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ゴールド免許の条件とは?ゴールド免許割引などのメリットも解説

更新

2023/09/27

公開

2020/11/04

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長期に渡って無事故・無違反を維持したドライバーの運転免許証はゴールド免許となり、優良運転者としていろいろな優遇措置を受けることができます。では、優良なドライバーの証であるゴールド免許はどうしたら取得できるのでしょうか?その条件や、ゴールド免許保有者が受けられる特典などを解説します。

目次

    1.ゴールド免許とは?

    ゴールド免許は正式名称を「優良運転者」といい、安全運転を心がける運転者の証です。運転免許証の有効期限の背景色が金色になることからこう呼ばれます。

    免許証を過去の違反歴に応じて区分する優良運転者制度は1994年5月10日から導入されました。その目的は、警察事務を業務効率化するとともにゴールド免許保有者を優良運転者として区分・優遇することで手本とし、ほかの運転者の安全運転意識を高めることにあります。

    ゴールド免許を取得している優良なドライバーには、更新手続きの簡素化や保険料の割引などをはじめとするさまざまな優遇措置が与えられます。

    ゴールド免許を取得している人の割合

    警察庁の資料「運転免許統計 令和4年版」では、2022年におけるゴールド免許保有率は約62.6%であり、運転免許保有者の半数以上がゴールド免許を保有していることになります。ただし、優良運転者制度の仕組みでは、免許を保有してさえいれば運転をせずともゴールド免許を取得できるようになっているため、ゴールド免許を保有している人物が実際に優良なドライバーであるかどうかは判断ができません。

    ゴールド免許の取得条件には、運転頻度が高いほど達成が難関になる側面があります。毎日運転しながらゴールド免許を保有するドライバーは、しっかりと交通法規を遵守し安全運転を重んじる、まさに「優れたドライバー」であると言えるでしょう。

    出典
    警察庁ウェブサイト

    運転免許証の色について

    おさらいとなりますが運転免許証の色には、ゴールド・ブルー・グリーンの3つがあり、運転者の区分により異なります。

    区分 対象者 有効期限(更新期間満了日における年齢まで)
    ゴールド 優良運転者 過去5年間無事故・無違反の方 70歳未満:5年
    70歳:4年
    71歳以上:3年
    ブルー 一般運転者 運転免許証を5年以上継続して保有しており、軽微な違反が1回のみの方 70歳未満:5年
    70歳:4年
    71歳以上:3年
    違反運転者 複数回の違反または怪我のある事故を起こした方 3年
    初回更新者 運転免許証を継続して保有している期間が5年未満で、無事故無違反または軽微な違反が1回のみの方 3年
    グリーン 新規取得者 初めて免許を取得する方 3年

    新規取得者は有効期限が3年とされていますが、実際には誕生日の前日に交付された運転免許証は翌日が1回目の誕生日になるので、初回の更新は2年と1ヶ月となります。誕生日に交付された運転免許証は3年と1ヶ月の期間が有効です。
    新規取得者は取得時期により有効期限が変わることに注意しましょう。

    「優良」と「一般」に関しては年齢による有効期限の違いがあります。69歳までは5回目の誕生日の1ヶ月後、70歳は4回目の誕生日の1ヶ月後、71歳以上は3回目の誕生日の1ヶ月後です。誕生日といっても閏年の2/29生まれの場合は、例外として扱われます。

    5回目の誕生日の41日前までの違反点数、人身事故の有無などにより、運転免許証の色が決まります。

    2.ゴールド免許の条件

    ゴールド免許を取得するための条件は、以下の3つです。

    • 運転免許証を5年以上継続して保有している
    • 判定期間内の5年間において無事故・無違反である
    • 重大違反教唆幇助、道路外致死傷がない

    優良運転者になるためには、判定期間内の5年間において無事故・無違反である必要があります。判定期間内とは、免許更新年の誕生日から41日前を起算日とした過去5年間のことです。そのため、免許取得から5年以上経過していなければゴールド免許は取得できません。

    また、重大違反教唆幇助とは、同乗者が運転者に対して事故につながる行動をそそのかすことです。道路外致死傷とは、私的に利用する駐車場など公道外で人を死傷させる事故を起こすことをいいます。

    「無事故・無違反」に関する注意ポイント

    判定の基準となる「違反」は違反点数が付く道路交通法違反のこと、「事故」は他人を死傷させる人身事故を指します。事故や違反であってもゴールド免許の取得に影響する場合と影響しない場合がありますので、主な注意ポイントを知っておきましょう。

