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運転免許証を失効(有効期限切れ)してしまったら?うっかり失効時の再取得の方法も解説

更新

2023/07/26

公開

2023/07/26

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運転免許証は定期的に更新手続きをする必要があります。しかし、更新手続きの期限をうっかり過ぎてしまったり、なんらかの事情で免許の有効期限が切れてしまったりすることもあります。そうした場合、免許の資格はどうなってしまうのか、救済措置はあるのかについて紹介。また、有効期限が切れた場合に免許を再取得する方法についても解説します。

目次

    1.免許を失効するとどうなる?

    無免許となり、車の運転はできない

    3年〜5年ごとに訪れる免許更新。誕生日の前後1ヶ月間が免許更新期間となりますが、この期間中に更新をしないと免許が失効してしまいます。有効な免許証を持っていないことになるので、車の運転ができなくなります。もし免許を失効したまま運転をすると「無免許運転」となり、刑事罰や行政処分を受けることになります。

    運転をするには、失効手続きが必要

    再度車の運転をするためには、免許を再取得するための失効手続きを行う必要があります。失効手続きとは、運転免許証の有効期限が過ぎた方向けの手続きで、失効した期間や失効理由によっては、運転免許再取得の際の試験が一部免除される場合があります。なお失効手続きは、あくまで新規受験という扱いで、免許更新の手続きではありません。

    2.失効理由や期間によって免除内容が異なる

    失効手続きは、失効時の状況などにより免除の範囲が異なります。ポイントは、「やむを得ない理由があるか」と「失効日からどれくらいの期間が経過しているか」です。失効日とは、更新期間の翌日のことを指します。例えば、更新期間の最終日を「8月1日」とすると、失効日は「8月2日」です。この「8月2日」を基準日として、失効期間を数えます。

    ただし、やむを得ない理由がある・なしにかかわらず、免許失効後6ヶ月以内であれば学科試験と技能試験が免除されます。状況による免除の違いを、以下の表にまとめました。

    対象者 適性試験 学科試験 技能試験
    失効理由と失効期間
    やむを得ない理由がない 6ヶ月以内 必要 免除 免除
    6ヶ月〜1年以内 ※1 必要 免除 免除
    1年を超えた 必要 必要 必要
    やむを得ない理由がある 6ヶ月以内 必要 免除 免除
    6ヶ月〜3年以内 ※2 必要 免除 免除
    3年を超えた/平成13年6月20日以降に理由が発生した 必要 必要 必要
    3年を超えた/平成13年6月19日以前に理由が発生した ※2 必要 必要 免除

    ※1本免許ではなく仮免許の取得です。大型・中型・準中型・普通免許保有者のみ対象です。

    ※2やむを得ない理由がやんでから1ヶ月以内に手続きする必要があります。

    次項で、状況別の失効手続きについて詳しく解説していきます。

    3.やむを得ない理由がない場合の失効手続き(うっかり失効)

    「仕事が忙しかった」「更新のお知らせのハガキに気づかなかった」「ハガキが届かなかった」などは、やむを得ない理由としては認められません。このような特別な理由がなく、うっかり免許を失効してしまった場合には、各自治体の運転免許試験場や運転免許センターで手続きを行いましょう(場合によっては警察署で手続きができるケースもあります)。

    失効から6ヶ月以内の場合

    うっかり失効をした場合でも、6ヶ月以内に手続きをすれば学科試験と技能試験が免除されます。ですので、適性試験と指定の講習を受ければ免許の再取得ができます。

    手続きの流れ

    申請 → 適性試験(視力・聴力・運動機能) → 講習 → 免許証作成 → 免許証交付

    失効から6ヶ月〜1年以内の場合

    うっかり失効してから6ヶ月〜1年以内の場合は、本免許証ではなく、仮免許証の学科試験と技能試験が免除されます。また、講習もありません。ただし、大型車、中型車、準中型車、普通自動車の免許を取得していた方のみ申請可能です。交付されるのは仮免許証ですので、仮免取得後に本免許証の取得をしなければなりません。その際は、所定の路上練習を行い、本免許の学科試験、技能試験、適性検査、取得時講習を受けてから、本免許証が交付されます。自動車教習所で講習を受けてから、本免許証取得の試験に臨むという方法もあります。

    手続きの流れ

    申請 → 適性試験(視力・聴力・運動機能) → 仮免許証作成 → 仮免許証交付

    失効から1年を超えた場合

    うっかり失効してから1年を超えてしまったら、救済措置はありません。試験の免除はなく、免許の取得を最初から行うことになります。

    4.やむを得ない理由がある場合の失効手続き

    やむを得ない理由があったために、期間内に免許の更新ができなかった場合の手続きについて紹介します。やむを得ない理由として認められるのは、「海外滞在」「病気」「負傷」「身柄拘束(刑務所への収容など)」「被災」「公安委員会がやむを得ないと認める事情」などです。なお、「公安委員会がやむを得ないと認める事情」とは、運転免許システムの障害や高齢者講習の空きがなかった等です。

    申請の際には、やむを得ない理由と、それが発生していた期間を証明する書類を提出する必要があります。これにより、やむを得ない理由が認められた場合、かつ3年以内の手続き※であれば運転免許の経歴が継続されることもあります。

