けるかの2通りです。指定教習所に通う場合は、指定教習所にて技能教習と技能審査を受けます。一方で、一発試験は運転免許試験場等で直接「限定解除審査」という技能審査を受けます。一発試験は、指定教習所に通う場合に比べると必要日数や費用も少ないですが、それだけ合格の難易度も高いです。指定教習所に通う場合と、一発試験を受ける場合とともに、「眼鏡等」の限定解除を行う場合についても解説します。

    指定教習所に通う場合(「眼鏡等」以外の限定解除)

    1. 入校
    2. 技能教習
    3. 技能審査
    4. 合格後に技能審査合格証明書を取得
    5. 運転免許試験場で申請手続き
    6. 免許証交付

    指定教習所に通う場合、学科教習と路上講習はありませんが、技能教習を受講する必要があります。技能教習の必要最低時限は運転免許により異なります。例えば、AT限定免許の場合は4時間で、この技能教習ではMT車のクラッチ操作やギア操作などの技能を身につけていきます。

    技能教習を終えたら、教習所内で技能審査を受けます。合格したら、「技能審査合格証明書」を取得できます。この「技能審査合格証明書」を持参し、住所地の運転免許試験場や警察署に出向き、手続きをすれば新たな免許証が交付されます。当日、適性試験もあわせて行われる場合もあります。なお、卒業検定合格後は3ヶ月以内に限定解除の手続きを済ませなければならないので、スケジュールを立てる際には注意しましょう。

    一発試験の場合(「眼鏡等」以外の限定解除)

    1. 運転免許試験場で申請手続き
    2. 限定解除審査
    3. 合格後に免許証交付

    一発試験を受ける場合は運転免許試験場に直接出向き、限定解除審査を受けます。当日、適性試験も行われる場合もあります。なお、限定解除審査は予約制の場合があるため、あらかじめお住まいの都道府県の警察署のホームページなどで確認しておきましょう。審査に合格後、新しい免許証が交付されます。

    「眼鏡等」の限定解除をする場合

    1. 運転免許試験場で申請手続き
    2. 視力検査
    3. 合格後に免許証交付

    「眼鏡等」の限定解除をする場合は運転免許試験場に直接行き、視力検査を受けます。一部地域では、警察署でも手続きを受け付けています。無事に合格できれば、限定解除が完了です。

    6.限定解除するまでにかかる日数

    指定教習所に通う場合は、取得する運転免許の種類によりますが、限定解除まで3日〜6日かかります。一方で一発試験の場合と、「眼鏡等」の限定解除をする場合は、技能審査および視力検査で合格できれば即日で限定解除が可能です。

    7.限定解除に必要なもの

    教習所の場合 一発試験の場合 「眼鏡等」の
    限定解除の場合
    限定解除審査申請書
    (受付にあり)
    運転免許証
    指定校技能審査合格証明書 × ×
    手数料 1,400円 2,850円 無料

    都道府県によっては、写真などが必要な場合もあります。

    8.限定解除にかかる費用

    指定教習所に通う場合、運転免許の種類や教習所によって異なりますが、教習費用として約6万円〜12万円かかります。これに加え、運転免許試験場で手数料として1,400円必要です。一発試験の場合は教習費用が不要ですので、かかる費用としては手数料の2,850円のみです。「眼鏡等」の限定解除をする場合は、費用は発生しません。

    9.監修コメント

    1990年代前半に青春時代を過ごした私は「限定解除」と聞くと、どうしても自動二輪免許を思い浮かべてしまいます。1970年代半ばから1995年までの約20年間、自動二輪免許は中型限定のいわゆる「中免」が一般的で、排気量制限のない自動二輪免許を取得するためには、運転免許試験場でとても狭き門の「限定解除」の審査を受ける必要があったからです。

    当時を知る世代に「限定解除」について訊ねると、一発試験の話などが出てくるかもしれません。しかしその場合の「限定解除」には、現在の制度と異なる部分が多くあります。本記事の内容と混同しないように注意しましょう。

    おとなの自動車保険はこちら

    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る