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三角表示板(停止表示板) とは?規格や法律で義務付けられている使用法を解説。

更新

2023/06/28

公開

2023/06/28

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赤い三角の形状をしている「三角表示板(停止表示板)」。高速道路の事故や故障などで、やむを得ず車を停止する時には、三角表示板(停止表示板)の表示が義務付けられています。

いざ高速道路上で緊急停止をするとなった時に、三角表示板(停止表示板)の使い方がわからず焦らないように、今回は、三角表示板(停止表示板)の使い方や役割、規格などについて解説します。

目次

    1.三角表示板(停止表示板)とは?

    役割

    三角表示板(停止表示板)とは、車を緊急停止する時に使用される停止表示器材の一種。赤い三角の形をした自立式のもので、停止表示器材の中では最も一般的です。

    三角表示板(停止表示板)は、高速道路上で故障などにより緊急停止しなければならない時に使われます。目立つデザイン、かつ反射部がつけられた三角表示板(停止表示板)を置くことで、高速道路上でいち早く停止車両の存在を知らせ、危機回避を促し、後方からの追突を防ぐ役割を持ちます。

    規格

    三角表示板(停止表示板)は、道路交通法施行規則(第九条の十七 一)で夜間用、(第九条の十八一)で昼間用の規格が定められています。以下に、三角表示板(停止表示板)の規格を簡単に記載します。

    夜間用

    • 反射部があるもの
    • 夜間、200m先からでもヘッドライトの反射光を容易に確認できること
    • 赤色の反射光であること

    昼間用

    • 蛍光反射部があるもの
    • 昼間、200m先からでも蛍光を容易に確認できること
    • 蛍光の色は赤色または燈色であること

    夜間用・昼間用のどちらにも共通する規格

    • 正立の正三角形であること
    • 路面上に垂直に設置できること

    市販されている三角表示板(停止表示板)は、昼夜を問わず使用できる上記の規格を満たしたものがほとんどですが、念のため、このような規格が定められていることは覚えておきましょう。

    2.三角表示板(停止表示板)の使い方は?

    高速道路で緊急停止する際の対応(三角表示板の使用方法)

    三角表示板(停止表示板)は、教習所の教本などで見たことはあっても、実際に使ったことはない方が多いでしょう。三角表示板(停止表示板)は、故障やガス欠など、やむを得ない事情により高速道路上で緊急停止をする際に、表示をしなければなりません。こうした緊急停止の際の対応、および三角表示板(停止表示板)の使い方をおさらいしておきましょう。

    1. ハザードランプを点灯させながら、路肩に寄せるか、できるだけ広い場所に移動して停車する。
    2. 同乗者をガードレールの外などの安全な場所に避難させる。
    3. 三角表示板(停止表示板)を車両後方の50m以上離れた場所に置く。

      燃料漏れをしていない場合は、発炎筒も一緒に置く。

    4. 同乗者とともにガードレールの外側かつ車両後方に移動し、非常電話などで救援を依頼する。

    三角表示板(停止表示板)を置く場所の目安としては、車両後方から50m以上です。しかし、カーブなどで見通しが悪い場所においては、それに限らず、後方車から確実に見える場所に置くようにしましょう。

    万一に備えて、組み立ての練習をしておくと安心

    故障やガス欠などのトラブルはいつ起きるかわかりません。また、時速100kmほどのスピードで車が走行する高速道路上での緊急停止は非常に危険ですので、すばやく後方車に危険を知らせることが重要です。

    一般的な三角表示板(停止表示板)は折りたたみ式になっているので組み立ては簡単ではありますが、万一の事態に備えて、一度組み立ての練習をしておくようにしましょう。

    3.三角表示板(停止表示板)の装備は義務?表示を怠った場合のリスクとは

    標準装備ではないが、表示義務はある

    三角表示板(停止表示板)の車載は義務ではありません。しかし、高速自動車国道(高速道路)および、自動車専用道路上で自動車を停止させる場合には、以下の通り、停止表示器材を表示することが義務付けられています。

    自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線(以下「本線車道等」という。)又はこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなったときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない。

