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登坂車線とは?追い越しや速度制限について

山間部の道路や高速道路を運転しているとき、坂を上る側の道路だけ左側の車線が増えているのを見たことあるのではないでしょうか。これは登坂車線と呼ばれるものですが、登坂車線は何のために設置されているのでしょうか。

実は、登坂車線には追い越しや速度について規制やルールが定められています。この記事では、登坂車線の意味や注意点について詳しく解説します。

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登坂車線とは

登坂車線とは、トラックなど、重量が重く急な上り坂だとスピードが出ない車のために設置されている車線のことです。主に、坂道の多い山間部や高速道路に設けられています。

「道路構造令」という政令において、登坂車線は下記のように定義されています。

登坂車線:上り勾配の道路において速度の著しく低下する車両を他の車両から分離して通行させることを目的とする車線をいう。
出典:道路構造令第2条第7号・用語の定義(施行日:平成三十一年四月二十五日)


登坂車線の意義

荷物をたくさん積んだトラックや重量の重い車などは、急な上り坂ではスピードが充分に出せない場合があります。片側一車線が多く追い越しができない山道などでは、遅い車があることで渋滞が発生しますし、煽り運転の原因にもなりかねないため非常に危険です。

そこで、スピードが出ない車に登坂車線を走行してもらうことで、周囲の車に迷惑をかけず安全でスムーズな通行につなげます。登坂車線は、坂道の渋滞緩和と安全確保のために設置されている車線なのです。


登坂車線が設置されている場所

それでは、登坂車線はどのような場所に設置されているのでしょうか。実は、登坂車線は坂道ならどこでも設置して良いわけではなく、道路構造令第21条で下記のように定められています。

普通道路の縦断勾配が五パーセント(高速自動車国道及び高速自動車国道以外の普通道路で設計速度が一時間につき百キロメートル以上であるものにあっては、三パーセント)を超える車道には、必要に応じ、登坂車線を設けるものとする。
登坂車線の幅員は、三メートルとするものとする。
出典:道路構造令第21条第1項・登坂車線(施行日:平成三十一年四月二十五日)

一般道であれば勾配が5%、設計速度(道路構造令第13条)が100km/h以上の道路であれば勾配3%以上の道路に設置できるということです。 ただし、「必要に応じ設けるものとする」とあるように、すべての坂道や高速道路に設けられているわけではありません。勾配のある道路であっても交通量が少ない場合は、登坂車線が設置されていないこともあります。


登坂車線の見分け方

それでは、登坂車線と普通の車線とはどのようにして見分ければ良いのでしょうか。


まず、登坂車線が始まる箇所には「登坂車線」と書かれた青色の標識(高速道路の場合には緑色の標識)があります。さらに、太くて間隔が短い白の破線が使われている場合が多いです(通常の車線境界線の場合もあります)。

他にも、登坂車線の始まりだけでなく途中にも標識があったり、「遅い車は登坂車線へ」等と書かれた看板が設置されていたりすることもあります。


登坂車線の交通ルール


それでは、登坂車線にはどのようなルールがあるのでしょうか。先程、登坂車線は主に坂道でスピードが出せないトラック等のために設置されていると述べました。
では、トラック以外は登坂車線を走行してはいけないのでしょうか。

登坂車線は、トラックに限らずどのような車でも走行することができます。一般乗用車や軽自動車などでも荷物を多く積んでいる場合や出力の低い車種ではスピードが出ないため、登坂車線を走行したほうが安全です。また、坂道が原因でスピードを出せない場合ではなくても、積極的にスピードを出したくない・ゆっくり走りたいときも登坂車線を走るのがよいでしょう。


速度制限

登坂車線は、たとえ高速道路に設置されていたとしても「一般道」の扱いになります 。一般道に設置された登坂車線の場合は、その一般道に適用された制限速度と同じとなりますので、必ず標識などで制限速度を確認するようにしましょう。


追い越し

車線左側にある登坂車線を使って他車を追い越してはいけません。道路交通法の第28条には、次のように明記されています。

車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。

登坂車線はこれまで述べてきたように追い越される車のための車線であるため、基本的に最も左側に設置されています。よって、登坂車線を使って左側から他車を追い越すことは道路交通法違反となります 。


駐車

登坂車線は最も左側の車線ですので、路上駐停車をしてもいいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、登坂車線は「一般道」の扱いであり、車が通行する場所です から、車を駐停車してはいけません。

車の故障や運転者の急病など、やむを得ない事情があって登坂車線に駐停車する場合には、なるべく道路の左側に停車し、下記の2点によって後続車に停車していることを伝え、安全を確保するようにしましょう。

・ハザードランプを点滅させる
・三角表示板や停止表示灯を設置

ハザードランプを点灯し、三角表示板や停止表示灯を設置することは、後続車に何らかの異常を伝えるためにとても大切なことです。高速道路のようにとても速い速度で通行する道路では、駐停車している車両との速度差が大きくなるため、最初は遠くに見えていてもあっという間に距離が縮まります。その短時間の間に前の車が駐停車していることに気付くのは難しく、気付かれなければ重大事故に発展する危険もあります。

高速道路ではもちろんですが、一般道においても、非常駐停車をする際はハザードランプの点灯と三角表示板か停止表示灯の設置を遵守するようにしましょう 。


監修者(株式会社 日本交通事故鑑識研究所)コメント

ここまで、登坂車線の存在意義やルール、注意点について解説してまいりました。

登坂車線は、重量の重いトラックなどの車両が、山間部の上り坂などでスピードが出ない場合を想定して設置された車線です。公道には、スピードの出る車や出ない車など、さまざまな車が走っています。登坂車線は、そのような環境下でも安心安全なドライブを楽しむために設置されている車線なのです。

トラックだけでなく一般の乗用車も利用することができるので、利用上の規則をしっかりと確認し、坂道でスピードを出すことが難しい場面では積極的に利用していきましょう。

監修:株式会社 日本交通事故鑑識研究所

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