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自動車保険に弁護士費用特約は必要か?加入するメリットや注意点を解説

更新

2022/07/27

公開

2022/07/27

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自動車保険には任意でセットできる特約がさまざまあり、弁護士費用特約はその1つです。この特約をセットしていれば、交通事故にあったときなどに、相手方との交渉窓口として法律のプロである弁護士を頼ることができます。

いざというときに心強い特約ですが、日常生活で接する機会の少ない弁護士への依頼となると、具体的な必要性を想像するのは難しいかもしれません。

本記事では、弁護士費用特約の補償内容を詳しくお伝えするとともに、加入するメリットや利用に際しての注意点などをわかりやすく解説いたします。

目次

    1.自動車保険の弁護士費用特約について

    弁護士費用特約は、弁護士への相談や依頼にかかる費用を補償するものです。ご自身が交通事故にあわれ、相手方へ損害賠償を請求する際などに役立ちます。

    まずは、弁護士費用特約について詳しい補償内容、「おとなの自動車保険」加入者の加入状況などをお伝えします。

    自動車にまつわるトラブルで利用可能

    交通事故にあうと、一般的に相手方との交渉は保険会社が行います。法律にのっとり、過去の事故の事例などを元にお互いの過失割合を判断し、損害賠償金額が決定されます。

    保険会社は被害者に代わって、加害者の加入する保険会社の担当者と難しい交渉を進めてくれます。しかし、保険契約者に過失がなければ、保険会社に相手方と交渉してもらうこともできないのです。

    また、交通事故に対する解釈は個人の考え方や感覚に左右されやすく、提示された過失割合や賠償金額にお互いすぐに納得できるとは限りません。

    また、交渉や適正な賠償金額の判断は個人には難しいため、話がなかなか進まず、決着までに何年もの時間を要することもあります。

    このような場合に弁護士費用特約をセットしていれば、相談、交渉の委任や訴訟にかかる費用が補償されるため、法律の専門家に不安なく相談できます。

    法律の専門家が対応してくれるので、相手方との交渉もスムーズに進みやすいでしょう。

    自動車保険の弁護士費用特約の加入率

    弁護士費用特約はいざというときに頼れるとして、とりわけ認知度が高い特約です。

    「おとなの自動車保険」が公表するデータでは、2019年3月末時点に契約されている自動車保険のうち、実に64.5%もの契約者が弁護士費用特約をセットしています(※1)。

    そのほか、弁護士紹介も行っている日本弁護士連合会でも、連携する保険会社において、弁護士費用特約の加入者が右肩上がりに増加しているというデータが示されています。

    2001年時点は約11,500件だった契約件数は2019年には約2,800万件、つまりここ20年ほどで弁護士費用特約をセットしている契約者はおよそ2,500倍も増えたということになります(※2)。契約者数の増加とともに、実際に弁護士へ相談や依頼をする方も増えているようです。

    弁護士費用特約は、データが示すとおり、多くの契約者に選ばれている特約といえるでしょう。

    (※1)参考
    おとなの自動車保険:「弁護士費用特約」
    (※2)出典
    日本弁護士連合会:「弁護士費用保険(権利保護保険)について」

    2.自動車保険の弁護士費用特約の補償内容

    弁護士費用特約は、交通事故にあったとき、弁護士に損害賠償に関する相談や相手との交渉などを依頼する費用を補償します。しかし、補償の範囲などには一定のルールがあります。

    ここでは、自動車保険の弁護士費用特約における補償内容を確認しましょう。

    相手との交渉を弁護士に委任できる

    弁護士費用特約でもっともわかりやすく役立つ補償が、交通事故の相手方との交渉を法律の専門家である弁護士に委任できることです。

    交通事故が起こったときには、保険会社が法律にのっとって交渉を行い、加害者と被害者それぞれの過失割合や損害賠償金額が決まります。しかし、相手方の主張する過失割合や賠償金の提示額に納得できないこともあるでしょう。

