クルマ
2018年12月より、タイヤの「チェーン規制」の制度がスタートし、規制区間でのチェーンの装着が義務化されました。これにより、異例な降雪があった際には、対象となる規制区間にてチェーンの装着が「必須」となります。このチェーン規制の内容や行われる時期、区間等について詳しく解説していきます。
目次
2018年12月14日より、「チェーン規制」という新たな制度がスタートしました。
「大雪特別警報」や「大雪に対する緊急発表」が出されるような異例の降雪時に、チェーン規制が発令されます。チェーン規制が発令されると、対象となっている規制区間では雪用のタイヤチェーンの装着が「義務化」されます。チェーン規制が解除されるまでの間は、チェーンを装着していない車は通行できなくなり、チェーンを装着せずに走行した場合は、交通違反となります。
規制区間の手間には「チェーン着脱場」が用意されています。ドライバーはそこでチェーンを装着します。チェーン規制時には道路管理者が警察と協力し、規制区間の手前などでタイヤチェーンが装着されているかのチェックも行われます。
なお、チェーン規制の対象となっている区間には、今回新たに作られた「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の新標識が道路上に設置されます。通常時はこの標識がある区間も問題なく走行できますが、チェーン規制が発令された際には、この標識がある区間ではチェーンの装着が必須となります。
※新標識についての詳細は、国土交通省の以下の資料をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/common/001265121.pdf
チェーン規制が実施される時期について、国土交通省側は「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに行います。」と述べています。
なお、「大雪特別警報」は、数十年に一度の降雪量となるような大雪が予想される場合に気象庁から発表されるものです。
年に数回程度は実施される可能性もありますので、いざという時のために車内には雪用チェーンを常備しておくことをおすすめします。
異例な降雪があった際には、運転前にテレビ・ラジオ・インターネット・道路上の電光掲示板などから、「大雪特別警報」や「大雪に対する緊急発表」に関する情報、チェーン規制に関する情報を確認しておきましょう。
出典:国土交通省 チェーン規制について
国土交通省によれば、チェーン規制の区間として選ばれるのは、主に次のような要素を満たす区間・道路とのことです。
チェーン規制の対象となった区間には新標識が設置されます。そして異例の降雪がありチェーン規制が発令した際には、走行時のチェーンの装着が義務化されます。
一般(直轄)国道では、全国の以下6区間(8県)が、チェーン規制時の規制区間として選ばれています。
対象となる都道府県:山形県、山梨県、静岡県、新潟県、福井県、広島県、島根県、愛媛県の計8県
出典:国土交通省 チェーン規制について(令和元年10月31日時点の情報)
高速道路では、全国の以下7区間(10県)がチェーン規制の対象となっています。
対象となる都道府県:新潟県、長野県、山梨県、石川県、福井県、滋賀県、岡山県、鳥取県、広島県の計10県
出典:国土交通省 チェーン規制について(令和元年10月31日時点の情報)
昨今の日本では、「雪」が災害として大きな脅威となっています。年間の降雪量は横ばいで1980年代の観測データとさほど変わっていませんが、「24時間の降雪量が多い日」が近年増加している傾向にあります。また2005~2016年の約10年の間に、「積雪の深さ」が観測史上最高を更新する地点が全国で3割以上にも及んでいるという気象庁のデータもあります。つまり雪が短時間で集中的に降り、一気に積もってしまう気象が多くなってきているのです。
さらに、大雪による「立ち往生」や「通行止め」が二次的な問題となっています。2017年の冬には、鳥取道及び周辺国道で約300台もの車両が立ち往生となり、また名古屋高速道路では全線で22時間以上通行止めになるトラブルが発生するなどしてニュースとなりました。立ち往生で渋滞が発生すると除雪車さえ入っていけないこともあり、長時間交通がストップしてしまう悪循環に陥りやすいのです。
これらのトラブルに関与しているのがタイヤであり、大雪時は冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)を装着した車であっても、立ち往生が発生してしまっているのが現状です。
立ち往生などのトラブル起きやすい急な勾配の区間において、チェーンの装着を義務付け、交通を円滑にする目的で考えられたのが「チェーン規制」です。また、チェーンを装着していれば通行できるようにすることで、従来よりも通行止めの時間を短くする狙いもチェーン規制には込められています。
最後に、チェーン規制の制度がスタートしたことにより、いくつか注意すべき点、覚えておく点があります。
誤解したままチェーン規制時に規制区間を走行してしまうと、違反となることもありますので、細かなルールも十分に理解しておきましょう。
「スタッドレスタイヤ」も規制対象に含まれます。チェーン規制中は、スタッドレスタイヤの上からチェーンを装着しないと走行できできず、装着していない場合は違反となります。
前述の通り、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)を装着した車であっても、大雪時に立ち往生が多数発生しています。スタッドレスタイヤを履いていても交通を妨げる原因になり得るため、規制中はルールを守りチェーンを装着して走る必要があります。
「4輪駆動車(4WD)」も規制対象に含まれます。チェーン規制中は、4輪駆動車もチェーンを装着しないと走行できず、装着しない場合は違反となります。
下り坂では、4WDシステムを積む分車重が嵩んでいることもあり、ブレーキ制動距離が2輪駆動車より長くなる傾向があります。とくに雪道の下り坂はブレーキが効きにくいため、2輪駆動車以上に制動距離が延びる4輪駆動車は、スタッドレスタイヤを履いていたとしても危険になることがあります。したがって4輪駆動車であっても、規制中はルールを守りチェーンを装着して走る必要があります。
タイヤチェーンはすべてのタイヤに装着する必要はありません。基本的には駆動輪に装着する形となります。
● FF車(前輪駆動の車)の場合・・・チェーンは前輪に装着
● FR車(後輪駆動の車)の場合・・・チェーンは後輪に装着
● 4WD車の場合・・・チェーンは前輪または後輪に装着
タイヤチェーンには特に細かな指定はありません。カー用品店やホームセンターなどで「タイヤチェーン」として市販されている製品であれば、どれであっても特に問題はないようです。ただし、薬剤を吹きかけるスプレータイプのタイヤチェーンは除外されます。
実際に異例な降雪があった際には、お近くの道路でチェーン規制が行われる可能性もあります。その場合ドライバーどのような対応をすればよいのでしょう。順を追って解説していきます。
※基本的には、規制区間手前で警察官や道路管理者によるタイヤチェーンが装着されているかのチェックも行われています。チェーンの装着していない車は通行できず、そこで引き返すことになります。
以上の通り、チェーン規制がスタートしたことにより、異例な降雪があった際には一部の規制区間でチェーンの速着が必須となりました。チェーン規制の対象となっている区間は、いわば大雪時の走行が危険な区間ともいえます。天候の悪い日には極力そのような区間を走行しないようにし、止むを得ずチェーン規制時に走行する場合は、必ずチェーンを装着して走行してください。
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