自動車保険

テレマティクス自動車保険とは?安全運転をするほど保険料が下がる仕組みを解説

世界中の保険会社が注目する新しい仕組みの自動車保険が「テレマティクス自動車保険」です。

欧米では認知度の高いテレマティクス自動車保険は、日本ではまだまだこれからの新しい保険です。しかし、近い将来、自動車保険の選択肢の1つとして成長することが期待されています。

本記事では、テレマティクス自動車保険の詳しい情報と、ほかの保険との違い、メリットとデメリットを解説します。


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1. テレマティクス自動車保険について

テレマティクスとはIoT(モノのインターネット)の1つで、通信(Telecommunication)と情報工学(Informatics)を組み合わせた造語です。車などの移動体に通信システムを使ってサービスを提供することを表します。

テレマティクス自動車保険は、カーナビなど通信システムを搭載した車に対する保険です。

双方向の情報発信によりリアルタイムで運転中の情報取得ができ、ドライバーごとの運転実績に応じた保険料を設定します。

ここでは、一般的な自動車保険(任意保険)との違いなどから、テレマティクス自動車保険の仕組みを理解していきましょう。


テレマティクス自動車保険と一般的な任意保険との違い

テレマティクス自動車保険の最大の特徴は、ドライバーごとに保険料が細かく算定される点です。

テレマティクス自動車保険には、ドライバーの走行距離によって保険料が決まるタイプと、ドライバーの運転特性によって保険料が決まるタイプの2種類があります。詳しい内容については、この後解説します。

一方、日本で一般的な自動車保険(任意保険)は、補償内容や契約条件をもとに保険料が決まります。過去の運転実績は等級に反映され、契約中の事故の有無によって更新後の保険料を下げることが可能です。

しかし、テレマティクス自動車保険のように、個々の運転実績が保険料に影響することはありません。


テレマティクス自動車保険の普及率

テレマティクス自動車保険は、欧米を中心に急速に普及が進んでいます。イギリスでは2020年時点、自動車保険を契約する人の約40%がテレマティクス保険を選んでいるというデータもあります。

日本でも、2015年頃からテレマティクス自動車保険が登場しています。しかし、欧米ほど普及しているといえないのが実情です。日本の自動車保険には等級や各種割引制度があり、個々のニーズにあった手頃な保険料を実現しているのが大きな要因でしょう。

とはいえ、優良ドライバーほどメリットの大きいテレマティクス自動車保険は、事故件数低下にもつながるなど社会全体に好影響を与えるため、普及が期待されています。


2. テレマティクス自動車保険の種類

テレマティクス自動車保険は2タイプあり、契約時にどちらかを選べるのが一般的です。

そこで、テレマティクス自動車保険のタイプごとの特徴についてお伝えします。


走行距離連動型(PAYD:Pay As You Drive)

走行距離連動型(PAYD:ペイド)は、車の走行距離に応じて保険料が増減するタイプです。保険会社は車載の通信端末から実際の走行距離を把握して、保険料を決めます。

走行距離が伸びるほど事故率が高まるという事故リスクの関係から、走行距離が長いほど保険料が高くなり、走行距離が短いほど保険料が低くなります。


走行距離連動型(PAYD:Pay As You Drive)はどんな人に向いているか

走行距離が短いほど保険料が安くなる走行距離連動型は、車の利用時間が短い人におすすめです。

車は週末にしか乗らない方や近所での利用が中心という方は、保険料を割安に抑えられる可能性があります。


運転行動連動型(PHYD:Pay How You Drive)

運転行動連動型(PHYD:ファイド)は、ドライバーの運転特性に応じて保険料が増減するタイプです。運転速度や急ブレーキ・急発進の有無、ハンドリングの安定感といった運転情報を端末から受け取り、ドライバーごとの事故リスクに応じて保険料を算出します。