    しかし弁護士であれば、訴訟を視野に入れた裁判所基準にもとづいて交渉してくれるため、双方が納得できる適切な着地点へ落ち着きやすいといえます。

    人によって過失割合や賠償金額の解釈が異なるうえ、被害者と加害者という立場から感情的になりやすい交通事故で、法律の専門家が対応してくれる安心感は大きいでしょう。

    もらい事故では強い味方に

    弁護士費用特約をセットしていなくても、交通事故における相手方との交渉は保険会社が行ってくれます。

    ただし、保険会社による交渉には例外があります。

    もらい事故、つまりご自身が被害者となり過失割合が0%である場合、保険会社は加害者側と交渉できません。相手方に対する損害賠償責任を生じないため、対人・対物ともに保険金は支払われないのです。

    保険会社として必要ない交渉は、弁護士法に抵触してしまいます。

    すると、保険会社を頼れない被害者はご自身で加害者側と交渉を行うことになります。相手は保険会社を通じて交渉してきますから、経験も知識も少ない個人が対応するのはかなり困難でしょう。

    上記のような弁護士費用特約は、自身が加入する保険会社が交渉の窓口になれない、ご自身の過失割合が0%のもらい事故の際に、保険会社に代わって交渉などを依頼できます。

    特約を利用しても翌年の等級に影響しない

    自動車保険を使用して保険金を請求すると、内容に応じて翌年の等級が下がり、保険料がアップする可能性があります。保険料が上がるのを避けるため、あえて保険を使用しないと判断したことがある方もいるかもしれません。

    しかし、弁護士費用特約はノーカウント事故に該当します。つまり、保険を使用しても翌年の等級に影響しないのです。

    翌年の等級や保険料アップを気にすることなく、困ったら利用できる特約という点も、多くの方に利用されている理由でしょう。

    3.自動車保険の弁護士費用特約はどんなときに役に立つ?

    弁護士費用特約をセットしておけば、運転中の安心感が増すでしょう。しかし、通常の交通事故であれば、保険会社同士の交渉で解決するのも事実です。弁護士費用特約の必要性はどのような場面で実感できるのでしょうか。

    そこで、弁護士費用特約があれば特に役立つと考えられる場面を紹介します。

    追突事故にあったとき

    先述のとおり、ご自身の過失割合が0%の場合、被害者側の保険会社は相手方との交渉を行えません。

    車体の損傷だけならまだしも、追突事故でケガの治療が必要になったときには、精神的にも肉体的にも相手方との交渉対応が大きな負担となるでしょう。

    こういったケースでも弁護士費用特約があれば、示談交渉を委任し、ご自身はケガの治療に専念できます。

    示談交渉が難航しているとき

    交通事故では、加害者と被害者それぞれの主張がかみ合わず、交渉が長引くことは珍しくありません。保険会社同士の交渉で過失割合や賠償金額が決まっても、相手が納得せず支払いに応じないこともあります。

    このように示談交渉が難航し、長引いているときにも弁護士費用特約が役立つでしょう。

    弁護士が交渉の窓口に立てば、法律にもとづいた内容であることから、相手方の納得や履行を得やすくなります。1日でも早く交通事故の痛手から立ち直るためにも、プロによるスムーズな終結がおすすめです。

    4.自動車保険の弁護士費用特約はどんな人に必要か?

    「おとなの自動車保険」では、自動車保険を契約する人の半数以上が選ぶ弁護士費用特約ですが、あくまでも任意の特約なので加入するかどうかは自由です。しかし、中には弁護士費用特約の必要性が高い人もいます。

    そこで、弁護士費用特約をおすすめしたい人について解説します。

    日常的に車を運転する人

    通勤や通学、買い物などで日常的に車を運転するなら、弁護士費用特約をセットしておきましょう。

    どれだけ安全運転を心がけていても、車を利用する機会が多ければ多いほど、それだけ交通事故にあう確率は高まります。もし追突事故で相手の過失割合が100%であれば、困難な交渉をご自身で対応することになります。

