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休業損害補償とは?休業補償給付との違いや計算方法も解説

更新

2022/02/18

公開

2022/02/18

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交通事故でケガを負った場合、入院や通院などで仕事を休むこともあるでしょう。事故による負傷が原因で生じた収入の減少に対しては、休業損害補償として加害者に損害賠償を請求できます。

思いもよらない収入の減少で困らないように、休業損害補償の概要や補償額の計算方法について理解しておきましょう。

本記事では、休業損害補償の仕組みについてわかりやすく解説します。よく混同される労災保険の休業補償給付との違いについても確認しましょう。

目次

    1. 休業損害補償とは得られるはずだった収入を補償する制度

    休業損害補償は、交通事故で負ったケガなどで仕事を休んだ場合、本来なら得られるはずだった収入を補償するもので、交通事故の被害者が加害者に対して請求できる損害賠償の1つです。

    休業損害補償は自賠責保険または任意保険(自動車保険)から支払われる

    休業損害補償は、交通事故でケガを負って仕事ができなくなった被害者の損害に対する経済的補償で、加害者が加入する自賠責保険または任意保険(自動車保険)から支払われます。

    交通事故によるケガで損害が発生した場合、被害者は加害者へ休業損害補償を請求できます。被害者になってしまった場合、まずは任意保険(自動車保険)の引受け会社に連絡をしましょう。その後は、各社の担当者の案内に沿って必要な手続きを進めます。

    2. 似ている「休業補償給付」とは?

    休業損害補償とよく似た言葉に労災保険の「休業補償給付」があります。

    休業損害補償、休業補償給付は名称が似ていますが、実際には仕組みに大きな違いがあります。

    労災保険の休業補償給付は、勤務中や業務上など仕事に関わる時間内における負傷、疾病、障害によって、仕事ができなくなったとき(支給を受けていない場合に限る)に生じる損害を補償します。

    交通事故の被害者を広く対象とする休業損害補償とは違い、会社に雇用されて働いていて、なおかつその業務に付随して発生した負傷などであることが前提です。

    また、休業補償給付は労災保険から補償を受け取ります。労災保険の給付は労働基準監督署の業務なので、休業補償給付を受けるには被害者自身が各種書類を準備し、労働基準監督署で請求手続きを行わなければなりません。

    休業損害補償と休業補償給付は併用可能か?

    自賠責保険または任意保険(自動車保険)で支払われる休業損害補償、労災保険で支払われる休業補償給付はそれぞれ異なる補償ですが、重複して受け取ることはできません。

    たとえ休業損害補償と休業補償給付の両方に補償を請求しても、どちらかの補償しか受けられないのです。

    3. 休業損害補償の支払額や対象者の範囲など

    ここからは、休業損害補償の支払額(計算方法)や対象者の範囲など、補償の受け取りに際して知っておきたい点をさらに詳しく紹介します。

    支払額と計算方法

    休業損害補償は加害者の加入する自賠責保険または任意保険(自動車保険)から支払われます。自賠責保険の基準で、休業損害補償限度額は原則として基礎日額6,100円と決められていて、基礎日額に休業日数をかけると支払額がわかります。

    「休業損害補償の支払額=収入の基礎日額6,100円×休業日数」

    休業日数とは、休業を開始した日から終了した日の期間(連続して休業している場合)のことです。

    1日の休業損害が6,100円を超えることを証明できれば、基礎日額は19,000円を限度として実額まで引上げることも可能です。この際の基礎日額は「交通事故発生日の直前3ヶ月間の賃金総額÷90日」で計算されます。
    ただし、事故前3か月の給与総額をベースとし、働いていない日も含めて1日単価を計算するため実際の損害額よりも低い補償額になることがあります。

    注意したいのが、自賠責保険の保険金は被害者1名あたり120万円が限度という点です。被害者の状況によっては、支払額が自賠責保険の限度額を超えることもあるでしょう。そのときには加害者自身に任意保険(自動車保険)などを使って支払ってもらうことになります(加害者が任意保険に入っている場合)。

    支払額の計算例

    それでは、具体例に基づいて、休業損害補償の支払額を実際に計算してみましょう。

    例えば、交通事故でケガを負い、65日にわたって仕事を休むことになった会社員で、事故発生直前3ヶ月間の給料は給与明細や事故の前年度の源泉徴収票等から28万円、32万円、30万円だったことが証明されているとします。