    「道路交通法 第七十五条の十一」より。

    出典
    e-Govポータル

    表示をしないと罰則がある

    もし高速自動車国道(高速道路)および、自動車専用道路上で自動車を停止する時に、停止表示器材の表示をしなかった場合、「故障車両表示義務違反」になり、大型車の場合は7,000円、普通車と二輪車は6,000円、小型特殊車は5,000円の反則金が科されます。また、いずれの車種の場合も違反点数1点がつきます。

    なおこれらの罰則は、あくまで高速道路上での停車時に、停止表示器材の表示をしなかった場合が対象です。上述の通り、三角表示板(停止表示板)を装備していないだけでは違反にはなりません。

    二次事故につながる恐れも

    高速道路上で停止する時に、三角表示板(停止表示板)の表示を怠った場合のリスクは、罰則だけではありません。後続車からの追突など、重大な事故につながることがあります。その際は、加害者や被害者の怪我、多額の損害賠償の発生など、さまざまなリスクが発生する可能性も考えられます。

    車載の義務はないものの、万一のトラブルに備えて、三角表示板(停止表示板)は常に車に装備しておくようにしましょう。

    4.三角表示板(停止表示板)はどこに売っている?

    三角表示板(停止表示板)を持っていないという方は、新たに購入しましょう。三角表示板(停止表示板)は、カー用品店やホームセンターなどで売られています。また、通販サイトなどネットでも購入可能です。

    値段も、500円台のものから2,000円台のものまで。なかには、視認性の高いLED点滅機能付きの商品もありますので、ご自身の予算や希望に合う商品を見つけてみてください。

    5.三角表示板(停止表示板)は発炎筒で代用できる?

    発炎筒では代用できない

    危険を知らせる目的で使われる発炎筒。三角表示板(停止表示板)と違い、発炎筒は車載義務があります。そのため、緊急時に車が停止していることを知らせるには、発炎筒で代用できるのではないかと思われる方もいるでしょう。しかし、発炎筒は5分程度しか燃焼しないので、後続車に警告をするには不十分です。

    また、トンネル内での停車時には、視界を悪くする恐れがあるため、発炎筒は使用できないことも。三角表示板(停止表示板)は、発炎筒では代用できないと思っておいてください。

    「停止表示灯」であれば代用できる

    三角表示板(停止表示板)は、発炎筒では代用できないと説明しました。しかし、「停止表示灯」であれば代用可能です。

    「停止表示灯」とは、三角表示板(停止表示板)と同じく、停止表示器材の一種。三角表示板が反射式であることに対して、停止表示灯は内部に照明が搭載されている灯火式のものです。なお、道路交通法施行規則(第九条の十七 二)と(第九条の十八 二)により、停止表示灯に定められている規格は下記の通りです。

    • 路面に設置した際に、長さ17cm、幅17cm、高さ15cmを超えないもの。
    • 点滅式であること。
    • 路面上に設置した時に、200m先からでも点灯を確認できること。
    • 灯火の色は、紫色であること。

    停止表示灯には、三角表示板よりコンパクトなライトセーバータイプや回転灯タイプなども販売されています。例えば、車載スペースが十分にとれないといった場合には、コンパクトなライトセーバータイプが良いかもしれません。

    しかし、停止表示灯は電池式や電源式のタイプが一般的のため、電池が著しく劣化していたり、バッテリー上がりなどの場合には、使用できない可能性も。一方で、三角表示板(停止表示板)は反射式なので、破損などがない限り、半永久的に使うことができます。これらのメリット・デメリットを把握したうえで、ご自身の予算や希望に合う停止表示器材を選ぶといいでしょう。

    6.監修コメント

    万が一の際に不可欠な三角表示板は、保管場所にも注意が必要です。
    私自身、過去に一般道で追突事故に遭った経験があるのですが、そのときはリアゲートの下に加害車両がめり込み、ラゲッジスペースに入れていた三角表示板を取り出せませんでした。一般道での出来事だったので違反にはなりませんでしたが、その反省から三角表示板をリアシートの下に置くようにしています。

    三角表示板などの二次事故防止に必要なアイテムは、助手席のシート下に保管するのもおすすめです。運転席の下は、ズレてブレーキ操作を妨げてしまうリスクがあるので避けてください。助手席にアンダーボックスを備えている場合は、そのスペースに収納しておくとよいでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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