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緊急車両(緊急自動車)とは?接近時の対処方法や進路妨害してしまった際の罰則について

更新

2021/06/02

公開

2021/06/02

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運転中に救急車や消防車、パトカーなどの緊急車両が接近したら、ドライバーは進路を譲らなければいけません。しかし、状況によって左右どちらに寄るか迷ってしまうときもあるでしょう。また、道を譲る際に注意を払うべきポイントもあります。どちらもしっかりと把握しておかなければ、罪に問われる可能性もあります。

この記事では、緊急車両が接近してきたときの正しい対処方法や、進路妨害してしまったときの罰則などを解説します。

目次

    1.緊急自動車(緊急車両)とは

    緊急車両とは、人命救助や火災、事故など緊急事態に対応する車両です。緊急車両には迅速な業務遂行が求められるため、一部道路交通法の免除特例などが付与されており、一般車両は緊急車両の走行妨害が禁止されています。

    ただし、上記の特例が適用されるのは緊急用務のために警光灯(パトライト)を点灯させ、運転中である場合のみです。それ以外の状況下では一般車両と同じ扱いとなります。

    2.主な緊急自動車(緊急車両)

    最も身近な緊急車両は、救急車や消防車、パトカーなどです。これらは公共の緊急車両に該当します。道路交通法上で同様の扱いを受ける民間の緊急車両も存在し、用途によって警光灯の色や車体塗色に規定が設けられています。

    公共・民間ともに、緊急車両として認められるのは赤色の警光灯をつけた車両のみです。緊急車両が警光灯を点灯して接近してきた時には進路を譲る必要があります。一方、黄色の警光灯をつけた道路維持作業用自動車、青色の防犯パトロール車、緑色の輸送車両車は緊急車両に該当しません。

    公共の緊急自動車

    • 消防車両
    • 警察車両
    • 自衛隊車両
    • 高速道路会社のパトロールカー など

    民間の緊急自動車

    • 電気事業、ガス事業、水防機関、道路管理、電気通信事業などの応急作業車
    • JAFのロードサービスカー
    • 日本赤十字社、財団法人献血供給事業団などの保存血液、臓器運搬車
    • 医師派遣用ドクターカー など

    3.緊急自動車(緊急車両)の法令上の特例規定

    緊急車両は具体的にどのような状況において特例が適用されるのでしょうか。その代表的な規定を解説します。

    右側通行の特例

    一般車両はやむを得ない場合を除き原則として左側通行が義務づけられているのに対し、緊急車両は追い越し、また道路の中央から右側にはみ出しての走行が認められています。

    停止義務免除の特例

    赤信号や一時停止など、一般車両が停止しなければならない状況でも、緊急車両には停止義務がありません。ただし、通行する際は他の車両や歩行者に注意しながら徐行するように定められています。

    横断歩道接近時の減速義務免除の特例

    横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、一般車両は歩行者を妨げないように徐行もしく停止しなくてはなりませんが、緊急車両はその義務が免除されます。

    緊急走行時の最高速度の緩和

    一般車両の最高速度が道路標識などで定められているのに対し、緊急車両は道路交通法施行令にて最高速度が一般道路80km/h、高速道路100km/hに緩和されています。

    4.緊急車両(緊急自動車)が接近してきたときの対処方法

    軽車両を含む一般車両は、緊急車両が接近してきたら原則として左に寄って一時停止し、進路を譲らなくてはいけません。一方通行、または左側に寄ると緊急車両の交通を妨げる場合は、状況に応じて右側に寄ることも認められています。

    緊急車両が交差点に進入前の場合

    一般車両は交差点に進入してはいけません。交差点を通行中の緊急車両があれば、交差点を出た場所で左に寄って一時停止をしましょう。

    高速道路で緊急車両が接近してきた場合

    停止せず、右側車線を走行している場合は車線変更をして緊急車両のために右側車線を開放します。ただし、道路の混雑状況によっては緊急車両が車線間をまたいで走行したり、路肩を走行したりする場合もあります。臨機応変に対応するためには、いち早く緊急車両の位置を把握する必要があります。

    いずれの状況でも重要なのは、どう動けば緊急車両の通行を妨げないで済むかを考えることです。緊急車両からマイクで指示がある場合は、その指示に従うようにしましょう。

    5.緊急自動車(緊急車両)に対する進路妨害の罰則

    緊急車両の通行を妨害した場合は交通違反で罰せられます。しかし、道路状況により進路を譲りたくても譲れない場合は違反には該当しません。明らかな妨害行為が確認された場合にのみ、一般道路では「緊急車妨害等」、高速道路では「本線車道緊急車妨害」の罰則が適用されます。

    6.緊急自動車(緊急車両)と事故を起こしてしまったら

    警光灯を点灯させている緊急車両と事故を起こした場合、状況にかかわらず過失責任は一般車両の方が大きくなる傾向にあります。特に気をつけたいのは、もっとも多くの事故が発生している交差点での出会い頭衝突です。

    停止義務免除の特例に基づき赤信号で交差点に徐行して進入した緊急車両と、青信号で交差点に進入した一般車両が出会い頭に衝突した場合、その過失割合は緊急車両20%、一般車両80%が基本となります。見通しがよい交差点や、緊急車両が先に交差点に進入していた場合は一般車両が100%の過失に問われる恐れがあります。

    また直線道路であっても、右側通行の特例を行使し、やむを得ず対向車線にはみ出して走行した緊急車両と一般車両が正面衝突を起こした事故では、一般車両に過失が認められた判例があります。

    7.監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

    緊急車両は文字通り、一刻も早い対処が必要な緊急性の高い状況に置かれています。ほんのわずかな遅れが人命を左右する場合もあります。また緊急車両のドライバーは、不規則な道路交通の中で責任感とプレッシャーを抱えながら運転しています。緊急車両の到着を待っている人とドライバーへの思いやりをもち、安心して走行できる進路を確保してあげましょう。

    また、緊急車両通過後は止まっていた車が一斉に動き出します。他の車との譲り合いも忘れないようにしましょう。

    最近は空調システムが完備され快適な運転環境が整った車両ばかりであり、運転中窓を開けて走行するケースはかなり少なくなりました。その状況は運転をしながら自分の世界に入り込みやすい環境とも言え、緊急車両がサイレンを鳴らしながら接近しても気づかずに青信号の交差点に進入したり、後続の緊急車両に気づかなかったりというケースも少なくないようです。
    また、スマートフォンのハンズフリー機能で相手と話し込んだり、音楽を大音響で聞いたりといった行為についても、それ自体は交通違反ではありませんが、緊急車両と遭遇した場合はもちろん周囲に配慮した運転を心がける意味でも安全とは言えない状態です。

    そうした状況はできる限り避け、視覚だけでなく聴覚においても安全が確保できる運転を心がけてください。

    監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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