細かな情報の取得や分析が必要であることから、運転行動連動型のテレマティクス自動車保険は日本にはまだほとんど存在しません。


運転行動連動型(PHYD:Pay How You Drive)はどんな人に向いているか

安全運転を心がけるほど保険料が下がるので、運転行動連動型は日頃から運転している優良ドライバーにおすすめです。

運転に不慣れな初心者は安全を意識していてもうっかりミスが起こりやすいため、長くゴールド免許を保有する運転慣れしている方のほうが向いているといえます。


3. テレマティクス自動車保険の主なサービス内容

テレマティクス自動車保険は、車に搭載する機器を通じて、双方向の情報通信を行います。この技術は、保険料の算定以外にも、さまざまなサービス提供に利用されています。

それでは、テレマティクス自動車保険が提供する主なサービスを紹介しておきましょう。


安全運転診断を送信

カーナビなど車載の通信機器から送信される運転データを分析して行われるのが、ドライバーに対する安全運転診断です。

例えば、運転中の速度超過・急発進・急減速の「危険三挙動」が発生したらメールで通知される、危険運転の増える場所を事前に知らせるなどのサービスがあります。

普段、客観的に判断しづらいご自身の運転特性を知るのに最適です。


Webサイトでの情報提供

テレマティクス自動車保険で取得される情報は、一方的に提供されるだけではなく、ドライバー自身がデータにアクセスすることも可能です。

過去の運転データの履歴、危険運転が検知された日時や場所、リスクの高い走行ルートなどを確認できます。


事故対応サービスへの活用

機器を通じて保険会社と直接つながる利点を生かしたのが、事故対応サービスです。交通事故を自動で検知・通報し、これまで以上に迅速な事故対応が可能になります。

ドライバーから電話連絡をしなくても、担当者が現場にかけつけるサービスもあります。誰でも気が動転してしまう交通事故において、心強いサービスといえるでしょう。


4. テレマティクス自動車保険のメリット

テレマティクス自動車保険には、適正な保険料算出のほかにも、さまざまなメリットがあります。ここでは主なメリットを3つお伝えします。


安全運転への意識が高まる

テレマティクス自動車保険は、優良ドライバーほど保険料が下がります。さらに、ドライバーの運転特性がデータとして可視化されることで、安全運転への意識が高まると期待されています。


渋滞の解消につながる

テレマティクス自動車保険を通じて保険料を下げよう、安全運転を心がけようと考える方が増えれば、それだけ交通事故は減っていくでしょう。ひいては事故渋滞の減少など、社会問題の解消にもつながります。

そのほか、急ブレーキや急アクセルといった危険運転が減少するため、車の流れがスムーズになることも考えられます。


交通事故を未然に防ぐ

運転中の危険行動をその都度通知するといったサービスが、事故につながる行動を抑制します。

いわゆる「ヒヤリハット」から大きな過失につながることはよくあります。いつ・どのような運転をしたかを常に意識することで、交通事故を未然に防ぐことが期待されます。


5. テレマティクス自動車保険のデメリット

ドライバーのみならず、社会全体にメリットがあるとされるテレマティクス自動車保険ですが、いくつかデメリットも存在します。


プライベートなデータを管理される

車載機から保険会社に送られるデータは、ほとんどの場合は個人情報に触れるものではありません。しかし、データを分析する過程で、車を運転していた時間やGPS情報などを管理されることになります。

何気ない行動もデータとして蓄積されてしまうため、他人に知られたくない情報や個人情報が漏えいするリスクは否定できません。


無保険ドライバーが増える可能性がある

優良ドライバーほどメリットの大きいテレマティクス保険ですが、逆にいえば、等級の低いドライバーには恩恵が少なく、敬遠されやすいともいえます。

こうしたドライバーは保険料の高い任意保険への加入にも積極的ではありません。テレマティクス自動車保険が普及すれば、自動車保険そのものを敬遠するドライバーが増え、無保険車が増加する可能性が考えられます。


■監修
  • 竹下 昌成
    プロフィール:
    竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

    HP:https://fptakeshita.jimdofree.com/
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