クルマ

最新の車両盗難手口であるコードグラバーとは? スマートキー搭載車の盗難対策について

更新

2021/06/02

公開

2021/06/02

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スマートキー搭載車を対象とした「コードグラバー」と呼ばれる機器を用いた車両盗難が横行しています。コードグラバーによる車両盗難は単独で犯行可能なうえ、対策方法が限られている恐ろしい盗難手口です。

今回は、コードグラバーやリレーアタックなど、スマートキー搭載車に向けた盗難対策方法と、盗難に遭ってしまった場合の対処方法を解説します。

目次

    1.コードグラバーとは

    コードグラバーは、スマートキー搭載車のスペアキー作成に使われる機器を悪用した車両盗難の手口です。スマートキーでロックした際に発せられる電波信号を受信し、ドアロックする度に生成される固有の解錠IDコードを複製します。

    コードグラバーを用いれば、あたかもスペアキーのようにドアロックを解除し、エンジンを始動させることができます。車は正規のキーを使っていると認識するため、スマートキーと連動した防犯装置も解除されてしまいます。

    2.コードグラバーによる盗難手口

    コードグラバーは、およそ100m圏内にいればスマートキーが発する電波を受信できるため、窃盗犯は車に近づく必要がありません。

    窃盗犯はまず、対象となる車のドライバーがドアロックした際の電波をコードグラバーで受信します。電波を受信したコードグラバーはスペアキーとして車に認識されるため、ドアの解錠からエンジン始動までが行えるようになります。窃盗犯はドライバーが車から離れたすきにドアを解錠し、簡単にエンジンをかけて車を持ち去ることができます。

    犯行に人手や手間、時間がかからないため、ドライバーは犯行の予兆にすら気づくことができません。これがコードグラバーによる盗難の恐ろしい点です。

    リレーアタックとの違い

    リレーアタックとは、車の所有者が持つスマートキーの電波を増幅させて車の近くにいる仲間に届け、車の近くにスマートキーがあるように認識させてロックを解除する車両盗難手口です。リレーのように中継機を介して電波を送信するため、この名で呼ばれます。

    リレーアタックを行なうには、複数人の連携が必要です。また、スマートキーの微弱な電波を受信するためにはキーを持つドライバーの数メートルまで接近する必要があります。それに対してコードグラバーは一人でも実行できるうえ、離れた場所からでも解錠コードを盗み出せる点が大きな違いです。

    3.コードグラバーなどによる車両盗難への対策方法

    盗難の察知が非常に難しいコードクラバーですが、リレーアタックも含めどんな手口にも対策方法はあります。手口や目的に応じた盗難対策方法を理解しましょう。

    追加セキュリティを導入する

    コードグラバーに有効なのは、追加セキュリティシステムの導入です。ロシアやヨーロッパでは、施錠後にスマートキーの電波を受け付けなくすることで高い防犯実績を誇る装置が人気です。専用電子キー(キーフォブ)認証もしくはスマートフォン認証をした上でスマートキーの解錠操作をしなければドアの解錠およびエンジン始動はできません。また、専用キーフォブを身に着けていれば通常のスマートキーのように車に近づくだけで解錠されるようにも設定できます。

    電波遮断キーケースを使用する

    リレーアタックには、スマートキーから発せられる電波を外に漏らさないようにする電波遮断キーケースが有効です。キーを持って移動する際はもちろん、自宅にキーを保管するときなど、必要時以外には電波遮断キーケースにしまっておくようにしましょう。ただし、ロック時の電波を受信するコードグラバーは電波遮断キーケースでは防げません。

    ハンドルロック・タイヤロックをする

    車の一部を固定し走行できないようにするハンドルロックやタイヤロックは盗難全般に有効です。これらのロック装置は犯行に時間をかけさせ犯行意欲を失わせる効果もあります。ただし、大きく重いロック装置の装着に手間がかかる難点があります。

    駐車場に防犯カメラを設置する

    自宅での車両盗難には防犯カメラの設置が効果的です。証拠映像による犯人の特定に役立つほか、カメラの存在自体が犯行抑止に効果を発揮します。ただし、防犯カメラが破壊されては効果がなくなってしまうため、目立つ場所かつ簡単に手が届かない場所に設置するとよいでしょう。防犯のみが目的ならダミーカメラも有効です。

    GPSを設置する

    GPS発信機を車内に取り付けておけば、いざ車が盗まれても車の所在確認ができる可能性が高まります。設定次第でPCやスマートフォンでも位置を確認できるため、迅速に対処すれば車を取り戻せる確率が高まります。

    GPSには、発信機の設置のみを行うケースと、盗難後の追跡サービスを付けるケースがあります。GPS単体の設置は費用が安価なのがメリットです。GPS追跡サービスは高めの利用料金がかかるものの、GPS追跡だけでなく異常監視・通知や現場急行など、手厚いサービスが受けられます。

    4.車両盗難の被害に遭ってしまったら

    自動車盗難に気づいたら、まずは最寄りの警察署もしくは交番に盗難被害届を出しましょう。その際、車種やナンバー、色や特徴などの情報と、盗難日時や場所、状況などを知らせる必要があります。あらかじめ車検証のコピーなどを準備しておくことをおすすめします。

    次に連絡するのは自動車保険会社です。車に乗らない間の中断手続きに加え、車両保険に加入していれば保険金が支払われる場合があります。

    さらに、車がなかなか戻ってこない場合は地域を管轄する陸運支局などに行き、一時抹消登録もしくは税金の支払いを停止する申請も忘れてはいけません。

    5.車の盗難補償は車両保険がおすすめ

    車両保険に加入していれば、車両盗難は全損として扱われ保険金が下ります。事故や災害だけでなく車両盗難にも備えて車両保険への加入をおすすめします。

    保険会社によっては、購入して間もない車の盗難に対して新車価格相当の保険金を補償する「車両新価特約」や、車内にあった貴重品の損害に対して一定限度額内で補償する「身の回り品補償特約」が用意されている場合もあります。

    6.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

    自動車盗難への対策は数多くあるものの、確実に防ぐ方法はありません。特にコードグラバーについては、現時点ではセキュリティシステムを追加してスマートキーだけに頼らない方法を取る以外に予防策がないのが実状です。

    高級車にお乗りの方や盗難多発地域にお住まいの方は、万が一盗難された場合の備えをしっかりと整えておくことが肝心です。人目につきにくい場所への駐車を心がけることや、面倒でも電波遮断ケースを利用するなど、日頃の習慣や心構えも盗難対策には有効となるはずです。

    愛車と少しでも長いカーライフを楽しむために、億劫に考えずに想定しうる対策をしっかりと整えましょう。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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