    ケガの治療はもちろん、ケガで休職、休業することになれば、日常生活への影響は大きくなります。相手方との交渉は専門家である弁護士に任せるのが安心です。

    交通量の多い地域に住んでいる人

    弁護士費用特約は、自動車保険の記名被保険者とその家族、または対象の車に搭乗中の方が補償対象となります。さらに注目すべきは、記名被保険者の家族であれば、歩行中にあった自動車に関わる被害事故も対象となるという点です。

    交通量が多い、大きな幹線道路が近いといった交通事故のリスクが高い地域にお住まいなら、運転中以外にも交通事故に巻き込まれる可能性が高まります。ご自身やご家族の安心のためにも、弁護士費用特約をセットしておくのがおすすめです。

    5.自動車保険の弁護士費用特約の注意点

    交通事故に巻き込まれたとき、法律のプロに交渉などを任せられる弁護士費用特約は、ドライバーにとって安心の特約といえます。しかし、利用するときにはいくつか覚えておきたい注意点があります。

    補償費用に上限がある

    翌年度の等級に影響しない弁護士費用特約ですが、だからといって契約中に使い放題というわけではありません。

    保険会社ごとに異なりますが、弁護士費用特約には一般的に保険金の上限が設けられています。例えば「おとなの自動車保険」では、弁護士に交渉を依頼するとき、弁護士費用などは1事故・被保険者1名あたり300万円を限度としてお支払いします。

    通常、交通事故の交渉を弁護士に依頼すると、相談料や日当の実費、成功報酬といった費用がかかりますが、総額で20万円前後+示談金の10%ほどとされています。そのため、300万円の保険金上限は十分な金額といえるでしょう。

    ただし、何度も相談するなどして上限を超えると、差額は自己負担となるので気を付けましょう。

    弁護士を選ぶときは保険会社の承認がいる

    弁護士費用特約を使うとき、相談や交渉委任先となる弁護士は原則として契約者が自由に選べます。ただし、保険会社によっては事前の承認や指定弁護士を保険金支払い条件としていることもあるので注意が必要です。

    仮に事前承認の条件がなかったとしても、保険金を支払うのは保険会社なので、事前に弁護士費用特約の利用について伝えておいたほうが後々の手続きがスムーズに進むでしょう。

    補償が適用されないケースがある

    弁護士費用特約をセットしていても補償を受けられないケースがあります。

    主な補償外のケースとしては、酒気帯び運転や無免許運転など、記名被保険者自身や家族などの重大な過失による事故で、その本人に生じた損害、台風や洪水、地震などの災害により発生した損害、車に関わらない日常生活における事故などがあります。

    また、複数台の車を所有している場合には補償範囲に注意しましょう。

    所有する車のうちどれか1台でも弁護士費用特約をセットすれば、記名被保険者とその家族はご契約車両以外の自動車(乗車中のタクシーやバス、友人の車、原付・二輪自動車)に乗車中の事故も補償されます。ただし、知人は特約をセットしていない車に搭乗中であれば補償対象外になるなど、補償範囲に差が出ます。

    6.自動車の弁護士費用特約の加入を検討しましょう

    自動車の弁護士費用特約は、車に関わる事故で、記名被保険者やその家族を法律の専門家である弁護士が助けてくれる便利な特約です。

    交通事故に巻き込まれたとき、保険会社同士の交渉でも示談は成立します。しかし、もらい事故など過失割合がゼロのときなど、保険会社に交渉してもらえないケースもあります。

    「おとなの自動車保険」でも、弁護士費用特約は多くの人から選ばれる人気の特約です。いざというときのために、より確かな安心をお考えでしたらご検討下さい。

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    竹下 昌成
    監修
    竹下 昌成(たけした あきなり)

    プロフィール: 竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。立教大学卒業後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家として不動産賃貸業をスタート。現在は大家業をメインに講師や執筆活動をしています。

    HP:https://fptakeshita.jimdofree.com/

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