    直前3ヶ月の給料総額は90万円になるため、基礎日額は「90万円÷90日=10,000円」とわかります。この結果、休業損害補償の支払額は「基礎日額10,000円×65日(休業日数)=650,000円」となります。

    過失相殺による減額

    休業損害補償を請求するとき、注意しておきたいのが過失相殺による減額が起こる可能性があることです。

    過失相殺とは、交通事故における被害者の過失(責任)割合に応じて、加害者の支払う損害賠償金が減額されることを意味します。休業損害補償はもちろん、通院のための交通費や慰謝料など、過失相殺は交通事故のすべての損害賠償金に影響を及ぼします。

    また、交通事故では一般的に、被害者の車両が追突された事故や信号無視による事故などを除けば、たとえ被害者であっても一定の過失割合が認められる可能性が高いです。

    対象者の範囲

    給与所得者や事業所得者(個人事業主)、パート・アルバイトの方だけでなく、無収入の専業主婦であっても家事従事者として休業損害補償の対象となります。

    ほかにも、無職の学生は基本的に対象に含まれませんが、アルバイトなどで収入があれば対象になります。

    補償が終わるタイミング

    基本的には、仕事復帰したタイミングで休業損害補償は終わります。しかし、以下のようなケースなど、仕事に復帰できていないタイミングでも補償が終わってしまう場合があります。

    • 医師が休業は必要ないと認めたケース(痛み等があっても就労は可能と判断したケース)
    • 症状固定と判断されたケース

    症状固定とは、ケガの治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことです。

    補償が終わるタイミングの多くは、治療が進み、これ以上の改善が見込めない「症状固定」と判断されたときです。被害者自身はまだ治癒していないと感じていたとしても、症状の慢性化などから「症状固定」と診断されるケースは珍しくありません。

    有給休暇の取り扱い

    休業損害補償は、有給休暇を取得した日も支払の対象となります。有給休暇は本来、被害者が仕事を休んで自由に過ごせる日であり、交通事故を理由に使わざるを得なくなったときには補償の対象になると判断されています。

    休業損害証明書には有給休暇を含めた休業日数を記載してもらいましょう。

    なお、休業補償給付では有給休暇は補償の対象外になるので注意してください。

    4. 適切に休業損害補償を受けるためには?

    交通事故の被害にあった場合、身体的にも経済的にも負担が大きいものです。休業損害補償をスムーズに受けるために、知っておくべき手順をお伝えします。

    収入をもとに補償額を計算する

    まずは休業損害補償の支払額を確認しておくことが大切です。どれだけの補償が受けられるのか確認して、先の見通しを立てましょう。先述の「基礎日額×休業日数」でおおまかな支払額がわかります。会社員は有給取得日を休業日数に含めるのも忘れないようにしてください。

    専業主婦のように、家事従事者としての請求が可能でも、実際に金銭的な減収が生じていない場合には、治療後に一括で請求するのが一般的です。

    勤務先に休業損害証明書を書いてもらう

    休業損害証明書に、事故直前3ヶ月間の収入や休業日数などを記載します。会社員であれば、会社に作成してもらいましょう。

    事業所得者(個人事業主)は客観的な休業証明が不可能なため、休業損害証明書の提出は不要です。専業主婦の場合も休業損害証明書は必要ありません。その代わり、家事労働をしている人が他にいないかを確認するための住民票などを用意して、任意保険(自動車保険)の取り扱い保険会社へ申請します。

    5. 事故が原因で働けない場合は休業損害補償を受けましょう

    交通事故は、ケガによる身体的な損害だけではなく、仕事ができなくなることによる経済的な損害も大きくなります。もし事故が原因のケガで働けない期間があった場合は、休業損害補償を受けましょう。

    ただし、自賠責保険の保険金は治療費も含め、被害者1名あたり120万円限度となっています。加害者が任意保険(自動車保険)に未加入だった場合は、損害賠償を請求しても支払を受けられないこともあり、支払意思の欠如などの場合によっては休業損害が補償を満たされない可能性があります。

    こうした万が一の事態に備えてご自身の自動車保険の補償内容を見直しましょう。「おとなの自動車保険」では、ご自身がケガをした場合の治療費や休業損害などを補償する人身傷害保険が基本補償になっています。
    ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

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    竹下 昌成
    監修
    竹下 昌成(たけした あきなり)

    プロフィール: 竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

    HP:https://fptakeshita.jimdofree.com/

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