    失効から6ヶ月を超えている場合は、やむを得ない事情が終わって1ヶ月以内に手続きをする必要があります。

    失効から6ヶ月以内

    やむを得ない理由があり、失効から6ヶ月以内の手続きであれは、学科試験と技能試験が免除になります。そのため、適性試験と指定の講習を受ければ免許の再取得ができます。

    また、やむを得ない理由が認められた場合は、運転免許の経歴が継続されているとみなされます。例えば、5年以上免許を受けていて、この間に無事故・無違反であればゴールド免許を取得することができます。

    手続きの流れ

    申請 → 適性試験(視力・聴力・運動機能) → 講習 → 免許証作成 → 免許証交付

    失効から6ヶ月〜3年以内

    やむを得ない理由があり、失効後6ヶ月〜3年以内の場合は、やむを得ない事情が終わって1ヶ月以内に申請をすれば失効手続きができます。この失効手続きでも、学科試験と技能試験が免除されるので、適性試験と指定の講習を受ければ免許を再度取得可能です。ただし上述の通り、やむを得ない事情が終わってから1ヶ月以内に申請をしなければ、免除は受けられないので注意しましょう。

    手続きの流れ

    申請 → 適性試験(視力・聴力・運動機能) → 講習 → 免許証作成 → 免許証交付

    失効から3年を超えた場合

    やむを得ない理由があったにせよ、失効から3年を超えた場合は、救済措置はありません。ただし、平成13年(2001年)6月19日以前にやむを得ない理由が発生した場合は、やむを得ない事情がやんで1ヶ月以内に申請をすれば技能試験は免除されるため、適性試験、学科試験に合格し、指定の講習を受ければ免許を再取得できます。

    手続きの流れ

    平成13年(2001年)6月19日以前にやむを得ない理由が発生した場合

    申請 → 適性試験(視力・聴力・運動機能) → 学科試験 → 講習 → 免許証作成 → 免許証交付

    5.運転免許再取得に必要な持ち物

    免許失効後、運転免許を再取得する際の必要な持ち物について紹介します。

    必要な書類等

    • 運転免許申請書(手続き会場にあり)
    • 失効した運転免許証(ない場合は、健康保険証、マイナンバーカード、住民基本台帳ード、パスポートなどの身分証明書)
    • 本籍(外国籍の方は国籍)が記載されている住民票(6ヶ月以内のもの) ※1
    • 外国籍の方は、在留カード、特別永住者証明書など
    • 申請用写真 1枚 ※2
    • 外国運転免許証(持っている方のみ)
    • 高齢者講習終了証(70歳以上の方のみ)
    • 認知機能検査結果通知書、運転技能検査受検結果証明書(該当者のみ)、およ高齢者講習等受講通知書(75歳以上の方のみ)
    • やむを得ない理由を証明する書類(該当する方のみ)

    ※1住民票がない方は、戸籍抄(謄)本、もしくは住民票の除票、一時帰国(滞在)証明書、証明人の住所等が確認できる身分証明書の写しを提出します。外国籍の方は、有効なパスポート(旅券)、身分証明書、一時帰国(滞在)証明書、証明人の住所等が確認できる身分証明書の写しを持参してください。

    ※2やむを得ない理由がなく、失効後6ヶ月〜1年以内で仮免許証の取得をする場合は、写真が複数枚必要になることもあります。

    申請者本人であることを確認できるものが必要になる場合があります。

    やむを得ない理由を証明する書類について

    やむを得ない事情を証明する書類については、下記のような公的書類が必要です。

    • 海外滞在...パスポート
      海外滞在を証明するには、出入国の記録があるパスポートを提出します。もし、出入国の際に自動化ゲート(顔認証ゲート)を通過したために出入国記録がない場合は、搭乗券の半券やeチケット、在外公館が発行する在留証明など、出入国年月日が確認できる代わりの書類でも申請書類として認められます。

      もし日本の出入国年月日を確認できる書類が一切ない場合には、出入国在留管理庁から出入国記録を取得することができます。ただし、書類の発行には時間を要することがありますので、失効手続き可能期間が過ぎないように注意してください。
    • 病気や負傷...診断書
      病気や負傷などの場合、初診日、回復日、入院日、退院日などの期間が記載された診断書を提出します。また、傷病名や運転可能であることについての記載も必要です。
    • 身柄拘束(刑務所への収容など)...在監証明書など

    手数料

    手数料の種類 金額
    試験手数料 1,900円(1種目ごと)
    講習手数料 優良運転者 500円
    一般運転者 800円
    初回更新者・違反運転者 1,350円
    交付手数料 2,050円(1種目追加ごとに併記手数料200円)

    仮免許証の取得をする場合は、試験手数料1,550円+交付手数料1,150円になります。

    システム障害や高齢者講習の空きがなく更新ができなかったなど、公安委員会がやむを得ないと認める事情により免許を失効した方は、試験手数料は800円、交付手数料は1,700円です。

    講習区分は、ハガキに記載のものと異なる場合があります。申請当日に受付で確認してください。

    6.監修コメント

    法令には、施行されたり改正が行われたりした際に、それ以前にさかのぼって適用されない「法の不遡及」という原則があります。免許失効に「平成13年6月19日以前に」などの例外があるのはそのためです。

    平成13年の道路交通法改正では、一般運転者の免許証の有効期間が3年から5年に延長されました。それ以前の制度に慣れている方は、違和感を覚えたことがあるのではないでしょうか。その感覚のままでいると、更新期間を逃しかねません。うっかり失効をしてしまうととても面倒なので、日頃から免許証に記載がある有効期間をチェックするようにしましょう。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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