    • 軽微な違反もゴールド免許の取得に影響する
      シートベルトの装着義務違反や指定場所一時不停止など、違反点数が3点以下の軽微な違反の場合でも「違反」とみなされ、ゴールド免許の取得判定に影響します。
    • 違反点数がつかない場合は影響しない
      あくまでも違反点数が判定基準になるため、免許不携帯や泥はね運転などの点数が加算されない交通違反はゴールド免許の取得判定に影響しません。
    • 違反点数のつかない物損事故は影響しない
      「駐車中の車にぶつかって車両の一部が傷ついた」「ガードレールに接触して破損した」など、人身事故ではない場合はゴールド免許の取得判定に影響しません。ただし、当て逃げや飲酒運転中の物損事故、建築物に損害を与えた場合などは「違反」に該当するため、ゴールド免許は取得できません。
    • 3ヵ月特例では違反した履歴は消えない
      過去3年間の違反点数の合計が一定の点数に達すると、免許停止・免許取消になります。3ヵ月特例とは、過去2年間以上にわたって無事故・無違反だった人が3点以下の軽微な違反をした場合、その後、3ヶ月以上無事故・無違反ならその違反点数は加算されないというものです。しかし、違反点数が加算されないだけで違反した事実がなくなるわけではありませんので、ゴールド免許の取得判定には影響します。

    3.ゴールド免許を再取得できるまでの期間をパターン別に紹介

    ゴールド免許の方が違反をすると、ブルー免許になってしまいます。ただし、すぐにブルー免許に変わるのではなく、次回の運転免許更新時まではゴールド免許が継続されます。それでは、ブルー免許からゴールド免許を再取得するためには何年かかるのでしょうか?グリーン免許からゴールド免許を取得する場合の最短期間とあわせて、違反の状況ごとに解説します。

    グリーン免許の所有者の場合

    ゴールド免許を取得するには、「運転免許証を5年以上継続して保有」「5年間、無事故・無違反」などの条件をクリアする必要があります。グリーン免許の有効期限は3年で、初回の免許更新の時に有効期限3年のブルー免許に切り替わります。そして、条件を満たしていれば次の更新時にゴールド免許に切り替わる流れになります。そのため、グリーン免許の場合、ゴールド免許の取得まで最短で5〜6年間、2回の免許更新が必要です。

    また、免許の更新期間は誕生日の1ヶ月前から誕生日の1ヶ月後の間のため、免許を取得したタイミングが誕生日の前か後かによってゴールド免許取得までの最短期間が変わってきます。

    たとえば、8月1日生まれの人が誕生日を迎えた後の2023年11月1日に免許を取得すると、最初の更新期間は取得後3回目の誕生日の前後1ヶ月、つまり2026年7月1日〜9月1日になります。2回目の更新期間はその3年後、2029年7月1日〜9月1日です。この間、無事故・無違反であればゴールド免許を取得できます。このため、2029年7月に2回目の更新をすれば、免許取得から5年8ヶ月でゴールド免許取得となります。

    一方、8月1日生まれの人が誕生日を迎える前の、2023年6月1日に免許を取得すると、最初の更新期間は取得後3回目の誕生日、2025年7月1日〜9月1日になります。先ほどよりも1年早くなるのは、誕生日の少し前に免許を取得すると、取得後1回目の誕生日をすぐに迎えるためです。2回目の更新期間はその3年後、2028年7月1日〜9月1日です。この間、無事故・無違反で2028年8月に2回目の更新をすれば、免許取得から5年2ヶ月ほどでゴールド免許を取得することができます。

    注意したいのは、ゴールド免許取得の条件である無事故・無違反の判定期間は免許更新年の誕生日から41日前を起算日とした過去5年間であること。上記の場合、2023年6月20日以前に免許を取得しておく必要があります。

    ゴールド免許の所有者が軽微な違反を1回した場合

    ゴールド免許の方が軽微な違反を1回すると、次回の更新時にブルー免許になり、一般運転者となります。その場合、ゴールド免許を再取得するまでは少なくとも5年間かかります。5年間、無事故・無違反であれば、その次の免許更新時にゴールド免許の再取得が可能です。

    ゴールド免許の所有者が軽微な違反を2回以上した場合(有効期限が2年41日以上)

