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ハイオクとレギュラーの違いとは?軽油との違いやガソリンの入れ間違いについても解説

更新

2020/12/16

公開

2020/12/16

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ほとんどのガソリンスタンドでは「レギュラー」「ハイオク」「軽油」の3種類の燃料が給油できるようになっています。しかし、それらの燃料の違いを知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。

車は搭載エンジンによって指定燃料が決められており、それ以外の燃料を誤って入れてしまうとエンジンの故障につながります。ここでは、ハイオクとレギュラーの違いや、誤給油してしまった場合の対処方法、指定燃料の確認方法などを解説します。

目次

    1.燃料の種類は3つ

    自動車用の燃料として使われるのは、2種類のガソリンと軽油の合計3種類です。ガソリンは「オクタン価」の違いによってハイオクガソリンとレギュラーガソリンに区別されており、車に搭載されるエンジンによってこれら3種類の燃料が指定されています。

    オクタン価とは、ガソリンの燃えづらさを表す数値です。オクタン価が高いガソリンほど高圧で燃焼させても異常燃焼が生じづらく、より高出力を得ることができます。

    では、それぞれの燃料の特徴を解説していきます。

    ハイオク

    ハイオクガソリンとは、主にスポーツカーなどの高性能ガソリンエンジン搭載車や、輸入ガソリンエンジン車に用いられる燃料であり、添加物によってオクタン価が高められたガソリンです。

    かつてはオクタン価を上げるための添加剤に鉛が用いられていましたが、人体への有害性から1970〜80年台にかけてガソリンの無鉛化が実施されました。その名残から、メーカーによっては「無鉛プレミアムガソリン」とも呼ばれています。

    レギュラー

    レギュラーガソリンはハイオクよりもオクタン価が低く安価なガソリンです。価格はハイオクガソリンに対して1Lあたり約10円安く、多くの国産ガソリンエンジン車は、レギュラーガソリンのオクタン価で動作するように設計されているため、日本の標準ガソリンと言えるでしょう。ハイオクガソリンと同じく、有鉛ガソリンとの区別をするため「無鉛レギュラー」や「無鉛ガソリン」とも呼ばれます。

    軽油

    軽油はディーゼルエンジン専用の燃料です。1Lあたりにかかる税金が少ないため、レギュラーガソリンよりも20円ほど安価に販売されています。軽油にはガソリンよりも高温高圧下で効率よく燃焼する特性があり、ディーゼルエンジンは軽油から効率よくエネルギーを抽出できるように設計されています。

    2.ハイオクとレギュラーの違いは?

    ハイオクガソリンとレギュラーガソリンは同じガソリンですが、オクタン価の違いに起因するさまざまな違いがあります。ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの違いを具体的に解説します。

    価格の違い

    レギュラーに対してハイオクガソリンの方が1Lあたり10円ほど高価です。オクタン価を向上させる添加剤のほか、添加剤が燃焼した際に生じる燃えカスを洗い流すための洗浄剤などが配合されているため、レギュラーよりも高価となっています。

    燃費の違い

    ガソリン自体が含有しているエネルギー量は、ハイオクガソリンとレギュラーガソリンでほとんど違いはなく、同一条件で燃費性能を比較しても大きな違いはありません。

    しかし、ハイオクガソリンはオクタン価が高いことで、エネルギーを取り出しやすい性質を持っています。そのため、ハイオクガソリンに適合するエンジンに対してハイオクガソリンを入れた場合に限り、レギュラーガソリンよりもハイオクガソリンのほうが、燃費がよくなります。

    ハイオクの方がノッキング現象は起きにくい

    一定量の燃料からより大きな出力を得ようとすると「ノッキング現象」が起きます。ノッキング現象とは意図しないタイミングで燃料が大きな爆発を起こしてしまう現象であり、ノッキングを起こしてしまうとそれ以上出力が上げられないばかりか、エンジンを壊してしまう恐れがあります。

    オクタン価が高いハイオクガソリンは、レギュラーガソリンに比べてこのノッキングが起きづらくなっています。

    3.違う燃料を給油してしまった場合の対処方法

    セルフ式ガソリンスタンドが普及したことから、指定燃料と異なる燃料を入れたことに起因するJAF(一般社団法人日本自動車連盟)ロードサービスの出動件数は増加傾向にあります。JAFの調べによれば、2018年12月1日~31日の1ヵ月間に寄せられた「燃料入れ間違い」による救護要請件数は390件にのぼったといいます。

