自動車保険

自動車保険と生命保険の補償は重複するとどうなる?気になる疑問を解決

更新

2022/08/24

公開

2022/08/24

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日本では、生命保険に加入する人の割合が80%を超えています(※)。自動車保険への加入を検討中の方のなかにも、すでに生命保険に加入している方が多いかもしれません。

複数の保険に加入する場合、注意しておきたいのが各保険の補償内容の重複です。同じ補償を複数の保険につけていると、それだけ余分な保険料を支払っていることになります。

しかし、生命保険と自動車保険という異なるタイプの保険で、補償が重複することはあるのでしょうか。

そこで本記事では、自動車保険と生命保険の違いを知るとともに、補償が重複する可能性や注意点などを解説します。

(※)出典
<生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度>
目次

    1. 自動車保険と生命保険の違い

    同じ保険商品とはいえ、自動車保険と生命保険には大きな違いがあります。まずは自動車保険と生命保険、それぞれの特徴や内容についてみていきましょう。

    補償の対象や保険金の支払い方法に違いがある

    保険は、損害保険と生命保険の2種類に分類されます。

    自動車保険は損害保険に属するもので、ほかにも火災保険や傷害保険などが損害保険に該当します。

    損害保険が主にモノに対する偶発的な事故を補償するのに対し、ヒトの生命やケガ・病気などを保障するのが生命保険です。死亡保険や医療保険のほか、学資保険も生命保険の一種です。

    損害保険と生命保険のもっともわかりやすい違いが、保険金の支払い方法です。

    一部例外はあるものの、損害保険は契約時に決められた金額を上限に、実際の損害にもとづいた実費が補償(実損払い)されるのが一般的です。一方、生命保険もほとんどの場合、契約時に決められた保険金額がそのまま支払われます(定額払い)。

    2. 自動車保険と生命保険の補償が重複する可能性について

    自動車保険(損害保険)と生命保険は、補償対象や保険金の支払い方法などに違いがありますが、万が一の事態に備えるという保険の性質上、同じ補償が含まれていても不思議ではありません。

    ここでは、自動車保険と生命保険の補償が重複する可能性について解説します。

    「重複」とは2つ以上の保険に同じ補償がある状態

    2つ以上の保険を契約している場合に、一部あるいは全部の保険に同じ補償が存在することを「補償の重複」といいます。

    生命保険は定額払いのため、支払い事由に該当すれば定められたとおりの保険金が支払われます。そのため、複数の生命保険で保障が重複していても、それぞれの生命保険から保険金が支払われます。

    しかし、損害保険は基本的に実損払いです。実損払いの場合、複数の損害保険で補償が重複していても、損害を補填する費用以上に保険金が支払われることはありません。

    損害保険での補償の重複をもう少し具体的に説明しましょう。

    個人賠償責任保険(上限1億円)の火災保険Aに加入中、個人賠償責任保険(無制限)の自動車保険Bを契約すると、個人賠償責任保険において1億円分の補償の重複が発生します。

    この契約中、家族が自転車で他人にケガさせ、実損1億円の事故を起こしたとします。火災保険Aから1億円の保険金がおりるとそこで実損払いが完了します。そのため自動車保険Bからは保険金の支払いがありません。3億円超の損害賠償額を請求されるようなケースでは、火災保険Aの保険金上限額を超えるため、上限額のない自動車保険Bから差額の2億円が支払われます。

    ただし、上記は一般的な実損払いの考え方で、加入する保険商品によっては傷害保険からも定額の保険金が支払われることもあります。詳しくは保険会社で確認しておくと良いでしょう。

    3. 自動車保険と生命保険が重複しやすい補償

    自動車保険と生命保険は、保険金の支払いが実損払いか定額払いかという大きな違いがあります。そのため、補償の重複があっても、同じ損害に対してそれぞれから保険金を受け取ることは可能です。

    損害を被ったときに、より大きな補償を得られるという点では、重複はメリットといえるでしょう。しかし、補償が重複すれば、同じ補償にそれだけ多くの保険料を支払うことになります。

    自動車保険と生命保険で重複しやすい以下の補償を重点的にみておきましょう。

    人身傷害保険

    自動車保険で一般的な人身傷害保険は、事故によるケガの治療費や働けない間の収入などが、過失割合にかかわらず実損払いされる補償です。

    契約内容にもよりますが、記名被保険者以外の家族や同居親族など補償対象が広いという特徴があります。

    生命保険に属する医療保険でも、ケガによる通院費や入院費が保障されます。ただし、医療保険は定額払いのため、実際の損害額に満たないリスクのほか、被保険者以外は対象外となる点が人身傷害保険とは異なります。

    自動車保険に加入するなら、医療保険に加入していたとしても、人身傷害保険で補償を手厚くしたほうが安心です。

    自転車や弁護士費用に関する補償も要確認

    自動車保険には任意で付け加えられるさまざまな特約が存在しており、こうした特約が生命保険の補償と重複している可能性があります。

    なかでも、特に生命保険で取り扱われる可能性の高い特約を3つ紹介します。

    自転車賠償特約

    高額な損害賠償に及ぶ事故の増加とともに、全国的に自転車保険の義務化が進んできました。その結果、自転車保険を販売する保険会社が損害保険、生命保険を問わず増加傾向にあります。

    しかし、生命保険を販売する会社で契約したとしても、自転車保険は損害保険の一種なので、実際の引受けは損害保険会社が行います。自転車保険は通常、被保険者のケガを補償する傷害保険と他者に損害を与えたことで法律上の賠償義務を負った場合を補償する個人賠償責任保険、2つの補償がセットされています。

    自動車保険にも自転車賠償特約(あるいは個人賠償責任特約)があります。自転車保険とこうした特約を契約すると個人賠償責任保険の補償の重複となり、どちらかの契約から保険金が出て、不足した金額のみ別会社から支払われる仕組みです。

