運転をしていると、「さっきまで晴れていたのに、突然、霧が出てきて周囲が見渡しにくくなる」という状況に直面することがあります。また、「霧の予報が出ているが、運転しなければならない」という方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、霧の基本情報(段階や、出やすい地域・条件)について説明した上で、霧が出ている状況で自動車を運転する方に向けて、安全に運転するためのコツを紹介します。
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1.霧が出ている状況で運転をすると事故が発生しやすい
霧が出ている状況では、周囲を見渡しにくくなります。また、路面が濡れており、普段よりも滑りやすくなっているため、事故が起きやすく危険です。「霧が発生する」と予報が出ている場合は、なるべく自動車の運転を控えて、公共交通機関を利用しましょう。
もしも走行中に濃い霧に遭遇したら、スピードを落とし、一般道の場合は駐車場などに、高速道路の場合はサービスエリアやパーキングエリアに退避して晴れるのを待つのが賢明です。霧が出ている状態でも走行しなければならない方は、細心の注意を払って運転しましょう。
2.霧には段階がある
気象庁によると、視程によって、霧は「靄(もや)」「霧(きり)」「濃霧(のうむ)」という3つの段階に分けられています。
視程とは、昼間においては「空を背景とし、黒ずんだ目標を肉眼で認識できる最大距離」、夜間においては「昼間と同じ明るさにしたと仮定した際に、目標を認識できる最大距離」のことです。世界気象機構(WMO)によって定義されており、近年では大気の透過率や反射率から算出されています。
靄(もや) | 微小な浮遊水滴や湿った微粒子によって、視程が1km以上、10km未満になっている状態 |
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霧(きり) | 肉眼で見通せる距離が1km未満の状態 |
濃霧(のうむ) | おおよそ100m以下の距離までしか肉眼で見通せない状態 |
濃霧の状態では、まっすぐ走行することすら困難なケースもあるのでご注意ください。自動車を運転する際には、あらかじめ霧や濃霧の注意報が出されているかどうかをチェックしましょう。
3.霧が発生しやすい地域・条件
霧は、水蒸気を含んだ空気が冷やされたり、空気中の水蒸気が増加したり、その両方が重なることで発生します。発生しやすい地域は、以下の通りです。
- 海・湖・川の近く(空気中の水分量が多いため)
- 高い山(気温が低いため、登っていった暖かい空気が冷やされる)
- 盆地(風が弱いため霧が流されずに留まる)
日中の日差しで温められた地面が夜になると冷えるため、霧は夜から朝にかけて発生しやすい傾向があります。また、北部や高地では夏、内陸の地域では秋から冬にかけての時期が、霧が発生しやすい季節であることを覚えておきましょう。
4.霧に遭遇した際の運転のコツ
霧に遭遇した際の運転のコツは以下の6つです。
- スピードを落とす
- ヘッドライトをロービームにする
- フォグランプを点灯する
- リアフォグランプを点灯する
- 近くのものを目印にして運転する
- 安全な場所へ移動し、霧が晴れるまで待つ
それぞれについて詳しく説明していきます。
1.スピードを落とす
霧が発生すると視界が悪くなるので、周囲の人や車、障害物などを認識しにくくなり、不意に人が飛び出してきた際に対応できない可能性が高まります。
一般道でも危険ですが、特に高速道路を走行する際には注意が必要です。事故を未然に防ぐために、通常よりもスピードを落とし、車間距離を充分に確保しましょう。
2.ヘッドライトをロービームにする
霧が出ている状態では、ヘッドライト(前照灯)をロービーム(下向き)にしましょう。「遠くまで見渡したい」という気持ちからハイビーム(上向き)にすると、光が乱反射し、かえって視界が悪くなります。
なお、対向車や歩行者がいる場合は必ずロービームに切り替えなければなりません。ハイビームは非常にまぶしく、視界を奪うため、ふさわしくない状況で使うと減光等義務違反で反則点数1点となるのでご注意ください。
3.フォグランプを点灯する
フォグランプ(前部霧灯)が付いている自動車の場合、霧が出てきたら点灯しましょう。ご自身の視界を確保すると同時に、対向車に自車の存在を伝えることにもなり、衝突のリスクを低減できます。
なお、フォグランプは一般的にヘッドライトよりも低い位置に取り付けられているため、対向車の運転者の視界も妨げにくく、霧がかかっている状況でも路面を効率的に照らすことが可能です。また、フォグランプから出てくる黄色い光は波長が長く、遠方に届きやすいという特徴もあります。
ただし、常時点灯していると周囲の車の運転手がまぶしさを感じるかもしれないので、フォグランプを使用するのは視界不良時のみにしましょう。
4.リアフォグランプを点灯する
リアフォグランプ(後部霧灯)が付いている自動車を運転している場合、霧が出てきた際に点灯してください。後続車に自車の存在を知らせることになり、安全確保につながります。フォグランプ(前部霧灯)と同様に、常時点灯は避け、視界不良時のみ使いましょう。
なお、リアフォグランプは「寒冷地仕様の車に対するオプション装備」になっていることが多く、付いていない自動車もあります。仕事などの理由で「霧や濃霧が発生している状況でも自動車を運転する可能性がある」という方は、装着をご検討ください。
5.近くのものを目印にして運転する
霧がかかっていると遠くの物体が見えにくくなるので、中央にある白線など、近くのものを目印に運転すると良いでしょう。
なお、車道の外側のもの(ガードレールや反射板など)を目印にするのは、車道外に視線が向いてしまうので避けてください。
6.安全な場所へ移動し、霧が晴れるまで待つ
霧が濃くなって「センターラインを視認できる距離が短い」「前後の車が見えにくい」と感じるようになったら、事故が起こるリスクが高い状態なので、安全な場所へ移動して停車しましょう。移動する際は、窓を少し開けて、周囲の音から状況を把握することをおすすめします。
なお、後続車に追突される危険性があるので、道路のわきに停めてはいけません。近くの駐車場(高速道路の場合は、サービスエリアやパーキングエリア)など事故を誘発しない場所を選びましょう。近くに駐車スペースが無く、道路のわきなどに駐車せざるを得ない場合は、ハザードランプを点灯して周囲に知らせてください。
停車したら、スマートフォンやラジオなどで気象情報や交通情報をチェックしつつ、霧が晴れるまで慌てずに待ちましょう。
5.霧が出た際には、いつも以上に安全運転を心掛けましょう
霧が出たら、自動車の運転を避け、なるべく公共交通機関を利用しましょう。仕事などの事情で「どうしても自動車で移動しなければならない」という場合は、普段以上に安全に気を配って運転をしてください。
大切なのは、いつもよりもスピードを落とし、車間距離を確保することです。そして、ヘッドライトをロービームにし、フォグランプやリアフォグランプを点灯しましょう。なお、遠くの物体が見えにくくなるので、センターラインなどを目印にしながら運転することをおすすめします。
ただし、霧が濃くなってセンターラインや前後の車両が見えにくくなった場合は、近くの安全な場所に停車して晴れるのを待ちましょう。
どんなに安全運転を心掛けていても、交通事故にあうリスクはあります。万が一の事態に備えて、自動車保険に加入しましょう。
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