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免停の点数は?停止期間や処分を短縮する免停講習についても解説!

更新

2024/05/13

公開

2024/05/13

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交通違反の点数が一定以上になると下される処分「免停」。免停という言葉は知っていても、違反点数が何点で免停になるのか、処分を受けたらどのくらいの期間、運転できなくなるのかなど、細かなルールは覚えていない方も多いかもしれません。

そこで、本記事では免停になる点数や停止期間、運転免許証返還までの流れ、免停期間を短縮する方法などをまとめて解説します。

目次

    1. 免停とは?

    免停とは免許停止処分の略で、行政処分によって運転免許証の効力が一定期間停止されることです。交通違反や交通事故を起こすと違反点数が付きます。違反点数が累積され、一定の基準に達すると免許停止処分が下され、免許停止期間中は運転することができなくなります。

    免許停止処分中に運転すると無免許運転となり、違反点数25点が加算され、免許取消の行政処分とともに3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

    免許取消との違いは?

    免許取消とは、運転免許証の効力が失効する行政処分です。免停が一時的に運転できなくなるのに対し、免許取消は完全に運転する資格がなくなります。免停は停止期間が終了すれば再び運転できますが、免許取消の場合は運転免許証を再取得しなければ運転できません。

    2. 免停になる点数と免停の期間は?

    それでは、違反点数が何点になると免停になるのでしょうか?これは、過去3年間に累積した違反点数によって決まります。また、過去に免停または免許取消の行政処分を受けたことがあるかどうかによって、免停になる点数や免許停止期間が変わってきます。こうした過去3年間の行政処分のことを「前歴」といいます。

    前歴がない場合は、過去3年間の累積点数が6点以上14点以下で免停処分が下されます。なお、累積点数が15点以上になると免許取消となります。

    免許停止期間は、累積点数が6〜8点の場合は30日、9〜11点は60日、12〜14点は90日となっています。

    過去3年間の累積点数 免停期間
    6〜8点 30日
    9〜11点 60日
    12〜14点 90日
    参考
    警視庁「行政処分基準点数」

    「違反者講習」の対象者なら免停を避けられる

    累積点数が6点になり、本来なら30日間の運転免許停止処分になる人であっても、「違反者講習」を受講することで免停の行政処分を受けずに済むことができます。違反者講習は誰でも受講できるわけではなく、対象になるのは次の条件がすべてあてはまる人です。

    • 3点以下の軽微な違反を繰り返したことよって累積点数が6点になった人
    • 過去3年以内に違反者講習や停止処分などの対象になっていない人

    違反者講習の対象者には公安委員会から「違反者講習通知書」が郵送されます。受講すれば30日の免停処分が下されません。また、違反者講習の対象となった違反点数の6点は以後の違反に累積されず、処分の前歴も付きません。講習を受講できる期間は海外旅行や災害などやむを得ない理由を除いて、通知書を受け取った翌日から1ヶ月以内ですので注意しましょう。

    前歴があると免許停止期間が長くなる

    免許の停止期間は、30日から180日まで6段階に分かれています。前歴があると前歴がない場合よりも軽微な違反でも免停になり、免停期間も長くなります。たとえば、前歴がなければ累積点数6点で30日の免停ですが、前歴が1回ある人は累積点数4点で60日、4回以上前歴がある人は累積点数2点で免停期間150日と厳しい処分が下されます。前歴と違反点数別の免停期間は以下のとおりです。

    前歴 免許停止期間
    30日 60日 90日 120日 150日 180日
    なし 6〜8点 9〜11点 12〜14点 - - -
    1回 - 4〜5点 6〜7点 8〜9点 - -
    2回 - - 2点 3点 4点 -
    3回 - - - 2点 3点 -
    4回以上 - - - - 2点 3点

    参考
    警視庁「行政処分基準点数」

    免停よりも重い処分として免許取消がありますが、前歴なしで累積点数が15点以上、前歴1回で10点以上、前歴2回で5点以上、前歴3回以上で4点以上の累積点数に達すると免許取消となります。

    免停満了後に無事故・無違反なら優遇措置がある

    前回の免許停止期間満了日から1年以上、無事故・無違反・無処分なら累積された点数はリセットされ、0点になります。また、2年以上無事故・無違反・無処分の場合は、1〜3点の違反をしても、その後3ヶ月以上無事故・無違反ならその違反行為の点数は累積されません。

    ただし、これは点数制度上の優遇措置で、違反歴や事故歴そのものがなくなるわけではありません。免許更新時の講習の区分や免許証の色は過去5年間の交通違反や事故で判断されるため、これらへの影響は残ります。

    3. 累積点数の確認方法は?

    違反を繰り返すなどして自分の累積点数がわからなくなったときは、「累積点数等証明書」で確認することができます。

    累積点数等証明書は各都道府県の「自動車安全運転センター」に申請すれば入手できます。自動車安全運転センターの窓口や郵送で申し込める他、スマートフォン用の申請アプリを使用してインターネットから申し込むこともできます。

    【累積点数等証明書 見本】

    License-suspension-01.jpg

    出典
    自動車安全運転センター

    4. 「一発免停」になるのはどんなとき?