    弁護士費用補償特約

    事故やトラブルが発生したときに、弁護士への相談費用、訴訟費用などを補償するのが弁護士費用補償特約です。この特約も、重複させていても恩恵を感じにくく、補償の見直しのポイントとなります。

    生命保険や医療保険のなかにも、弁護士費用補償特約を契約できるものがあるほか、多くの方が加入する火災保険にも、弁護士費用補償特約がセットされているケースがあります。特約はつい見逃しがちなので注意してください。

    ただし、弁護士費用補償特約は、保険によって補償範囲や補償額の差が大きい場合もあります。重複していたときは、より手厚い補償を残すことが大切です。

    ファミリーバイク特約

    ケガを補償する医療保険はバイクによる事故も補償します。

    しかし、生命保険のため、どんな事故でも定額の保険金しか受け取れません。バイク事故は重傷になるリスクが高いため、自動車保険にファミリーバイク特約をつけたほうが不安は少ないはずです。

    「おとなの自動車保険」のファミリーバイク特約には、手厚い補償が受けられる「人身タイプ」と節約型の「自損タイプ」二つのタイプがあります。予算や必要性にあわせて選ぶと良いでしょう。

    4. 補償の重複があった場合、どちらからも保険金を受け取れる?

    先述のとおり、自動車保険(損害保険)と生命保険に補償の重複があった場合には、どちらからも保険金を受け取れる可能性があります。

    それでは、自動車事故にあったら、自動車保険と生命保険から受け取る保険金には、どのようなケースが考えられるのでしょうか。

    補償が重複した自動車保険と生命保険に加入中の方が保険金を受け取るケースについて、具体的に解説します。

    ご自身が被害者の場合

    ご自身が自動車事故の被害者(過失割合ゼロ)で、ケガあるいは死亡となった場合を考えます。

    自動車保険からは、加害者側の加入する自賠責保険と自動車保険(対人賠償保険)の保険金が実損払いされます。

    そして生命保険は、入院や手術の給付金、死亡保障など、加入する生命保険の保障に応じた保険金が定額で支払われます。

    つまり、ご自身が被害者の場合、加害者の自賠責保険と自動車保険とご自身の生命保険、両方から保険金を受け取ることができます。

    ご自身が加害者の場合

    ご自身が自動車事故の加害者(過失割合100)で、ご自身もケガあるいは死亡となった場合を考えましょう。

    自動車保険は、人身傷害保険を契約していれば、ご自身のケガや死亡に対して保険金額を上限とした保険金が実損で支払われます。過失割合が影響しない点が、人身傷害保険の大きな特徴です。

    そして生命保険は、被害者になったときと同様に、保障内容に応じた保険金が定額払いされます。

    つまり、人身傷害保険への加入が前提とはいえ、ご自身が加害者であっても両方の保険から補償を受けられます。

    5. 補償が重複する場合は自動車保険へ加入する必要はない?

    安全運転を心がけるドライバーであれば、生命保険や医療保険の保障があれば、自動車保険の必要性をさほど感じられないかもしれません。

    しかし、生命保険などの保障があれば、自動車保険に加入する必要はないといえるのでしょうか。

    損害額が予測できない交通事故は自動車保険で備えるのが安心

    日常生活におけるご自身のケガや死亡時に備えるなら、生命保険への加入だけでも問題ないかもしれません。

    しかし、交通事故の損害対象や損害額は予測できるものではありません。他人への損害はもちろん、相手の車や公共物などモノへの賠償額が高額になるケースは多いです。

    たとえ生命保険に個人賠償責任特約をつけていても、車を運転中の損害は補償されないことにも注意が必要です(自転車は対象)。

    車を運転するなら、ご自身以外の損害を考慮して、自動車保険に加入するほう良いでしょう。

    6. 自動車保険と生命保険が重複した際の注意点

    自動車保険と生命保険は、補償の重複があってもどちらからも保険金を受取れる可能性があるため、補償を手厚くする方法の1つといえます。とはいえ、重複した分だけ保険料は割高になります。

    これから自動車保険に加入する方なら、契約中の生命保険の保障に応じて、自動車保険の補償を薄くしようと思われるかもしれません。

    しかし、生命保険は定額払いが基本です。交通事故にあったとき、損害額を補いきれないこともあります。自動車保険の人身傷害保険なら、ケガで働けない間の逸失利益を含め、実際の損害に応じた保険金を受け取れるので、事故にあっても金銭的な負担は少ないでしょう。

    さらに、生命保険は被保険者のみを対象としますが、自動車保険には人身傷害保険や搭乗者傷害特約のように同乗者を補償する特約もあります。

    補償内容と保険料を見極めて、ご自身や家族に最適な保険を契約できているか、契約や更新の都度、補償の見直しを行うことが大切です。

    7. 自動車保険と生命保険の適切な「重複」で手厚い補償が可能

    自動車保険は損害保険であり、損害に対して保険金が実費で支払われます。定額払いの生命保険と補償が重複していても、保険金の支払いには影響ありません。とはいえ、補償が重複していれば、それだけ保険料をたくさん支払うことになります。

    車を運転していれば誰でも事故にあう可能性があり、損害が高額になることもあるため、実損払いの自動車保険は大きな助けとなります。生命保険の保障内容を確認しながら、ある程度重複することを前提に、自動車保険を契約するのがおすすめです。

    「おとなの自動車保険」なら基本契約に必要な補償がそろっているため、必要性を見極めたうえで納得して契約できます。

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    竹下 昌成
    監修
    竹下 昌成(たけした あきなり)

    プロフィール: 竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

    HP:https://fptakeshita.jimdofree.com/

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