    ゴールド免許の方が軽微な違反を2回以上した場合もブルー免許になりますが、一般運転者ではなく違反運転者となります。

    違反運転者の場合、運転免許証の有効期限は3年です。そのため、違反日の時点で有効期限が2年41日以上残っている場合は、違反日から最短約5年、ブルー免許になってから最短3年でゴールド免許を再取得できます。違反日からブルー免許になるまでの期間と、ブルー免許になってから次の更新までの3年間を合計すると、ゴールド免許取得の条件となる5年間を満たし、誕生日の41日前が起算点になるためです。

    更新から3年でゴールド免許を再取得するためには、違反日以降5年間、無事故・無違反であることが前提なので注意してください。

    ゴールド免許の所有者が軽微な違反を2回以上した場合(有効期限が2年41日未満)

    違反運転者になった方の運転免許証の有効期限が2年41日未満の場合は、違反日からゴールド免許の再取得までは少なくとも6年かかります。有効期限によっては8年近く必要です。違反日から2年41日未満でブルー免許になった場合、次回の更新を迎えても「判定期間内に5年間の無事故・無違反」というゴールド免許取得の条件を満たすことができないためです。

    違反日時点の有効期限が2年41日未満だった場合は、ブルー免許になった次々回の更新時にゴールド免許を取得可能です。

    4.ゴールド免許のメリット・特典

    ゴールド免許取得者には、優良なドライバーの証としてさまざまな優遇措置が設けられています。ここでは3つ紹介します。

    保険加入時に割引が受けられる

    ゴールド免許保有者は事故を起こす確率が低いドライバーとみなされるため、多くの保険会社では自動車任意保険の保険料の割引プランを用意しています。

    割り引かれる保険料は保険会社によって異なります。補償開始日時点でゴールド免許を保有していれば、次回の契約更新時までゴールド免許割引が適用されます。

    免許更新時の費用と手間が減る

    ゴールド免許の優良運転者と、3点以下の軽微な違反が1回におさまるブルー免許の一般運転者は、免許証の有効期限が5年になるとともに免許更新時の講習が短く済むため、更新時の手間や費用を減らすことができます。

    更新手数料は一律で2,500円かかりますが、更新時に受ける講習の時間と費用は、ブルー免許の一般運転者が更新講習1時間・講習費用800円、違反運転者が2時間・1,350円です。それに対し、ゴールド免許の優良運転者は30分の講習と500円の費用で済ませられます。

    また、ゴールド免許の方は平日に限り、お住まいの都道府県内の警察署であればどこでも免許更新が行えます。さらに、本来お住まいの都道府県以外では行えない運転免許証の更新が、経由申請というかたちで全国どこでも行えるのもメリットです。お住まいの場所によっては、更新時にかかる費用だけでなく交通費も浮くでしょう。

    オンラインで免許更新時講習を受講できる地域も

    現在、免許証の更新をされる優良運転者の利便性の向上等を図るための優良運転者オンライン講習のモデル事業の導入が試験的に行われており、一部地域で優良運転者に限り、オンラインで更新時講習を受講できます。

    本来は、免許更新センター等で申込書の記載・適性検査・写真撮影・講習動画視聴をすべて完了させなければいけません。

    しかし、オンラインで更新時講習を受けると、以下のような流れに変わります。

    1. 免許更新の案内はがきが届く
    2. マイナンバーカードで認証し、講習動画を視聴
    3. 免許センター等で新免許証を交付

    事前に自宅等で講習動画を視聴できるため、免許更新時の現地での所要時間が少なくなり、スムーズに手続きを済ませられます。免許更新センター等の混雑の緩和にもつながるでしょう。

    講習動画は、スマホなどで好きなときに視聴でき、一時停止なども可能です。まとまった時間が取れない方も、免許更新がしやすくなるでしょう。

    オンラインで講習を受けた場合も、適性検査や免許交付などの手続きが必要となるため、免許更新センター等に出向く必要がある点には注意してください。

    なお、オンラインでの更新時講習は、現在、北海道、京都府、千葉県、山口県の4道府県において試験的に実施中です。2024年度以降に全国展開が予定されています。

    5. 監修コメント

    一般運転者と優良運転者の更新手続きはとても簡便です。私は違反運転者の更新手続きをしたことがないので比較はできませんが、警察署の職員の対応も物腰が柔らかかった印象があります。
    ただ、気をつけなければいけないのが運転免許証に使用する写真を持参する場合です。警察署で行う更新手続きに関しては、写真の持ち込みを受け付けていない自治体もあります。その日のうちに新しい運転免許証を受け取れないこともあります。写真を持参したい場合は、手続きをしようと考えている警察署や運転免許試験場に事前に確認しておくとよいでしょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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