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反則金とは?罰金との違い、交通反則通告制度、支払い方法について解説

更新

2023/12/25

公開

2023/12/25

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交通違反をした際の違反金には、反則金と罰金があります。反則金とは比較的軽微な交通違反に課せられる行政処分で、罰金とは比較的重大な交通違反に科せられる刑事処分です。反則金と罰金の違いが曖昧という方もいるかもしれませんが、この2つは法律上の責任や目的などが異なります。本記事では、反則金の概要や罰金との違い、反則金の納付方法などについて詳しく紹介します。

目次

    1.反則金とは?

    反則金とは、交通反則通告制度に基づき、比較的軽い交通違反行為に課せられる制裁金のこと。

    交通違反には、一時停止違反などの軽微な違反から、無免許運転などの重大な違反まで、様々なものがあります。これら全ての違反を刑事事件として扱い、裁判で審判を行っていると、裁判所はもちろん、警察や運転者にも過重な負担がかかってしまいます。

    そこで設けられたのが、交通反則通告制度です。軽微な交通違反を反則行為と定め、違反者は行政上の制裁金として反則金を納めることにより、刑事処分を免れます。このように、比較的軽微な交通違反の処理を簡易化する仕組みが、交通反則通告制度です。

    2.罰金との違いは?

    交通違反をした際の違反金には、反則金のほかに罰金があります。比較的軽微な交通違反である反則行為に課されるのが反則金で、比較的重大な交通違反に対して科されるのが罰金です。

    道路交通法で定められた反則行為を起こした場合には、青キップと呼ばれる「交通反則告知書」が交付され、行政罰として反則金を納付すれば刑事処分を免れます。

    しかし、無免許運転や酒気帯び運転、交通事故などの重大な交通違反を起こした場合は、赤キップと呼ばれる「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」が交付されます。正式裁判もしくは略式裁判が行われ、刑事罰を受けることになります。罰金は、この刑事罰の一つです。

    つまり、反則金と罰金は法的な責任が異なります。反則金は行政責任を問うもので、罰金は刑事責任を問うもの。行政責任と刑事責任の違いは、以下の表の通りです。

    行政責任 刑事責任
    目的 道路交通の安全確保 社会秩序や治安の維持
    制裁の例 反則金、免許取消し、免許停止 罰金刑、懲役刑、禁固刑
    前科 付かない 付く

    3.反則金が課される、反則行為や金額は?

    交通反則通告制度では、比較的軽微かつ、現認可能、明白、定型的なものを反則行為として定めています。例えば、信号無視や一時停止違反などが反則行為にあたり、その数はおよそ150種類あります。

    内閣府が発表した「令和5年版交通安全白書」によると、令和4年に反則行為として告知した件数は、488万6,106件。中でも取り締まり件数が多かったのは、一時停止違反(指定場所一時不停止等違反)、最高速度違反(スピード違反)、通行禁止違反、信号無視、携帯電話使用等です。一部を抜粋しますが、それぞれの反則金は以下の表の通りです。

    反則行為の種類 反則金 ※
    一時停止違反(指定場所一時不停止等違反) 7,000円
    最高速度違反 高速道路35km以上40km未満 35,000円
    高速道路30km以上35km未満 25,000円
    25km以上30km未満 18,000円
    20km以上25km未満 15,000円
    15km以上20km未満 12,000円
    15km未満 9,000円
    通行禁止違反 7,000円
    信号無視 赤色等違反 9,000円
    点滅違反 7,000円
    携帯電話使用等(保持)違反 18,000円

    普通車の場合

    出典
    内閣府「令和5年交通安全白書」

    なお、運転中のながらスマホによる交通事故の増加をうけて、令和元年12月に「携帯電話使用等(保持)違反」の罰則が強化され、反則金は6,000円から18,000円(※普通車の場合)に引き上げられました。

    ながらスマホはもちろん、そのほかの反則行為も交通事故につながる可能性があります。比較的軽微な交通違反とはいえ、反則行為には十分注意して、安全運転を心がけましょう。

    4.反則金の納付方法は?

    反則行為が認められた場合、「交通反則告知書(青キップ)」と「反則金仮納付書」が交付されます。その後、期限内に「反則金仮納付書」にて反則金を納付すれば、手続きが完了します。違反者本人の意思に基づいていれば、代理人を立てて、その方に反則金を納付してもらうことも可能です。反則金の納付期限や方法は以下の通りです。

    • 納付期限:「交通反則告知書」を受け取った日から、8日以内
    • 納付場所:銀行、郵便局
    • 納付可能日時:銀行、郵便局の窓口が開いている平日の時間帯

    反則金は、ATMやコンビニでは支払うことはできません。また、土日は銀行・郵便局の窓口は空いていませんから、納付はできないので注意しましょう。そのほか、分割払いや小切手などの有価証券、交通反則通告センターへの現金書留による郵送での納付もできません。

    5.反則金の支払い期限を過ぎてしまった場合の新たな納付書の受け取り方

    受領方法1. 交通反則通告センターに行き、通告書と納付書を受け取る

    反則金の支払いをうっかり忘れてしまい、支払い期限を過ぎてしまった場合、反則金の「通告」を受け、新たな納付書を受け取らなければなりません。

    手続きとしては、まず交通反則告知書に記載された指定出頭日に、指定の交通反則通告センターに出頭します。その際は、交通反則告知書と、期限の切れた反則金仮納付書を持参しましょう。そこで手続きをすれば、新たな交通反則通告書と本納付書が渡されます。受け取った日から11日以内に、銀行か郵便局にて反則金を納付すれば手続きが完了します。

    受領方法2. 郵送で通告書と納付書を受け取る

    遠方に住んでいるなどの理由により、交通反則告知書に記載された指定出頭日に交通反則通告センターに行けない場合は、郵送で通告書と納付書を受け取ることも可能です。

    期限内に反則金が納付されなかった場合、告知から1〜2ヶ月後に、自宅に新たな交通反則通告書と本納付書が郵送されます。その後、納付書に記載の期限内に納付をすれば、手続きは完了です。ただし郵送の場合は、郵送料が反則金に加算されるので、注意しましょう。

    また、最初の交通反則告知書を受け取った後に住所が変わった場合、交通反則通告センターにその旨を連絡しておくようにしてください。

    6.反則行為に不服申し立てはできる?

    もし反則行為に納得できない場合、反則金を納めずに、刑事手続きとして裁判で反則行為の有無を明らかにする権利もあります。

    この場合、検察庁から出頭要請が届き、検察官の取り調べを受けます。そこで、自分の言い分を主張することができます。その後、検察官が起訴と判断すれば刑事裁判へと移行。裁判でも自分の言い分を主張することができますが、もし裁判官により反則行為があったと判断されれば、刑事罰を受けることになります。

    7.監修コメント

    2022年7月、弁護士が代理人として警察署に抗議し、横断歩行者等妨害等違反が取り消された事案がありました。その際に決め手になったのがドライブレコーダーの映像でした。

    一方で、反則金の納付は任意であり、納付をした場合は違反行為の取り消しを求めることができないとの判例があります。先述した2022年7月の事案においても、反則金の納付期限前に納付をしていない状態で抗議したことが、迅速な問題解決に至った要因のひとつといえます。


    以上のことから、もし納得のいかない理由で取り締まりに遭った場合は、できる限り早く、反則金を納付していない状態で、交通犯罪に強い弁護士に相談してみるのもひとつの手といえるでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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