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ETCとは?仕組みやメリット、利用時の注意点について

更新

2020/11/04

公開

2020/11/04

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高速道路や有料道路で通行料金を現金払いすることなく通過できるETCは、料金所での渋滞緩和を実現するものとして2001年から本格運用が始まり、現在では非常に多くの車が利用しています。また、今後はより高度な情報システムとして期待される「ETC2.0」に切り替わる予定もあります。

しかし、ETCは便利である反面、正しく利用しなければ料金所での事故を引き起こす恐れがあります。ここでは、ETC利用時の注意点や仕組み、メリットに加え、次世代の「ETC2.0」についても解説します。

目次

    1.自動料金支払いシステム「ETC」の仕組み

    ETCとは「Electronic Toll Collection System(エレクトロニック・トール・コレクション・システム)」の略称であり、直訳すると電子通行料金回収システムとなります。車に搭載した車載器と料金所のETC専用ゲートを無線通信でつなぎ、高速道路や有料道路の通行料金を、車を停止させることなく支払える仕組みです。

    支払いはクレジット会社から発行されるETCカードなどを用いて行います。車載器にETCカードを挿入して料金所通過時に通行料金の電子決済をおこない、利用した分の料金を後日支払うかたちで運用されます。

    ETCとETC2.0の違い

    2016年から導入されているETC2.0は、現在広く普及しているETC(ETC1.0)に代わる新しい仕組みです。ETC1.0が支払いのみの単方向通信であるのに対して、専用車載器を用いて高速・大容量の双方向通信を採用している特徴があります。それにより、これまでの料金所でのキャッシュレス決済システムに加え、カーナビゲーションシステムなどと連携させることができ、高精度の渋滞回避ルートや最適ルート、進路上の落下物、事故規制情報、自然災害情報、画像付きの天気情報などがいち早くドライバーに伝えられるようになります。将来的には駐車場やガソリンスタンドでのキャッシュレス決済にも対応予定です。

    また現在は、ETC2.0利用車を対象とした料金割引や、高速道路から一時退出しても3時間以内に高速道路へ復帰した場合は料金を据え置くなどの優遇措置が実施されています。

    2.ETCを使用するのに必要なもの

    ETCを利用するためには、決済をおこなうための「ETCカード」と、ETCカードを挿入して通信をおこなうための「車載器」が必要です。それぞれの詳細を解説します。

    ETCカード

    ETCは、決済を行うためのETCカードを車載器に挿入していなければ使うことができません。ETCカードはETC決済専用のクレジットカードであり、クレジットカード会社に発行を申請することで入手できます。

    ETCカードはクレジットカードとして買い物などに使うことはできませんが、料金所の一般レーンではクレジットカードのように料金を支払うことができます。ただし、その際にはETC各種割引が適用されません。

    また、ETCカードは車載器を問わず使えるため、車載器をETC2.0へと切り替えた際やレンタカーなどでも自分名義のETCカードを支払いに使用できます。カードの種類には、クレジットカードの申込みが不要なETCパーソナルカードや、大口・多頻度顧客向けの割引制度が利用できるETCコーポレートカードなどもあります。

    車載器

    ETC車載機は、通信を行うためのアンテナとETCカードを挿入するスロット部、および本体の3つの部品で構成されたETC専用端末であり、カーディーラーやカー用品店で購入することができます。

    もっとも一般的なのが、アンテナとカードスロット内蔵型の本体が分離された2ピースタイプです。そのほかにも、カードスロットを取り出しやすい位置に設置できるようにアンテナ・カードスロット・本体が3つに分離された3ピースタイプや、新車時にあらかじめ内装に組み込まれるビルトインタイプが存在します。

    価格はタイプによって異なりますが、ETC1.0なら価格帯は4,000円~1万円、ETC2.0は1万円〜3万円ほどです。取り付けにはおよそ5,000円前後の工賃がかかり、またセットアップ料金として3,000円程度の費用がかかります。セットアップとは、車載器ごとに使用する車のナンバープレート情報などを登録してもらう作業であり、車検証と免許証の提示が必要です。このセットアップ作業をしなければETCは使用することができませんので、ETCを購入する店舗に取り付けおよびセットアップ作業をまとめて依頼するのが得策です。

    3.ETCの利用率

    ETCは料金所での渋滞緩和策として2001年から本格運用が開始されました。導入から4年目の2004年に1日あたりのETC利用率20%前後であったものが、2020年にはおおよそ93%まで広がっています。現在では高速道路や有料道路を利用するほとんどの車がETCを利用していることになります。

    4.ETCを利用するメリット

    ETCを利用するにはある程度の初期投資が必要です。では、ETCにはそれに見合うだけのメリットがあるのでしょうか。

    有料道路での支払いがキャッシュレスでスムーズに

    ETCは料金所で車を停止させる必要がなく、財布や小銭を用意する必要もないため、スムーズに料金所を通過することができます。料金所での渋滞削減はもちろん、停止や発進およびアイドリングを削減することでムダな燃料消費や排出ガスを抑えることができ、地球環境保全にも貢献します。

    また、各種割引が利用できるのもETCのメリットです。休日割引や深夜割引などが適用されますし、ETC2.0車載器を使用していればETC2.0割引も適用されます。さらに、ETCマイレージサービスに登録すれば、平日の朝6〜9時と夕方17〜20時の利用料金が割引される平日朝夕割引も利用できます。

    クレジットカードによる特典が受けられる

    ETCカードの利用によってクレジットカードのポイントが貯まるのもメリットです。ポイント還元率はクレジット会社によって異なりますが、ETCカードの利用時にポイント還元率が割増されるクレジットカード会社もあります。

    また、ETCマイレージサービスへ登録するとETCカード利用時にマイレージポイントが貯まり、通行料として利用できるサービスを受けることができます。

    5.ETC利用時の注意点

    ETCを利用する際にもっとも注意したいのが、ETCゲート通過時のトラブルです。ETCが正常に通信できない状態になると、料金所のゲートが開かずに追突事故が起こる恐れがあります。ETCゲートが開かない原因のほとんどは人為的ミスであり、ETCカードの未挿入や挿入方向間違い、有効期限切れなどが挙げられます。

    料金所で未挿入に気づいてETCカードを挿入しても、カードが認識されるまでに数秒の時間を要します。また、走行中のETCカードの抜き差しは危険であるうえ、挿入不良が起こりやすく、データ消失によりカードが使用できなくなる恐れもあります。

    ETCを安全に使うためには、走行する前にETCカードの挿入状態をしっかりと確認しておくことが大切です。またETCゲートを通る際は、自分や周囲の車が急停止しても衝突しないように十分な車間距離と徐行速度を保って通過することで、トラブルによる被害を最小限に抑えることができます。

    6.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

    ETCは近い将来、「ETC1.0」から「ETC2.0」へと完全に切り替わるため、現在広く普及しているETC1.0はいずれ使えなくなってしまいます。すでに2022年には一部のETC1.0車載器が使用できなくなるとアナウンスされているため、新たにETC車載器を購入する場合はETC2.0対応の車載器を購入することをおすすめします。

    ETCによるキャッシュレス決済は非常に便利ではあるものの、操作や機器の扱いを誤ると事故に発展する危険性があります。また最近よくあるトラブルとして、夏場に車内が高温になることによるETCカードの変形もよく聞かれます。温暖化が進んでいるとされる今、カードの取り扱いにはより注意が必要かもしれません。こまめにカードを抜き取るなどしながら対策を取りましょう。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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