    一発免停とは、1度の違反で累積点数が免停処分の基準に達することです。たとえば、酒気帯び運転や無免許運転のように重大な違反とみなされるケースは前歴の有無に関係なく一発免停になります。前歴のない人が一発免停になる違反点数は6点以上ですが、1回で6点が付く違反には次のようなものがあります。

    • 速度超過
      一般道路30km/h以上、高速道路40km/h以上50 km/h未満の速度超過の場合に6点が付きます。50km/h以上の速度超過は違反点数12点になります。
    • 無車検運行
      無車検運行は車検切れの自動車での運行を指します。
    • 無保険運行
      強制保険である自賠責保険・自賠責共済の有効期限が切れた自動車を運転すると違反点数6点になります。
    • 携帯電話使用等(交通の危険)
      「携帯電話使用等」は携帯電話などを通話のために使用したり、携帯電話やカーナビゲーション、ゲーム機などの画面を注視したりする行為を指します。これらの行為をしながら事故を起こすなど交通に危険を生じさせる運転をした場合、違反点数が6点となります。携帯電話などを手で持って通話したり画像を注視したりしながら運転している場合などは「携帯電話使用等(保持)」となり、違反点数は3点です。いずれにしても「ながら運転」は非常に危険な行為ですのでやめましょう。

    5. 免停から免許証の返還までの流れは?

    違反行為をして警察から取り締まりを受けた際、その場ですぐに免停になるわけではありません。免停の通知書が届き、出頭して処分が決定したところで免停となります。ここでは、免停の手続きから免許証返還までの流れを解説します。

    (1)免停通知書を受け取る

    取り締まりを受けてから数週間〜1ヶ月ほどで警察から免停に関する通知書が郵送されます。通知書は「行政処分出頭通知書」と「意見の聴取通知書」の2種類があります。

    行政処分出頭通知書は累積点数が免停の基準に達し、免停期間が90日未満の人に届きます。一方、意見の聴取通知書は免停期間が90日以上、または免許取消処分に該当する人に送られてきます。これは意見を述べ、有利な証拠を提出する機会を該当者に与えることで、処分が公正適切に行われるようにするための制度です。場合によっては処分が軽くなることもあります。

    どちらの通知書にも出頭する日時や出頭場所が記載されています。行政処分の出頭については指定された日に出頭できない場合は電話で変更することが可能です。意見の聴取は正当な理由がなければ日時の変更はできません。

    (2)指定された場所へ出頭・免停期間の開始

    通知書に指定された場所へ出頭します。出頭場所は自治体にもよりますが、管轄の運転免許センターが指定されることが多いようです。行政処分出頭通知書を無視して出頭しないと懲役や罰金刑が科される可能性もありますので必ず出頭しましょう。代理人が出頭することも可能です。意見の聴取は弁護人に付き添ってもらうこともできます。

    出頭したら指示に従って手続きを行い、「運転免許停止処分書」を受け取ります。あわせて運転免許証を提出したら、その時点から免停期間が開始となります。帰りは車を運転できませんので、出頭の際は公共交通機関やタクシーなどを利用しましょう。

    (3)停止処分者講習を受ける(任意)

    後ほど詳細を解説しますが、任意で停止処分者講習を受けることができます。いわゆる免停講習と呼ばれるもので、この講習を受けて一定の成績を収めれば免停期間を短縮できます。

    (4)免停期間満了後に免許証の返還

    免停期間が満了になったら運転免許証が返還されます。運転免許停止処分書を持って、処分書に記載された返還場所へ受け取りに行きます。

    なお、運転免許停止処分書があれば免停中も免許の更新手続きが可能です。ただし、新しい免許証が交付されるのは免停期間が満了してからになります。

    6. 免停を早く解除するには?

    免停通知書を受け取った際に「停止処分者講習」を受けることで、免停期間を短縮することができます。停止処分者講習とは、免停処分を受けた人を対象とした講習で、運転適性の診断や安全運転に関する講義、実車での指導などが行われます。

    講習は処分で決まった免停期間によって短期・中期・長期の3種類に分かれており、費用や内容、免停期間の短縮日数などがそれぞれ異なります。講習の最後に考査(テスト)があり、受講態度を加味した「優・良・可」の評価に応じて免停期間の短縮日数が決まります。各講習の対象者や成績別の短縮日数などは下記の表をご覧ください。

    講習の種類

    対象者(免停処分日数) 講習手数料 講習時間 免停処分日数 成績別 短縮できる日数
    短期講習 40日未満 11,700円 6時間(1日) 30日 29日 25日 20日
    中期講習 40~90日未満 19,500円 10時間(2日間) 60日 30日 27日 24日
    長期講習 90~180日以下 23,400円 12時間(2日間) 90日 45日 40日 35日
    120日 60日 50日 40日
    150日 70日 60日 50日
    180日 80日 70日 60日

    出典
    警視庁「停止処分者講習実施要綱の制定について」

    たとえば、短期講習は免停期間(免停処分日数)が40日未満の人が対象となります。免停期間が30日の場合、「優」の評価を取れば29日短縮され、免停期間は受講した当日のみになります。運転免許証もその場で返還され、次の日から車を運転することができます。

    ただし、考査の結果が「不可」になった場合は短縮されません。その場合は講習終了後に再度、考査を受けることができ、50%以上の評価になれば短縮可能です。停止処分者講習を受講するかどうかは任意で、免停期間の短縮を希望しない人は受講する必要はありません。

    7. 監修コメント

    職種によっては、免停処分を受けると勤め先に多大な迷惑をかけてしまうことがあります。以前、私が勤めていた会社でも免停処分を受けた先輩がおり、その皺寄せが私たち後輩に及んだものでした。
    免停処分を理由に即解雇となることは考えにくいですが、会社から何らかのペナルティを与えられる可能性は否定できません。社内はもちろん、取引先からの評価を損なってしまうこともあります。
    とくに飲酒絡みの違反は本人の心掛け次第で防げるので、会社からより厳しい処分を受ける傾向が強いといえます。人生設計に狂いが生じかねないので、飲んだら乗らないを厳守しましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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