    燃料の入れ間違いは、車と燃料の組み合わせによっては故障の原因になるため、誤給油にはくれぐれも注意しましょう。万が一、誤給油をしてしまったら、次のように対処しましょう。

    ハイオク車にハイオク以外を入れた場合

    近年の車はノッキングを検知すると、エンジンを自動的に保護するよう制御されているため、ハイオク車にレギュラーガソリンを入れても大事には至りません。それでも、レギュラーガソリンを入れたぶん、オクタン価が低下しているためノッキングが起こりやすい状態になっています。通常走行は可能ですが、エンジンを壊すようなノッキングが起こりがちな高回転域の使用は避け、混ざってしまった燃料を使用しつつ、こまめにハイオクガソリンを継ぎ足してオクタン価を高めるようにしましょう。

    ただし、スポーツカーの中でも特に高性能エンジンを搭載したモデルや高出力ターボエンジン搭載モデル、エンジン制御に手を加えるような改造を施した車では、エンジン故障の原因となるため、レギュラーガソリンを抜き取ったうえでハイオクガソリンに入れ替えるのが無難です。

    ハイオク車に軽油を入れてしまった場合は、エンジンが始動したとしても明らかな異音や振動を伴い、いずれはエンジンが停止します。気づいた時点で給油をやめ、決してエンジンを始動させず軽油の抜き取りを依頼しましょう。

    誤給油をしてしまった場合の修理費用は、誤給油後にエンジンを始動させたかどうかで変動します。エンジンを始動していない場合は、燃料の抜き取りとタンクの洗浄作業でおおよそ1万円の費用で済みますが、エンジンを始動してしまった場合は燃料タンクの洗浄に加え、エンジン内洗浄も必要になるため2〜3万円の費用がかかります。

    誤給油によってエンジンが破損してしまった場合は、少なく見積もっても10万円以上の修理費用がかかります。とくに、高性能ハイオク車のエンジンは高価であるため、多額の修理費用がかかりがちです。

    レギュラー車にレギュラー以外を入れた場合

    レギュラー車にハイオクガソリンを入れた場合は、特に問題はありません。エンジンが要求するオクタン価に対して燃料のオクタン価が低い場合はノッキングが発生しますが、逆の場合は特に不具合はなく、レギュラーガソリンを入れた状態と同じように運転することができます。

    レギュラー車に軽油を入れた場合は、ハイオク車に軽油を入れた場合と同じく軽油の抜き取りが必要です。

    ディーゼル車に軽油以外を入れた場合

    ディーゼル車にガソリンを入れた場合は、エンジンは始動するものの出力低下や回転が不安定になり、燃焼音も変化します。燃料ポンプや燃料噴射装置(インジェクター)を破損させる重大な故障になりやすいため、気づいた時点でエンジンを停止し、燃料の入れ替えと点検を依頼しましょう。

    4.ハイオク車かレギュラー車かを確認する方法は?

    車の指定燃料を確認するには給油口のハッチ裏を確認しましょう。ハイオク車の場合は「無鉛プレミアムガソリン」「無鉛ハイオク」「ハイオク」と記載されたいずれかのラベルが貼られています。レギュラー車の場合は「無鉛ガソリン」「レギュラー」などとラベル付けされている車と、ラベル付けされていない車が混在します。

    給油口に指定燃料が記載されていない場合は取扱説明書を確認して、お乗りの車のグレードや搭載エンジンごとの指定燃料を確認しましょう。搭載エンジンはエンジンルームや運転席ドア付近に設置されているコーションプレートで確認するのがもっとも確実です。

    5.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

    車の誤給油が起きる際の主な原因として挙げられるのは、「普段乗る車ではなかった」「うっかり間違えた」「軽自動車の燃料は軽油だと思った」などといった理由です。また、誤給油はほとんどの場合、セルフ式のガソリンスタンドにおいて起きています。

    セルフ式のガソリンスタンドを利用する方は、各燃料の特性についてある程度の知識を身につけておくことはもちろん、まずは自分が運転する車のエンジンとそのエンジンに適応したガソリンを知ること、そして、うっかり別のガソリンのノズルを手にしてしまうことのないよう、しっかり確認のうえ給油することが大切です。セルフ式ガソリンスタンドでは、レギュラーが「赤」、ハイオクが「黄」、軽油が「緑」とノズルが明確に色分けされているので、色でしっかりと認識しておくことも間違いを防ぐ一つの方法となります。

    特にガソリンと軽油の入れ間違いはエンジンにとって致命的となります。「慣れているから」と安心せず、給油の際は常に種類の確認を怠らないようにしましょう。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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